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介護ベッドはレンタルと購入どっちがおすすめ?
家族の介護に向けてそろそろ介護ベッドが必要になってきたけれど、「介護ベッドはレンタルと購入どちらが良いのだろう」と悩んでいませんか?
結論からお伝えしますと、多くの方は介護ベッドをレンタルする方がおすすめです。
しかし、その方の生活環境や希望などにより、レンタルの方がよい場合と購入のほうがよい場合とが異なります。
この記事では、レンタルをおすすめする理由、介護ベッドを導入するメリット、介護ベッドをレンタルする流れなどについて解説します。
介護ベッドに保険は適用されるのか
介護ベッドのレンタルや購入に介護保険を使えるのか?という疑問を抱いたことをある人もいるかと思います。
まずは介護ベッドに保険は適用されるのかについて解説します。
レンタルの場合のみ介護保険が適用される
介護保険のサービスは、40歳以上の第1号被保険者または第2号被保険者の方で要介護1〜5、要支援1〜2と認定された方が利用できるサービスです。
第1号被保険者とは、65歳以上の方で要介護認定の判定が、要支援・要介護の基準に該当した方となります。
また第2号被保険者とは、40歳以上65歳未満の医療保険加入者で要支援・要介護の状態になった原因が「主に老化が原因とされる病気(特定疾病)」である方です。
上記に該当する方が介護保険のサービスには、次のようなものがあります。
- 介護サービスの利用にかかる相談、ケアプランの作成
- 自宅で受けられる家事援助等のサービス
- 施設などに出かけて日帰りで行うサービス
- 施設などで生活(宿泊)しながら、長期間又は短期間受けられるサービス
- 訪問・通い・宿泊を組み合わせて受けられるサービス
- 福祉用具の利用にかかるサービス
※引用:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム」-「公表されている介護サービスについて」
上記の「福祉用具の利用にかかるサービス」の中には、福祉用具貸与(レンタル)と特定福祉用具販売(購入)の2つの福祉用具サービスがあります。
介護ベッドはレンタルすることも購入することもできますが、介護保険が適用となるのは福祉用具貸与(レンタル)のみです。
残念ながら購入する際は介護保険の適用とはなりません。
レンタルベッドに介護保険が適用される条件
介護保険を利用するためには、要介護認定を受ける必要があります。
要介護度は、軽いほうから順に下記の7段階に分類されます。
介護ベッドを介護保険でレンタルできるのは、原則、要介護2〜5の認定者となります。
ただし、要支援1、要支援2、要介護1の認定者であったとしても、医師の意見に基づき福祉用具の利用対象像に該当すると判断され、保険者である市区町村が特に必要と認めた場合に、介護保険でレンタルができる「例外給付」という制度もあります。
「例外給付」を利用する場合は、担当のケアマネジャーに相談のうえで、保険者である市区町村に届出する必要があります。
まずはケアマネジャーに相談しましょう。
レンタルベッドの介護保険支給額
介護保険の自己負担割合は、年金収入や所得に応じて、1割・2割・3割と異なります(ただし、40歳以上65歳未満の第2号被保険者は全員1割負担となります)。
※画像引用:厚生労働省「利用者負担割合の見直しに係る周知用リーフレット」
介護ベッドにはどんなメリットがある?
介護ベッドを使うことでどんなメリットがあるか、2つのポイントを説明します。
介護がしやすくなる
一つ目のメリットは、介護ベッドを使用すること、介護がしやすくなることです。
具体例を挙げると下記のようなことがあります。
- ベッドの高さを変えることができるため、おむつ交換の際、腰への負担が軽減される
- ベッドの背もたれが上下に可動するので、起き上がりの介助をするときに楽になる
- ベッドの背もたれを上げることで、ベッド上で食事介助をするときに楽
- オーバーテーブルなどを併用することでベッド上での食事も可能になる
また、被介護者にも下記のようなメリットがあります。
- 足の高さが高くなるため、浮腫みを軽減したり安楽な姿勢を保ったりできる
- 背もたれが上がるため、ベッドからの起き上がり動作が楽になる
- マットレスを併用することで床ずれ防止につながる
清潔さを保ちやすい
二つ目のメリットは、介護ベッドは清潔さを保ちやすいということです。
具体例を挙げると下記のようなことがあります。
- 介護ベッドの構造は通常のベッドより通気性に優れており、汗や尿などによる湿気を逃しやすい
- ベッド柵が取り外せることにより、介護者がおむつ交換やシーツを交換しやすいような構造になっている
- 介護ベッドによっては自動体位変換付きの機能が備わっているものがあるため、床ずれ防止にもつながる
介護ベッドはレンタルと購入どっちがいい?
介護ベッドはレンタルと購入のどちらがよいか、詳しく説明します。
介護ベッドをレンタルするメリット
介護ベッドをレンタルするメリットには、下記の3つが挙げられます。
■ 費用を抑えることができる
介護ベッドをレンタルする一番のメリットは、費用を抑えることができることです。
介護ベッドを購入すると数万〜数十万円の費用がかかります。
一方、介護ベッドをレンタルする場合、介護保険の自己負担割合が1割の方なら月に1,000〜2,000円程度でレンタルすることが可能です。
費用を抑えたい方はレンタルすることがおすすめです。
■ 介護対象者の状態に合わせて変更できる
介護ベッドにはさまざまな種類があり、多くの付属品も用意されています。
介護ベッドの機能、また付属品の例には下記のようなものがあります。
- 背上げ機能、高さ調整、膝上げ機能
- ベッド用手すり
- テーブル
- キャスター
- マットレス
介護ベッドも付属品も豊富な種類の中からレンタルすることができ、また介護対象者の状態に合わせて変更することもできます。
一方、購入してしまうと気軽に買い替えることは難しいでしょう。
身体機能などの変化に合わせてレンタル品を変更できる点でも、レンタルがおすすめです。
■ メンテナンスやアフターサービスを受けることができる
メンテナンスやアフターサービスを受けられるのもレンタルのメリットです。
介護ベッドをレンタルしている場合、福祉用具業者が定期的に点検を実施し、万が一使用中に不具合が生じたときにもサポートしてくれます。
また、自宅など実際に使用する環境で福祉用具専門相談員が操作方法を説明してくれるので、安心できます。
さらに、より良い用具が発売されたときにはそれを案内してくれたり、介護対象者の状態の変化に応じた機種の変更なども提案してくれたりと、きめ細かなアフターサービスを受けることが可能です。
介護ベッドを購入した方がいいケースとは?
前述のように介護ベッドはレンタルするのがおすすめですが、なかには介護ベッドを購入した方がいいケースもあります。
■ 自由に使用したい場合
レンタルするということは返却することが前提であるので、規約を守って丁寧に扱う必要があります。
傷や故障、汚れなどに気を使わずに自由に使用したいという場合は、購入するという選択肢もあるでしょう。
また好みの色に塗装したりしたい場合などは、購入するほうが向いているでしょう。
■ 介護保険を利用できない場合
介護ベッドのレンタルは、原則、要介護2より要介護度が重い介護保険の認定者が受けることができるサービスです。
よって要支援1、要支援2、要介護1の方、また介護保険非該当の方が介護ベッドを使用したい場合は、介護保険サービスを利用して介護ベッドをレンタルすることはできません。
もし介護ベッドの購入を考えるなら「ヤマシタオンラインストア」を使うのがおすすめです。
ヤマシタオンラインストアでは、介護ベッドの種類や価格などで詳細な検索ができます。
また購入するかレンタルするか迷っている場合も、購入する際の費用を調べることができるので検討材料にしやすいでしょう。
介護ベッドをレンタルする費用
介護ベッドをレンタルする場合、付属品などによっても異なりますが、年間15,000〜20,000円程度でレンタルが可能です。
介護ベッドをレンタルする費用の例を紹介します(介護保険1割負担の場合)。
価格参考:ヤマシタ、シマシタ。
【例1】
- 楽匠プラス3モーション(ベッド):1,100円
- YHオリジナルマットレス:302円
- ベッドサイドレール(長いタイプ)1本:52円
- ベッドサイトレール(短いタイプ)1本:48円
- スイングアーム介助バー1本:204円
この組み合わせの場合、月の合計費用は1,706円となります。
【例2】
- クオラON(ベッド)E:604円
- ユービーポイントマットレス 防水タイプ:202円
- ベッドサイドレール(長いタイプ)1本:52円
- ベッドサイトレール(短いタイプ)1本:48円
- スイングアーム介助バー1本:204円
この組み合わせの場合、月の合計費用は1,110円となります。
介護ベッドをレンタルする流れ
それでは、実際に介護ベッドをレンタルする際の流れを説明します。
ケアマネジャーに相談
介護保険を利用して介護ベッドやその付属品をレンタルするには、ケアプランという介護計画書にその旨を記載する必要があります。
ケアプランを作成してくれるのがケアマネジャー(介護支援専門員)です。
まずはケアマネジャーに介護ベッドが必要なことを伝えましょう。
なお、介護ベッドはケアマネジャーに相談する前にもレンタルが可能ですので、事前に希望にあったベッドをレンタルしておくのも良いでしょう。
また担当のケアマネジャーがいない場合は、お近くの地域包括支援センターに相談してください。
ヤマシタでもご相談を承っております。どうぞお気軽にお問い合わせください。
営業所は安心の365日体制。
お客様のご相談、ご要望にスピーディーに対応します。
メールは365日24時間受付
受付時間: 10:00~17:00 (土日祝年末年始を除く)
ケアプランの作成
ケアマネジャーは利用者やその家族から、現在どのような状態で介護ベッドが必要なのか?その他に必要な福祉用具はないか?必要な介護サービスはないか?などを聞き取り、相談しながらケアプランを作成していきます。
現在の困りごとを伝え、ケアプランを作成してもらってください。
レンタル会社を選び相談する
介護ベッドを借りることが決まったら、レンタル会社を選んで相談します。
ケアマネジャーが紹介してくれる会社から選ぶのもいいですが、ご自身でサイトをチェックするなどしてレンタル会社を選ぶとより選択肢が広がるのでおすすめです。
ご自身が納得する会社にお願いして、利用者の状態やどのようなシーンで介護ベッドを使いたいかなどを伝えることで、最適な車椅子を提案してもらいましょう。
レンタル開始後も定期的なモニタリングとメンテナンスがおこなわれる
介護保険を利用しての介護ベッドのレンタル使用では、レンタル会社との関係は定期的なモニタリングと必要に応じたメンテナンスをおこなってもらうことで続いていきます。
モニタリングとは、レンタルした介護ベッドが利用者の状態に合っているか?適切に使用できているか?などを確認することです。
利用中に生じた疑問なども相談することができます。
介護ベッドは購入とレンタルどっちがお得なのか
同一の介護ベッドと付属品について、購入した場合とレンタルした場合の費用を比較してみましょう。
【レンタルの場合(介護保険1割負担)】
- 楽匠プラス3モーション(ベッド):1,100円
- マットレス:302円
- ベッドサイドレール(長いタイプ)2本:104円
月々のレンタルの合計費用は、1,506円となります。
【購入の場合】
- 楽匠プラス3モーション(ベッド):228,800円
- 3点セット(マットレス・サイドレール2本):38,500円
購入した場合の合計費用は、267,300円となります。
なお、一般的には介護ベッドの耐用年数は8年程度であるといわれているため、購入の場合は8年ごとに買い替える想定とします。
[レンタルと購入にかかる費用]
期間 | レンタル(1割負担) | レンタル(2割負担) | レンタル(3割負担) | 購入 |
---|---|---|---|---|
1ヶ月 | 1,506円 | 3,012円 | 4,518円 | 267,300円 |
1年(12ヶ月) | 18,072円 | 36,144円 | 54,216円 | 267,300円 |
8年 | 144,576円 | 289,152円 | 433,728円 | 267,300円 |
16年 | 289,152円 | 578,304円 | 867,456円 | (2台目)534,600円 |
24年 | 433,728円 | 867,456円 | 1,301,184円 | (3台目)801,900円 |
介護保険が1割負担の場合は、短期的に使用するときはもちろん、長期的に使用する場合もレンタルの方が費用面はお得なことがわかります。
ただし介護保険が3割負担の場合は、長期的に使用すると購入金額よりレンタルの方が高くなる可能性もあります。
まとめ
今回の内容をまとめると下記の通りです。
- 介護ベッドは、レンタルと購入ではレンタルの方が費用面ではお得
- レンタルと購入はそれぞれにメリットやデメリットがあるが、介護ベッドは全般的にレンタルの方がおすすめ
介護ベッドのレンタルをおすすめする理由は下記の通りです。
- 介護保険1割負担の場合は、費用面でお得
- アフターサービスやメンテナンスを受けることができる
- 使いたいものを自由に選択でき、不要になったら返却できる
しかし、介護保険が3割負担の方で使用期間が長期的になることが考えられる場合は購入の方が費用面では高くなる可能性があります。
まずは信頼のおける介護用品を取り扱う会社を見極めて相談することがよいでしょう。
介護ベッドをはじめ、福祉用具は年々新商品が誕生しています。
購入とレンタルそれぞれのメリット・デメリットを正しく理解した上で、介護者、被介護者に最適な選択をしていただければと思います。
杉浦 良介
理学療法士
通所リハビリ・訪問看護・回復期病棟・訪問リハビリでの経験のある理学療法士。YouTube「訪問リハ&訪問看護&介護保険【制度マニア】」、訪問リハブログ「訪問リハビリ・訪問看護情報サイト」、訪問看護ブログ「ビジケア訪問看護経営マガジン」で介護保険制度や訪問リハ、訪問看護などの情報発信をしている。著書に『リハコネ式!訪問リハのためのルールブック【第二版】』がある。