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介護用品レンタルは医療費控除の対象外!自己負担額を抑える方法を紹介
要介護の方にとって、介護用品は欠かせないものです。経済的な問題から、購入ではなくレンタルを検討する方も多いでしょう。
介護用品レンタルは医療費控除の対象外ですが、介護保険を利用すれば自己負担額を1~3割に抑えられます。
この記事では、介護用品レンタルの自己負担額を抑える方法や、医療費控除の対象となる介護サービスを解説します。
介護用品・福祉用具レンタルは医療費控除の対象外
注意点として、介護用品レンタルは医療費控除の対象外です。
医療費控除とは、医療費の支払いが一定額を超えたときに受けられる所得控除のことです。
1月1日から12月31日までに支払った医療費が対象となり、最高で200万円の控除を受けられます。医療費控除の対象者は自己、生計をともにしている配偶者・親族です。
医療費控除の対象となるものは、病院での治療費や入院費、入院に掛かった食事代や通院費などです。
医療費控除は所得税と住民税が安くなる制度であるものの、介護用品・福祉用品レンタルは対象外となるため注意してください。
介護用品レンタルには介護保険を利用できる
介護用品レンタルは医療費控除の対象外となっているものの、介護保険は適用されます。
介護保険を利用すれば、介護用品レンタル料を利用料の1〜3割まで自己負担額を抑えられます。
介護保険は車椅子や特殊寝台、手すりやスロープなども対象となっており、介護が必要な方やご家族がいる方は、経済的な負担を軽減できる可能性があります。
介護保険の仕組みや受ける条件、提供しているサービス、支給額など基本的なことは以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
医療費控除対象の介護サービス
介護用品レンタルは医療費控除の対象とならないものの、介護サービスすべてが医療費控除の対象外となるわけではありません。
具体的に以下の介護サービスは、医療費控除の対象です。
- 居宅サービス
- 居宅サービス(条件あり)
- 医療系施設サービス
- 福祉系施設サービス
ここでは、それぞれの介護サービスを詳しく紹介します。
1. 居宅サービス
居宅サービスは、医療費控除の対象となります。
具体的な居宅サービスの一例には、以下のものが挙げられます。
- 訪問看護
- 介護予防訪問看護
- 訪問リハビリテーション
- 居宅療養管理指導【医師等による管理・指導】
- 介護予防居宅療養管理指導
- 通所リハビリテーション(医療機関でのデイサービス)
- 介護予防通所リハビリテーション
- 短期入所療養介護(ショートステイ)
- 介護予防短期入所療養介護
参考:No.1127 医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価|国税庁
自宅で生活する人が受ける介護保険の介護サービスが対象となります。
自宅にホームヘルパーが訪問して日常生活や入浴の介護をしたり、リハビリテーションを行ったりするものが居宅サービスに該当します。
支払った費用はもちろん、サービスを受けるために掛かった交通費は医療費控除の対象です。
2. 居宅サービス(条件あり)
こちらの居宅サービスは、1で紹介した居宅サービスと併せて利用する場合のみ医療費控除を受けられるものです。
具体的な居宅サービスの一例は以下のとおりです。
- 訪問介護(※掃除や洗濯など生活援助中心型の介護は除く)
- 訪問入浴介護
- 介護予防訪問入浴介護
- 認知症対応型通所介護
- 短期入所生活介護
- 小規模多機能型居宅介護
- 通所介護
参考:No.1127 医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価|国税庁
食費・居住費は含まれないうえ、利用限度額の範囲内で支払った額のみが医療控除の対象となります。
1つ目に紹介した居宅サービスとは自己負担の範囲が異なるため、間違わないように注意しましょう。
なお、サービスを受けるためにかかった交通費は医療費控除の対象となります。
3. 医療系施設サービス
医療系施設サービスとは、要介護認定で要介護1から5の認定を受けた人のみが施設で受けられるサービスのことです。
日常的な医療サービスを受けられます。
以下の施設が医療系施設サービスに該当します。
- 指定介護老人福祉施設
- 指定地域密着型介護老人福祉施設
- 介護老人保健施設
- 指定介護療養型医療施設(療養型病床群等)
- 介護医療院
それぞれの施設の特徴や入居条件、月額費用などは異なりますが、基本的にはいずれも医療費控除を受けられます。
具体的には食費や居住費などの日常生活費はもちろん、特別なサービス費用も医療費控除の対象です。
ただし、控除の対象となる額は施設で異なるため、事前に確認しておきましょう。
4. 福祉系施設サービス
福祉系施設サービスでは、日常生活を送るうえで必要なサービスを受けられる施設です。
先ほど紹介した医療系施設サービスと併用することで、医療費控除を受けられます。
また、こちらも医療系施設サービス同様、要介護1から5の認定を受けた人に介護保険が適用されます。
対象となる福祉系施設サービスの一例は、以下のとおりです。
- 訪問介護(※掃除や洗濯など生活援助中心型を除く)
- 夜間対応型訪問介護
- 介護予防訪問入浴介護
- 通所介護(デイサービス)
- 地域密着型通所介護
- 認知症対応型通所介護
- 介護予防短期入所生活介護
買い物や掃除などの生活支援のほか、看護やリハビリなどのサービスが提供されています。
なお、いずれも医療費控除を受けるには「医療費控除の明細書」を確定申告書に添付して、管轄の税務署への提出が必要です。
医療費控除対象外の介護サービス
医療費控除の対象外となる介護サービスは、以下のとおりです。
レンタルだけではなく、購入も医療費控除の対象外となっています。
- 訪問介護(生活援助中心型)
- 認知症対応型共同生活介護
- 介護予防認知症対応型共同生活介護
- 特定施設入居者生活介護
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 介護予防地域密着型特定施設入居者生活介護
- 福祉用具貸与
- 介護予防福祉用具貸与
- 複合型サービス(生活援助中心型の訪問介護の部分)
- 地域支援事業の訪問型サービス(生活援助中心のサービスに限る)
- 地域支援事業の通所型サービス(生活援助中心のサービスに限る)
- 地域支援事業の生活支援サービス
上記は日常生活の世話であり、医療と関連性のあるサービスとは言えません。
したがって、医療費控除の対象外となります。
まとめ
介護用品レンタルは医療費控除の対象外です。
しかし、65歳以上の方で要支援・要介護状態であれば、介護保険で自己負担額を利用料の1~3割まで抑えられます。
また、介護用品レンタルは医療費控除の対象外であるものの、介護サービスは医療費控除を受けられる可能性があります。
条件を設けている介護サービスもあるものの、利用できれば医療費控除で所得税と住民税を抑えることが可能です。
まずは本記事で紹介した内容をもとにして、介護保険・医療費控除の対象とならないか調べてみることをおすすめします。