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加齢で起こる老眼の原因とは?視力が衰えるリスクや高齢者に多い目の病気なども紹介
加齢とともに筋力が低下したり、体重が減少したりするのは自然なことです。そのうちの1つの変化に、老眼が挙げられます。歳を重ねるごと、目を近づけても近いものが見えにくくなったり、文字がかすんで見えたりすることがあります。
この記事では、老眼の原因や視力が衰えることのリスク、病気などを解説します。
老眼の症状と原因
老眼になると、近くにある文字が見えにくくなったりかすんだりします。例えば、今まで見えていた距離から本や新聞が見えなくなり、30cm以上離さないと行けない場合は老眼の可能性があります。
また、目が疲れやすくなったり、頭痛や肩こりを感じたりした場合は、老眼の初期症状です。老眼は、目のピントを調整している力が衰えることで起こります。ピント調整の力の衰えは15歳頃から始まっていますが、一般的には40歳を過ぎる頃からピントを合わせにくくなり、老眼が起こります。
目が視える仕組み
目が見える仕組みは、カメラで映像を映す仕組みと似ています。外から入った光は角膜を通りますが、それらは虹彩・瞳孔で光の量を調整しています。そして、ピントの役割を持つ水晶体で光の屈折を変えて、網膜に到達する仕組みです。
水晶体は厚さで光の屈折を変えて、ピントを調整しています。近くのものをみるときは厚く、遠くのものを見るときは薄くなりす。しかし、年齢を重ねると水晶体は硬くなって厚くならないため、光を適正に屈折させることができません。その結果、近くのものが見えにくくなる老眼が起こります。
視力が衰えることのリスク
視力が衰えると、文字が見えにくくなるだけではありません。具体的には、以下のリスクがあります。
- 転倒
- 認知機能の低下
- やる気の低下
ここでは、それぞれのリスクを見ていきましょう。
転倒
視力の低下で外出することが恐くなり、歩く機会が少なくなります。これによって足腰の筋力が低下して、転倒する可能性が高くなります。
高齢者の場合は転倒して骨折をすると、そのまま寝たきりになるケースも少なくありません。視力低下は、寝たきりの間接的な原因の1つともいえます。
認知機能の低下
目は脳につながる感覚器官であり、目から入ってくる情報は多いものです。しかし、視力低下で情報量は少なくなり、外出機会の減少もあって脳に入る情報はさらに少なくなります。
その結果、脳への刺激が減って認知機能の低下を招き、認知症のリスクが高まります。実際、最近の研究では目や耳が良い人は認知症になりにくいことがわかっています。視力の悪い人はいい人と比べて、2倍の発症リスクがあるというデータもあります。
やる気の低下
目が悪くなると気持ちが暗くなってしまい、やる気が起きなくなってしまうことがあります。
また、視力低下で得られる情報が少なくなるため、趣味に興味がなくなったり、生活範囲が狭くなったりします。今まで通り物事に取り組めなくなるため、挑戦するのが億劫になることもあります。
高齢者に多い目の病気
老眼は病気ではありません。加齢による生理現象の1つであり、誰でも起こるものです。
老眼よりも注意すべきなのが、以下の病気です。
- 白内障
- 緑内障
- 加齢黄斑変性症
これらは高齢者に多い目の病気であり、見え方に大きく影響します。それぞれの病気を詳しく見ていきましょう。
白内障
白内障とは、加齢とともに水晶体が白く濁って視力が低下する病気です。通常は透明な水晶体が白く濁ることで、光が眼底に届かず以下の症状が起こります。
- 視界がかすむ
- 視力が低下する
- 光が眩しく感じる
白内障の最も多い原因は、加齢によるものです。加齢で引き起こされる白内障は、加齢性白内障とも呼ばれます。
緑内障
緑内障とは、眼圧が異常に高くなることで視神経が傷つき、視力が低下したり視野が狭くなったりする病気です。
視神経が傷つき、視覚神経刺激の機能が低下することでさまざまな症状が起こります。なお、眼圧とは眼球内部の圧力のことで、目の形状を維持しているものです。眼圧が高いと、目が硬いことになります。
また、緑内障には慢性型と急性型、正常眼圧型があります。慢性型緑内障の場合は、10年〜20年の時間でゆっくりと進行するため、40代以降で発症する割合が高くなります。
加齢黄斑変性症
加齢黄斑変性症とは、加齢に伴い網膜の中心に出血や浮腫が起こり、視力が低下する病気です。中心がぼやけたり、かすんでみえたりします。
放置すると悪化し、最悪の場合は失明の原因にもなります。完治が難しく、治療目標は現状のやや改善・維持、進行を遅らせることです。ただし、必ずしも失明するわけではないため、しっかりと治療をすることが大切です。
転倒による骨折などで介護が必要になったら介護保険の利用を検討しよう
「視力が衰えることのリスク」でも紹介したように、視力が低下すると転倒リスクが高くなります。特に高齢者の場合は骨折から寝たきりになるケースが多く、介護が必要になることもあります。
その場合は、介護保険の利用を検討しましょう。介護保険を利用すれば、寝たきりや認知症などの介護でかかる、介護サービスの費用の一部を保証してもらえます。
介護保険については、以下の記事で詳しく解説しています。
介護保険とは|仕組み・サービス・利用の流れを解説
介護保険レンタルの流れ
介護保険の利用で、福祉用具のレンタルができます。
福祉用具をレンタルするまでの流れは、以下の通りです。
- ケアマネージャーもしくは地域包括支援センターに相談
- 福祉用具貸与事業者を選定して、ケアプランの作成
- 福祉用具専門相談員が訪問して、用具の選定・提案
- 事業者が用具を納品して利用者の適合状況の確認
- 用具が決定後、利用者と福祉用具貸与事業者の契約
- レンタルの開始
なお、介護保険でレンタルできる種目は決まっています。また、紙おむつやおしりきふきなどの介護用品は、介護保険のサービスの対象とはなりません。介護保険については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
転倒予防に役立つ介護用品
手すりです。手に馴染みやすく安定感があるため転倒防止に効果があります。玄関の段差や廊下、部屋の広さに合わせて選択できるため、使用場所を選びません。屋外に置くことも可能です。
3点杖です。四点杖よりもコンパクトであるため、歩行の妨げになりません。また、プッシュボタン式伸縮型となっており、身長に合わせて使用できます。使用しないときは短くしてコンパクトにすることもできます。
歩行器です。片方だけのブレーキ操作で両降臨を制御できるうえ、コンパクトであるため、安全で使いやすくなっています。さらに傘たてや収納バックが付いており、買い物時にも便利です。
まとめ
老眼は目のピント調整力が衰えることで発生するものです。老眼になると文字がかすんで見えたり、目を近づけても以前よりも文字が見えにくくなります。
老眼自体は誰にでも起こり得ることですが、視力が衰えると転倒や、やる気の低下などに繋がります。また、高齢者の場合はそもそも老眼ではなく、白内障や緑内障を起こしている可能性もゼロではありません。目の違和感を感じたら、早めに診療を受けましょう。
なお、もしも転倒で骨折をして介護が必要になった場合は、介護保険の利用を検討してみてください。