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高齢者が食べても痩せる原因とは?痩せることで生じるリスクや体重減少を防ぐ方法を紹介
高齢の方には、食べても体重を維持できず、痩せていく人がいます。
高齢だから仕方がないと諦めていると、その体重の減少には別の原因があり、身体が注意信号を発しているのかもしれません。
特に急激な体重の減少は、あなたの運動機能の低下や病気などのリスクを秘めています。
この記事では、高齢者が痩せる原因やリスク、体重の減少を防ぐ方法を解説します。
自然な体重減ではなく、急激な体重減少がある方は特に見ていただきたい内容です。
高齢者が食べても痩せる原因
高齢者が食べても痩せる原因はいくつか考えられます。
病気の治療ややせ型の体質の方が体重を管理しながら痩せている場合は問題ありませんが、6か月で以前の体重に比べ、現在の体重が5%以上または4.5kg以上減少していれば、要注意です。
食べてるのに痩せる原因をつかむには、次のような4つの項目でチェックしましょう。
- 低栄養
- 食事量の減少
- 病気や薬の影響
- ストレス
食べても痩せる高齢者の体重減少が続けば、健康を害している危険なサインを出している可能性があるため、ひとつずつ確認していきましょう。
低栄養
低栄養とは、健康的で活動的に生きるために必要な栄養量が不足している状態をいいます。
加齢による筋肉量や筋力の低下の減少に伴い、食欲の低下や嚙む力むや飲み込む力といった口腔機能の低下により食事を摂りにくくなることが主な原因です。
低栄養の高齢者は、要介護状態で寝たきりになる大きな原因となっています。
低栄養になると、免疫機能が低下し感染症を引き起こし、認知機能が低下する、骨折しやすくなるなど健康を阻害する要因のひとつです。
食事量の減少
食事量の減少も食べても痩せる原因のひとつです。
高齢になり新陳代謝の低下とともに運動不足になり、筋肉量が減ると、空腹感が減り、食欲が低下します。
食欲が低下すると、食べたいときだけ食べるという生活となり、摂取する食事量が減ったとしても、結果として食事を多くとらなくても生活できるようになります。
自分では食べているつもりでも、最低限の食事量となっているため、体重の減少につながっているのです。
病気や薬の影響
病気や薬の影響も、食べても痩せる原因のひとつです。
特に注意したい病気は、アルツハイマー型認知症と消化器系の病気で、食べたことを忘れたり食事を取らなかったり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍といった疾患でも食欲の低下につながります。
さらに潰瘍性大腸炎になれば腹痛や下痢が続き、食べても体重の減少につながります。
また体調を維持するために服用する薬によっては、副作用で食欲不振になる場合もあるため注意が必要です。
体重の減少が続くなどの異常を感じた場合は、医師に相談することが大切です。
ストレス
体重減少の原因として見落とされやすいのが、精神的ストレスによる影響です。
高齢化社会が進み、高齢者の一人暮らしの増加とともに、社会との関わりが減り、孤独感が増すことでストレスが溜まり、食事に対する関心がなくなるというケースです。
さらには介護を必要とする高齢者への支援不足や経済的困窮による食費の圧迫もストレスとなり、食事回数の減少につながります。
高齢者が社会や人との関わりが減ることで孤独な生活が続き、やがてはストレスとなり、食欲低下から体重減少につながるのです。
高齢者が痩せることのリスク
高齢者が痩せることのリスクは、健康な状態から要介護状態に近づくフレイル(虚弱状態)
になることです。
急激な体重減少は、身体機能の低下につながり、フレイルを加速させるため注意が必要です。
高齢者が痩せることで高まるリスクは次の4つ。
骨折のリスクが高まる
骨折のリスクが高まり、日常生活での行動範囲が限られてしまう危険性があります。
低栄養で痩せた高齢者は、骨折しやすい身体になる可能性が高く、長期の入院などでさらに身体機能が低下するといったリスクが高まります。
骨折に伴う高齢者の長期入院や療養は、ベッド上での生活を余儀なくされるため、嚥下機能や認知機能など全身の機能が低下する可能性が高まる引き金になるのです。
骨折のリスクが高まると、行動に支障を生じるだけでなく、身体機能が低下し寝たきりになる可能性が高まることを覚えておく必要があります。
体力の低下
痩せることで筋力が低下することで、体力が低下し、疲労を感じやすくなります。
疲労を感じやすくなると活動量の低下とともに食欲が減り、体重が減少するといった負のループに陥り、体力の低下に歯止めがきかなくなります。
高齢者の体力の低下は、身体機能の低下につながり、介護が必要となる寝たきりの状態になるといったリスクを秘めているのです。
高齢者が痩せると、筋力の低下に伴う体力の低下、続いて疲労感の蓄積、身体機能低下、寝たきりになるリスクがあることを知っておきましょう。
免疫力の低下
高齢者が痩せることのリスクのひとつになるのが、免疫力の低下です。
体重の減少は免疫機能を低下させ、ウイルスや細菌などの感染に対して抵抗力が弱くなることで、感染症や病気にかかりやすくなります。
特に感染症を発症すると、重症化するリスクも増え、生命に関わる可能性があるため、体重減少は軽視できないのです。
免疫力の低下は、感染症を発症しやすく、慢性疾患になるなど、健康的な生活を阻害する要因になるのです。
嚥下障害
嚥下障害も高齢者が痩せることのリスクです。
体重の減少は、口や舌、顎といった食べるために必要な筋力が低下するといった嚥下機能が低下します。
嚥下機能が衰えば、食べ物を噛む、飲み込む力が弱まり、思うように食べられなくなり、栄養状態が悪くなってきます。
高齢者の栄養状態が悪化すれば、体力や免疫力の低下などの身体機能に影響を与え、誤嚥性肺炎発症の可能性が高まるため、注意しなければなりません。
体重減少を防ぐ方法
高齢者の体重減少を防ぐ方法を3つ紹介します。
主なポイントは、食事の質や量の改善、高カロリーの摂取、適度な運動です。
高齢者の体重減少を防ぐためには、生活習慣を見直し、年齢に見合った食事に見直すことが大切です。
エネルギーとタンパク質を摂取できる食事
エネルギーとタンパク質を摂取できる食事を心掛けることが体重減少を防ぐ方法のひとつです。
高齢になると摂取する食事量が減りやすく、必要なエネルギーやタンパク質が不足しがちになります。
高齢者が体重を増やすためには、1日に必要なエネルギーやタンパク質の量を考えて摂取できる食事が大切です。
- タンパク質・・・肉類、魚介類、乳製品、大豆類
- 炭水化物・・・ごはん、パン、麺類(適量)
- ビタミン・・・野菜、果物、レバー、海藻
- ミネラル・・・牛乳、乳製品、レバー、魚介類、海藻
バランスのとれた食事を心がけることが大切です。
少量で高カロリーの食事
少量で高カロリーの食事も高齢者の痩せすぎを予防するためには必要です。
エネルギーやタンパク質を摂取した食事を毎日の基本とし、高カロリーの食事を少量でも摂ることで、栄養を補えます。
- 卵
- チーズ
- ヨーグルト
- サバ缶
- ツナ缶
- プリン(間食)
- カステラ(間食)
ただし、糖尿病の方は少量であっても高カロリーの食事で血糖値が上がる可能性があるため、医師の指示のもとで食事方法を考えていく必要があるでしょう。
適度な運動で筋肉量を保つ
適度な運動で筋肉量を保つことも食事と同様、体重減少の大切な予防策です。
日常生活の中で適度な運動を積極的に取り入れることにより、筋力量を維持しながら体力を保つことが大切です。
筋トレのようなハードな運動は筋肉が疲労し痩せやすくなるため、体操やウォーキング、軽いジョギングといった有酸素運動を定期的に無理なく行えば筋肉量を保てます。
自分に合った運動を時間を決め、無理のない範囲で行うことが長期的にみると効果的です。
まとめ
高齢者が食べても痩せる原因は、加齢だけでなく、栄養面や病気などさまざま考えられます。
特に普段通りに食べていても、急激に体重が減少している場合は要注意です。
体重が減少すると、高齢者ならではの身体機能低下が加速して起き、介護が必要になり、寝たきりの生活になるかもしれません。
体重の減少は自覚症状がない場合もあるため、定期的な受診による早期発見と早期な生活習慣改善が必要になります。
高齢だから仕方がないと諦めず、別の原因を突き止めることも大切です。