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体位変換はなぜ必要?流れや注意点、介助に便利な道具もご紹介
体位変換を定期的にすることは大切なことです。
しかし、体位変換が必要な理由や方法がわからないと感じている方は多いのではないでしょうか。
本記事では、体位変換の目的や体位変換をしやすくする福祉用具についてわかりやすく解説します。
体位変換とは
体位変換とは、自分の力で体の向きを変えられない方に対して、体の位置や姿勢を変える介助を指します。
たとえば、仰向けの姿勢から横向きにする、仰向けから座っている姿勢に変えるといったことが体位変換に含まれます。
体位を変えずに長時間同じ姿勢でいると、体の一部に圧力が集中します。皮膚トラブルや病気を引き起こす原因となるため、体位変換が必要なのです。
体位変換をする目的
体位変換をする目的は、次の3つです。
- 日常生活支援を行うため
- 褥瘡や廃用症候群を防ぐため
- より快適に過ごすため
以下から、それぞれの目的について解説します。
日常生活支援を行うため
生活動作では立ったり座ったりするといった、活動に適した体位があります。
しかし、自分で体を動かせない方はベッド上で寝ていることが多く、日常生活を送るのは難しいといえるでしょう。
たとえば食事の場合、座っている体位が食べることに適しており、横になった状態で食事をすると、腕をうまく動かせないため食事が食べにくいうえに、誤嚥するリスクが高まります。
このように、食事・着替え・ベッドから車椅子への移乗など、日常生活を過ごすために体位変換を行い、活動にあった姿勢にする必要があります。
褥瘡や廃用症候群を防ぐため
長時間同じ体勢を続けることで血流が悪くなり「褥瘡(床ずれ)」が起きやすくなります。
褥瘡とは、皮膚の変色やただれた状態を指し、傷口から細菌が感染しやすくなります。褥瘡が悪化すると最悪の場合、命にかかわることがあります。
体を動かさない時間が続くと、心肺機能や筋力が低下する「廃用症候群」を発症する可能性も高まります。
関連記事:床ずれを防止|原因や症状、シーン別の防止用具と使い方を解説
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より快適に過ごすため
活動に適した姿勢や体位変換は、日常生活を快適に過ごすことにつながります。
ベッドで横になる時間が長いと、体が動かせないために不快感がたまるだけでなく、見える景色が変わらないことで精神的なストレスが強くなる傾向です。
体位変換をすることで、視界や感覚に変化が生まれるためストレスが軽減し、介護を受ける方の生活の質(QOL)を高めることにつながっていきます。
体位変換をする回数
体位変換をする回数は、一般的に2時間に1回程度が望ましいといわれています。
ただし、皮膚の状態が弱く褥瘡のリスクが高い方については、2時間に1回の体位変換では間隔が長すぎるため、よりこまめな体位変換が求められます。
体位変換の回数に目安はあるものの、介助される側のニーズやマットレスなどの利用の有無、皮膚の状態などを考慮して決めると良いでしょう。
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体位の種類
体位には種類があります。以下ではそれぞれの体位を説明します。
立位(りつい)
両足で体を支え、立っている状態のことを立位(りつい)といいます。
立位は、体位の中でもっとも不安定な姿勢のため、転倒する危険性が高い体位です。
座位(ざい)
座位(ざい)とは、座っている状態のことを指します。
座位には、仰向けで上半身を少し起こしている「半座位」、上半身を起こして両足を真っすぐに伸ばして座っている「長座位」、ベッドや椅子の端に腰をかけて床に足を下ろした「端座位」、椅子に座って床に足を下ろしている「椅座位」などのバリエーションがあります。
臥位(がい)
臥位は、寝ている状態をいいます。
仰向けの姿勢で寝ている状態を「仰臥位」、体ごと横向きで寝ている姿勢を「側臥位」、うつぶせの姿勢で寝ている状態を「腹臥位」といいます。
体位変換の補助に使う福祉用具
ここでは、体位変換の際に用いる福祉用具について説明をします。
アルファプラウェルピーHC ジャンボ(体位変換クッション)
体位変換用クッションは、体の一部分にかかる圧力を分散して褥瘡を予防することや、介護を受ける方が楽に休めるように体位を調整する目的で使用します。
「アルファプラウェルピーHC ジャンボ」は、中材にウレタンチップを使用しており、体にフィットしやすい素材です。
持ち手を使うことで、少ない力で寝返りといった体位変換ができるため、介助者の負担が軽減できるでしょう。洗濯機や乾燥機が使用できるため、清潔に使える点もメリットです。
サイズ | 幅73×73cm |
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重量 | 2.4kg |
価格(税込) | ・介護保険利用時 負担額:256円/月 ・レンタル料:2,560円/月 ・販売価格:31,900円 |
トレイージースライドシート(スライドシート)
スライドシートは、介護を受ける方の体の下に敷き込み、ベッド上の移動や車椅子への移乗が楽にできる福祉用具です。
使い方は、ベッドの脇に平行にリクライニング車椅子を設置して、ベッドの高さと車椅子の高さを合わせ、介護を受ける方をベッドから車椅子に向かってスライドさせて移乗します。
車椅子に移乗した後に、リクライニングの角度を高めれば、座位の姿勢にできます。
スライドシートは、立位の移乗が難しい方や座位の姿勢が維持できない方に適しているため、滑りやすい素材を選ぶと良いでしょう。
「トレイージースライドシート」は、滑りやすいナイロン素材で、ベッド上の移動がしやすく、わずかな力で体位変換・移動できる点が特徴です。
サイズ | 幅120×長さ75cm |
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価格(税込) | ・介護保険利用時 負担額:134円/月 ・レンタル料:1,340円/月 ・販売価格:10,450円 |
セロリ Aタイプ 枕型(体位変換器)
体位変換器とは、介助を受ける方の身体の下に棒状や板状の道具を差し込むことで、少ない力でも身体を動かせるように助けてくれる道具です。
枕型の体位変換器は、枕として使用することも可能です。
「セロリ Aタイプ 枕型」は、持ち手が付いており、持ち手を引っ張るだけで体位変換できるため、力の弱い女性でも楽に体位変換ができます。背中の後ろに置いて、側臥位の姿勢を保つことも可能です。
サイズ | 幅68×長さ32×厚さ10cm |
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価格(税込) | ・介護保険利用時 負担額:150円/月 ・レンタル料:1,500円/月 ・販売価格:19,360円 |
ルーパームーブ(マットレス)
介護用のマットレスは介護を受ける方の褥瘡を予防したり、介助を受けやすくしたりするために作られています。
「ルーパームーブ」はマットレスの内部にリクライニング機能が内蔵されており、楽に仰向けから起き上がりの姿勢を介助できます。
起き上がりの際には上体と連動して脚も持ち上がるため、体が下方向に滑ることはありません。ルーパームーブは、畳や床に直接おいても使用できる点が特徴です。
サイズ | 幅97×長さ195×厚さ20cm |
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重量 | 31kg |
価格(税込) | ・介護保険利用時 負担額:534円/月 ・レンタル料:5,340円/月 ・販売価格:276,540円 |
自動寝返り支援ベッド 85cm幅レギュラー(ベッド)
介護用ベッドは、体が動きづらくなった方の動作を助けるベッドを指します。介護用ベッドのなか中には寝返りをサポートする機能を備えたタイプもあります。
「自動寝返り支援ベッド 85cm幅レギュラー」は、寝返りをサポートするタイプのベッドです。
ベッドのボトムが自動で傾斜するため、介護を受ける方の睡眠を妨げず、介助者の介護負担を軽減できます。
自動寝返り支援ベッドは、ボトムが傾斜する角度や時間、速度を細かく設定できる点が特徴です。背上げ・脚上げ・ベッドの高さの調節も可能なため、通常の介護ベッドとして使用できます。
サイズ | 幅97.2×長さ210.7×高さ75.6〜109.6cm |
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重量 | 105kg |
価格(税込) | ・介護保険利用時 負担額:1,658円/月 ・レンタル料:16,580円/月 |
ヤマシタでは、さまざまな体位変換の補助用具をご用意しております。
身体状況にあわせたものを選ぶこともできますので、お気軽にお問い合わせください。
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体位変換の流れ
ここでは実際の体位変換の流れを説明します。
仰向け(仰臥位)から横向き(側臥位)
仰向けから横向きに体位変換をする手順は、以下の通りです。
- 介護を受ける方に、胸の前で腕を組んでもらう
- 枕を手前にずらす
- 介護を受ける方に、ひざをなるべく曲げてもらう
- 片方の手で肩を、もう片方の手で腰を支える
- 腰、肩の順で向きを変える
このときに、前述の「体位変換器」を用いると介助が楽になります。
体位変換器を用いると④の項目をする必要がなくなり、⑤は少ない力で体位変換ができます。
仰向け(仰臥位)から端座位
仰向けから、ベッドの端に座る姿勢にするには、次の手順で行います。
- 片方の手を介護を受ける方の首元に差し込み、首から肩にかけて支える
- 反対の手で上からひざをかかえるように支える
- 介護を受ける方の臀部を支点にして、頭が円を描くように回し、ひざをベッドの外に降ろす
③の項目の前に体の下に「スライドシート」を用いると、お尻を適切な位置まで楽に動かせます。
さらに、介護用ベッドのリクライニング機能を用いると、仰向けの状態から起き上がることが可能です。体が起き上がったら、ひざをベッドの外に降ろし、端座位にします。
体位変換の注意点
ここでは体位変換時の注意点について説明します。
介助前に声掛けをする
注意点の1つめは「介助前に声掛けをする」ことです。
声掛けをせずに体位変換をすると、突然のことに介護を受ける方がびっくりします。
体位変換をするときは、介助される方の協力も必要となるため、積極的に声かけを行い、安心して介助してもらえるようにしましょう。
できる部分は自分でやってもらう
注意点の2つ目は、介護を受ける方ができることは「自分でやってもらう」ことです。介護を受ける方と介助者のお互いが負担なく体位変換をするためには、両者の協力が重要です。
介護を受ける方が体位変換に協力することは、介助が楽になるばかりでなく、介護を受ける方の動きを促すため、残存機能の維持や廃用症候群の予防につながります。
できる範囲で腕組みやひざ立てなど、自分でできることは自分でやってもらいましょう。
まとめ
体位変換をする目的は「褥瘡や廃用症候群を防ぐため」です。長時間同じ体位で過ごすことは、介護を受ける方の生活にとって、あまり良いことではありません。
そのため、褥瘡を予防する目的として、定期的な体位変換や介護を受ける方の活動に適した体位になることが重要です。
しかし、体位変換の回数が多いからといって、すべての方が適しているわけではありません。介護を受ける方の心身の状態に合わない体位変換は、介助者の介護負担につながる可能性が高くなります。
介護負担は、福祉用具を用いることで軽減できます。体位変換の際に負担を感じる方は、福祉用具の使用を検討してください。
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