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介護椅子はレンタルできる!選び方やレンタルできる条件を解説
元気なときはスッと立ち上がれたのに、高齢となりひざや足の付け根に痛みがあったり筋力が弱くなったりしたことにより、今まで使ってきた椅子では立ち上がりが難しいということもあるのではないでしょうか。
立ち上がる機会が減ると、さらに足腰の力が弱くなってしまいます。
そのような悩みを減らしてくれるのが、立ち座りをサポートしてくれる介護椅子です。
こちらでは、介護椅子の選び方や介護保険が使えるおすすめの介護椅子をご紹介します。
介護椅子とは
高齢化や病気などがきっかけとなって介護が必要になると、立ち座りのときに介助が必要になってきます。
介護椅子とは、このような立ち座りを手助けできる椅子のことです。
なお、介護椅子の一部には、購入するときに介護保険を利用できるものがあります。
たとえば、入浴用の椅子はその一つです。
入浴用椅子(介護用シャワーチェア)については、以下の記事も参考にしてください。
介護用シャワーチェアって何?選び方とおすすめを紹介
介護椅子を使うメリット
介護椅子を使用することで、安全に立ち座りしやすく、立ち座りするときの介助量や痛み、誤嚥などのリスクを減らすことができます。
椅子の座面の高さは、高いほうが立ち上がりやすく、低いと立ち上がりにくくなりますが、逆に高すぎても立ち上がりづらい姿勢になってしまいます。
座り姿勢が安定する座面の高さは、椅子に深く座ったときに足裏がしっかりと床につく高さです。
足裏を床につけてしっかり足を引いて、お辞儀をするように重心を前に移動させると、立ち上がりやすい姿勢になります。
ただし、介護が必要な方は体調に微妙な変化があることも多く、いつもは一人で立てる椅子の高さであっても、そのときの体調によって立てないこともあります。
そのような場合、お尻を椅子の前方に移動させて足を引いて、電動で座面の高さを少し高めに調整すれば、楽に立ち上がることができます。
ひじ掛けつきの介護椅子であれば、ひじ掛けを両手で握って腕の力も使えるので、自分の力で立ち上がりやすくなるメリットもあります。
体にあわない介護椅子を使用するとデメリットがある
椅子に座っている姿勢で、骨盤が後ろに倒れてずっこけたように座る「仙骨座り」になっている方をみかけませんか?
仙骨座りになる原因としては、歳とともに骨がもろくなって背骨などが変形することもありますが、背もたれに寄りかかると体が前方向に押し出され、しだいにお尻が前に滑り出して仙骨座りになってしまうのです。
体にあっていない介護椅子に長時間座り続けることも、仙骨座りになってしまう原因の一つのため、後述している誤飲や誤嚥、背骨の変形につながるデメリットがあるといえるでしょう。
仙骨座りが続くと背骨の変形がすすむ原因になったり、背もたれにあたる背骨や座面にあたる仙骨に圧力がかかって褥瘡になったりするリスクが高くなります。
また、仙骨座りの姿勢は、背中の骨が後ろ凸に丸くなり、その分頭部が後ろに倒れて、顎が前に出やすい姿勢になります。
仙骨座りをして顎が突き出た状態で食事をすると、誤飲や誤嚥が起きる可能性があり、肺炎や窒息事故につながることもあるのです。
介護椅子は体に合ったものを選び、また使用の際には高さを調整することが大切です。
介護椅子の種類
介護椅子にはいくつかの種類があります。
今回は、介護椅子を使う場所ごとに「リビング・ダイニング用」「玄関用」「お風呂場用」と分け、種類を紹介いたします。
リビング・ダイニング用
リビング・ダイニング用の椅子は、家族とともに会話を楽しみながら、食事をするときに必要なものです。
食事の介助が必要で食べ物をかみ砕くのに時間がかかったり、リラックスしながらテレビを見たり、家族と会話を楽しんだりして、長い時間椅子に座っていることもあるでしょう。
体格にあっていない介護椅子に座っていると、仙骨座りの原因になってしまいます。
自分の体格にあっていて立ち座りがしやすいリビング・ダイニング用の介護椅子を使うことで、食事での誤飲や誤嚥を防ぎましょう。
玄関用
玄関用の介護椅子は、立ち座りが不安定な方や玄関のあがり框が低くて立ち上がりにくい、靴の脱ぎ着が難しい方におすすめです。
介護が必要になったり、足腰が弱くなったりすると、立った状態や玄関の低いあがり框に腰を掛けた状態で靴の脱ぎ着をすることが難しくなります。
玄関用の介護椅子を使うと立ち座りしやすくなり、かがんで靴を脱ぎ着する動作が楽にできるのです。
玄関に介護椅子を常に置く広さがないようであれば、折りたたみ式を選ぶとコンパクトに収納することが可能です。
お風呂場用
お風呂場用の介護椅子は、シャワーチェアなどと呼ばれています。
足元が滑りやすいお風呂での介助は、介助される人もする人も安全に使用できるように滑りにくい仕様を選びましょう。
お風呂場用の介護椅子は、背もたれや肘掛けがついていたり、座面幅が広くつくられていたり、座面の高さが調節できたりするものが多いです。
脚力が弱くても、介助される人もする人も安心して髪や体を洗うことができます。
お風呂場用椅子(介護用シャワーチェア)については、以下の記事も参考にしてください。
介護用シャワーチェアって何?選び方とおすすめを紹介
介護椅子を選ぶ上でのポイント
介護椅子は、立ち座りを手助けしてくれる便利な福祉用具ですが、選び方を間違えると、かえって体に負担がかかってしまうこともあります。
こちらでは、介護椅子を選ぶ上でのポイントを解説いたします。
1. 体格にあったサイズ
体格にあわない介護椅子を選ぶと仙骨座りの原因となり、褥瘡や誤嚥などさまざまなトラブルにつながってしまいます。
介護椅子は体格にあったサイズを選ぶことがポイントです。
特に重要なのは座面の高さです。
座ったときに足裏がしっかり床に着くように、膝から足首までの長さより1cmほど低い高さが最適です。
使用する人の高さにあうかどうか不安な場合や体調に変動がある方の場合は、座面の高さを調整できる介護椅子がおすすめです。
2. 設置場所の構造にあったもの
安全に立ち座りするためには、介助される人もする人も動きやすい空間が必要です。
空間が狭く介助される人もする人も動きにくくなってしまうと、転倒するリスクが高まります。
介護椅子を使って安全に立ち座りするためには、設置場所を考慮し、設置しやすいものを選びましょう。
たとえば狭い玄関や浴室の場合、折りたたみができるタイプやコンパクトな介護椅子であれば、動く空間を確保できるのでおすすめです。
3. 必要な機能がついている
介護椅子にはさまざまな機能がついていますが、主な機能として以下のようなものがあります。
- 座面の高さを調節できる機能
- 背もたれの角度を調整できるリクライニング機能
- 座面が傾斜するチルト機構
- 椅子から立ち上がる際の立ち上がり補助機能
- 安全対策機能
- 折りたたみ機能
身体の状況に合わせた福祉用具を活用すると自立を促してくれます。
そのためには、必要な機能が搭載されているものを選んで上手に使い、身体機能を維持していきましょう。
たとえば、パーキンソン病の方のように、薬効のある状態とない状態の差が激しい方などは、電動で高さ調節できる機能がついている介護椅子を使うことで、体の動きが悪いときも立ち上がりやすくなります。
介護椅子をレンタルできる条件
介護椅子の一部には、介護保険を利用してレンタル可能なものもあります。
たとえば、座面がゆっくりと持ち上がり腰を押し上げて立ち動作を手助けする電動の介護椅子などです。
上下の昇降やリクライニング、チルト機能がついている介護椅子(移動用リフト)は、要介護2~5の方がレンタル利用できる福祉用具で、「要支援1・2」、または「要介護1」の認定の方は使うことができません。
しかし、介護度の基準を満たさなくても、パーキンソン病の治療薬などによる変動がある方などは、介護保険でのレンタル利用が可能という例外もあります。
介護保険でレンタルできるものについては、以下の記事も参考にしてください。
介護用品はレンタルできる!品目、流れなどを解説します
ヤマシタでも介護椅子のレンタルについてご相談を受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。
営業所は安心の365日体制。
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受付時間 9:00~18:00 (土日祝年末年始を除く)
介護椅子は購入の際に介護保険が使える
前述のように、一般的な介護椅子は介護保険のレンタルの対象です。
一方、お風呂用の介護椅子は入浴補助用具として「特定福祉用具」に該当するため、介護保険の自己負担のみで購入することが可能です。
福祉用具のなかでも、肌に直接触れるなど衛生上の観点からレンタルに向かないものは、介護保険で購入できる「特定福祉用具」となります。
出典:厚生労働省「福祉用具・住宅改修」
介護保険で購入できるものについては、以下の記事も参考にしてください。
介護用品にはどういったものがある?介護保険を利用するためには
ヤマシタでも、介護保険を利用してお風呂用の介護椅子を購入できます。ご相談ください。
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介護椅子の購入にかかる費用
介護椅子の購入にかかる費用は、ついている機能の多さによって変わってきます。
手すりつきの椅子は5000円台から、立ち上がり補助機能などがつくと5万円台から購入でき、価格幅は広いです。
介護保険を利用できる場合は、自己負担の割合はその方の収入によって異なりますが、1~3割の自己負担額で購入可能です。
特定福祉用具を購入できる金額は、4月から翌3月までの1年間で上限10万円です。
特定福祉用具を介護保険で購入する場合は、利用者が全額を支払って購入し、あとで市町村へ申請して自己負担額を引いた額が戻ってくる仕組みです。
出典:厚生労働省「福祉用具・住宅改修」
介護椅子のおすすめ
介護椅子の種類は豊富なので、どのタイプの介護椅子を選べばよいのか、介護保険が使えるのかわからなくなってしまいますよね。
こちらでは、介護保険を利用できる、立ち座りを手助けする機能がついた介護椅子などを紹介いたします。
電動リフトアップチェア
椅子からの立ち座りを電動でサポートしてくれるリフトアップチェアです。
肘掛け後面にある手元スイッチレバーを片手で操作すると、座面の高さが42cmから59cmの間で上げ下げが可能で、立ち座りを手助けしてくれます。
背クッションは腰から頭部まで支えられる高さです。
座面を上げると座クッションは前後に分かれて、後方のクッションがより高く上がるので、重心を前に移動して立ちあがりやすい構造になっています。
張地には水などの汚れが染み込みにくい素材を使用しているので、食べ物をこぼしても簡単に拭き取ることができ、安心して飲食することができます。
電動座椅子 独立宣言 リクライニング
上下昇降に加えて、背もたれがうしろに傾斜するリクライニング機構と背もたれと座面が一緒に傾斜するチルト機構も備えている電動座椅子です。
座面の高さが160mm~575mmまで高さ調節できます。
肘掛け横のスイッチを軽く押すと、その間にゆっくりと上下し、ひざが曲がりにくい方でも立ち座りがしやすくなります。
肘掛けは、はね上げることができるので、体の向きを変えて、横からの出入りや移乗時に役立ちます。
座面の下にある安全スイッチに足などが触れると、座面が少し上昇して自動的に止まる仕組みで安心です。
シャワーチェア[ユクリア]ミドルSPワンタッチおりたたみN
介助レバーが背もたれ裏にあるので、かがまずに片手のワンタッチ操作で折り畳め、介助する人の腰への負担も減らせます。
折り畳み式で自立し、コンパクトに収納できます。
背もたれ・肘掛けつきなので、座位が保てない方や立ち座りに介助が必要な方にも使いやすいタイプです。
肘掛けは上げ下げ可能で体を洗いやすく、背中をやわらかく包み込む背もたれは、体を洗うときの背中の動きにもあわせてしっかりとサポートします。
防かび・防汚加工でお手入れも楽にできるよう配慮されています。
ご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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まとめ
設置場所を考慮しながら、体格にあわせた介護椅子を選ぶことで、誤飲や誤嚥、褥瘡などを予防できます。
骨盤が後ろに倒れてずっこけてしまう仙骨座りは、長期間行うと体にさまざまな支障をきたし、身体機能の低下につながってしまうのです。
必要な機能がついている立ち座りしやすい介護椅子を選ぶことで、立ち上がりの機会を増やし、身体機能を維持しましょう。
中川恵子
介護ライター
理学療法士の免許取得後、大学病院、個人病院、老人保健施設、有料老人ホームなどに勤務し、現在は、訪問リハビリテーションに従事しながら、理学療法士の資格を持つ医療・介護・健康専門ライター・講師として活動