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高齢者の足のトラブルの原因はさまざま!適切なケアで悪化予防を
高齢になると、足のむくみや痛みなどのさまざまなトラブルが起こりやすくなります。
そのため、足の不調に悩まされている方も多いのではないでしょうか?
むくみは、内臓の病気や服薬、塩分の摂りすぎなどが原因となることもあります。
本記事では、高齢者に多くみられる足のトラブルの原因と、効果的なケア方法を紹介します。
日常生活の中で実践できるケアも取り上げていますので、ぜひ参考にしてください。
高齢者に起こりやすい足のトラブル
高齢者には、以下のような足のトラブルがあります。
- むくみ
- 痛み
- 皮膚疾患(湿疹や褥瘡など)
- 爪疾患(巻き爪や爪白癬など)
このような足のトラブルにより歩行が難しくなることで、外出や活動への意欲が低下し、精神面にも悪影響を及ぼす可能性があります。
高齢者は、むくみや爪疾患など慢性的な足のトラブルが多いため、治癒を目指すだけでなく、重症化を予防するための継続的なケアが重要です。
高齢者の足のむくみの原因とは
高齢者にみられる代表的な足のトラブルであるむくみの原因として、以下の5つが挙げられます。
- 内臓の病気
- 静脈瘤(じょうみゃくりゅう)や血栓
- 内服薬の影響
- 塩分の過剰摂取
- 日常生活の過ごし方
それぞれ、解説します。
両足のむくみなら内臓の病気の可能性
心不全や腎不全、肝硬変などを患っている場合、両足にむくみが出るだけでなく、顔や手にもむくみが現れます。
たとえば心不全になると、腎臓に流れる血液が少なくなり尿の量が減るため、水分が体内にたまり、むくみという症状として出てきます。
むくみは、内臓の病気を知らせてくれる一つの判断基準になるので、日頃から体をチェックすることが大切です。
片足のむくみなら静脈瘤や血栓の可能性
心不全や腎不全が原因の場合、両足にむくみが出やすいのに対し、静脈血栓や静脈瘤などが原因の場合は、片足にむくみが現れやすくなります。
血流の滞りがむくみの原因となるため、初期段階ではほかの症状が現れるわけではありません。
しかし放置すると足がつりやすくなったり、靴がきつく感じやすくなったりします。
しばらく様子をみてもむくみが解消されない場合は、早めに検査を受けて、足の静脈を調べることが大切です。
解熱鎮痛剤や降圧薬によるもの
解熱鎮痛剤や降圧薬の副作用として、むくみが現れる場合があります。しかし、むくみが出たからといって自己判断で薬を中止することは避けましょう。
まずは医師に相談し、薬の使用について確認することが大切です。早めに診察を受けることで、ほかの病気が見つかる場合もあります。
塩分の取りすぎによるもの
塩分を取りすぎると、体内の塩分濃度を保つために、身体に水分をため込もうとします。これが、むくみが生じる原因です。
むくみは塩分の取りすぎ以外にも、以下のような食生活が原因となります。
- ビタミンやミネラル不足
- お酒の飲みすぎ
- 糖分の多い食事
食生活の改善は、むくみの原因となる病気の予防にもつながるため、減塩食を意識した食事を始めることが有効です。
座位中心・立ち作業中心の生活
長時間同じ姿勢で過ごすことが、むくみを引き起こす原因となります。
たとえば、座ったままテレビを観続けたり、椅子に座って作業したりすることなどです。原因は、血液の循環が悪くなると、血管から水分が多く流れ出てしまうからです。
また、立っている時間が長い場合、重力で足に水分がたまることで、むくむことも考えられます。
生活習慣を改善するためには、定期的に歩いたり足をマッサージしたりして血行を促し、むくみを予防することが大切です。
高齢者の足の痛みと注意点
高齢者になると、以下のようなことが原因で、足に痛みを生じることがあります。
- 関節の変形
- 脊椎の病気
- 下肢閉塞性動脈硬化症
- 加齢や爪のケア不足による肥厚爪
それぞれの原因について詳しく解説します。
関節の変形によるもの
高齢者は老化に伴い関節が変形するため、足に痛みが生じやすくなります
具体的な原因は、以下のような疾患です。
- 変形性股関節症
- 変形性膝関節症
- 坐骨神経痛
これらの疾患はどれも痛みを伴うため、少しでも痛みを感じたら無理をせず、整形外科を受診しましょう。
関連記事:変形性関節症はどんな病気?介助方法や必要な福祉用具を知ろう!
脊椎の病気によるもの
脊椎系の疾患により、足のしびれや筋肉の張りが現れて歩けなくなるものの、少し休憩すればまた歩けるようになる、といった症状がみられます。
こういった症状がみられる場合、主に以下の2つの疾患が考えられます。
疾患名 | 特徴 |
---|---|
脊柱管狭窄(きょうさく)症 | ・前屈みの姿勢だと楽になる ・座ると一時的に痛みが軽減する ・太ももやすねの痛み、足のしびれがある |
閉塞(へいそく)性動脈硬化症 | ・ゆっくりなら長く歩ける ・登り坂では症状が出やすい ・ふくらはぎの痛みが多い |
紹介した内容以外の症状が出る可能性もあるため、痛みを感じる場合は、整形外科以外にも血液外科や循環器内科などを受診してみましょう。
関連記事:閉塞性動脈硬化症の特徴的な症状と原因を解説|介護保険で支援できるサービスを紹介
下肢閉塞性動脈硬化症によるもの
下肢閉塞性動脈硬化症は、食生活の乱れや高齢化が原因で血管が詰まる生活習慣病の一種です。下肢閉塞性動脈硬化症は、足にしびれや痛みの症状が現れることがあります。
悪化すると少し歩いただけで足が痛み、進行すると安静時でも痛みを感じます。さらに進行すると足が腐る潰瘍といった症状に至るケースもみられます。
下肢閉塞性動脈硬化症は動脈硬化疾患のため、脳梗塞や心筋梗塞につながるかもしれません。そのため、足のしびれや痛みを感じた場合は、早めに受診をすることが大切です。
加齢や爪のケア不足による肥厚爪にも注意
加齢や爪のケア不足、あわない靴を履くことが原因で、爪が分厚くなっていきます。
この状態を「肥厚爪」といい、爪が割れたり剥がれたりするだけでなく、靴を履くたびに痛みを伴うこともあります。
肥厚爪の治療には、皮膚科や形成外科などの専門医を受診しましょう。
肥厚爪予防には、以下のような方法があります。
- 足にあった靴を履く
- 足指を清潔に保つ
- 食生活に気をつける(主にたんぱく質やビタミン・ミネラルの不足に注意)
高齢者の足のトラブルに有効なケア
高齢者の足のトラブルに対するケアは、以下の方法が有効です。
- 足浴
- サポーターの着用
- フィットした靴の着用
- 杖や歩行器の活用
- 食生活の見直し
それぞれ具体的な方法と、足のトラブルに効果的な介護用品を紹介します。
足浴で血液の循環を促す
むくみやしびれがあり、毎日の入浴が難しい方には、足浴が有効です。
血液の循環により足のむくみを解消するだけでなく、清潔保持や保湿対策にもなります。足浴をしながらマッサージすることで、血液の循環を促せるでしょう。
ただし、疾患によってはマッサージが逆効果の場合もあります。不安な方は医師に相談しましょう。
サポーターの着用で痛みを緩和
膝の痛みに対しては、サポーターの着用が効果的です。
サポーターは関節の動きによるストレスを解消し、安定させることで膝にかかる負担を軽くします。
サポーターは、膝の痛みがひどくなってから使うのではなく、違和感を覚えた段階で着用すると、痛みの予防につながります。
ヤマシタ運営の通販サイト「ヤマシタオンラインストア」でも、以下のような膝サポーターを取り扱っているので、ぜひご覧ください。
シルクサポーター ひざ用 2枚入
シルクサポーターは、ひざの上部と下部がゴム編みになっており、ほどよく締めて快適に膝をサポートしてくれます。
また絹特有の肌触りで、肌をやさしく保護してくれる点も魅力のひとつです。
靴は足にフィットしたものを選ぶ
むくみで足の大きさに左右差があったり、けがによって装具を付けたりしている場合は、左右サイズ違いで購入できる靴がおすすめです。
それぞれの足のサイズにあった靴を選ぶことで、肥厚爪の予防や悪化防止につながり、痛みを軽減できます。
ヤマシタオンラインストアでは、介護を受ける方の足にあわせて、左右のサイズを変えられ、足先までゆったり履ける靴を取り扱っています。
ケアフル3 9E
ケアフル3 9Eは、足先まで大きく開くタイプの靴なので、履きやすく履かせやすい点が特徴です。そのため、介護を必要とする方には使いやすい靴でしょう。
また、インソールが足裏アーチを心地よくサポートしてくれます。
関連記事:介護用の靴は機能面に注目|選び方や使用する目的を徹底解説
杖・歩行器を活用して無理のない範囲で歩行を
歩行時に足の痛みやしびれがある場合でも、無理のない範囲で歩いたほうがいいでしょう。
安静にしすぎると、筋力は落ちてしまいます。杖や歩行器を使用し、少しでも足への負担を減らすことが大切です。
ヤマシタすぐきたでは、介護を受ける方の安定した歩行をサポートする、歩行器や杖を取り扱っています。
テイコブリトル
テイコブリトルは、軽量でコンパクトなおりたたみ可能な四輪歩行車です。駐車ブレーキとハンドル高さをワンタッチで調整できます。
キャスタは前輪18cm、後輪15cmと大口径で、屋外の段差や不整地でも安定しているので、安心して歩行ができるでしょう。
前面には座面が付いており、疲れたら休憩できます。
関連記事:歩行器の選び方とは?種類や介護保険を利用したレンタルも紹介
カーボン四点可動式 スモールタイプ
カーボン四点可動式 スモールタイプは、支柱が前後に稼働して路面に接地しやすい四点式の杖です。
長さは62.5~88cmの11段階で調節でき、さまざまな体形の方にあわせられます。
関連記事:歩行補助杖の種類と選び方!介護保険の利用方法も解説
食習慣の見直しも大切
足のむくみ解消するためには、食習慣の見直しが重要です。
とくに、以下のような栄養素がむくみの解消に効果的です。
- カリウム
- ビタミン
- ミネラル
なかでもカリウムは、体内の水分を排出する働きがあり、むくみの解消につながります。
食事の際に使いにくい食器を使っていると、食べこぼしが増えたり食べ物がうまく口に運べなかったりするため、必要な栄養素を十分に摂取できていない可能性があります。
そのため、高齢者が食事をしやすい食器類を使うことも、栄養素不足の対策になるでしょう。
ヤマシタオンラインストアでは、持ちやすく、食べやすい形の強化磁器食器を取り扱っています。
テレサシリーズ
テレサシリーズの強化磁器は、持ちやすく食べやすいデザインが特徴です。
小鉢や中鉢、大皿、マグカップの4種類があり、電子レンジや食器洗浄機を利用できます。熱湯消毒が必要な場合は、煮沸することも可能です。
介護用品の専門通販サイト「ヤマシタオンラインストア」では、上記のほかにもさまざまな介護用品をご用意しております。
お気軽にお問い合わせください。
まずはかかりつけ医を受診
これまで紹介したように、高齢者の足のトラブルには、さまざまな疾患が考えられます。
疾患によっては、内科や整形外科、皮膚科など、何科を受診すればよいのか迷う方もいるでしょう。
そんなときは、まずかかりつけ医に相談し、検査を受けたり専門の病院を紹介してもらったりすることが大切です。
足のトラブルがきっかけで、ほかの病気が発見されることもあります。少しの痛みや違和感でも、早めに受診することを心がけましょう。
まとめ
高齢者の足のトラブルには、皮膚疾患や関節の痛み、内臓の病気などさまざまな原因があります。
それぞれ適切なケアは異なるため、まずは医師に相談してトラブルの原因を把握することが大切です。
長時間同じ体勢でいることや食習慣によって、足にむくみや痛みが生じている場合もあります。
痛みの原因となる病気の治療も大切ですが、生活習慣の改善がトラブルを予防できるため、本記事を参考に、自分の生活習慣を見直すきっかけにしてみてください。
津島武志
介護福祉士
介護業界16年目の現役介護職。介護リーダーや管理職の経験もあり、現在は地方法人のグループホームに勤務。現役の介護職以外に、さまざまなWEBメディアでライターとして活動しています。主な保有資格は、介護福祉士、介護支援専門員、社会福祉士など。