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寝返りの介助方法を解説!注意点やおすすめの介護ベッドまで
寝返りをしないことで介護者の身体にはさまざまな影響が起こりますが、寝返りの介助は介助者にとっても負担になってしまう動作です。今回は寝返りを介助することの理由について説明するとともに介助のコツ・注意点について説明します。
寝返りはなぜ重要?
寝返りは睡眠中に誰もが行っている動作です。睡眠中に寝返りを行うことで、体の一部に体重圧がかかることを防ぐ・体液の循環を促すことができます。以下では、寝返りを打たないことで起きる弊害について説明をします。
寝返りを打たないことで起きる弊害
寝返りは睡眠中に誰もが行っている動作であることは前述しましたが、病気や障害によって自力で寝返りができないようになると「床ずれ(褥瘡とも言う)」を発症するリスクが高まります。
床ずれは初期では皮膚の表面に赤みや水ぶくれが起こりますが、症状が進行すると皮膚組織が壊死してしまい筋肉や骨が見えるようになり、傷口から細菌が血液中に入り感染の原因となります。感染によって高熱や意識障害、最悪の場合死にいたる危険もあります。そのため床ずれを予防することは大切です。
床ずれが発症しやすい体の部位は、頭の後ろ・背中・踵など「体から骨が容易に触れることができて床面と接する部位」となっています。
床ずれの予防方法
以下では、床ずれを予防するための方法を紹介します。
長時間の同一部位への圧迫の防止
床ずれができる原因の多くは長時間の同一部位への圧迫です。同一部位の圧迫により血流の流れが悪くなり皮膚周辺の組織が壊死して床ずれができてしまいます。
床ずれを予防するためには「長時間の同一部位への圧迫の防止」が大切です。
個人差がありますが、1~2時間ごとに対象者の姿勢を整えてあげると良いでしょう。
栄養不足を防止する
意外かもしれませんが、床ずれには栄養不足もかかわってきます。
食べる量が少なくなると、脂肪や筋肉が少なくなり骨が皮膚から触りやすくなります。このような状態になると骨が出ている部位がより強く圧迫がされるため床ずれを発症するリスクが高まります。
また発症した床ずれを修復するためにも、食事から取り入れた栄養素を体内で利用します。日頃から十分な栄養を摂ることは床ずれの予防だけではなく、万が一発症してしまった場合の修復をより早くするということにつながるのです。
寝返りの介助方法
寝返りができないことで床ずれの発症につながるリスクが高まります。そのため、適宜寝返りを介助して体位変換をすることが大切です。
以下では寝返りの介助方法について説明します。
全介助を受ける方の場合
全介助を受ける方の場合はご自身で体を動かすことができないため、介助者がすべての動作で介助をする必要があります。
全介助を受ける方への介助方法
- 寝返りをしたい方向に介助者が立つ
- 体を小さくまとめる両手を胸に組んでもらうように誘導し、膝を立てるなど体を小さくまとめてもらう
- 体の下に手を入れて手前に倒すようにし、首の下・膝を立ててもらった場合はお尻に手を入れて手前に倒すように介助する
一部介助を受ける方の場合
一部介助を受ける方の場合は、ご自身で体を一部動かすことができるため、介助者がすべての動作で介助をする必要がありません。むしろ協力動作を積極的に促しましょう。
一部介助を受ける方への介助方法
- 寝返りをしたい方向に介助者が立つ
- 両手を胸に組んでもらい、膝を立てもらうなどして体を小さくまとめてもらう。
※このとき、体を動かせる場合は動かしてもらえるように依頼をする - 体の下に手を入れて手前に倒すようにし、首の下・膝を立ててもらった場合はお尻に手を入れて手前に倒すように介助する。
※このとき、手前に倒す場合に寝返りをする方向に動いてもらうように依頼をする
寝返り介助のコツ
寝返りを介助する際のコツは「支持基底面」を狭くすることです。
支持基底面とは、物体を支えている面のことをいいます。
仰向けになっている方を想像してください。仰向けは体全体がベッドに面として着いているため最も安定した姿勢になっています。安定した体を動かすためにはより多くの力が必要になります。つまり、支持基底面が広い場合は、介助によって体位を動かすことが大変になるのです。
一方で、胸で手を組む・膝を立ててもらうと、仰向けよりも支持基底面が狭くなるため、不安定な姿勢になります。不安定な体を動かす際には力はあまり必要ありませんので、介助が楽に行えるのです。
寝返り介助の注意点
寝返りの介助について説明をしましたが、実際に寝返りを介助する際の注意点がいくつかあります。
ここでは寝返りを介助する際の注意点について説明します。
事前に声掛けをする
1つ目は「事前に声掛け」をしましょう。
声掛けをせずに寝返りを介助すると、介護を受ける方が驚いてしまい、寝返りに対して協力してもらえないことがあります。
このような状況になると介助の際に余分な力が必要になるため介助量が増加してしまいます。
介護を受ける方が驚かないためにも、必ず事前に声掛けをしましょう。
自分でできることはなるべく自分でしてもらう
2つ目は「自分でできることはなるべく自分でしてもらう」ことです。
動かす能力があるのにもかかわらず、介助者が対象者の動きを介助してしまうと、筋力などが低下し動かせなくなってしまう可能性があります。
一部分でも構わないので、体を動かしてもらうことは対象者のできる能力を維持するためにも大変重要なことです。
ついつい時間がかかるからといって介助をしてしまいがちですが、対象者の動ける体を維持するためにも自分でできることは自分でしてもらいましょう。
数時間に1回を目安に介助する
3つ目は「数時間に1回を目安に介助」をしましょう。
同じ姿勢で長時間過ごしていると床ずれを発症するリスクが高まります。床ずれは最悪の場合、感染症を引き起こし、命を落としかねません。そのため、床ずれを防止することは非常に重要ですので、数時間に1回は介助をして寝返りをするようにしましょう。
寝返り介助の負担を軽くする工夫
寝返りの重要性について説明をしてきましたが、実際に寝返りの介助をしてみると頻回な介助は介助者にとって負担が大きいものです。
以下では、介助者の負担を少なくする工夫について説明をします。
夜間対応型訪問介護を利用する
夜間対応型訪問介護は、夜間に利用者からの要請により自宅に訪問し、入浴や排泄などの介護の提供を行うことができるサービスです。
大きく分けて「定期巡回サービス」と「随時対応サービス」があります。
夜間対応型の介護を利用するメリットとして、日中のみの介護だけではなく、夜間も介護サービスを受けられる点にあります。終日、介護をしていると心身ともに負担が大きく疲労が強くなってしまうため、日中だけではなく夜間にも介護をしていただけると負担軽減につながります。
■夜間対応型訪問看護の費用(筆者調べ)サービス | 費用(1割負担) |
---|---|
基本夜間対応型訪問介護 | 1月につき1,009円 |
定期巡回サービス | 1回につき378円 |
随時対応サービス | 1名による訪問の場合:1回につき576円 複数名による訪問の場合:1回につき775円 |
出典:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」
体位変換を支援する介護ベッドやエアマットを利用する
体位変換支援介護ベッドとは、ベッドが傾き自動で体の向きを左右に変えることができるベッドになります。
エアマットは空気が入っているマットレスになります。体にかかる圧力を分散させ床ずれを予防できます。
寝返りを介助で行う場合には、膝を立てたりするため睡眠を妨げてしまう可能性がありますが、体位変換支援ベッドはベッド自体が傾くため対象者の睡眠を妨げることが少なくなります。そのため両者の活用は対象者の睡眠を妨げることが少なくなります。
また自動で体位を変換してくれるため介助負担も軽減することができます。
体位変換を支援するベッドはレンタルも可能です。
購入やレンタルをご検討の方は、ヤマシタへお気軽にお問い合わせください。
営業所は安心の365日体制。
お客様のご相談、ご要望にスピーディーに対応します。
メールは365日24時間受付
受付時間 9:00~18:00 (土日祝年末年始を除く)
体圧分散の高いマットレスを利用する
体圧分散の高いマットレスを使うことで、圧がかかる部位を分散することができるため床ずれを予防でき、寝返りを介助する回数を少なくできます。
通常のマットレスでは体圧が分散しにくいため床ずれ発症のリスクが高まりますが、体圧分散マットレスであれば通常のマットレスよりも長時間、床ずれを予防することができます。
寝返り介助を助けるおすすめ商品3選
ここでは、寝返り介助を助ける商品について紹介します。
自動寝返り支援ベッド 85cm幅レギュラー
体を動かすことが困難な方の寝返りを支援する目的のベッドです。
自動で寝返りを実施するため、介助する家族の介護負担を軽減できます。
最大の特徴は、ベッドの傾き角度や傾いた状態でいる時間、速度などを細かく設定できる点です。そのほかにも、背上げ・脚上げ・ベッドの高さ調節が可能となっています。
スモールチェンジ ラグーナ
体位変換を自動でサポートしてくれるエアーマットレスです。
特徴として、体を支える独立したエアセルが膨張収縮を繰り返し体の保持する面を変更してくれます。
例えば、右の肩周囲・左の骨盤をエアセルが持ち上げる・左の肩周囲・右の骨盤をエアセルが持ち上げるといったように体の部分ごとに体圧分散を行うことが可能です。
ストレッチグライドマットレス 通気タイプ 91cm幅レギュラー
ウレタンフォームとカッティングの組み合わせによって、優れた体圧分散性があるマットレスです。
上体と脚側にあるウレタンフォームに、滑りのよいグライドシート加工を施しているため、背上げをした際に、体のズレを軽減させ床ずれの予防につながります。
ヤマシタでは身体状況に合わせた商品などのご相談が可能です。
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まとめ
寝返りをしないことで、体の同一部位への圧迫が続き、床ずれが発症するリスクが高まります。床ずれは最悪の場合、命にかかわることがあるため予防をするためにも寝返りを介助することが重要です。
しかし、頻回な介助は介助者の負担となるため寝返り介助をサポートしてくれる道具を用いることで、介助の負担を軽減することができます。上手に道具を使用して、介助負担を軽減しましょう。
寝返り介助など、介護のことでお困りの方は、ヤマシタへお気軽にお問い合わせください。
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酒井康輔
作業療法士
正しい健康の知識を届けたい。そんな想いから医療系Webライターとして活動を開始。作業療法士として臨床業務で学んだ「正しい情報を患者さまにわかりやすく伝える」ことの経験を通じて、記事を読んだ方が、介護福祉分野・医療分野に関する情報を正しく理解し、あすからの行動が変わる後押しができるような記事執筆をしている。 ご家族向けに医療情報をブログでも発信している。「Webライターkousukeのwriter office」
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