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介護用見守りカメラとは?選び方や導入するときの注意点を解説
自宅で親の介護をする方の中には、自分が家にいない間に親を一人にするのは不安だと感じる方が多いのではないでしょうか。また離れて暮らす高齢の親が心配という方も多いかと思います。
そんなときに多くの方が利用されているのが「介護用見守りカメラ」です。
この記事では「介護用見守りカメラ」に関する機能やメリット、相場料金や設置場所、導入時の注意点などを紹介します。
介護用見守りカメラとは?
「介護用見守りカメラ」とは、要介護の高齢者や、遠方に高齢の家族が暮らしている場合に、留守中の様子を見守るための小型カメラです。
介護用見守りカメラの基本的な機能は、以下になります。
- 映像の録画機能
- 会話機能(テレビ電話のような機能)
- 事故や異変時の通知機能(動体探知機能)
- スマホやPCと接続機能(Wi-Fi利用あり)
- 温度センサー機能(熱中症対策)
各メーカーから販売されている介護用見守りカメラには、商品によってさまざまな特徴があります。
インターネットに接続して使うものが多いですが、一部にはインターネットやWi-Fiなしで使えるものもあります。
本記事の「介護用カメラの選び方」を参考に、ご自身の環境や使用目的に合ったものを選びましょう。
介護用見守りカメラの利用がおすすめな理由
介護用見守りカメラは、さまざまな機能があり大変便利です。
主な活用シーンとして
- 一緒に住んでいる介護をしている高齢者と一時的に離れる場合
- 離れて暮らす要介護高齢者の日常を見守る場合
の2つのケースがあり、両方の場合において介護用見守りカメラは役立ちます。
ここでは、介護用見守りカメラの利用をおすすめする理由を3つご紹介します。
高齢者に何かあったときにすぐ対応できる
要介護の高齢者には以下のような事故のリスクが高くなっています。
- 転倒による怪我
- 食事中の窒息
- 熱中症による脱水
こういった事故はいつ起きてもおかしくありません。
介護用見守りカメラがあれば、以上のような事故をいち早く発見できる可能性が高まります。
また、介護用見守りカメラの中には会話機能が付いているものもあり、要介護高齢者の意識確認にも役立ちます。
最近では電話や訪問による詐欺の被害も相次いでおり、介護用見守りカメラで会話の内容を確認することで、詐欺被害を未然に防ぐことも期待できるでしょう。
高齢者の行動を録画できる
介護用見守りカメラには録画機能が付いており、留守の間の行動や、離れて暮らす高齢者の行動パターンを知ることができます。
たとえば、録画をすることで以下のようなことを把握することができます。
- 食事の状況
- 服薬の状況
- 歩行状態の確認
万一、日々の状況に問題が見られれば、その問題の解決に向けた対策を考え改善していくことが可能になります。
例えば、離れて暮らす要介護高齢者に対して、食事が3食きちんと摂れていないのであればバランスよく食事ができるよう宅食サービスの利用を検討する、といった対策も検討できるでしょう。
安心して仕事に取り組める
介護が必要な親と離れていると、様子が心配で仕事や用事に集中できないということもあるでしょう。
介護用見守りカメラがあれば、リアルタイムで親の状況が分かるので安心して仕事に取り組むことができます。
カメラの中には、動きを感知するとスマホに通知が届くものや、熱中症対策で室内の温度が上昇すると教えてくれる機能があるものもあります。
何かあれば通知が来るので、常にカメラを気になる必要もなく仕事に集中しやすくなる効果が期待できるでしょう。
介護用見守りカメラの選び方
続いては、介護用見守りカメラの選び方を解説していきます。
実際に購入を検討している方は、参考にしてみてください。
部屋全体を撮影できるカメラを選ぶ
介護用見守りカメラは、部屋全体を撮影できるものを選ぶことが大切です。
なぜなら死角があることで十分に現状を確認できずに、アクシデントなどの発見が遅れる可能性があるからです。
もし直角の部屋で全体を撮影したい場合は、部屋の隅に設置して水平方向に90度以上の画角があれば部屋全体を撮影可能です。
購入する前はカメラ越しの映像を確認して、実際に使用する場合に部屋全体を撮影できるか確認しておくことをおすすめします。
会話機能が付いているカメラを選ぶ
会話機能が付いているものを選ぶとよいでしょう。
なぜなら映像だけでこちらの声が届かないと、緊急時の対応に困るからです。
例えば、転倒して足を怪我したことで動けなくなった場合は、電話にも出られない可能性が出てきます。
そんなときに会話機能があれば、カメラ越しで映像を観ながら声をかけられるので、リアルタイムの状態を知ることができます。
またこちらの顔も相手に見せられるテレビ電話のような機能もあり、お互いが顔を見せ合うことで安心感にもつながるでしょう。
動き・音検知機能が付いているカメラを選ぶ
緊急時の対応という面では、会話機能以外にも動きや音検知機能が付いているカメラを選ぶことをおすすめします。
動きや音は、その場の環境に何かしらの変化が起きたときに生じるものです。
そういった状況をカメラが感知してスマホなどに通知で知らせてくれるので、常にカメラを気にすることなく安心して過ごせます。
万が一事故が起きた場合でも動きや音によって通知が来るため、すぐに救急車を呼んだり直接駆け付けたりできるなどのメリットが期待できるでしょう。
暗い場所でも撮影できるカメラを選ぶ
夜間の転倒や生活状況の把握のためにも、「夜間撮影」の機能が付いたものを選びましょう。
トイレに何回も起きたり不眠の傾向があったりする場合は、転倒事故も起こりやすいので夜間も注意が必要です。
夜間撮影機能があることで、暗い部屋の様子も鮮明に確認できます。
夜間撮影のタイプには、以下の2種類があります。
- 暗視タイプ:カラー画像だが光が弱いと鮮明に映らない
- 赤外線タイプ:白黒だが光が弱くても撮影可能
商品を選ぶ場合は、使用する環境に合ったものを選ぶことが重要です。
温度センサー機能が付いているカメラを選ぶ
温度センサー機能が付いているものを選ぶと、熱中症対策になります。
最近は高齢者が自宅で熱中症になる事例も多くあり、夏場には必須の機能といえるでしょう。
具体的な機能の内容は、カメラの周辺が一定の温度を超えると通知が来るようになっています。
その時点で冷房を入れるよう声をかけたり、水分補給を勧めたりすることで未然に熱中症を防ぐ効果が期待できます。
夏場以外でも室温を把握することでエアコン調節を促し、離れた場所からでも季節に応じた温度管理が可能になります。
認知症老人徘徊感知器と併用する(介護保険を利用可能)
介護用見守りカメラだけだとその部屋の状況しか判断できないため、カメラと合わせて「認知症老人徘徊感知器」を使うことも、選択肢の一つに入れるといいでしょう。
認知症老人徘徊感知器とは、センサーによって動きを感知することで、認知症の高齢者が一人で外に出てしまうことを防ぐための装置です。
例えば玄関に感知器を設置することで、外出したことがすぐに確認できます。
認知症老人徘徊感知器は原則、要介護度2以上であれば介護保険が利用可能で、月々の負担を抑えながら利用することができます(詳細は後述します)。
※認知症老人徘徊感知器の負担額の例(商品名:徘徊わかーる6900)
- 介護保険利用時:月額400円(レンタル)
- 販売価格:67,100円
参考サイト:ヤマシタの「認知症老人徘徊感知機器」
介護用見守りカメラの相場料金
介護用見守りカメラの価格は幅広く、3000円台のものから20,000円台のものまであります。
機能の多さだけでなく、カメラの画質やセキュリティーの有無によっても価格が異なります。
購入する際はただ金額で決めるのではなく、目的の機能があるか、利用シーンに見合う性能があるかを確認することが重要です。
なお前述のとおり、認知症老人徘徊探知機であれば介護保険を利用することが可能なので、より費用を抑えることができます。
介護用見守りカメラの設置場所
介護用見守りカメラの設置場所は目的に応じて異なります。
以下、カメラ設置の目的とそれに適した設置場所を示したものです。
設置場所 | 設置目的 |
---|---|
リビング・ダイニング | ● 食事をしているか ● 薬を飲んでいるか ● 日中の過ごし方や歩行状態の確認 |
寝室 | ● 朝しっかり起きられているか ● 夜十分に眠れているか ● 夜中のトイレや歩行状態の把握 |
玄関 | ● 訪問介護などの人が来ているか ● デイサービスなどにちゃんと行っているか ● 不審な訪問者(詐欺など)が来ていないか |
設置場所とともにカメラの画角の広さにも注意しましょう。
直角の部屋全体を撮影する場合は部屋の隅にカメラを設置しますが、90度以上の画角でないと全体を撮影できません。
また夜中の睡眠状況を把握したい場合には、上部から寝室全体を移せるような場所に設置するといいでしょう。
介護用見守りカメラを導入するときの注意点
介護用見守りカメラを導入する際は、いくつか注意しなければならない点があります。
ここでは3つの注意点をご紹介します。
高齢者の同意を得てから設置する
第一に「高齢者ご本人の同意を得る」ことを忘れないようにしましょう。
やはり誰でも、勝手にカメラを設置されるのは良い気分がしません。
それがたとえ家族であったとしても、必ずご本人にカメラ設置の目的を説明し同意を得ることが大切です。
ただ見守りをするだけだと監視されている気分になる可能性があるので、ご本人の安全を保つ機能があることを説明することも必要です。
ご本人が拒んでいるにも関わらず、内緒で設置することは避けましょう。
できるだけ気にならない場所に設置する
人は誰でもカメラがあることでストレスを感じるものです。
そのため設置の同意が得られた場合でも、できるだけ存在が気にならない場所に設置することが重要です。
画角が広いものを選べば、目立ちにくい部屋の隅に置くことで全体を撮影できます。
カメラ自体を目立たなくするために隠そうとすると、撮影範囲が狭くなる可能性があるので、普段生活していて視界に入りにくい角度に設置するといいでしょう。
部屋全体を撮影するという点では、少し高い場所に設置することで気になりにくくなります。
使用範囲が十分であるか確認する
介護用見守りカメラを設置する場合は、以下の点にも注意しましょう。
- 撮影可能な画角は十分か
- 会話機能使用時の声が聞こえる距離か
- 高齢者本人の導線を妨げていないか
- 夜間撮影モードの映像は鮮明か
- ペットやカーテンの動きなどで動体検知が頻繁に誤作動しないか
夜間撮影に関しては光が弱いと鮮明に映らない「暗視タイプ(カラー)」と、部屋が暗くても鮮明に映る「赤外線タイプ(白黒)」があるので、購入前に部屋の状況を確認しましょう。
画角に関しては90度以上が望ましいですが、あまり広すぎると画面の端が湾曲するため、部屋全体を綺麗に撮影したい人は注意が必要です。
介護用見守りカメラに関するよくある質問
最後に、介護用見守りカメラに関するよくある質問に対する回答をご紹介します。
Wi-Fi接続なしで利用できるカメラもある?
介護用見守りカメラの多くは、Wi-Fi通信を利用してスマホなどに接続していますが、Wi-Fi接続なしで利用できるカメラもあります。
カメラ単体で通信会社と契約してSIMカードを内蔵することで、通信を実現しています。
月額で通信料を払う必要はありますが、インターネット環境がなくても導入できるメリットがあります。
介護用見守りカメラは介護保険の適用になる?
介護用見守りカメラには、原則的には介護保険は適用されません。
ただし、前述した「認知症老人徘徊感知機器」と呼ばれる商品は、介護保険を利用したレンタルが可能です。
認知症老人徘徊感知機器における介護サービスの適用範囲は以下のとおりです。
要支援 | 要介護 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
認知症老人徘徊感知機器の適用範囲 | 1 | 2 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
× | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
基本的には要介護2から適用されます。
介護保険を適用するには、指定を受けた事業所を経由する必要があります。
ヤマシタでも介護保険を利用した「認知症老人徘徊感知機器」のレンタルが可能ですので、お問い合わせください。
参考サイト:ヤマシタの「認知症老人徘徊感知機器」
ご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
営業所は安心の365日体制。
お客様のご相談、ご要望にスピーディーに対応します。
メールは365日24時間受付
受付時間: 10:00~17:00 (土日祝年末年始を除く)
なお市販の介護用見守りカメラは介護保険の対象外ですが、低価格なものも増えてきたので購入を検討してもいいでしょう。
介護施設に介護用見守りカメラを設置することはできる?
入居者本人と職員の同意があれば、介護施設にも介護用見守りカメラを設置することができます。
最近では介護施設での職員による虐待事例も増えてきており、居室にカメラの設置を希望するご家族もいるのが現状です。
実際にカメラを設置した事例として、午前7時~夕方5時の10時間限定で撮影を許可したケースがありました(夜間は自動でオフになる)。
その入居者は昼間お部屋で過ごすことが多く、その様子を家族が知りたいというのが設置の理由でした。
カメラを設置する際は、入居者、ご家族、施設職員の間で設置の目的を共有しておくことが重要です。
まとめ
今回は「介護用見守りカメラ」の選び方や導入時の注意点などについて解説しました。
介護用見守りカメラはさまざまな種類の商品があり、利用する部屋の環境や求める機能など自分に合ったものを選ぶことが重要です。
また設置する際は、撮影される高齢者本人の同意を得ることを忘れないようにしましょう。
何よりも介護用見守りカメラの目的が、高齢者本人の安全確保であることを改めて理解して利用することが大切になってきます。
津島 武志
介護系WEBライター
介護業界16年目の現役介護職。介護リーダーや管理職の経験もあり、現在はGHの管理職として地方法人に勤務。現役の介護職以外に、介護系のWEBメディアでライターとして活動したり、介護の転職メディア(介護士の転職コンパス)の運営や、SNS(@otake_kaigo)での介護職の働き方について情報発信しています。主な保有資格は、介護福祉士、介護支援専門員、社会福祉士など。