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認知症と診断されるのはどんな時?初期症状6種類と日常で行える予防法を解説!
最近家族の様子がおかしいことに気づいたものの、その理由がわからないという方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、様子の変化は認知症が原因かもしれません。
そこで本記事では、認知症の初期症状について解説します。
あわせて、診察や診断を受けたい場合の対応方法、日常生活で行える認知症予防についても解説します。
大切な家族の様子が普段と異なり、不安を抱えている方は、ぜひ参考にしてください。
認知症の初期症状チェックリスト
一緒に暮らす家族を見ていて「最近何となく様子がおかしい」と違和感があったとすれば、認知症が原因かもしれません。
認知症の初期にあらわれやすい症状は以下のとおりです。
- 記憶障害
- 見当識障害
- 実行機能障害
- 理解力・判断力・集中力の低下
- 感情の変化(うつ状態)
- 性格の変化
初期症状を知っておけば、早期の診断にむすびつけたり、適切に対策したりできます。
以下で認知症の初期症状を解説していきますので、それぞれ見ていきましょう。
記憶障害
認知症になると、記憶する機能を担う「海馬」という脳の部位が萎縮します。
海馬が萎縮すると起こるのが、記憶障害です。
記憶障害によってあらわれる症状は、以下のとおりです。
- 新しいことが覚えられなくなる
- 直前のできごとを忘れてしまう
たとえば、買い物へ行くと「何を買おうとしていたか」を忘れてしまい、同じ物を何度も買ってしまうことがあります。
予定や約束を忘れてトラブルを起こしたり、物の置き場所を忘れて何度も探しはじめ、まわりの人を巻き込んだりすることもあるのです。
記憶障害の特徴は、「体験そのもの」を忘れてしまうことです。
「朝は何を食べたか?」の問いに対し、「何を食べたか」を忘れるのは単なるもの忘れですが、記憶障害の場合「朝食をとった事実」すら覚えていません。
こういった忘れ方をしていたら、認知症の記憶障害を疑ってみましょう。
見当識障害
見当識とは、以下に示した要素を正確に把握する能力のことです。
- 今はいつなのか(時間)
- ここはどこなのか(場所)
- 目の前にいる人は誰なのか(人物)
見当識障害になると、時間・場所・人物などを正確に把握できなくなってしまいます。
時間の見当識障害が起こると、昼夜が逆転したり、季節にそぐわない服を着たりするようになります。
場所の見当識が低下すれば、道に迷って外出先から戻れなくなることもあるでしょう。
人物がわからなくなると、家族の顔が認識できず他人行儀で接したり、泥棒と勘違いしたりしてしまうこともあります。
早期にあらわれやすいのは、時間の見当識障害です。
ゴミ収集の日がわからなくなって当日に捨てられず、家の中にたまるため、まわりの人が「何か変だ」と気づくケースがあります。
実行機能障害
実行機能とは、目標に対して順序を考えて計画を立てたり、複数のことを同時に行ったりする能力のことです。
実行機能障害があらわれると、次に何をしたらよいかわからなくなってしまいます。
そのため、予想外のできごとが起こると対応できず、混乱してしまいます。
たとえば料理でカレーを作る場合、以下のように進める方が多いのではないでしょうか。
- 煮込むための鍋に水を入れ、火にかけておく
- お湯が沸く前に、食材を切ったり炒めたりして下準備する
- お湯が沸き、下準備が済んだ食材を煮込む
- 調味料やカレールウを入れ、味をととのえる
- 盛り付ける
実行機能障害があると上記の流れがイメージできず、どの順番で行えばよいのかがわかりません。
そのため、普段と変わった味であったり、必要な食材が入っていなかったりすることがあります。
理解力・判断力・集中力の低下
理解・判断・集中をしにくい場合、以下のような症状があらわれます。
- 理解力の低下:テレビの内容がわからず家族と話がかみ合わない、リモコンや洗濯機などの家電製品をうまく扱えなくなる
- 判断力の低下:善悪の判断がつきにくくなり、店の物の支払いをせずに持ってくる、契約内容を確認せずに印鑑を押してしまう
- 集中力の低下:ものごとに集中できずミスが増え、車の運転で事故を起こす、疲れやすくなってなにごとも最後までできなくなる
失敗が増えるため、様子の変化に家族が違和感を覚え、認知症が疑われるようになるのです。
感情の変化(うつ状態)
気持ちの落ち込み、意欲の低下、ものごとへの無関心などが見られるようになります。
具体的には以下のとおりです。
- 食欲がなくなり徐々に痩せる
- 散歩やカラオケなど、好きな活動に興味を示さなくなる
- 髪や服装などが乱れていても、気にしなくなる
- 疲れやすく、寝ているばかりになる
感情の変化が起きてうつ状態になると、活動的に過ごせなくなります。
寝ている時間が長くなるため、エネルギーをあまり消費しなくなり、食欲がわきません。
そのため、食事の量が減って痩せてしまい、体力がなくなってしまいます。
徐々に疲れやすくなって寝ている時間が増えるため、より活動量が減ってしまいます。
なんとなく元気がない場合、感情の変化が起きているかもしれません。
上記の悪循環が起きないように、注意深く様子を見ましょう。
性格の変化
認知症になると、性格が変わる人もいます。
- 穏やかだった人が怒りやすくなる
- 機嫌を損ねやすくなる
- 大きな声をあげる
- 暴力をふるう
- 気分のムラが大きくなる
上記のような変化があげられます。
性格が変わる理由は、記憶障害や見当識障害によってわからないことが増えたせいで、不安な気持ちになるからです。
不安をうまく表現できず、感情をぶつけたり暴力をふるったりするのです。
性格が変化したと感じた場合、以下の症状が一緒にあらわれていないかどうか見てみましょう。
- もの忘れが増えた(記憶障害)
- 失敗が増えた(実行機能障害)
- まわりの人と時間の感覚が異なるようになった(見当識障害)
上記の症状が一緒にあらわれていれば、認知症かもしれません。
認知症が疑われた場合の対応方法
「うちの人は認知症かもしれない」と思ったら、まずは病院を受診し、以下の診療科で検査・診断してもらいましょう。
- 神経内科
- 脳神経外科
- 精神科
- 心療内科
- もの忘れ外来
上記の診療科では、脳の画像検査や、質問による認知症の検査などをしてもらえます。
医療機関の受診以外には、市区町村にある「地域包括支援センター」への相談もしておきましょう。
認知症の方や家族が、安心して暮らすためのサービスや制度を紹介してもらえます。
日常生活でできる認知症予防
認知症を予防したり、症状を遅らせたりすることは可能です。
しかし、正しい方法で継続しなければ効果は期待できません。
以下で、認知症の予防法を紹介しますので、ぜひ実践してください。
- 規則正しい食事:一日三食をしっかりとり、カロリーは抑える
- 運動の習慣づけ:ウォーキング・水泳などの有酸素運動や、足腰の筋力を強化する
- 睡眠:5時間以上7時間未満程度の睡眠をとる
- 病気の予防:糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病を予防する
- 減酒・禁煙:酒は適量にし、たばこをやめる
- 趣味や生きがいの獲得:楽しみをもち、いきいきとした生活をおくる
- 社会との接点:人と交流して脳を刺激する
ひとりで実践しようとすると、なかなか続きません。
家族や友人と手を取り合い、みんなで認知症を予防していきましょう。
認知症の種類によって症状は異なる
認知症にはいくつか種類があり、それぞれ症状が異なります。
代表的な認知症の種類と症状は、以下のとおりです。
- アルツハイマー型認知症:記憶障害からはじまりやすく、見当識障害や実行機能障害が徐々にあらわれる
- 脳血管性認知症:できることとできないことの差が激しい(症状がまだらにあらわれる)
- レビー小体型認知症:身体の動きにくさ(パーキンソニズム)、幻覚など
- 前頭側頭型認知症:人格の変化、社会性の欠如、同じ行動の繰り返しなど
種類と症状を知っておくと、認知症かどうか判断しやすくなり、受診・診断への流れがスムーズになります。ぜひ参考にしてください。
まとめ
認知症が疑われる初期症状は数多く存在します。
どのような症状があるか知っておけば、早期の受診・診断へとつながる可能性があるため、ぜひ知っておいてください。
また、認知症と診断されても、当事者や家族だけで悩みを抱える必要はありません。
主治医や地域包括支援センターに協力してもらえば、適切な医療や介護サービスを受けられます。
抱え込まずに、相談・活用していきましょう。