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介護認定調査とは?調査項目や流れ、当日の注意点を分かりやすく解説
介護認定調査は、要介護度の判定に影響を与える重要な調査です。
介護認定調査について「どのようなことを聞かれるのか?」「どのような人が調査に来るのか?」と疑問に思う人もいるでしょう。
そこで本記事では、介護認定調査の調査項目や要介護認定までの流れ、調査の当日に注意するポイントなどを紹介します。介護認定調査について理解することで、安心して調査を受けられるようになります。これから介護サービスの利用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
介護認定調査の概要と流れ
介護認定調査とは、要介護認定の申請後に行われる「聞き取り調査」のことです。
介護認定調査は次のような流れで行われます。
- 要介護認定の申請
- 訪問日時の連絡
- 介護認定調査員の訪問
要介護認定を申請すると、しばらくして介護認定調査の訪問日時について連絡があります。
調査日当日は市区町村から派遣された調査員が調査対象者のもとに訪問します。
本人や家族と面接しながら聞き取り調査が行われ、1時間ほどで終了するでしょう。
要介護認定について詳しくは以下の記事をご参照ください。
要介護認定とは?8段階の認定基準や認定までの流れを解説
介護認定調査の内容
介護認定調査では「基本調査」と「概況調査」の2つの調査が行われます。
基本調査は6つの項目(「特別な医療」を含む)に基づいて調査対象者の心身の状態を詳しく確認していき、概況調査では利用中のサービスの状況や家族状況、自宅の状況などの確認をしていきます。
以下で詳しく見ていきましょう。
1.身体機能・起居動作
高齢者が生活していく上で必要とされる基本的な生活動作について確認します。
危険がない場合には、歩いたり足を上げたりするなど実際の動作確認も行われます。
-
(調査項目)
- 麻痺の有無
- 関節が動く範囲
- 寝返り、起き上がりができるか
- 座った姿勢が保てるか
- 両足で立っていることができるか
- 歩行できるか
- 椅子などから立ち上がれるか
- 片足で立っていることができるか
- (お風呂で)全身が洗えるか
- つめ切りができるか
- 視力、聴力
2.生活機能
日常生活で行う動作や、外出頻度などの生活活動について確認します。
-
(調査項目)
- 乗り移りの動作ができるか(ベッドから車椅子へ、車椅子から便座へなど)
- 食べ物を飲み込むことができるか
- 食事を摂ることができるか
- 排尿・排便ができるか
- 歯磨きができるか
- 洗顔ができるか
- 整髪ができるか
- 衣類の着脱ができるか
- 外出頻度
3.認知機能
意思の伝達や短期記憶、場所の理解などの認知機能について確認します。
-
(調査項目)
- 意思の伝達ができるか
- 毎日の日課を理解しているか
- 生年月日や年齢が答えられるか
- 面接調査の直前に何をしていたか思い出せるか(短期記憶)
- 自分の名前が答えられるか
- 今の季節を理解しているか
- 自分がいる場所を答えられるか
- 目的もなく動き回るか(徘徊)
- 外出して戻れないことがあるか
4.精神・行動障害
精神症状や普段の行動について確認します。
-
(調査項目)
- 「物盗られ妄想」など被害的な行動があるか
- 事実とは異なる話をすることがあるか
- 感情の不安定さがあるか
- しつこく同じ話をすることがあるか
- 大声を出すことがあるか
- 介護に抵抗することがあるか
- 「家に帰る」など落ち着きがない行動があるか
- 一人で外に出たがり目が離せないことがあるか
- いろいろなものを集めたり、無断で持ってくることがあるか
- 物や衣類を壊すことがあるか
- ひどい物忘れがあるか
- 独り言や独り笑いをするか
- 自分勝手な行動をすることがあるか
- 話がまとまらず、会話にならないことがあるか
5.社会生活への適応
社会生活への適応について確認します。
- (調査項目)
- 薬の内服ができるか
- 金銭管理ができるか
- 日常で意思決定ができるか
- 集団への不適応があるか
- 買い物ができるか
- 簡単な調理ができるか
6.特別な医療
過去14日間に受けた特別な医療の有無を確認します。
この項目でいう「特別な医療」とは医師、または医師の指示に基づいて看護師などが行う医療行為に限定されます。
また、継続して実施されている特別な医療のみが対象です。そのため、調査日に処置が終了して完治している場合は、過去14日間に処置をしていても、継続して行われていないため該当しません。
「特別な医療」には、次の12項目が定められています。
- 点滴の管理
- 中心静脈栄養
- 透析
- ストーマ(人工肛門)の処置
- 酸素療法
- レスピレーター(人工呼吸器)
- 気管切開の処置
- 疼痛の看護
- 経管栄養
- モニター測定(血圧、心拍、酸素飽和等)
- 褥瘡(じょくそう)の処置
- カテーテル(コンドームカテーテル、留置カテーテル、ウロストーマ等)
概況調査
利用中のサービスの状況や家族状況、自宅の状況などを確認します。
利用中のサービス状況については、調査時に介護サービスを利用している人のみに対する質問です。
利用中の介護サービスの種類は、ケアマネジャーが作成した「介護サービス計画書(ケアプラン)」に記載してありますので、準備しておくと答えやすいでしょう。
介護認定調査当日の注意点
介護認定調査で調査員の質問に答えるだけでは適正な認定結果が得られません。
介護認定調査を受ける当日の受け答え方次第で判定が大きく変わってしまうこともあるのです。
介護認定調査の当日に注意するポイントは次の3つです。
- 現状を正しく伝える
- 家族も立ち会う
- 心配なことを伝える
以下で詳しく確認していきましょう。
現状を正しく伝える
調査員からの質問に対して誇張して伝えたりや控えめに答えたりてしまうと、正確な認定結果につながらないことがあります。場合に寄っては現状にそぐわない認定結果となってしまうかもしれません。
介護保険は介護度によって保険で利用できるサービスの上限が決められています。
そのため、適切な要介護認定を受けられなかった場合には、介護保険の範囲内で希望する介護サービスが利用できないなど、十分なサービスを受けられない可能性が出てきます。
また、わずか1時間という介護認定調査の時間内で調査員に正しく状況を伝えるためには、日頃の具体的なエピソードや言動などの生活状況をメモに残しておくと良いでしょう。
当日質問されてもメモを見ながら正確に答えられます。
家族も立ち会う
当日は本人のことをよく知る家族が必ず立ち会いましょう。
本人だけで介護認定調査を受けると、現状よりも低く認定されてしまう可能性があります。
例えば、高齢者はできるだけしっかりしているところを見せたくて、普段できないことを「できる」と答えてしまうことがよくあります。
認知症の方では正確な状況を伝えられない場合もあるでしょう。
正しい情報を伝えるためにも、認定調査には必ず家族が立ち会うようにしましょう。
心配なことを伝える
適切な要介護認定を受けるためにも心配なことや困っていること、介護をしていて大変なこと
があれば調査員へ伝えるようにしましょう。
そのなかで重要なエピソードは調査員が「特記事項」として調査票に記入します。
この「特記事項」も要介護度を判定する上で重要です。
どのような場面で困ったことがあるのかなど、日常の様子を普段からメモに残しておくと介護認定調査のときに役に立ちます。
介護認定調査員はどんな人?
介護認定調査員の仕事は、本人やその家族から要介護認定の判定に必要な情報の聞き取り調査を行い、その内容を調査票にまとめることです。
介護認定調査員が作成する調査票の内容は調査対象者の要介護度の決定に大きく影響するため、非常に重要な役割を担っています。
介護認定調査を実施するのは、原則的に市区町村の職員です。
しかし、地域によっては職員だけで対応しきれないため、市区町村から委託を受けた指定市町村事務受託法人に所属する介護支援専門員や、保健、医療、福祉に関する専門的な資格を持つ調査員が訪問することもあります。
介護認定調査は介護支援専門員のほか、次に挙げる条件を満たす調査員によって行われます。
- 必要資格を有し介護実務に5年以上従事もしくは過去、認定調査に1年以上従事している
(必要資格:医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、歯科衛生士、栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、視能訓練士、義肢装具士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師) - 都道府県らが実施する認定調査員研修、委託元市町村が実施する研修を修了している
介護認定調査後の流れ
介護認定調査を受けた後から介護サービスの利用開始までの流れを解説します。
介護認定調査後の流れは次のとおりです。
- 審査・判定
- 認定
- 介護(介護予防)サービス計画書の作成
- 介護サービスの利用開始
以下で詳しく解説します。
審査・判定
介護認定調査で聞き取られた調査内容は、主治医の意見書とともにコンピューターにかけられ判定がなされます。(一次判定)
次に「介護認定審査会」によって一次判定内容について必要なチェックや修正が行われ、要介護度を決定します。(二次判定)
認定
市区町村は介護認定審査会の判定結果をもとに要介護認定をします。その後、申請者に結果を通知します。
一般的に、申請日から30日以内に認定結果通知書と認定結果が記載された被保険者証が申請者へ郵送されるでしょう。
介護サービス計画書の作成
介護サービスを利用する場合は、介護サービス計画書(ケアプラン)の作成が必要です。
ケアプランを作成する担当窓口は、認定結果によって異なり、要支援1~2の人は「地域包括支援センター」が受け持ちます。
一方、要介護1以上の人は居宅介護支援事業者のケアマネジャーが担当となります。
介護サービスの利用開始
ケアプランが作成されると、介護サービスの利用が始まります。
介護サービスにはさまざまな種類がありますが、主に、自宅でサービスを受ける「在宅サービス」、介護施設へ入居してサービスを受ける「施設サービス」、「介護環境を整えるサービス」の3つに分けられます。
そのなかでも、住環境の整備には福祉用具の利用がおすすめです。
手すりやスロープなど、合計13品目が介護保険を利用してレンタルできます。
福祉用具のレンタルについて、詳しくは以下の記事もご参照ください。
介護用品はレンタルできる!品目、流れなどを解説します
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認定の有効期間
認定には有効期間が決められています。
新規申請の場合は原則として6カ月です。ただし、申請者の状態により3~12カ月の範囲内で設定される場合もあります。
また、要介護認定の有効期間が満了した後も介護サービスを継続利用したい場合は、要介護認定の更新が可能です。
更新認定の申請は、有効期間の満了日の60日前から行えます。
一般的に市区町村から更新申請の通知が届きますので、通知書の内容に沿って手続きしましょう。
認定結果に納得できないとき
認定結果が実際の状態に比べて軽すぎるなど疑問に思う場合は、まずは市区町村の担当窓口に相談してみましょう。
再調査が必要となれば、もう一度、介護認定調査が行われたり、介護認定審査会で審査が行われたりします。
しかし、それでも納得できない場合は都道府県に設けられた「介護保険審査会」に審査請求(不服申し立て)をすることが可能です。
介護保険審査会が認めれば再調査などが行われます。
しかし、この手続きは時間がかなりかかるため、できるだけ早く介護サービスを利用したいと考えている人には現実的ではありません。
認定結果を変更したい場合には「区分変更」の申請を行う方がスムーズでしょう。
まとめ
介護認定調査は、要介護度の判定に大きな影響を与えることになります。
適切な要介護認定を受けるには、現状を正しく伝えることや家族が立ち会うことなど気をつけるべき注意点があります。本記事を参考に介護認定調査についてしっかり理解し、安心して調査を受けられるようにしておきましょう。
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中谷 実歩
フリーライター
福祉系短大を卒業後、介護職員・相談員・ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在はフリーライターとして、介護業界での経験を生かし、介護に関わる記事を多く執筆する。 保有資格:介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士・保育士・福祉住環境コーディネーター3級
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