課題解決コラム
事例 No.232
念願の外出に立ちはだかる体調の変化
今回は、抗がん剤治療中で体調の変化が激しいご利用者様の、ニーズの変化にお応えしたケースを紹介させていただきます。
奥様に迷惑をかけず、以前のように遠出をしたい、外出を楽しみたいというお気持ちを強くお持ちだったご利用者様。
お近くの病院への通院や、約3km先の三ノ宮へ行きたいということで、セニアカーをご提案しました。
ご本人様、奥様と3人でカタログを眺めながら、「どれがいいかな」とわくわくしたお気持ちで悩んでおられたのが印象的でした。
しかし、立ちはだかったのは体調の急変です。
通院は自宅への往診に切り替わり、行き先は三ノ宮→約1km先の商店街、お近くの公園へと変わりました。
当初は奥様への負担をかけまいというお気持ちを尊重し、自走式の手動車いすを検討しましたが、体力の低下や商店街への距離とスロープ坂が障害となり導入が困難で、代替案としてアシスト付き介助式電動車いすをご提案しました。
選定した福祉用具
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選定した福祉用具は電動車いすと車いすクッションです。
ミライト・ウイング
電動アシスト付き自転車のように、介助者が車いすを軽い力で押すことのできるアシスト付き介助式電動車いすです。
奥様でも取り扱いしやすいよう、軽量でコンパクトな機種を選定しました。 -
ピタシートクッション ブレス
電動車いすで長時間・長距離移動され、荒れた路面もあり振動によるお体への負担があること、蒸し暑い時期の導入であったため蒸れにくさを考慮し、弾力性のあるジェル素材で体圧を分散でき、ズレる力も吸収してくれる車いすクッションを選定しました。
お客様の声
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体調が比較的安定されたタイミングで、お近くの公園まで電動車いすを試乗した時のことです。
なんと今まで困っていた公園の坂を楽に上ることができたのです!
そして今でも心に残っているのは、坂道の途中で奥様が「すごく楽!これで遠くまで行けるね!」と大変喜んでおられ、坂に上る前に不安そうだったご本人様も奥様の声を聞き、静かににこやかな顔をされていたという場面です。
後日車いす引取時に、奥様より「たった1回きりだったけど、念願の商店街に二人で行くことができて本当に嬉しかった。ありがとう。」というお言葉をいただき、福祉用具の持つ可能性を実感しました。
この記事を書いた営業所員
井上 凌侑
福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーター2級
株式会社ヤマシタ 神戸営業所
電話:078-578-5959 FAX:078-578-5958