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例外給付とは?申請方法やレンタル可能な介護用品を紹介
本記事では、例外給付の特徴や申請方法を解説します。
レンタルできる介護用品や具体的な事例も紹介するので、自分やその家族が例外給付を受け取れるか理解できます。
ぜひ最後までご覧ください。
例外給付とは?
例外給付とは、福祉用具貸与費を受け取れない軽度者(要支援1・2、要介護度1)に対して行われている支援制度です。
2006年4月の介護保険法改正により、軽度者は車椅子や介護ベッドなどのレンタルを受けられなくなりました。
しかし例外給付があることで一定の要件を満たしている場合に限り、軽度者でも福祉用具の貸与許可を受けられます。
例外給付を申請するには、確認依頼書や主治医の意見書、サービス担当者会議の記録などの書類を準備する必要があります。
なお直近の認定調査結果により、例外給付に該当した場合は申請手続きが必要ありません。
要介護度別レンタルできる介護用品
福祉用具の貸与は、利用者の要介護度に応じてレンタル可否を決定します。
以下の表では、要介護度別に受け取れる福祉用具をまとめています。
福祉用具名 | 要支援1 | 要支援2 | 要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
介護ベッドおよび付属品 | × | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
床ずれ防止用具 | × | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
体位変換器 | × | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
手すり | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
スロープ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
車いす及び付属品 | × | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
歩行器 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
歩行補助杖 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
移動用リフト | × | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
徘徊感知機器 | × | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
自動排泄処理装置 | × | × | × | × | × | ○ | ○ |
要支援1〜2までは、介護ベッドや車いすなど7種目の福祉用具を利用できません。
しかし厚生労働省が指定している「利用者等告示第31号のイ」の状態であれば、貸与される場合があります。
自身や家族が福祉用具を受け取れるか気になる方は、市区町村役場の高齢介護課や介護保険課で確認してみましょう。
例外給付申請の流れ
例外給付を受け取るには、市区町村役場へ申請する必要があります。
具体的な申請の流れは以下のとおりです。
- 要介護認定の基本調査の結果による判断
- 医師の医学的所見による判断
申請時に必要な書類もあわせて解説します。
要介護認定の基本調査の結果による判断
例外給付を受け取るには、要介護認定の申請が必要です。
要介護認定に必要な書類は以下のとおりです。
- 申請書
- 介護保険被保険者証(65歳以上の方)
- 健康保険被保険者証(64歳以下の方)
- 印鑑(本人以外が申請を行う場合)
- マイナンバーカードまたは通知書
- 顔写真付きの身分証明書
- 主治医の情報が確認できる書類(診察券など)
申請書は、市区町村の窓口またはホームページからダウンロード可能です。
申請手続きが完了したら、市区町村の職員や委託のケアマネジャーにより、基本調査が行われます。
基本調査では、以下の項目に沿って利用者の生活状況や日常動作を確認します。
- 身体機能・起居動作
- 生活機能
- 認知機能
- 精神・行動障害
- 社会生活への適応
- 特別な医療
基本調査の項目をもとに立ち上がりの可否や麻痺の有無などを確認し、要介護度が決定します。
軽度者と判断された場合でも、立ち上がりや寝返りが困難だと判断されれば例外給付を受け取れます。
医師の医学的所見による判断
厚生労働省では、例外給付を認定する際に以下の判断基準を設けています。
- 日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められる者
- 生活環境において段差の解消が必要と認められる者
参照:要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について|厚生労働省
厚生労働省の告示内容は、基本調査の項目だけでは判断できません。
そのため例外給付を受け取るには、医師の医学的所見も必要です。
日常生活や生活環境のなかで福祉用具の必要性を説明するために、医師には以下の書類を記載してもらいます。
- 主治医意見書
- 医師の診断書
- 主治医の所見を聴取した内容を記載した書類(指定様式なし)
給付費は税金や介護保険料から賄われているため、「福祉用具が必要」だけの理由では認められません。
医師に必要書類を記載してもらう際は、疾病内容や身体状況を詳細に記載してもらいましょう。
例外給付が認められた事例
ここでは、例外給付が認められた事例を2つ紹介します。
Aさん男性80歳【要介護度1】
Aさんはパーキンソン病の症状により両下肢の筋力低下が見られ、歩行が不安定でした。
室内はバリアフリーなので自立して歩行できるものの、門から先の歩道に出ると傾斜の厳しい坂道となっています。
しかし自力で歩行できるため、車いすのレンタルは対象外でした。
同居の家族である妻は膝と手首に関節痛があり、長時間の歩行介助は困難です。
ケアマネジャーは環境面で自立を妨げていると判断し、車いすを例外的に適用できるよう再アセスメントを行いました。
医師にもパーキンソン病の症状を確認してもらったうえでサービス担当者会議を開催した結果、Aさんは例外給付が認められました。
Bさん男性58歳【要支援2】
進行性胃がんが発覚したBさんには骨転移や薬剤投与の影響により、起き上がり動作が困難な状態でした。
Bさんからは同居している家族に迷惑をかけずに、自分のことは最後までできるだけしたいと希望がありました。そのため本人から、起き上がりが楽になるベッドを利用したいとの依頼がありました。
しかしBさんは要支援2だったため、介護ベッドのレンタルは対象外となっていたのです。
そこで退院前に福祉用具支援専門員とケアマネジャーが相談し、主治医を含めたカンファレンスの実施やBさんの状態確認を行いました。
その結果、例外給付が認められ、モーターベッドの導入が決定しました。
まとめ
福祉用具の貸与が受けられるかは要介護度が影響します。
軽度者(要支援1〜2・要介護度1)は、介護ベッドや車いすなどの貸与を受けられません。
しかし疾患の度合いや生活環境の状況によっては、福祉用具が必要な方もいます。
ケアマネジャーのアセスメントや医師の所見により、福祉用具が必要だと判断されれば、要支援1〜2および要介護1でも例外給付を利用できます。
福祉用具の貸与を受けたいにもかかわらず要介護度が低い方は、ケアマネジャーや福祉用具支援専門員に相談しましょう。