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デイサービスとは?利用するメリットやサービスの料金・種類を解説
デイサービスとは、要介護状態の方が可能な限り自宅で自立した生活を送れるよう、施設に通ってさまざまな支援を受けられるサービスです。
この記事では、デイサービスの料金や種類、利用までの流れなどを解説します。
デイサービスとは
デイサービス(通所介護)は、介護保険サービスの1つで、在宅で生活する高齢者が日中に利用できます。
厚生労働省では、デイサービスの定義を次のように定めています。
通所介護とは、利用者(要介護者)を老人デイサービスセンター等に通わせ、当該施設において、入浴・排せつ・食事等の介護、生活等に関する相談及び助言・健康状態の確認その他日常生活上の世話、機能訓練を行うものをいう。
引用:厚生労働省「通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護」
つまり、デイサービスを利用すれば、食事や入浴などの日中に必要なケアだけでなく、健康管理や機能訓練を受けることも可能です。
施設ごとにさまざまな特色があるため、個々に合うデイサービスを利用すると良いでしょう。
例えば、以下のような特徴をもつデイサービスがあります。
- 短時間利用型:2~3時間から半日のみ利用できる
- リハビリ特化型:リハビリが充実している
- レクリエーション型:趣味活動やレクリエーションが充実している
- 365日対応型:土日祝も営業している
デイサービスは、介護保険の区分認定が要支援・要介護のどちらでも利用が可能です。
住み慣れた自宅でできる限り生活を続けるためにも利用を検討してみましょう。
デイケアとの違い
デイケアとデイサービスは、どちらも介護が必要な人が日中に利用する介護サービスです。両者ともに食事やお風呂、リハビリを提供しています。
しかし、職員の配置基準やリハビリの実施方法は異なり、一般的にはデイケアの方が、リハビリが充実していると言えます。
それぞれの異なる点について表にまとめたのでご覧ください。
デイサービス | デイケア | |
---|---|---|
正式名称 | 通所介護 | 通所リハビリテーション |
おもな運営主体 | ・民間企業 ・社会福祉法人 |
・診療所 ・医療法人 |
医師の配置 | 配置義務はない | 専任の常勤医師1名以上 |
リハビリの有無 | リハビリがある施設とない施設がある | 有 |
施設でのリハビリ提供 | 「機能訓練」として歩行訓練や体操、脳トレなどを提供する | 医師の指示のもと、国家資格(※)を持つスタッフが専門的なリハビリを実施する ※リハビリの国家資格: 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 |
目的 | ・利用者の社会的孤立感の解消 ・心身の機能の維持、 ・利用者家族の身体的及び精神的負担の軽減 |
利用者の心身機能の維持回復 |
出典:厚生労働省「通所リハビリテーション」
通いの介護サービスを検討する場合、リハビリを重視するのであればデイケアがおすすめです。
デイケアでは、医師の指示のもと、個々の状態に合わせた専門的なリハビリが受けられるからです。
例えば、脳卒中や骨折などにより入院した人は、退院後にデイケアを利用し、集中的にリハビリを受けることで、失われた機能の回復が期待できます。
また、日常生活での動作のコツや、杖や歩行器など使い方についても、専門的なアドバイスをもらえるでしょう。
ただし、最近はデイサービスでも充実したリハビリを受けられる場合があります。
また、通所系サービスを利用するメリットはリハビリだけではありません。迷う場合は、担当のケアマネジャーに相談してみてください。
関連記事:「デイケア(通所リハビリテーション)とは?特徴やデイサービスとの違いを解説」
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デイサービスの種類と提供サービス内容
デイサービスでは以下のようなサービスを提供しています。
- 食事の提供:糖尿病や高血圧の人に適した療養食の提供も行う
- 身体介護:介護職員が常駐しており、排泄や入浴のケアが受けられる
- 機能訓練:体力の維持向上を目的にリハビリがある
- レクリエーション:利用者が楽しめるようなイベントがある
- 健康チェック:看護師による体調管理や簡単なケアが受けられる
- 送迎サービス:自宅まで送迎を行う
デイサービスには看護・介護職員が常駐しており、日中に必要なさまざまなサポートを受けることができます。
また、デイサービスの種類は制度上、以下のように分類されます。
- 一般型
- 認知症対応型通所介護
- 療養通所介護
一般型
ほとんどのデイサービスは一般型に該当します。デイサービスでもっともスタンダードなタイプで、食事、入浴、機能訓練、レクリエーションなど、日常生活の支援が受けられます。
一般型は、施設の定員数や利用者数の合計により、さらに以下の4つに分類されます。
ⅰ)地域密着型・・・利用定員18名以下
ⅱ)通常規模型・・・延べ利用者数が月300超~750人以下
ⅲ)大規模型(Ⅰ)・・・延べ利用者数が月751〜900人以内
ⅳ)大規模型(Ⅱ)・・・延べ利用者数が月901人以上
利用定員数が18名以下の場合は地域密着型に分類され、そのデイサービスがある市町村の住民のみ利用できます。
なお、デイサービスのほかにも地域密着型のサービスがあります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
関連記事:地域密着型サービスの対象者や種類|費用負担などの疑問解決も
通常規模型、大規模型には居住地による利用制限はありません。
そのため、利用を検討する際にそこまで気にする必要はありませんが、原則、利用者数が増えるとデイサービスの利用料金が下がるシステムになっています。
認知症対応型通所介護
認知症対応型通所介護は、認知症(急性を除く)の高齢者の方に対応しているデイサービスです。
認知症対応型通所介護の特徴は次の通りです。
- 利用定員は12名以下
- 管理者は、厚生労働大臣が定める研修を修了している者
- 認知症の診断を受けている人が対象
小規模で家庭的な雰囲気の中で、専門知識をもつスタッフがサポートしてくれるため、認知症のある人も安心して過ごせます。
適切なサポートを受けることで、認知症の進行を遅らせる効果が期待できます。
療養通所介護
療養通所介護は、難病やがん末期の方など、医療ケアが必要な方を対象にしているサービスです。
療養通所介護には、次のような特徴があります。
- 看護師が常駐している
- 利用定員は18名以下
- 療養通所介護が所在する市町村の住民のみ利用可能
療養通所介護は看護師が手厚く配置されており、病状が不安定な人も安心して利用できます。
ただし、事業所の数は全国で100以下であり、実際に利用できる人は限られているのが現状です。
医療的ケアが負担になっている場合は、看護小規模多機能や介護医療院など、他の介護サービスを検討すると良いでしょう。
デイサービスを利用するメリット
デイサービスを利用する主なメリットは以下の3つです。
- 健康状態の維持・改善
- 家族の介護負担減少
- メンタル維持に効果的
それぞれについて解説をします。
健康状態の維持・改善
デイサービスでは、リハビリや体操、手作業、レクリエーションなどさまざまな取り組みは、健康状態の維持や改善に効果的です。
デイサービスでは、機能訓練指導員(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師など)の指導のもと、身体を動かす機会を多く提供しています。
個別リハビリや集団体操、手作業、レクリエーションなどさまざまな取り組みがあり、家にいるよりも運動の機会が増えるため、体力の向上が期待できます。
高齢になり、足腰が弱くなるとどうしても外出の機会が減ります。しかし、家の中だけで過ごしていると、運動する機会がなく、さらに体力が低下する悪循環に陥りがちです。
デイサービスを利用すれば、必然的に運動することになるため、健康の維持・改善に役立ちます。
家族の介護負担減少
忘れてはならないデイサービスの目的の1つが、「利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減を図る」ことです。
デイサービスに通えば、その間家族は介護から離れられます。本人の介護をデイサービスの職員に任せることで、安心して用事を済ませたり、趣味や外出を楽しみ、リフレッシュできます。
ずっと在宅で介護を続けていると、家族も介護疲れや介護鬱(うつ)になってしまう可能性も否定できません。
介護される本人も、家族に遠慮して気疲れしてしまう場合もあるため、デイサービスを利用し、時には適度な距離を取ることも大切です。
メンタル維持に効果的
デイサービスを利用することで生活リズムが整い、規則正しい生活を送ることができます。
生活にメリハリがつくことによって、睡眠時間を確保したり、適度に運動したりすることで、精神的にも安定します。
また、デイサービスでの他者とのコミュニケーションを通して、ストレス解消や脳の活性化などのメリットも期待できます。
デイサービスを使える条件
介護保険の要介護認定を受けている人であれば、要支援・要介護のどちらでもデイサービスの利用が可能です。
ただし、地域密着型や認知症対応型など、一部のデイサービスには、介護度以外の利用条件があるため、詳細はケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してみてください。
また、介護保険の手続きをしたものの、認定結果が「非該当(自立)」であった人や、介護保険の申請を行っていない人であっても、「一般介護予防事業」という枠組みを利用してデイサービスが利用できる場合もあります。
「一般介護予防事業」とは、介護サービスを提供することにより健康を保ち、将来の介護を予防するための事業です。利用したい場合は、居住地の地域包括支援センターに相談しましょう。
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デイサービスの利用料金
デイサービスの利用料金は、「介護保険の利用者負担額」と「実費負担額」を合算したものです。
目安として、1回の利用につき1,000~2,000円程度(介護保険の負担割合が1割の場合)かかると言われています。
ただし、実際の金額は利用するデイサービスの種類や利用者の状況など、さまざまな条件によって変動します。
ここからは、介護保険が適応される料金と、実費の負担額について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
「基本報酬」と「加算・減算」がある
デイサービスの料金のうち、介護保険が適応される分については、国が定めたルールに沿って計算されます。
料金に影響する大きなポイントは以下の3つです。
- デイサービスの規模:利用者数が多いと利用料金は安くなる
- 要介護度:要介護度が高いと利用料金は高くなる
- 利用時間:利用時間が長いと利用料金は高くなる
さらに、利用するデイサービスの設備の充実度やオプションサービスの利用によっても料金が変わります。
例えば、要介護1、利用者負担1割の人が通常型のデイサービスを6時間利用した場合は、自己負担は584円となります。
オプションとして入浴サービスを利用した場合は50円程度の追加料金がかかります。
料金を決める項目は多岐にわたるため、正確な金額を自分で計算することは困難です。
利用料について不安がある場合はケアマネジャーに相談し、具体的な料金について確認しましょう。
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介護保険適用外の実費負担の料金もある
デイサービスを利用する際に、介護保険が適用されない実費負担の料金もかかります。
例えば下記のような項目が挙げられます。
【実費負担になるもの】
- 食事代
- おやつ代
- 娯楽費
- おむつ代
実費負担の料金は一律ではなく、デイサービスによって料金設定が異なります。
実費負担のなかで高額なのは食事代で、600円前後に設定する事業所が多いようです。
詳しくはデイサービス初回利用時に交わす契約の重要事項説明書を確認してください。
デイサービスを利用したほうが良いケース
自宅で生活している高齢者が利用できる介護サービスは訪問看護や訪問介護、訪問リハビリ、ショートステイなどさまざまなものがあります。
その中でもデイサービスを利用したほうが良いケースを紹介します。
日常生活を送るのが難しい場合
病気や加齢による体力の衰えにより、日常生活において1人でできないことがある場合は、デイサービスの利用を検討しましょう。
デイサービスには介護職員が常駐しており、個々に合ったサポートをしてくれるからです。
具体的には、次のような状態の人はデイサービスがおすすめです。
例)
- 家のお風呂に1人で入ることができない
- 自分で食事の準備ができない
- トイレで排せつができない
- 1人で歩くことができない
できないことの一部をデイサービスで補うことで在宅生活を続けられる可能性があります。
自宅でできる限り長く生活するために、生活の一部をデイサービスで過ごすという選択も良いでしょう。
例えば、自宅のお風呂に浸かることが難しい場合も、デイサービスであれば設備が整っており、職員のサポートを受けながらお風呂に浸かることもできます。
外に出る機会がない場合
高齢になると身体機能が低下したり、外出する用事がなくなったりすることで自宅にこもりがちになってしまうことがあります。
予定がない日々が続くと、生活のハリが失われたり、生活リズムが乱れる可能性があります。
また、他者と交流が不足することで、認知機能の低下にもつながりかねません。
デイサービスであれば、施設からの送迎が利用できるため、外出に不安がある高齢者でも安心して利用することが可能です。
他の利用者と仲良くなれば、よりデイサービスが楽しみになり、好循環が生まれます。まずは体験入所から利用してみるのがおすすめです。
家族の負担を減らしたい場合
自宅で介護をしていると、介護者である家族が体力的にも精神的にも辛くなることがあります。
在宅での介護を続けるためには、疲れ切ってしまう前に家族のリフレッシュを図ることも大切です。
在宅で介護をしているのであれは、ぜひデイサービスの利用を検討しましょう。
介護疲れについては以下の記事も参考にしてください。
まとめ
デイサービスといっても、機能や料金、特色などはさまざまです。
自宅で介護をしていて「家に閉じこもりがちだから心配」「介護が大変になってきたから誰かに手伝ってほしい」「もう少し元気になってほしい」と感じる場合は、担当のケアマネジャーやお近くの地域包括支援センターに相談してみてください。
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杉浦 良介
理学療法士
通所リハビリ・訪問看護・回復期病棟・訪問リハビリでの経験のある理学療法士。YouTube「訪問リハビリ・訪問看護の情報サイト」、訪問リハブログ「訪問リハビリ・訪問看護情報サイト」、訪問看護ブログ「ビジケア訪問看護経営マガジン」で介護保険制度や訪問リハ、訪問看護などの情報発信をしている。著書に『リハコネ式!訪問リハのためのルールブック【第二版】』がある。