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玄関の手すりの選び方!手すりの必要性や種類も解説
玄関は高齢者や足腰に不安がある方にとって転倒リスクが高い場所の一つです。
手すりを適切に設置すれば、安全に昇降できるだけでなく外出への自信も取り戻せます。
この記事では玄関手すりの種類や選び方、介護保険を活用して費用負担を抑える方法まで分かりやすく解説します。
玄関に手すりを設置する必要性とは?
次の3つの理由から玄関は手すりの設置をおすすめします。
- 玄関での段差や上がり框は転倒リスクが高い
- 出入り時の不安を減らし、外出の自立を促す
- 介護者の負担軽減
玄関での段差や上がり框は転倒リスクが高い
玄関は、上がり框や段差がある家が多く、転倒のリスクが高い場所です。
玄関の上がり框は一般的に15〜20cmの段差があり、筋力やバランス感覚が低下している高齢者にとって、段差の移動は大きな負担となるでしょう。
玄関に手すりを設置することで、段差を安全に越えられるため、転倒を防ぎます。また、靴の着脱や荷物を持つといったバランスの崩れやすい動作の際にも、手すりを使うことで体重が支えられます。
出入り時の不安を減らし、外出の自立を促す
玄関の段差は高齢者にとって「転ぶかもしれない」という不安も伴います。
そのため、玄関に手すりがあれば出入り時の不安を軽減でき、外出の機会を増やすことにもつながります。
外出の自立や社会参加は、健康維持や生活の質の向上にもつながります。自立した生活を長く続けるためにも、手すりは重要な役割をしているといえるでしょう。
介護者の負担軽減
玄関に手すりを設置することは、介護者の負担軽減にもつながります。
玄関で利用者がバランスを崩すと介護者が全身で支えることになりますが、手すりがあれば高齢者自身が安全に移動できるようになります。
介護者は体力的な負担だけでなく、転倒への不安も解消できます。また、高齢者の介助のために、介護者自身が転倒するリスクも防げるでしょう。
玄関手すりの種類と特徴
玄関手すりにはさまざまな種類があり、手すりの形状や設置方法に応じて異なる役割があります。
ここでは、以下3種類を紹介します。
- 縦手すり(I型)
- 横手すり(L型・水平型)
- スタンド型・置き型手すり
使用場面や目的にあわせて、安全に出入りできる手すりを選びましょう。
縦手すり(I型)
縦手すり(I型)は床から垂直に設置し、壁面に取り付けるタイプの手すりです。
縦手すりは上がり框の昇降や立ち上がりに適しており、体重を支えながら段差を安全に移動できます。また、踏み込みが楽になるため、膝や腰に負担の少ない動作ができるでしょう。
縦手すりの設置場所は、上がり框近くの壁面の、利用者の利き手側に取り付けることが一般的です。狭い玄関でも場所を取らず、廊下の広さや上がり框のスペースを確保できる点がメリットです。
玄関のほかにも、階段やトイレ、浴室の出入り口、ベッドサイドなどさまざまな場所で活用されています。
横手すり(L型・水平型)
横手すりは床に水平に設置し、壁面に取り付けるタイプの手すりです。玄関までの水平移動や体のバランスを支える役割をしています。
また、玄関以外にも廊下や浴室、トイレに設置されることが多いでしょう。
L型の手すりは縦手すりと横手すりの機能を兼ね備えています。そのため、玄関までの移動や上がり框の昇降、靴の着脱まで連続した動作をサポートしてくれます。
水平型の手すりは、靴を着脱するときに役立ちます。広めの玄関に適しており、車椅子からの立ち上がりもサポートできるでしょう。
スタンド型・置き型手すり
スタンド型・置き型手すりは、床に設置するだけで使用できるタイプの手すりです。賃貸住宅や壁に工事ができない場所でもサポートできる点が特徴です。
あがりかまち用たちあっぷ 両手すり ステップ台付
「あがりかまち用たちあっぷ 両手すり ステップ台付」は、玄関の段差を両手で体を支えながら、安全に昇降できる補助手すりです。
ステップ台の高さを12cmから18cmまで2cmごとに調整可能なため、利用者に合わせて使用できます。
サイズ | 本体:77.3×55.1cm 手すりの高さ:80~85cm 上がり框高さ:18~36cmに対応 |
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重量 | 36.7kg |
価格(税込) | ・介護保険利用時 負担額:588円/月 ・レンタル料:5,880円/月 ・販売価格:155,900円 |
玄関手すりの選び方ポイント
玄関手すりを選ぶ際には、以下の3つのポイントを参考にしてください。
- 利用者の身体状況と目的
- 設置場所と固定方法
- 手すりの材質と形状
利用者の身体状況と目的
まず、利用者が自立歩行できるか、介助が必要かを考慮することが大切です。
自立歩行の方には、バランスを取るための支えとなる横手すりが良いでしょう。一方、介助が必要な方には、しっかりと握って体を支えられる縦手すりや両手すりが適切です。
また、手すりの使用場面によっても選び方は異なります。玄関の上がり框での昇降が目的なら縦手すり、外階段や玄関ポーチなどの移動には横手すりやL型手すりが適しています。
設置場所と固定方法を確認
壁に手すりを設置する場合、壁の強度や下地の状態を確認する必要があります。
例えば石こうボードの場合、石こうボードだけでは強度が十分でないため、間柱や胴縁がある場所への固定が必須です。
また、賃貸住宅では退去時に現場回復が必要となるため、壁に穴を開けられない心配もあります。このような場合には、スタンド型の手すりが現実的な選択肢となるでしょう。
手すりの材質と形状
握りやすい太さや、滑りにくい表面処理がされている手すりを選びましょう。手すりの太さは直径32〜36mmが最も握りやすく、ラバー製や樹脂製の手すりは滑りにくく、手触りが良いとされています。
また、ステンレス製は、耐久性に優れており屋外使用にも適しています。
耐久性やメンテナンス性も考慮し、使用目的や期間に適した材質を選びましょう。
関連記事:手すりを選ぶ際のポイントと設置場所
介護保険を利用した玄関手すりの設置
介護保険を利用する場合はレンタルと住宅改修の2種類の方法を選べ、手すり設置にかかる費用を抑えられます。以下から、それぞれの特徴やメリットを紹介します。
手すりをレンタルする場合
介護保険を使って手すりをレンタルする場合、利用料の自己負担を1割(一定の所得以上は2〜3割)に抑えられます。
手すりをレンタルするまでの流れは、以下の通りです。
- 市区町村の窓口で要介護認定の申請をする
- 要介護認定を受ける
- ケアマネジャーによるケアプランの作成する
- ケアマネジャーや福祉用具貸与事業者と手すりを選定する
- 手すりの設置・使用説明を受ける
- 利用開始
利用開始後は、定期的に利用状況や適切な手すりかどうか、モニタリングが行われます。そのため、利用者に合わなければ手すりの返品や変更も可能です。メンテナンスや故障時の対応も事業者が行うため、安心して利用できる点がメリットです。
住宅改修する場合
介護保険を利用して手すりを設置する場合、住宅改修費用が一部補助されます。手すりの設置は、介護保険の「特定住宅改修」に該当し、要介護認定を受けた方が対象です。
支給限度額は生涯で20万円までで、自己負担は1割(所得によっては2〜3割)です。つまり、20万円の工事であれば自己負担は2~6万円ですみます。また、限度額内であれば複数回の申請も可能です。
住宅改修の流れは、次の通りです。
- ケアマネジャーに相談
- 施工事業者に見積もり依頼
- 市区町村に申請
- 改修工事の施工・完了
- 利用開始
市区町村への申請は工事前に申請し、承認を得る必要があります。また、工事完了後も、施工事業者へ支払いしたあと、領収書や施工前後の写真などの提出が求められます。
固定式手すりは耐久性が高く、長期間安全に使用できる点がメリットだといえるでしょう。
まとめ
玄関の手すりの設置は外出への不安を解消し、安全で自立した生活を送るために欠かせない対策といえます。利用者の身体状況や目的に応じて、適切な手すりを選びましょう。
手すりの設置には、壁に取り付ける方法と置き型の手すりを設置する方法があり、どちらも介護保険を利用することで自己負担額を軽減できます。レンタルは身体状況の変化に柔軟に対応でき、住宅改修は長期間の使用が可能です。
どちらもメリットがあるため、専門家と相談しながら、最適な方法を選択してください。