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ケアハウスとは?サービス内容や費用・他施設との違いを解説!
ケアハウスとは、身寄りがなく一人で生活できない高齢者が住める公的施設です。しかし、そのサービス内容や費用などについて、よくわからないという方もいるでしょう。
本記事では、ケアハウスの概要をお伝えし、種類ごとの特徴や他施設との違いも解説していきます。
ケアハウスとは?
ケアハウスとは「家庭環境の理由から自宅で生活できない高齢者」を対象とした、介護を受けながら暮らせる施設のことをいいます。
国や自治体などが運営する軽費老人ホームのひとつです。ケアハウスでは、食事や介護・生活支援サービスなどが提供されます。
メリットは以下のとおりです。
- 費用が安い
- 個室によるプライバシーが確保されている
- 自由度の高い生活が送れる
- 豊富なレクリエーションを受けられる
公的施設であることから、費用の安さがメリットです。また、個室で自由度の高い生活を送りやすい特徴もあります。
デメリットは以下のとおりです。
- 入居待ちが長い
- 高度な医療ケアには対応できない
費用の安さゆえ人気があり、入居できるまで長く待つこともあります。
また、体調が悪化して高度な医療ケアが必要になると、入居できない可能性があります。
入居条件
ケアハウスに入居するためには、家庭環境などによって一人で生活できない、身寄りがないなどの条件があります。資産や所得水準などの制限はありません。
大まかな条件は以下のとおりです。
- 身寄りがなく一人で生活できない
- 年齢は60歳以上である
- 夫婦での入居希望の場合、どちらかが年齢の条件を満たせばよい
- 他の入居者と支障なく共同生活が送れる
- 体調が安定している
- 排泄や食事といった日常生活動作を自分で管理できる
一人で生活ができなくても、ある程度のことは自分でできなければなりません。
人員体制
ケアハウスの人員体制は、あとで解説する一般型と介護型の2種類それぞれによって異なります。
一般型 | 介護型 | |
---|---|---|
施設長 | 1 | 1 |
生活相談員 | 入居者120に対し1 | 入居者100に対し1 |
介護・看護職員 | 入居者30に対し1 | 入居者3に対し1 |
看護職員 | - | 入居者30に対し1 |
栄養士 | 1以上 | - |
機能指導員 | - | 1以上 |
介護支援専門員 | - | 計画作成担当者1以上 |
一般型と介護型では、対象者や提供するサービスに違いがあるため、上記のようにそれぞれの施設に応じた人員配置になっています。
ケアハウスのサービス内容
ケアハウスで提供するサービス内容は以下のとおりです。
- 介護・医療サービス
- 認知症ケア
- 生活支援サービス
順番に見ていきましょう。
介護・医療サービス
介護サービスでは、主に以下のケアを受けられます。
- 食事
- 入浴
- 排泄
これらのケアを行うのは、配置されている介護・看護職員です。施設によっては介護サービスがさほど手厚くない場合もあります。
もし充実した介護を受けたい場合は、外部の介護保険サービスを利用する必要があります。
医療サービスは以下のとおりです。
- 体調管理
- 服薬管理
- 受診時の送迎
- 医療機関との連携
上記は基本的なサービスであり、24時間の手厚い専門的な医療というわけではありません。病状によっては、医療機関への入院や、医療体制が充実している施設へ移る必要があります。
認知症ケア
ケアハウスでは、認知症ケアが提供されます。
施設によって認知症の方への受け入れ状況は異なりますが、他者との交流において支障をきたさない程度の認知機能であれば、受け入れ可能です。
ケアハウスで提供される認知症ケアには以下があります。
- 見守りやコミュニケーション:危険な行動がないか、困っていないかなど確認する
- 脳トレ:計算や記憶のトレーニングをする
- 役割の再獲得:畑作業や植物の手入れなどをする
- 環境調整:施設内で迷わないように、道順や印を示す
なお、施設によって認知症ケアの内容や対応状況は異なるため、あらかじめ確認が必要です。
生活支援サービス
ケアハウスでは、食事の提供や掃除、洗濯といった生活支援サービスを受けられます。
身寄りがなく一人暮らしが難しい方にとって、生活していくための家事の支援は欠かせません。
生活支援サービスを受けることで、栄養状態を整えたり、清潔な部屋できれいな服を着たりして過ごせます。
また、施設によって内容や回数に違いはあるものの、レクリエーションも提供されます。
その他、季節に合わせたイベントや趣味活動も充実しているのが特徴です。
ケアハウスは2種類ある
ケアハウスは以下の2種類に分類されます。
- 一般(自立)型ケアハウス
- 介護型ケアハウス
それぞれ解説していきます。
一般(自立)型ケアハウス
一般(自立)型ケアハウスの対象者は、何らかの理由により家族との同居が難しく、一人暮らしも困難で、不安があるといった60歳以上の方が対象です。また、健康状態に問題がないことも条件となります。
受けられるサービスは以下のとおりです。
- 生活支援サービス(掃除や洗濯)
- 食事の提供
- 安否確認や緊急時の対応
要介護状態の方でも、外部の介護サービスを利用しながら入居も可能ですが、介護の必要性が高くなると継続は難しい場合があります。
介護型ケアハウス
一般型と同様に、一人暮らしの難しい高齢者が対象ですが、年齢と介護度の要件が異なります。介護型では、65歳以上で要介護1以上の方が入居対象です。
介護型では、介護保険の「特定施設入居者生活介護」というサービスが提供されます。
要介護度が高くても入居でき、一般型の生活支援サービスに加え、常駐スタッフによる身の回りの介護や機能訓練も受けられます。しかし、サービスが手厚いため入居待ちになりやすいこともあります。
ケアハウスの費用
ケアハウスの費用には、初期費用と月額費用の2種類があります。
初期費用は、入居一時金や保証金として、0〜30万円程度発生します。
入居一時金は、あとで解説する月額費用の償却分としての意味合いです。保証金は敷金と同じような扱いで、修繕・清掃費などにまかなわれる費用です。
月額費用は毎月発生する料金で、以下のような内訳となっています。
- サービス提供費
- 生活費(食費・共用部分の水道光熱費)
- 居住費(賃料や管理費、居室の水道代・光熱費)
- 介護保険サービス費(外部サービスもしくは特定施設入居者生活介護費)
自立型では約9~15万円程度で、外部の介護サービスを多く使えばさらに増える見込みです。
介護型では約9~17万円程度で、特定施設入居者生活介護の介護サービス費を含めた金額となります。
他施設との違い
ケアハウスと他施設との違いを見てみます。民間の事業者が運営する有料老人ホームと比較してみましょう。
有料老人ホーム | ケアハウス | ||
---|---|---|---|
住宅型 | 介護付き | ||
運営主体 | 民間企業 | 国・自治体などの公的機関 | |
サービス内容 | 生活支援サービス 介護・医療サービスは外部の介護事業者と契約 |
生活支援サービス 介護・医療サービス リハビリ レクリエーション |
生活支援サービス 介護・医療サービス(施設の種類により異なる) リハビリ レクリエーション |
メリット | 必要なサービスのみ外部と契約できる | 要介護度に応じて、介護保険サービスを定額利用できる | 費用が安い |
デメリット | 状態が悪化すると外部サービスだけでは対応できない場合がある | 費用が高い | 入居までに時間がかかることがある |
費用:入居一時金 | 0~1400万円 | 0~400万円 | 0~30万円 |
費用:月額 | 9~20万円 | 15~30万円 | 9~17万円 |
民間施設の場合、公的施設であるケアハウスよりも費用は高くなります。
また、入居一時金の金額幅が広く、ホテルのようなサービスを提供している施設もあります。そのような施設は特に高額になるでしょう。
公的施設は比較的安い費用でさまざまなサービスを受けられますが、入居できるまでに時間がかかることもあります。
費用や受けたいサービス、自由度などを考慮して選びましょう。
まとめ
ケアハウスは、身寄りがなく一人で生活できない高齢者が生活できる公的施設です。
一般型と介護型の2種類に分かれ、介護サービスや生活支援サービスを受けられます。
それぞれ入居の条件やサービス内容が異なるため、ご自身の状況と照らし合わせて最適な施設を選びましょう。