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介護椅子はレンタルできる!選び方やレンタルできる条件を解説
「立ち上がる際に足腰の痛みが気になる」
「お風呂で転倒しないか心配」
加齢に伴う身体の変化で、このような不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
そのような悩みを軽減してくれるのが、立ち座りをサポートしてくれる介護椅子です。
この記事では、介護椅子の種類や選び方についてわかりやすく解説します。おすすめの介護椅子や介護保険の利用条件についても紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
介護椅子とは
高齢化や病気などがきっかけとなって介護が必要になると、立ち座りのときに介助が必要になってきます。
介護椅子とは、このような立ち座りを手助けできる椅子のことです。
なお、介護椅子の一部には、購入するときに介護保険を利用できるものがあります。たとえば、入浴用の椅子はその一つです。
入浴用椅子(介護用シャワーチェア)については、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:介護用シャワーチェアって何?選び方とおすすめを紹介
介護椅子を使うメリット
介護椅子を使用すれば、立ち座りの動作が楽に安定して行えるようになり、本人だけでなく介助者の負担も軽減できます。
介護椅子を利用するおもなメリットは以下の3つです。
- 痛みの軽減:無理せず立ち上がれるため、痛みが軽減できます
- 介助の負担軽減:立ち上がる際のサポートが少なくて済みます
- 安全性の向上:転倒や、姿勢が崩れることによる誤嚥のリスクを減らせます
なお、立ち上がりをスムーズにするには、座面の高さや姿勢も重要です。
座り姿勢が安定する座面の高さは、椅子に深く座ったときに足裏がしっかりと床につく高さです。
足裏を床につけてしっかり足を引いて、お辞儀をするように重心を前に移動させると、余計な力を入れずに立ち上がれます。
体調の変化で普段より動きづらい場合は、お尻を椅子の前方に移動させたり、電動で座面の高さを少し高めにしたり、楽に立ち上がれるよう工夫してみましょう。
ひじ掛けつきの介護椅子であれば、腕の力も使えるので、さらに立ち上がりがしやすくなります。
体にあわない介護椅子を使用するとデメリットがある
介護椅子が身体に合っていないと骨盤が後ろに倒れた状態の「仙骨座り」になりやすいため注意が必要です。見た目の問題だけでなく、次のようなトラブルの原意になりかねません。
- 背骨の変形:不自然な姿勢が続くと変形の原因になります
- 褥瘡(じょくそう):同じ部位に長時間圧力がかかると皮膚の負担になります
- 誤飲や誤嚥:顎が前に出ると飲み込みが難しくなります
介護椅子は、本人の体格や状態にあうものを選ぶ必要があります。心配な方や選び方がわからない方は、福祉用具専門員に相談するのがおすすめです。高さ調整や適切な使い方のアドバイスをしてもらえるでしょう。
介護椅子の種類
介護椅子にはいくつかの種類があります。
ここでは、介護椅子を使う場所ごとに「リビング・ダイニング用」「玄関用」「お風呂場用」と分け、それぞれの特徴を解説します。
リビング・ダイニング用
リビング・ダイニング用の介護椅子は家族とともに会話を楽しみながら、食事をするときに必要なものです。
食事の介助が必要で食べ物をかみ砕くのに時間がかかったり、リラックスしながらテレビを見たり、家族と会話を楽しんだりして、長い時間椅子に座っていることもあるでしょう。
体格にあっていない介護椅子に座っていると、仙骨座りの原因になってしまいます。
自分の体格にあっていて立ち座りがしやすいリビング・ダイニング用の介護椅子を使うことで、食事での誤飲や誤嚥を防ぎましょう。
玄関用
玄関用の介護椅子は、立ち座りが不安定な方や玄関のあがり框が低くて立ち上がりにくい、靴の脱ぎ着が難しい方におすすめです。
介護が必要になったり、足腰が弱くなったりすると、立った状態や玄関の低いあがり框に腰を掛けた状態で靴の脱ぎ着をすることが難しくなります。
玄関用の介護椅子を使うと立ち座りしやすくなり、かがんで靴を脱ぎ着する動作が楽にできるのです。
介護椅子の大きさが気になる場合は、使わないときはコンパクトに収納できる折りたたみ式を選ぶと良いでしょう。
お風呂場用
お風呂場用の介護椅子は、シャワーチェアと呼ばれています。
滑りやすいお風呂でも安全に使えるように滑りにくい仕様になっているのが特徴です。
背もたれや肘掛けがついていたり、座面の高さが調整できたり、利用者が安全に入浴できるようにさまざまな機能が用意されています。
使わないときは折り畳めるタイプの介護椅子もあり、介助される人もする人も安心して髪や体を洗うことができます。
お風呂場用椅子(介護用シャワーチェア)については、以下の記事も参考にしてください。
介護椅子を選ぶポイント
介護椅子は、立ち座りを手助けしてくれる便利な福祉用具ですが、選び方を間違えると、かえって体に負担がかかってしまうこともあります。
こちらでは、介護椅子を選ぶ上でのポイントを解説します。
1. 体格にあったサイズ
体格にあわない介護椅子を選ぶと仙骨座りの原因となり、褥瘡や誤嚥などさまざまなトラブルにつながってしまいます。
介護椅子は体格にあったサイズを選ぶことがポイントです。特に重要なのは座面の高さです。
座ったときに足裏がしっかり床に着くように、膝から足首までの長さより1cmほど低くなるように設定するのがポイントです。
使用する人の高さにあうかどうか不安な場合や、体調に変動がある方の場合は、座面の高さを調整できる介護椅子がおすすめです。
2. 設置場所の構造にあったもの
安全に立ち座りするためには、介助される人もする人も動きやすい空間が必要です。
空間が狭くお互いに動きにくくなってしまうと、転倒するリスクが高まります。
介護椅子を使って安全に立ち座りするためには、設置場所を考慮し、設置しやすいものを選びましょう。
たとえば狭い玄関や浴室の場合、折りたたみができるタイプやコンパクトな介護椅子であれば、動く空間を確保できるのでおすすめです。
3. 必要な機能がついている
介護椅子にはさまざまな機能がついていますが、主な機能として以下のようなものがあります。
- 座面の高さを調節できる機能
- 背もたれの角度を調整できるリクライニング機能
- 座面が傾斜するチルト機構
- 椅子から立ち上がる際の立ち上がり補助機能
- 安全対策機能
- 折りたたみ機能
身体の状況に合わせた福祉用具を活用すると自立を促してくれます。
そのためには、必要な機能が搭載されているものを選んで上手に使い、身体機能を維持していきましょう。
たとえば、パーキンソン病の方のように、薬効のある状態とない状態の差が激しい方などは、電動で高さ調節できる機能がついている介護椅子がおすすめです。
体の動きが悪いときも高さを簡単に調節できるため、立ち上がりがしやすくなります。
介護椅子のレンタルに介護保険を利用できる条件
介護保険を利用して介護椅子をレンタルするためには、次の2つの条件を満たす必要があります。
- 介護椅子が「福祉用具貸与品(介護保険の適用が認められた製品)」であること
- 利用者が要介護2以上の区分認定を受けていること
利用したい商品に介護保険が適用できるかは、ケアマネジャーや福祉用具専門員に確認すれば教えてもらえます。もし対象外であっても、代替品を提案してくれる場合もあるでしょう。
また、要介護1以下(要支援1・2及び要介護1)の方でも、状況によっては例外的に介護保険が利用できるケースもあります。
あるいは区分変更の手続きをするのも一案です。介護椅子をレンタルしたい場合は、ケアマネジャーに相談してみましょう。
関連記事:介護用品はレンタルできる!品目、流れなどを解説します
関連記事:要介護認定区分変更のメリット・デメリット!介護度の見直しで適切な支援を
介護保険を利用してレンタルする流れ
介護保険を利用して介護椅子をレンタルする流れは以下のとおりです。
- 市役所や地域包括支援センターに相談し、介護保険の申請手続きを行う
- かかりつけ医に「主治医意見書」を記載してもらう
- 介護保険の認定調査を受ける
- 調査の結果が出たら、ケアマネジャーに伝える
- 福祉用具専門相談員と相談しながら、レンタルする商品を選定する/li>
初めての場合は複雑に感じるかもしれませんが、心配は不要です。わからないことは、公的な相談機関である地域包括支援センターに相談してみましょう。
関連記事:地域包括支援センターで受けられるサービスとは?事例も踏まえて解説
なお、介護保険の手続きには1か月以上かかる場合もあります。急ぎの場合は、自費でのレンタルや、サンプルの貸出を行っている福祉用具の業者に相談する方法もあります。
ヤマシタでも介護椅子のレンタルについてご相談を受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。
営業所は安心の365日体制。
お客様のご相談、ご要望にスピーディーに対応します。
メールは365日24時間受付
受付時間 9:00~18:00 (土日祝年末年始を除く)
介護椅子は購入でも介護保険が使える
前述のように、一般的な介護椅子は介護保険のレンタルの対象です。
一方、お風呂用の介護椅子は入浴補助用具として「特定福祉用具」に該当するため、介護保険の自己負担のみで購入することが可能です。
福祉用具のなかでも、肌に直接触れるなど衛生上の観点からレンタルに向かないものは、介護保険で購入できる「特定福祉用具」となります。
出典:厚生労働省「福祉用具・住宅改修」
介護保険で購入できるものについては、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:介護用品にはどういったものがある?介護保険を利用するためには
ヤマシタでも、介護保険を利用してお風呂用の介護椅子を購入できます。ご相談ください。
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介護椅子の購入にかかる費用
介護椅子の購入にかかる費用は、ついている機能の多さによって変わってきます。
手すりつきの椅子は5000円台から、立ち上がり補助機能などがつくと5万円台から購入でき、価格幅は広いです。
介護保険を利用できる場合は、自己負担の割合はその方の収入によって異なりますが、1~3割の自己負担額で購入可能です。
特定福祉用具を購入できる金額は、4月から翌3月までの1年間で上限10万円です。
特定福祉用具を介護保険で購入する場合は、利用者が全額を支払って購入し、あとで市町村へ申請して自己負担額を引いた額が戻ってくる仕組みです。
出典:厚生労働省「福祉用具・住宅改修」
レンタルと購入はどちらがおすすめ?
レンタルは毎月の負担が少なく、体調などによって商品を変更できるメリットがあります。ただし、長期的に使う場合には購入の方が安くなるケースもあります。
介護保険を使う場合は、福祉用具の種類ごとにルールがあります。利用者の意思で自由に選べるわけではないことを知っておきましょう。
具体的な介護保険の適用については、以下のとおりです。
- お風呂用の介護椅子:介護保険を利用して購入できます(特定福祉用具購入)
- その他の介護椅子:介護保険を利用してレンタルできます(福祉用具貸与)
なお、2024年の法改定でレンタル・購入を選べるようになった福祉用具もあります。今後もルールが変わる可能性はあるため、介護椅子の利用を検討する際は、ケアマネジャーに相談してみると良いでしょう。
介護椅子のおすすめ商品
以下では、介護保険を利用できる、立ち座りを手助けする機能がついた介護椅子などを紹介します。
アルコー6000型
介護保険利用時(1割負担の場合) | ¥1,392/月 |
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レンタル料 | ¥13,920/月 |
販売価格 | ¥324,500 |
電動座椅子 独立宣言 リクライニング
上下昇降に加えて、背もたれがうしろに傾斜するリクライニング機構と背もたれと座面が一緒に傾斜するチルト機構も備えている電動座椅子です。
座面の高さが160mm~575mmまで高さ調節できます。
肘掛け横のスイッチを軽く押すと、その間にゆっくりと上下し、ひざが曲がりにくい方でも立ち座りがしやすくなります。
肘掛けは、はね上げることができるので、体の向きを変えて、横からの出入りや移乗時に役立ちます。
座面の下にある安全スイッチに足などが触れると、座面が少し上昇して自動的に止まる仕組みで安心です。
介護保険利用時(1割負担の場合) | ¥1,630/月 |
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レンタル料 | ¥16,300/月 |
販売価格 | ¥382,800 |
シャワーチェア[ユクリア]ミドルSPワンタッチおりたたみN
介助レバーが背もたれ裏にあるので、かがまずに片手のワンタッチ操作で折り畳め、介助する人の腰への負担も減らせます。折り畳み式で自立し、コンパクトに収納できます。
背もたれ・肘掛けつきなので、座位が保てない方や立ち座りに介助が必要な方にも使いやすいタイプです。
肘掛けは上げ下げ可能で体を洗いやすく、背中をやわらかく包み込む背もたれは、体を洗うときの背中の動きにもあわせてしっかりとサポートします。
防かび・防汚加工でお手入れも楽にできるよう配慮されています。
介護保険利用時(1割負担の場合) | ¥3,663 |
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販売価格 | ¥36,630 |
ご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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まとめ
介護椅子は、立ち座りをサポートしてくれる便利な福祉用具です。リビング用や玄関用、お風呂場用など、使用する場所や目的に合わせてさまざまなタイプがあります。
ただし、身体にあわない介護椅子は、怪我やトラブルの原因になるため注意が必要です。
介護保険を利用できる商品もあるため、ケアマネジャーや福祉用具専門員に相談しながら、自分にぴったりの介護椅子を選び、立ち座りのストレスを軽減していきましょう。
中川恵子
介護ライター
理学療法士の免許取得後、大学病院、個人病院、老人保健施設、有料老人ホームなどに勤務し、現在は、訪問リハビリテーションに従事しながら、理学療法士の資格を持つ医療・介護・健康専門ライター・講師として活動