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老人ホームとは?種類や費用について詳しく紹介
老人ホームにも複数の種類があり、費用や入居条件は施設ごとに異なります。
この記事では、老人ホームの種類や特徴、費用について一覧を交えてご紹介し、老人ホームの選び方から入居するまでの流れを詳しく解説します。
老人ホームとは?
老人ホームにはさまざまな種類があり、施設ごとに運営主体や入居できる条件、サービスの提供内容が異なります。
老人ホームを運営主体で分けると、地方公共団体や社会福祉法人が運営する「公的施設」と、民間企業が運営する「民間施設」の2つに分類できます。
公的施設の特徴は、その運営に公費が充てられるため、安い費用で入居できることです。
また、低所得者に対する介護保険の減免制度が利用できることも特徴です。
一方、民間施設は公的施設と比べると費用が高い傾向ですが、サービス内容が充実しており、介護を受ける方の健康状態や生活スタイルに合った施設が見つけやすいという特徴があります。
公的施設の種類・費用一覧
公的施設には、5種類の施設があります。
施設ごとの特徴や入居条件、費用などをまとめました(費用は筆者調べ)。
施設名 | 特徴 | 費用 | 入居条件 | ||
---|---|---|---|---|---|
初期費用 | 月額費用 | 認知症の受け入れ | 受け入れられる介護度 | ||
特別養護老人ホーム | 終身で利用できる介護施設 | 0円 | 5~22万円 | 〇 | 要介護3~5 |
ケアハウス(一般型) | 安い費用で生活支援を受けられる施設 | 0~30万円 | 6~30万円 | × | 自立 要支援1~2 |
ケアハウス(介護型) | 生活支援と介護サービスを受けられる施設 | 数十万~数百万円 | 6~20万円 | 〇 | 要介護1~5 |
介護老人保健施設 | 在宅復帰を目的とした施設 | 0円 | 8~20万円 | 〇 | 要介護1~5 |
養護老人ホーム | 経済的に困窮している高齢者を養護する施設 | 0円 | 0~14万円 | × | 自立 要支援1~2 |
◯:受け入れ可能 △:施設によって受け入れ可能 ×:受け入れ不可
民間施設の種類・費用一覧
民間施設には、5種類の施設があります。
施設ごとの特徴や入居条件、費用などをまとめました(費用は筆者調べ)。
施設名 | 特徴 | 費用 | 入居条件 | ||
---|---|---|---|---|---|
初期費用 | 月額費用 | 認知症の受け入れ | 受け入れられる介護度 | ||
介護付き有料老人ホーム | 24時間体制で介護サービスが受けられる施設 | 0~数千万円 | 15~35万円 | 〇 | 要支援1~2 要介護1~5 |
住宅型有料老人ホーム | 生活支援が受けられる施設 | 0~数千万円 | 15~50万円 | △ | 自立のみ (要支援以上は要相談) |
健康型有料老人ホーム | 家事サポートや食事サービスが受けられる施設 | 数百万~数千万円 | 10~50万円 | × | 自立のみ |
サービス付き高齢者向け住宅 | 生活相談や安否確認サービスが付いた賃貸住宅 | 0~数十万円 | 10~30万円 | △ | 自立 要支援1~2 要介護1~5 |
グループホーム | 認知症ケアに特化した施設 | 0~数十万円 | 10~30万円 | 〇 | 要支援2 要介護1~5 |
◯:受け入れ可能 △:施設によって受け入れ可能 ×:受け入れ不可
老人ホームを利用するメリット
老人ホームに入居すると、在宅介護で感じる家族の負担がかなり軽減できます。
老人ホームを利用する主なメリットは次の通りです。
常に介護のプロに任せられる
老人ホームを利用するメリットの一つは、常に介護のプロに家族の介護を任せられることです。
専門的な介護の知識や経験のないまま家族が在宅介護を続けると、身体的にも精神的にもいずれ限界がやってきます。
しかし、老人ホームを利用すれば、介護のプロから適切な介護を24時間体制で受けることができます。
老人ホームに入居すると、本人や家族が安心した生活を送ることが可能となります。
緊急時に適切な対応をとってもらえる
老人ホームでは、緊急なことが起こっても適切に対応してもらえることもメリットです。
在宅介護では、容態が悪化するなど急な事態が起こると、家族では対応しきれない可能性があります。
その点、老人ホームでは介護・看護職員が常駐しているため、急な事態が起こってもすぐに適切な対応をとってもらえます。もしもの時の安心感も老人ホームを利用するメリットといえます。
入居者同士の交流がたくさんある
老人ホームでは入居者同士が交流して、コミュニケーションをとる場面が多くあります。
例えば、老人ホームで行われるレクリエーションは入居者同士が仲良くなるきっかけになります。
老人ホームで行われているレクリエーションには、例として次のようなものがあります。
- 体操・ストレッチ
- ゲーム形式のレクリエーション(玉入れ、的当てゲームなど)
- 歌(唱歌、懐メロ、カラオケ)・楽器演奏・音楽鑑賞
- 塗り絵・折り紙・料理・生け花(手先を使うもの)
- 脳トレ型のレクリエーション(クイズ・計算ドリル・漢字の書き取り)
レクリエーションに参加して、楽しい時間を過ごすことは精神的な安定につながります。
さらに、入居者同士の交流が刺激となって、認知症の予防や進行を遅らせる効果も期待できます。
ただし、在宅でも福祉用具のレンタルにより家族の介護負担を減らすことができます。
ヤマシタでも福祉用具のレンタルを承っておりますので、お気軽にご相談ください。
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老人ホームを選ぶときのポイント
老人ホームを選ぶときのポイントとして、例えば以下のような3点があります。
- 入居の費用・条件から絞る
- 入居目的を明確にする
- ケア体制や職員の配置体制を調べる
それぞれについて、以下で詳しく見ていきましょう。
入居の費用・条件から絞る
老人ホームを選ぶ際には、予算内で費用を賄える施設であるか、また条件に当てはまる施設なのかを確認しましょう。
老人ホームの入居に必要な費用は、基本的に「入居一時金」と「月額利用料」の2つです。
入居一時金とは、契約時に数年分の利用料をまとめて支払う「前払いの家賃」のようなものです。
料金は施設によって幅があり、数千万円かかるところから必要ないところまでさまざまです。
一方、月額利用料とは、居住費(家賃)や食費、介護サービス費、雑費(理美容代、おむつ代、光熱費)など、毎月かかる費用のことです。
設備の充実度や部屋のタイプ、立地や周辺環境などの違いで、施設ごとに料金に差があります。
入居目的を明確にする
老人ホームを選ぶときには「どうして入居したいのか」「どのように利用したいのか」など、入居する目的をはっきりさせておくことも大切です。
例えば「自由度の高い施設で悠々自適に暮らしたい」「手厚い介護と医療ケアを受けたい」「認知症ケアを受けたい」「健康維持のためのリハビリを受けたい」など、入居にあたっての目的や希望があるでしょう。
せっかく入居した施設が自分の希望していたものと違っていた場合、快適な生活が送れなくなるかもしれません。
そのため、老人ホームを選ぶときには入居する目的を明確にしておく必要があるのです。
ケア体制や職員の配置体制を調べる
老人ホームで安心した生活を送るためには、施設のケア体制や職員の配置体制を調べておくこともポイントです。
特に、日常的に医療ケアを必要とする方の対応は施設によって大きく異なります。
老人ホームの中には、医療・看護職員の配置義務のない施設もあるため、医療ケアが必要な方は入居を断られる場合があります。
また、夜間緊急時の対応についても確認すべきポイントです。
施設の規模によって夜間帯に勤務する職員が1名というところも多くあります。
夜間1名体制の施設では、ほとんどの場合、緊急時には夜勤者から連絡を受けた医師や看護師がすぐに施設に駆けつける「オンコール体制」で対応します。
しかし、この体制を取っていない施設もありますので確認が必要です。安心安全な生活を送るためにも、夜間の緊急体制が整備されていない施設への入居は避けた方が良いでしょう。
老人ホームの入居までの流れ
次に、老人ホームに入居するまでの流れについて、次の4ステップに分けて確認していきましょう。
- 施設を選ぶ
- 気になる老人ホームを見学する
- 申し込みを行う
- 契約して入居する
1.施設を選ぶ
施設選びの最初のステップは資料請求です。
気になる施設が見つかったらパンフレットを取り寄せて、生活環境や介護体制などが入居条件と合う施設を絞り込んでいきましょう。
気になる施設の情報は、老人ホームの検索サイト「探しっくす」を利用すると簡単に集めることができます。
「探しっくす」は、全国の老人ホーム検索やご希望施設の資料請求に便利なサイトです。お電話で相談でき、ご見学予約までしてくれる安心のフォロー付き。さらに「お役立ちコラム」や「早わかり用語集」といった情報も満載で、介護に不安を感じている方、まずは情報収集から始めたい方におすすめです。
参考サイト:探しっくす
2.気になる老人ホームを見学する
入居前の見学は必須です。気になる老人ホームが見つかったら、見学に行ってみましょう。
見学では、パンフレットでは分からない実際の施設の雰囲気を感じられ、スタッフの対応や入居者の様子も見ることができます。
見学だけでなく体験入居も受け付けている施設もあります。実際の施設生活を体験できる良い機会となるため利用してみるといいでしょう。
3.申し込みを行う
入居したい施設が決まったら、入居の申し込みをしましょう。
申し込みには主に以下の書類が必要となります。
- 入居申込書
- 診療情報提供書
- 健康診断書
- 各種保険証(健康保険証、介護被保険者証など)
- 印鑑
施設によって戸籍謄本、住民票、印鑑証明、保証人・身元引受人の身分を証明できるものなども必要となる場合があります。
4.契約して入居する
申し込みが完了したら、施設側と入居契約を締結して入居日を決めていきます。
入居日までは、必要なものを揃えたり、引っ越す準備をしたりと忙しくなります。そのため、無理のないスケジュールを組んで準備を進めましょう。
また、入居する本人は新しい場所での生活に不安を感じている場合もありますので、前向きな気持ちで入居できるような対応を心掛けましょう。
介護度によって異なる介護保険制度とは?
介護保険制度では、利用者各自の介護度によって介護保険の給付の上限額が異なります。
このことを「区分限度支給基準額」といいます。
通常、介護サービスの利用料は所得に応じて1~3割の自己負担で支払います。
しかし、区分支給限度基準額を超過した場合は、超過した分を10割の自己負担で支払わなければならないことに注意しましょう。
以下の表は、介護度に応じた1ヵ月の区分支給限度基準額の一覧です。
支給限度基準額
区分 | 支給限度額基準(1カ月あたり) | 自己負担1割の目安額 |
---|---|---|
要支援1 | 50,320円 | 5,032円 |
要支援2 | 105,310円 | 10,531円 |
要介護1 | 167,650円 | 16,765円 |
要介護2 | 197,050円 | 19,705円 |
要介護3 | 270,480円 | 27,048円 |
要介護4 | 309,380円 | 30,938円 |
要介護5 | 362,170円 | 36,217円 |
※出典:厚生労働省「2019年度介護報酬改定について」
介護保険については、以下の記事もご参照ください。
介護保険とは|仕組み・サービス・利用の流れを解説
老人ホームは何歳から利用できる?
老人ホームを利用できる年齢は、60歳以上または65歳以上が一般的です。
ただし、40歳以上65歳未満で、介護保険の認定を受けている方が入居できる施設もあります。詳しくはそれぞれの施設の入居条件で確認することができます。
まとめ
老人ホームの種類や費用についてご紹介しました。
各施設で特徴や条件が違うため、入居する目的や予算に見合った施設を選ぶことが重要です。気になる施設が見つかったら、まずは見学に行ってみましょう。安心した生活が送れるのか確かめることができます。
ご家族やご自身が入居を考えているのであれば、早いうちから情報収集をして理想の老人ホームを見つけておきましょう。
中谷 実歩
フリーライター
福祉系短大を卒業後、介護職員・相談員・ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在はフリーライターとして、介護業界での経験を生かし、介護に関わる記事を多く執筆する。 保有資格:介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士・保育士・福祉住環境コーディネーター3級