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廃用症候群とは?原因や症状、予防方法を詳しく解説

廃用症候群とは?原因や症状、予防方法を詳しく解説
病気やケガによって長期間寝たきりの状態となってしまうと、全身の機能が一気に低下してしまう「廃用症候群」になります。
病気やケガをする前は活発に動いていた方でも、あっという間に元気がなくなり、自分で動けなくなってしまうので、廃用症候群は早めの予防と対策が重要です。
この記事では廃用症候群とはどのような状態となるのか、また予防と対策について解説しています。

廃用症候群とは

廃用症候群とは、病気やケガによって長い間ベッドで寝たきりになることによって起こる全身の障害のことをいいます。

廃用症候群は活動の低下によって起こる障害ですが、筋力の低下など運動面での障害だけではなく、内臓面の症状やうつ病・せん妄など精神症状も出現します。

廃用症候群はどの世代でも起こり得るものですが、特に高齢者や寝たきりの方は発症しやすく、一度発症すると影響も大きいため注意しましょう。

廃用症候群になると、元の状態に戻るまでには非常に時間を要します。
高齢の方がケガや病気によって安静療養が必要となった場合には、廃用症候群を起こさないように予防対策を心がけることが大切です。

廃用症候群と老衰の違い

廃用症候群と老衰では、発症のきっかけが異なる点が大きな違いです。

廃用症候群は安静が必要な状況となったことがきっかけになり、全身の機能にさまざまな影響が出ることに対し、老衰は加齢に伴う筋肉量の減少によって起こるものです。

廃用症候群は安静がきっかけとなるため、65~70代前半の比較的若く活動的な前期高齢者でも発症する可能性がありますが、老衰は加齢が原因なので、70代後半以降から発症が多くみられます。

廃用症候群の原因

廃用症候群の原因には、内的要因と外的要因の2つがあります。
内的要因、外的要因のどちらか一方だけが原因となって起こることは少なく、2つの要因が絡み合うことで起こります。

内的要因

病気やケガの症状・後遺症によって、活動が妨げられてしまうことを内的要因と呼びます。
内的要因には以下のような例があげられます。

●脳卒中による麻痺
●大ケガの痛みや手術の傷が痛むことよる活動性の低下
●心不全などによる息切れ
●内臓の病気による倦怠感
●うつ状態

病気の症状によって思うように体を動かすことができなくなり、ベッドで寝ている時間が長くなると、内的要因が原因となり廃用症候群が起こります。

外的要因

病気の治療や療養上の問題によって活動性が低下することを、外的要因と呼びます。
本人に動きたい気持ちがあっても、治療方針によって体を動かせない状況である場合、外的要因によって廃用症候群が起こります。

外的要因の例は以下のとおりです。

● 骨折のギプス固定による安静治療
● 内臓の病気による安静指示
● 介助してくれる人がいなくて動けない
● 本当は動けるのに、介護者が手伝ってしまい活動量が減少する

廃用症候群の症状

廃用症候群が全身に与える影響は大きく、運動面や精神面など、さまざまな症状が出てきます。

筋骨格系

廃用症候群の代表的な症状は、歩けない、立ち上がれないといった筋骨格系への影響です。
廃用症候群によって活動量が低下すると、筋肉量や骨密度も低下し、運動機能が著しく低下します。

体を動かさなくなることで関節が固くなり、動かしにくくなる拘縮と呼ばれる症状も出現すると、食事や洗面など日常の生活動作への影響が大きく現れます。

思うように動けないという悔しさやみじめさから、うつ病を発症することもあり、筋骨格系の症状は精神面とも深くつながっています。

循環器系

廃用症候群によって心臓などの循環器系の機能が低下すると、以下の症状が出ます。

● 息切れ
● 脱力感
● めまい、立ちくらみ(起立性低血圧)

息切れがあると体を動かすことがつらく、倦怠感や疲れやすさを感じやすくなるので、活動性はますます低下してしまいます。

また心臓の機能が低下すると全身の血液の流れも悪くなるため、全身がむくみやすくなったり、床ずれができてしまったり、心筋梗塞や脳卒中が起こるリスクも高まります。

呼吸器系

病気やケガによって寝たきりになると呼吸が浅くなり、肺の機能が低下します。
十分な呼吸ができないことによって息切れがひどくなり、疲労感も覚えやすくなるのでより一層の活動性の低下を招きます。

また呼吸機能が低下すると、咳き込んだり、むせ込む力も弱くなったりするため、誤嚥(たんやだ液、食べ物が気管に入ってしまうこと)が起こりやすくなります。
高齢者にとって誤嚥は、口腔内の細菌が気管や肺で増殖する「誤嚥性肺炎」の原因となるため、軽視してはいけません。

2019年には誤嚥性肺炎による死亡者数は4万人を超えており、高齢者の死亡の大きな原因となっているため、呼吸器機能の低下による誤嚥には注意が必要です。

誤嚥の予防策や対処法については、こちらをご覧ください。
誤嚥(ごえん)とは?予防策や対処法をわかりやすく解説

消化器系

廃用症候群による消化器への影響は以下の4点です。

● 食欲の低下
● 体重の減少
● 栄養状態の悪化
● 逆流性食道炎

活動量が低下すれば食欲もなくなるものですが、廃用症候群の食欲低下は、精神面や運動器の障害とも大きくつながっています。
自分でご飯を食べられなくなってしまったというみじめさや、座った姿勢を保持する体力的なつらさから食事への意欲を失い、食欲低下を招いているケースもあります。

満足に食事できなくなると、全身の栄養状態が悪化するため、風邪をひきやすく、誤嚥性肺炎や褥瘡の原因にもなります。無理のない姿勢で楽しい雰囲気の中で食事ができるようにしましょう。

廃用症候群になると、胃酸が食道まで逆流する逆流性食道炎が起こりやすくなります。
本来であれば、胃の入り口は筋肉の力で締まっているので、胃の中にある胃酸は食道に逆流してくることはありません。

しかし廃用症候群になると、胃の入り口の筋肉の力も低下してしまうので、逆流性食道炎が起こりやすくなってしまいます。
逆流性食道炎があると胸やけの原因にもなり、ますます食欲の低下や栄養状態への悪化につながります。
逆流性食道炎は薬での治療ができるので、胸やけの症状がある場合には、医師に相談しましょう。

泌尿器系

廃用症候群になると、血液の中のカルシウムの量が増えるため尿路結石が起こりやすくなります。
長期間寝たきりになった場合など、尿道に管を入れる尿道留置カテーテルが挿入されることがありますが、留置カテーテルの挿入は、さらに尿路結石のリスクを高めます。

全身の栄養状態に伴い、免疫が低下することによって、尿路感染症も起きやすくなり、発熱の原因となります。

尿路結石も尿路感染症も排尿時に痛みや血尿を伴うものなので、日頃から痛みの訴えがないか、尿の色が変化していないかを確認しておきましょう。

尿路結石や尿路感染症の予防には水分の摂取が効果的です。
高齢者はのどが乾いたという感覚にも鈍感になっていますので、定期的に水分の摂取を促し、手が届く位置に水分を置いておくと良いでしょう。

精神神経系

家族以外とのつながりが途絶えてしまうことや、今まで当たり前にできていたことができなくなってしまうみじめさから、うつ病を発症することもあります。

外とのつながりが途絶えて刺激が少ない生活となってしまうので、昼夜逆転による睡眠障害や、せん妄(妄想や幻覚を見て興奮する状態)も起こりやすくなります。

テレビやラジオ、車いすなどでのお散歩など、外からの刺激を増やして、うつ病やせん妄を予防しましょう。

廃用症候群の予防方法

廃用症候群の予防方法
廃用症候群は悪化するスピードが早く、一度かかると回復まで非常に時間がかかります。そのため予防が何より大切です。

廃用症候群の予防には以下の2点に取り組みましょう。

● できる範囲で運動する
● 周りの方が干渉しすぎない

できる範囲で運動する

1週間寝たきりになるだけで、筋力は20%も低下します。
筋力が低下すると体を動かそうとする意欲が減るため、ますます筋力が低下するという悪循環に陥ります。

ケガや病気によって寝たきりになってしまったら、できる範囲での運動を行いましょう。
足指のグーチョキパー運動や、膝の曲げ伸ばしなど、ベッドの上でも行える運動はたくさんあります。
足が動かないなら手を動かすことや、ベッドで座った姿勢でいることも良い運動のひとつです。

関節をうまく動かせないようなら、かんたんなマッサージもおすすめです。
マッサージはとても気持ち良く、安心感もあるため、動けなくなってしまったというショックを和らげるメンタルケアにもなります。

周りの方が干渉しすぎない

体を上手に動かせなくなってしまうことから、介護者はついつい手を出してしまいたくなりがちです。
しかし自分でできることは自分で行うように促し、積極的に体を動かす機会を設けましょう。

食事もすべて介助するのではなく、介護用の食器を使って自分で食べられるようにサポートをしましょう。
スプーンやフォークは、曲げれるユニバーサルスプーンが便利です。
持ち手の部分がスポンジで、自由に折り曲げできます。そのため使いやすいように角度の調整が可能です。
また、軽量ですので、握力が弱い方でも使いやすい商品です。

曲げれるユニバーサルスプーン スポンジ付き

ニバーサルスプーン

食器には取っ手付き、滑り止め付きの食器がおすすめです。
介護専用の食器は、取っ手部分が大きく、手の自由が利きにくくてもしっかりと食器を持つことができます。
介護専門の食器を使用することで、体を動かす良い機会となり、また「自分でご飯を食べられる」という喜びにもつながります。
ぜひ、介護用の食器を用意しましょう。

取っ手付き汁椀

取っ手付き汁椀

また、安易におむつにするのではなく、ポータブルトイレを設置するなど、自分で動ける環境作りが大切です。

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廃用症候群への対応

廃用症候群は、症状の進行が早く、回復には時間がかかるのが特徴です。そのため早い段階からの予防対策が重要となります。

しかし高齢者は廃用症候群のリスクが高く、どれだけ気を付けていても症状が出始めてしまうものです。
廃用症候群は予防のほか、早期発見と対応も大切です。廃用症候群の対応について説明します。

リハビリ

廃用症候群の対応の一つとして、リハビリを提供している病院や介護サービスを利用し、理学療法士によるリハビリを受けましょう。
廃用症候群に特化したリハビリを受けられるので、効果的な体の機能回復を促します。

しかし、中にはリハビリに前向きに取り組むことができない人もいます。
関節の拘縮があれば、体を動かす際に痛みがあるため、リハビリはとてもつらい時間です。
リハビリは体を動かせないという現実を突き付けられる時間でもあるため、積極的になれないことも、決して珍しいことではありません。

介護者は、リハビリに積極的に取り組めないことを責めるのではなく、「前のように動けるようになろう」「きのうよりも上手に動かせるようになってきたよね」と前向きに励ます姿勢を持つことが大切です。

リハビリを受ける人・見守る家族、双方にとってつらい場面もありますが、一緒に頑張ろうという気持ちで、焦らずに前向きに取り組む環境を作りましょう。

投薬治療

廃用症候群には薬を用いた治療も効果的です。
リハビリや家族のケアだけでは対処しきれないような症状には、薬で治療をするのも良いでしょう。

しかし投薬治療をする際には医療機関を受診し、医師に診察してもらうようにしましょう。
自己判断せず、医師の指示を受けることが大切です。

まとめ

廃用症候群は病気やケガによって長期間寝たきりになることで起こります。全身にさまざまな症状が現れ、進行が早く、回復まで時間がかかるのが特徴です。
廃用症候群は予防対策が重要となるので、自分でできることは自分で行えるように環境を整えましょう。

もし廃用症候群になってしまった際には早めに医師に相談し、専門のリハビリや投薬治療を受けることが大切です。

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記事ライター
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ライター

川口晴美

看護師・助産師

助産師、看護師として総合病院にて産婦人科や消化器内科、内視鏡室で勤務。 退職後は開業助産師として地域での子育て支援を中心に活動。WEBライターとしても活動し、医療や子育てに関する記事を多く手掛けている。

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