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歩行支援とは|症状別に介護用品の選び方やおすすめ商品を紹介

歩行支援とは|症状別に介護用品の選び方やおすすめ商品を紹介 歩行は私たちの日常生活において欠かすことのできない動作の一つです。
しかし、高齢者のなかには加齢による身体機能の低下がみられ、歩行が不安定になってしまう方も少なくありません。
こうした方の歩行をサポートする福祉用具として、おすすめなのが歩行支援用具です。
ただし、歩行支援用具は身体にあったものを選ばないと、逆効果になってしまうケースもあり、利用の際は注意しなければなりません。
今回は、歩行支援用具の種類やメリット・デメリットについて解説します。

なぜ歩行支援が必要なの?

高齢者の場合、身体機能の低下などによって歩行機会が減ってしまうことで、さまざまな弊害を伴うケースがあります。
厚生労働省は、身体活動量の低下が生活習慣病をはじめとした病気の罹患(りかん)率や死亡率を高めるとして指摘しています。
また、歩行機会が減ることでさらに身体機能が低下し、転倒リスクも高くなるほか、外出頻度も減り社会参加の機会も少なくなってしまうでしょう。
これらの問題を解消するためにも歩行支援が必要であり、自分の身体状況にあわせた歩行支援用具などの導入を検討する必要があります。

歩行が困難になる理由

高齢者の歩行が困難になる原因は主に2つあります。
一つ目は加齢による筋力低下やバランス力の低下、二つ目は運動器(身体を動かす仕組み)の病気によるものです。
運動器の病気として代表的なのが、変形性関節症、変形性脊椎症、骨粗しょう症、筋肉減少症(サルコペニア)です。
これらの病気が要因となって、痛みを生じたり、関節を動かせる範囲が狭まったりするほか、筋力低下、麻痺やしびれを生じる場合もあるため、歩行に影響が出ます。

歩行支援用具を利用するメリット・デメリット

歩行支援用具を利用するメリット・デメリット 歩行機会を増やすためにも利用を検討したい歩行支援用具ですが、人によってはデメリットを感じる場合もあります。
ここからは、歩行支援用具を利用するメリット・デメリットについて解説します。

歩行支援用具を利用するメリット

歩行支援用具にはさまざまなメリットがあります。
以下、歩行支援用具を利用するメリットです。
  • ・下肢の筋力低下を補える
  • ・ふらつきや転倒を防止できる
  • ・下肢にかかる負担を軽減できる
  • ・歩行の安定性を図れる
  • ・荷重時や運動時の痛みを軽減できる
  • ・行動範囲を拡大できる
こうしたメリットにより歩行機会が増えれば、さらなる身体機能の低下や病気の防止につながります。
そのほか外出機会も増えれば、社会参加の機会にもつながるでしょう。

歩行支援用具を利用するデメリット

以下は、歩行支援用具を利用するデメリットです。
  • ・身体状態に適さない支援用具を使用すれば症状が悪化する可能性がある
  • ・見た目に抵抗を感じストレスにつながる
大きなメリットがある歩行支援用具ですが、身体に適したものを選択しないとかえって身体に負担をかけたり、転倒リスクが高まったりしてしまいます。
また、歩行支援用具に代表される杖やシルバーカー、歩行器などの見た目に対しての「かっこ悪い」というイメージから抵抗感を抱く方もいます。
ただし、最近はデザイン性に優れながら機能面も充実した商品もあるため、イメージだけにとらわれず、実際に商品を確認してみるのがよいでしょう。

歩行支援用具が必要になるタイミング

歩行支援用具が必要になるタイミング 歩行支援用具が必要になるタイミングとして、以下の状況があてはまります。
  • ・椅子からの立ち上がりに時間がかかる
  • ・立ち上がった姿勢(立位)の際にふらつきがみられる
  • ・まっすぐな姿勢で立位保持ができない
  • ・片足立ちができない
  • ・つまずくことが増えた
  • ・転倒することが増えた
  • ・高齢になってから膝関節や股関節に手術の経験がある
これらに該当するようであれば、歩行支援用具の利用を検討することで問題を解決できる可能性もあります。

歩行支援用具の種類

歩行支援用具は身体状況や使用用途に応じていくつか種類があり、それぞれの特性を理解した上での利用が望ましいと思われます。
ここからは歩行支援用具である杖、シルバーカー、歩行器の特徴や使用方法について解説します。

家の中の生活は自立していますが、外出するのがちょっと不安な方。 杖を使用することでバランスを補い、安定して歩くことができます。杖には一本杖や、先が複数に分かれている多点杖があります。

杖を使用しての歩き方

杖は痛む足とは逆側の健康な手で持ちましょう。
・ 三点歩行
杖から出し、次に痛い方の足、最後に健康な足を出します。 「1、2、3」のリズムでゆっくりと歩きます。 常に2点で体を支えてすので安定した歩行ができます。
・ 二点歩行
杖と痛む足を同時に出し、次に健康な足を出します。 「1、2 リズムで三点歩行よりも歩行スピードは上がりますが、バランス能力が求められます。

適正な杖の長さ

杖の合わせ方
普段はいている靴を履いて合わせます。
①まっすぐ立って腕を垂直に下ろしたときの手首(小指側の骨が出っ張っているあたり)の高さにグリップがくる高さ。
②足の小指の外側15cmくらいのところに杖をついたときに肘が30度ほど曲がったくらいの高さ。
合わせ方を目安にして、最適な高さ調整をしましょう。

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シルバーカー

杖での歩行が不安な方や、お買いものの際に荷物が多くて大変な方。疲れた時にちょっと座りたいという方にも。 シルバーカーを使用することで、重い荷物を楽に運んだり、お出かけの途中で座って休むことができます。用途によって色々な種類があります。

シルバーカーは自立して歩行が可能な方の外出をサポートする福祉用具です。

  • ・歩行中に疲れて座りたくなる方
  • ・重い荷物を運ぶ機会がある方 など

歩行器とシルバーカーは違います!

シルバーカーは歩行が安定している方でも、重い荷物を持って歩くのが大変な方や、疲れた時に座りたい方が使用する便利な歩行補助用具です。
したがって、歩行を安定させたい方には不向きです。

ご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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歩行器(屋内用)

歩行が不安定で、家の中で安全に移動したい方。 姿勢が安定している方にはウォーカータイプ、不安定な方には肘で支持するタイプの歩行器があります。杖よりも安定感があり安心です。

身体状況別に室内用歩行器の選び方。

・固定型
固定型の歩行器は、一般的な歩行器で体重を預けた際の安定感が特徴です。 両手でグリップをつかみ、歩行器を持ち上げて前方に移動させ、その後自身が前進するという動作を繰り返して使用します。
・交互型
交互型の歩行器は、左右の取手をそれぞれ交互に動かすことができる歩行器です。 固定型の歩行器よりもバランスを取るのにコツが必要となります。
・前腕支持型
ハンドルが胸の高さまであがり、肘を置いて使用する歩行器です。 手首に痛みがある方、握力が弱い方に使いやすい歩行器です。 ハンドルが腰高の歩行器では歩行の安定が維持できない方に向いています。

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歩行器(外出用)

歩行が不安定で、外出の際に、しっかり身体を預けられるような安定感が必要な方。疲れた時に休憩が必要な方にも。 身体をハンドルの中に入れて歩行をサポートするタイプです。必要な際に座ることができる座面がついており、作りもしっかりとしていますので、安定感が得られます。

屋外用歩行器は使用用途に合わせて選びましょう。

・買い物に便利なタイプ
スーパーの買い物かごを本体の上にのせることができます。 大容量バッグがついていますので、たくさん買い物をしても安心です。
・公共交通機関でも安心なタイプ
本体が軽く、コンパクトに折りたたみができる歩行器です。 バスや電車に乗る機会が多い方に向いています。
・転倒リスクを軽減するタイプ
坂道や傾斜面あるいは身体状況によって歩行器のスピードについていけず転倒してしまう場合があります。 そのような心配がある方は、手動・電動機能によりスピード を調整し、転倒リスクを軽減してくれる歩行器もあります。

電動アシスト機能付き歩行器

ここまで歩行支援用具について解説してきましたが、そのほかに電動アシスト機能付き歩行器と呼ばれる歩行支援機器があり、近年では医療現場や介護現場での導入が進められています。
以下は、歩行支援用具と電動アシスト機能付き歩行器の特徴や役割の違いです。
特徴や役割
歩行支援用具● 自力歩行をサポートする支援用具
● 日常生活での歩行をサポートするのが目的
電動アシスト機能付き歩行器● リハビリなどの歩行訓練を補助する機器
● 歩行機能の回復を目的としている
電動アシスト機能付き歩行器 電動アシスト機能付き歩行器詳しくはこちら

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自宅での歩行を支えてくれる福祉用具

玄関での上り下りを支えてくれる福祉用具

  • あがりかまち用手すり

    玄関のあがりかまちが高く、上り下りの動作でふらつきがみられる方におすすめです。置くだけの簡単設置で工事が必要ありません。便利なステップ台がついているものもご用意しております。
    あがりかまち用手すり
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  • 段差解消機

    手すりを設置しても、あがりかまちの上り下りがつらくなってきたときに使用します。簡単なリモコン操作で座面が昇降しますので、体に負担がかかりません。座面は回転式ですので、安全に乗り降りすることができます。
    段差解消機
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屋内での歩行を支えてくれる福祉用具

  • 立ち上がり補助いす

    膝が痛むために、床からの立ち上がりが難しい方におすすめです。立ってしまえば自分の足で歩くことができるという方にお使いいただきたい福祉用具です。
    立ち上がり補助いす
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  • いす式階段昇降リフト

    階段を上がるのがつらくなり、自宅の2階に上がることができなくなった方におすすめです。座面は折りたたむことができるので、場所もとらず、大変便利な福祉用具です。
    いす式階段昇降リフト
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疾患別!歩行支援用具の選び方

歩行支援用具は、要介護者の身体状況によってあうものとあわないものがあります。
ここからは運動器の病気による下記3つのケースにわけて、それぞれの疾患に適した歩行支援用具について説明します。
  • ・片麻痺の場合
  • ・円背(えんぱい)の場合
  • ・関節リウマチの場合
加齢による筋力低下やバランス力の低下している方には、歩行補助杖やシルバーカーなどもおすすめです。
下記で紹介しているのであわせてご覧ください。
シルバーカーと歩行器|違いや選び方、介護保険レンタルについて解説
歩行補助つえとは?具体的な種類や利用するメリットなどを紹介

1.片麻痺の場合

片麻痺がある場合、麻痺側の足の出し方に注意が必要です。 片麻痺では足が棒のように伸びてしまったり、つま先が伸びた状態(尖足)になったりするため、つまずきやすくなるリスクがあります。
以下は、片麻痺の場合に適した歩行支援用具です。
片麻痺(軽度)片麻痺(重度)
一本杖・多点杖
多点杖(ロフストランドクラッチなど)
交互型歩行器×
固定型歩行器×
前腕支持型歩行車×
シルバーカー×
片麻痺について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
片麻痺の原因や症状とは?改善に役立つリハビリや福祉用具を紹介

2.円背の場合

円背は骨のゆがみから脊柱が前に倒れて腰や背中が曲がった状態をいい、一般的に「猫背」になっている状態を指します。
姿勢が前傾になり頭が下がるため、転倒するリスクも高まります。 以下は、円背の場合に適した歩行支援用具です。
円背
一本杖・多点杖
多点杖(ロフストランドクラッチなど)
交互型歩行器
固定型歩行器
前腕支持型歩行車
シルバーカー〇※注
円背によってシルバーカーに体重が強くかかってしまう場合は、前輪が浮いてしまう危険性があります。
その場合は、前輪が浮かないよう重りを入れるか、ほかの歩行支援用具を使用するほうが安全です。

3.関節リウマチの場合

関節リウマチは症状として、関節の腫れや変形などから痛みを伴う可能性のある疾患です。
人によっては歩行障害をはじめ、日常生活に支障がでる可能性もあります。 以下は、関節リウマチの場合に適した歩行支援用具です。
関節リウマチ
一本杖・多点杖×
多点杖(ロフストランドクラッチなど)
交互型歩行器×
固定型歩行器×
前腕支持型歩行車
シルバーカー×

歩行支援用具は介護保険でレンタル・購入できる!

歩行支援用具は、福祉用具専門店などから購入できます。 そのほか、介護保険を利用すれば1~3割の自己負担でレンタルも可能です。 介護保険の対象条件は以下のとおりです。
第1号被保険者65歳以上
第2号被保険者●40歳以上65歳未満
●16種類の特定疾病に該当
介護保険を利用して歩行支援用具をレンタルする場合には、申請して要介護認定を受ける必要があります。 申請から認定までに約1カ月の期間を要するため、利用を希望する場合は前もって申請するようにしましょう。

歩行支援用具のレンタルにかかる費用

以下は歩行支援用具のレンタルにかかる1カ月間の費用目安です。
歩行支援用具介護保険でレンタルした場合にかかる費用 ※1割負担の場合
130円~200円程度
歩行器200円~700円程度
シルバーカー介護保険レンタルの対象外
シルバーカーは介護保険でのレンタル対象にはならないため、実費での購入が必要となります。

歩行支援用具の購入にかかる費用

以下は、歩行支援用具の購入にかかる費用です。
歩行支援用具介護保険でレンタルした場合にかかる費用 ※1割負担の場合
4,000円~20,000円程度
歩行器20,000円~150,000円程度
シルバーカー25,000円~33,000円程度
購入したい場合は、福祉用具専門店またはネット通販でも購入できます。 ただし、安い買い物ではないので実際の使用感を試してからの購入が安心です。

ヤマシタでは歩行支援用具の購入・レンタルについてご相談を受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。

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歩行支援用具を購入・レンタルするまでの流れ

介護保険による福祉用具レンタルをする際は、利用者ごとにケアプランや福祉用具サービス計画書の作成が必要になります。
以下は、福祉用具レンタル開始までの流れです。
           
手順内容
ケアプラン作成
インテーク(面接)
情報把握(本人・家族の意向、身体状況や生活環境などの確認)
福祉用具サービス計画書作成
利用者・家族への説明
利用者への同意
サービス利用開始
モニタリング
これらの段階を踏んでサービス利用開始となります。 なお、介護保険の特定福祉用具販売には歩行支援用具は含まれないため、レンタルでの利用が基本となります。

歩行支援用具を購入・レンタルする上での注意点

介護保険によって歩行支援用具を利用したい場合、いくつかの注意点があります。
まず、歩行支援用具の購入は介護保険の適用にはなりません。
歩行支援用具のうち、杖と歩行器はレンタルの対象となります。
しかし、シルバーカーのレンタルは対象外となるため注意が必要です。
ただし、自治体によってはシルバーカーや杖などを購入する際の助成を独自に設けている場所もあります。
手続きの方法は自治体で異なるため、ホームページなどから確認するとよいでしょう。

まとめ

今回は歩行支援用具について、その種類やメリット・デメリットなどを解説してきました。 要点は以下のとおりです。
  • ● 身体の状態や症状に応じて適切な歩行支援用具は異なる
  • ● 代表的な歩行支援用具に、杖、歩行器、シルバーカーがあげられる
  • ● 杖と歩行器は、介護保険を利用してレンタルができる
ぜひ、歩行支援用具を利用される際の参考にしてみてください。

歩行支援用具を選ぶ際の困りごとや、購入、レンタル方法などについて、いつでもお気軽にお問い合わせください。

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横井康佑

医療・介護ライター・社会福祉士

1989年生まれ。福祉系大学を卒業後、現役の医療ソーシャルワーカーとして10年以上医療機関に勤務。現在も医療・介護にかかわる相談を受けながら、さまざまな生活問題を支援。webライターとしても活動しており、医療・介護記事の執筆を行うほか、電子書籍の出版プロデュースも行っている。

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