課題解決コラム
事例 No.44
入院によって失った体力と自信を取り戻したい
退院直後は玄関すら上がることができず自信を喪失されていた方が、福祉用具を使用することで体力も自信も取り戻したケースをご紹介させていただきます。
退院に合わせて自宅の環境整備や福祉用具の提案を依頼されたのですが、退院時は入院生活による筋力・体力の低下から抱えられないと歩けず、玄関も這って上がる状態だったことから、ご自身の状況に意気消沈しており全てのことに自信を喪失されておりました。
ご家族様も初めての介護で不安が強く、このままではトイレに行くことも難しいのではないかと思われていました。
選定した福祉用具
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選定した福祉用具は、室内用の置き型手すりと玄関用の置き型手すり、室内用の歩行器です。
ルーツ サイドタイプ
とてもメジャーな置き型の手すりで、様々な場所に設置することができます。
置き方によっても利便性が異なり、ご利用者様に合わせた設置場所・使い方の説明が重要な商品でもあります。
今回のケースでは、ベッドから立ち上がる際に十分な高さがあっても立ち上がる事ができず大変苦労されていました。
立ち上がりの様子を確認させていただいた所、前方への重心移動ができておらず、前に手を差し出す所作が見られたため、座った正面に手すりが来るよう設置いたしました。
また、足を手前にやや引く事やお辞儀をするような動作が立ちやすい事などをアドバイスさせていただきました。
これにより前方に掴まるところができ、自然と重心が前へ移動する動きとなり、ご自身で立ち上がる事ができるようになりました。 -
あがりかまち用たちあっぷ 両手すり ステップ台付
玄関上がり框に適した置き型手すりで、上がりやすいよう踏み台(ステップ台)も取り付けることができる商品です。
退院時に全く上がることができず、這ってよじ登って戻られたと伺っており、玄関は改善しないといけない箇所の一つでした。
框の高さも、34cmと高く手すりだけでは到底昇り降りのできない環境の為、ステップ台の取付できる商品を選定いたしました。歩行も抱えられないといけない状況から、両手でしっかりと身体保持ができるよう両手すりタイプを設置。
その場でご本人様に昇り降りを行って頂いたところ、近くで見守っていれば安全に行えることを確認させて頂きました。
その際の「あ、できた!」といったご本人様の笑顔は忘れられません。 -
セーフティーアームウォーカー Mタイプ
身体を囲うような構造の歩行器で、歩行時の安定感が高い商品です。身体状況に合わせて脚部の変更が可能な商品でもあります。
今回のケースでは抱えながらでないと歩けない状況でしたが、逆にバランスさえ保持することができれば歩ける筋力はあった為、身体に近い場所で使用しやすい商品を選定しました。
また、ある程度足の運びはスムーズに行えていたので、一定の速度で歩きやすいよう前後キャスタタイプを選定。こちらも、退院当日にご本人様に使用して頂いた際、「あ、歩けた」の笑顔が印象的でした。
ご本人様の努力もあり、現在では4点杖のみで歩行ができるまで回復されています。
お客様の声
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納品後の確認訪問の際、娘様より「退院した日は、全く動けない父を見て、どうしたらよいのかわからない、本当に自宅で生活できるのかと不安でした。それでも、父を励ましながら適切な福祉用具を提案して下さったことで、父も自信を取り戻し、安心して自宅での生活を送ることができています。ポータブルトイレなどの購入も必要かと思いましたが、まずはトイレに行ける可能性を考えましょうと言って下さったことで、家族の負担も少なく済んでおり、感謝しています。」とのお声を頂きました。
感謝の言葉も、そして動けなかった状態から杖のみで歩けるようになった事も、この仕事をしている上で何よりも嬉しい事です。
この記事を書いた営業所員
橋本 直明
福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級
株式会社ヤマシタ 豊橋営業所
電話:0532-57-6020 FAX:0532-57-6021