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入浴介助とは|手順や注意点、おすすめの介護用品を紹介
- 入浴介助とは
- 入浴介助前に確認すべきポイント5つ
- 入浴介助時に必要なもの
- 入浴介助の手順
- 入浴介助における注意点
- 入浴介助を嫌がる理由を知っておこう
- 入浴時に介護用品を使うメリット
- 一人で入浴する際におすすめの入浴用具
- 介助されて入浴する際におすすめの入浴用具
- 入浴前に環境を整えましょう
- まとめ
入浴介助とは
入浴介助とは自分で入浴ができない人に対して、体を洗ったり着替えを手伝ったりするなど、入浴の一連の動作をサポートすることです。 入浴介助の目的は、主に以下の3つです。- 体を清潔に保つ
- 床ずれや感染症を防ぐ
- 爽快感によりリラックスできる
- 一般浴
- シャワー浴
- 中間浴
- 機械浴
入浴介助前に確認すべきポイント5つ
- 適切な入浴方法を把握する
- 体調確認を行う
- 浴室と脱衣所を温めておく
- 入浴前に十分な水分補給を行う
- 皮膚状態を確認する
1.適切な入浴方法を把握する
適切な入浴方法は、介助を受ける方の介護度や好みなどによって異なります。 たとえば歩行に不安がある人は、シャワーキャリー(入浴用車いす)の利用がおすすめです。 またお湯の温度や体を洗う順番なども、人によってこだわりがあります。 ひとりひとりにあった適切な入浴方法が、疲労回復やリフレッシュ効果などをより高めてくれます。 逆に不適切な入浴方法は、事故の危険性やかえって疲れてしまう可能性があることを理解しておきましょう。2.体調確認を行う
入浴介助前に、介助を受ける方の体調を確認することは非常に重要です。 なぜなら体調が悪い状態で入浴すると、容体が急変する可能性があるからです。 たとえば風邪をひいている場合は、入浴は中止して清拭に変更したり、血圧が普段より高い場合はシャワー浴にしたりするなど検討しましょう。 体調確認のチェックポイントは、以下のような点です。- バイタル測定で普段と大きな違いはないか
- つらそうな表情をしていないか
- 睡眠は十分に取れているか
- 食事量や水分量は十分か
- いつもと違う言動はないか
3.浴室と脱衣所を温めておく
浴室と脱衣所をあらかじめ温めておくことで、ヒートショックを予防できます。 ヒートショックは急激な温度差で血圧が上下し、心臓や血管に負担がかかります。最悪の場合、命の危険がともなう症状です。 ヒートショックをはじめとした入浴時の死亡者数は交通事故死者数の2倍で、身近な危険となっています。 とくに高血圧の場合は、急激な温度変化による血圧変動が大きく、心臓に大きな負担がかかるため注意が必要です。 出典:政府広報オンライン「交通事故死の約2倍?!冬の入浴中の事故に要注意!」 ヒートショックについてはこちらをご覧ください。 関連記事:ヒートショックとは|症状や入浴時、トイレ時の対策を分かりやすく解説4.入浴前に十分な水分補給を行う
入浴前には必ず十分な水分補給をしてもらいましょう。 具体的には、入浴の15〜30分前が効果的です。なぜなら水分は補給後、体内に行き渡るまで時間がかかるからです。 十分な水分補給ができない場合、血液がドロドロになります。その結果、脳梗塞や心筋梗塞などのリスクが上がり、入浴中の急変につながるので注意しましょう。5.皮膚状態を確認する
入浴介助は、全身観察できる数少ない機会なので、皮膚の状態をしっかり確認しましょう。 とくに寝たきりの人の場合は、仙骨部など骨の突出した部分に褥瘡ができやすいので注意深い観察が大切です。 皮膚の乾燥や湿疹などが早めに発見できれば、皮膚科に相談して軟こうを処方してもらいましょう。また皮膚の状態を観察することで、普段の介助方法を見直すきっかけにもなります。 たとえば褥瘡の場合は、排泄や体位交換が適切に行えてないかもしれません。そのほかあざや内出血は、介助者が介助の際につかんだり、どこかにぶつけたりしている可能性も考えられます。 可能であれば入浴介助ごとに全身の状態を記録しておき、いつ皮膚に変化が起きたかわかるようにしておくのがおすすめです。入浴介助時に必要なもの
入浴介助時に必要なものと、それぞれの使用用途は以下のとおりです。必要物品 | 使用用途 |
---|---|
フェイスタオル | 顔や髪の毛を拭く(体を洗う場合もある) |
バスタオル | 体を拭く、着替える際に体にかける |
転倒防止マット | 転倒防止のために浴室や浴槽に設置する |
シャワーキャリー | 歩けない人が乗ったまま体が洗える |
保湿剤や軟こう | 乾燥や湿疹のある人たちに塗る |
オムツやパッド | 入浴時は新しいものに交換する |
着替え | 利用者の好みに応じて準備する |
ゴム製のサンダル | 浴室内で滑らないために装着する |
防水エプロン | 介助者がぬれないように着る |
手袋 | 排せつ対応や感染症対応で使用する |
入浴介助の手順
入浴介助は以下の手順で行います。- 介助を受ける方の情報や体調の確認
- 浴室環境や着替えなどの準備
- 入浴の声かけと浴室までの誘導
- 必要であれば洗身や洗髪の介助
- 全身チェックや入浴中の状態を把握
- 入浴後は水気を取り体が冷えないように注意
- 必要に応じて保湿剤や軟こうを塗布
- 浴室から出たら水分補給と再度体調確認
- あらかじめお湯を出して浴室を温めておく
- 入浴介助に使う道具を手の届く範囲に置く
- こまめに片付けながら介助する
- 介助を受ける方ができることは可能な限りやっていただく
- 必要な場合はほかの人の手も借りる(家族や介護職員など)
入浴介助における注意点
入浴介助には、以下のような注意点があります。- プライバシーに配慮する
- できることは自分でやってもらう
- シャワーのお湯を直接当てない
プライバシーに配慮する
入浴介助では、介助を受ける方は裸で介助者は服を着ています。そのため、介助者が思っている以上に介助を受ける方は恥ずかしさを感じます。 プライバシー保護の観点から入浴介助の際は、以下のことに注意しましょう。- カーテンやドアは必ず閉める
- 服の着脱の際はタオルで肌を隠しながら行う
- 声かけしながらひとつひとつの介助を丁寧に行う
- 入浴後は速やかに体を拭いて服を着られるよう手伝う
- 可能であれば同性介助にする
できることは自分でやってもらう
プライバシーに配慮して素早く行うことは大切ですが、介助を受ける方ができることを奪いすぎないことが重要です。なぜなら、自分で行うことがリハビリとなり、生活機能の維持につながるからです。 たとえば以下のようなことは、介助を受ける方にできるだけやっていただきましょう。- 手の届く場所は自分で洗ってもらう
- 手の届く場所は自分で拭いてもらう
- 時間がかかっても自分で服を着てもらう
シャワーのお湯を直接当てない
介助を受ける方は、寝たきりや老化などによって皮膚が弱っています。そのため、直接シャワーのお湯を肌に当てることはやめましょう。 急にお湯がかかることでびっくりするだけでなく、水圧によって肌が傷つく恐れもあります。 シャワーを使う際には、介助者の手を介してお湯をかけるようにしましょう。手を介することで、水温を確かめつつ水圧を弱めることができ、安全にシャワー浴が行えます。 はじめは違和感がありますが、意識して続けていくと自然にできるようになるので心配いりません。入浴介助を嫌がる理由を知っておこう
入浴介助で課題に挙がるのが、介助を受ける方の入浴拒否です。 入浴を嫌がる理由には、以下のようなことが考えられます。- 入浴を理解できていない
- 脱衣に抵抗がある
- 体調が優れない
入浴を理解できていない
認知症症状により、入浴することを理解できないことが考えられます。 よくある事例として、前回の入浴日を覚えていないことや入浴はすでに済んでいるという勘違いなどです。 こういった場合は、まずは丁寧に状況を説明し、これから入浴するということを伝えることが大切です。認知症の人でも、説明すれば理解できることもあります。 それでも断られるときは、時間を変えたり声をかける人を変えたりなど試してみましょう。脱衣に抵抗がある
服を脱いで裸になることへの抵抗から、入浴介助を嫌がられている可能性があります。 裸を見られることに抵抗があるのは人間誰しもあることなので、まずはその気持ちを理解しましょう。 また、服を脱ぐと盗られてしまうという不安を感じている場合もあります。 このように脱衣に抵抗がある人に対しては、介助者は介助を受ける方の味方であり、スムーズに入浴ができるよう手伝いますという意思表示が必要です。 ただし、どうしても嫌がる場合は無理をせず、時間を空けたり翌日に振り替えたりするなど臨機応変な対応が求められます。体調が優れない
体調がすぐれないと入浴する気は起きません。 しかし、認知症や加齢によって体調不良をうまく伝えられない場合が考えられます。 介助を受ける方の体調を見極めるには、以下のようなポイントがあります。- 落ち着きがない
- イライラしている
- 表情が険しい
- 普段できることができない
- テーブルにうつ伏せたり横になったりすることが多い
入浴時に介護用品を使うメリット
- 事故を防ぎ安全に入浴できる
- 浴槽に負担なく入れる
- 介助者の負担が軽くなる
- 浴槽の深さを調節できる
- 立ち座りが楽になる
ヤマシタではさまざまな入浴用の介護用品を取り扱っており、介護保険を利用すれば1割負担で購入できるので、お気軽にお問い合わせください。
営業所は安心の365日体制。
お客様のご相談、ご要望にスピーディーに対応します。
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メールは365日24時間受付
受付時間 9:00~18:00
一人で入浴する際におすすめの入浴用具
-
バスボード
浴槽のまたぎが不安な方におすすめです。ボードの上に腰掛けてから浴槽内に移動し、ゆっくり入浴することができます。 -
シャワーチェア
浴室での立ち座りが楽になる福祉用具・介護用品です。肘掛けが跳ね上がったり座面が回転するタイプもあり、用途に応じて選べます。折りたたみができるタイプもあります。 -
浴槽内いす
浴槽が深くてまたぎが大変な際に使用します。そのまま浴槽内で腰掛けることで、立ち座りも楽になります。 -
浴槽用手すり
浴槽の縁に取り付ける手すりです。浴槽内で姿勢が不安定な方は内グリップが付いたタイプをおすすめします。
商品選びに迷ったら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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受付時間 9:00~18:00
介助されて入浴する際におすすめの入浴用具
-
座面シートが
浴槽に設置するタイプの入浴用リフトです。シート部分が昇降することで、浴槽内の立ち座り動作をサポートし、浴槽への出入りを安全におこなうことができます。
昇降するリフト -
つり具が必要なリフト
介護保険で利用できる入浴用リフトは、床や壁にネジや釘を使用しないので、簡単に設置することができます。
-
シャワーキャリー
居室で脱衣してから、浴室に移動し、そのままシャワーを浴びることのできる福祉用具・介護用品です。シャワーキャリを使用することで、浴室での車いすからの乗り換えが不要になり、介助負担が軽減されます。 -
入浴用介助ベルト
入浴の際に、持ち手のついたベルトを介助を受ける方に装着することで、立ち上がりや移動の介助が楽になります。 -
簡易浴槽
浴室まで移動が困難な場合はお部屋の中で入浴できる簡易浴槽という福祉用具・介護用品もあります。
入浴前に環境を整えましょう
浴室に入る際に段差などがあり、敷居をまたぐことが難しい場合には、すのこを敷きましょう。浴槽の深さを調節する浴槽内すのこもあります。
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まとめ
入浴介助は介助者にとって負担が大きいだけでなく、介助を受ける方にとっても事故や急変などのリスクがあります。そのため、正しい手順や注意点を理解した上で介助することが大切です。 また入浴用の介護用品を使うことで、安全で負担のない介助ができます。 ぜひ本記事で紹介した介護用品を使い、介助者も介助を受ける方も安心で快適な入浴を実現してください。
ライター
津島武志
介護福祉士
介護業界17年目の現役介護職。介護リーダーや管理職の経験もあり、現在は地方法人のグループホームに勤務。現役の介護職以外に、各種メディアでWebライターとしても活動しています。主な保有資格は、介護福祉士、介護支援専門員、社会福祉士など。