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脊髄小脳変性症とは?利用できる介護保険サービスも紹介

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脊髄小脳変性症は運動失調を主要な症状とする神経変性疾患をいい、患者数は全国で約3万人超ともいわれています。小脳は後頭部の下方にあり、運動、知覚、平衡感覚、筋肉調節を担うため、小脳がダメージを受けると歩行が困難となったり、ろれつが回らずコミュニケーションに障害が現れます。
患者のうち遺伝によるものは約1/3程度であり、多くは孤発性の脊髄小脳変性症(遺伝性ではない)が占めていますが、発症に至る原因やメカニズムについては未だ不明な点も多く現在でも研究が続けられています。
現在、多系統萎縮症を除く脊髄小脳変性症は難病に指定されています(指定難病18)。

脊髄小脳変性症とは

脊髄小脳変性症は影響を及ぼす様々な神経変性疾患の総称です。
小脳の障害により運動機能の調節がうまくできず、日常生活のいろいろな場面で影響を及ぼします。

脊髄小脳変性症の原因

脊髄小脳変性症は遺伝性と非遺伝性(孤発性)に分類されます。
患者の約1/3を占める遺伝性脊髄小脳変性症の主な原因は遺伝子の変異によるものであり、脊髄小脳変性症には異なる遺伝子であっても共通する変異がみられるという特徴があります。

脊髄小脳変性症の主な症状

脊髄小脳変性症では、以下のような小脳に起因する様々な部分の運動障害がみられます。

  • 歩行時のふらつき
  • 立位保持の困難やめまい
  • 物がうまく持てない
  • ろれつが回らずうまく話せない

いずれの症状も比較的ゆっくりと進行します。

脊髄小脳変性症の治療とリハビリ

脊髄小脳変性症の治療とリハビリのイメージ

脊髄小脳変性症において、現段階では完治が望める治療や進行を止める治療はなく、症状を和らげる対処療法とQOL(生活の質)を維持するためのリハビリテーションが行われています。

疾患による運動障害に対し、甲状腺ホルモンに刺激を与える「甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン誘導体(TRH)」を服用します。甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)は神経伝達物質に作用し神経細胞を活性化するため、歩行や会話などの日常生活動作の改善が期待できます。

脊髄小脳変性症のリハビリは理学療法と作業療法をバランスよく取り入れられています。

理学療法的なリハビリテーション

  • バランス訓練
  • 筋力トレーニング
  • 歩行/走行練習
  • 床上動作訓練
  • 関節可動域訓練

理学療法では必要に応じて下肢などに負荷をかけ、手足の感覚を意識しながら行います。

作業療法的なリハビリテーション

  • 体幹コントロール
  • 頭〜頸部の可動性
  • 発声/会話訓練
  • 書字動作訓練
  • 生活動作訓練
  • 眼球運動訓練

作業療法では、生活動作を維持する筋力や呼吸法などを意識して行います。

脊髄小脳変性症は介護保険の対象

脊髄小脳変性症は介護保険の対象のイメージ

一般的な介護保険の利用は65歳以上を対象としていますが、脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)は40歳以上であれば介護保険を利用できます。これは脊髄小脳変性症は厚生労働省により難病指定されているためであり、医療費の一部も公費負担として助成されます。ただし、指定難病としての公費負担助成を受けるためには、生活活動動作などの評価を申請し認定される必要があります。
評価はmRS(modified Rankin Scale)判定基準書において7段階に分類された神経運動機能の状態について評価を行います。

利用できる介護保険サービス

脊髄小脳変性症の方が利用できる介護サービスには、居宅サービス、施設入所サービス、福祉用具などがあり、要介護度の区分によってサービスを選定します。

居宅サービス

訪問看護、訪問介護、訪問リハビリ、訪問入浴、通所リハビリ、デイサービス、ショートステイなど

施設入所サービス

介護施設、特養、介護保険の療養病床利用など

福祉用具

車椅子、歩行器、介護ベッド、手すり、ポータブルトイレ、入浴介助具など

福祉用具レンタル

脊髄小脳変性症における福祉用具は、介護保険によってレンタル利用することができます。
レンタル可能なものは主に以下の福祉用具であり、疾患に伴うADLの状態や介護者の要件、自宅までの道路条件や室内の構造などにより、適切なものを選定します。

  • 車椅子:電動、介助用、自走式
  • 車椅子付属品:クッション、電動補助装置など
  • 歩行器:固定型、キャスター付、歩行車など
  • 杖:多点杖、サイドウォーカーなど
  • 介護ベッド
  • 介護ベッド用マットレス
  • 手すり:固定バー、浴室用、トイレ用など
  • 移動用リフト:車椅子昇降用、介助用など

福祉用具購入

レンタルに対応していない福祉用具は購入する必要があります。
排泄や入浴などに関連した物品や、靴、住宅改修に伴うサービスなどが該当しますが、要介護度により物品購入や住宅改修に関するサービスにも介護保険の負担割合に応じた自己負担の限度額が設定されています。

購入が必要な福祉用具(例)

  • ポータブルトイレ
  • 簡易式浴槽
  • シャワーチェア
  • 浴槽内補助台
  • 浴槽用手すり
  • バスボード
  • 防水シーツ
  • シャワーボトル
  • 足浴バケツ など

居宅サービス

脊髄小脳変性症の方は、介護保険により様々な居宅サービスが利用できます。
利用サービス、サービス内容、利用頻度などは、要介護度により受けられうサービスの上限額が決まっているため、その方に有効な支援を選定する必要があります。

訪問看護、訪問リハビリ

毎週1回(または必要に応じた回数)看護師、理学療法士、作業療法士などが訪問し、健康管理や必要な医療処置、ケア、リハビリテーションを提供します。

訪問介護

介護ヘルパーにより、食事、洗濯、掃除、入浴介助、買い物など、日常生活に必要な支援を行います。支援内容や利用頻度は多様で、生活支援、身体支援など支援内容により適したヘルパーを選定し利用します。

訪問入浴

自宅の浴室では入浴困難な方に、移動式の浴槽を持ち込み居室で入浴できるサービスです。
看護師、介護士、補助者の3名で訪問し支援を行います。

通所リハビリ、デイサービス、ショートステイ

週1〜3回程度通所してリハビリや食事などの提供を受けたり、数日間宿泊して24時間の生活支援を受けるサービスです。介護度や利用する方の嗜好や事業所毎の特色により多様なサービスから選定することができます。

施設サービス

疾患の進行に伴い、自宅療養が難しくなった場合には施設に入所してサービスを受けることもできます。年齢や疾患、ADL、御本人の嗜好などにより入所できる施設は様々で、金銭的な負担も変わります。近年では特養の入所待ちが数年間に及ぶこともあり、希望通りの施設への入所は難しいこともあります。

脊髄小脳変性症の生活における注意点

脊髄小脳変性症の生活における注意点象のイメージ

脊髄小脳変性症の症状は、歩行困難やめまいなど日常生活動作に影響を及ぼすものが多く、普段の生活における事故防止が重要です。自宅の生活環境によっては、さまざまな福祉用具を組み合わせて利用したり、移動範囲のリフォームが必要となるケースもあります。

転倒

脊髄小脳変性症における事故で多いのが転倒です。
疾患の進行がゆっくりとしており急な日常生活の変化がない一方で、歩行や移動に関する環境整備などの対策が遅れてしまうケースもあります。あらかじめ症状の進行を見据え、早めに対策しておくことが安全な日常生活につながります。

誤嚥

疾患により嚥下機能の低下もおこります。
食物の咀嚼や飲み込む力など一連の食事動作がスムーズに連携することが難しくなると、摂取した物が気管に入りむせこむようになります。しかし、むせこむ力も無くなると気管に入り込んだ食物により誤嚥性の肺炎を引き起こす原因となります。

排尿・排便

脊髄小脳変性症では排泄に伴う機能低下もおこります。
通常は腹筋や膀胱運動、排泄に必要な筋肉がはたらいて排泄しますが、それぞれの器官がうまく機能しなくなると、便秘や排尿障害などがおこります。

脊髄小脳変性症で使える公的支援

脊髄小脳変性症と診断された方は、様々な助成や支援が受けられます。

難病医療費助成制度

申請により認定されると疾患に関わる医療費の自己負担の一部〜全額が公費で助成されます。「特定医療費(指定難病)受給者証」の交付が必要です。

身体障害者手帳

指定医師の診断などに基づいて交付されます。
身体障害者手帳(※)、療育手帳(心身に障害がある場合に発行)などがあり、障害の程度に応じて福祉サービスを受けられます。

(※)身体障害者手帳が発行される障害
視覚障害、聴覚障害、平衡機能障害、音声機能障害、言語機能障害、咀嚼(そしゃく)機能障害、肢体不自由、心臓機能障害、腎臓機能障害、呼吸器機能障害、膀胱または直腸機能障害、小腸機能障害、免疫機能障害、肝臓機能障害

まとめ

脊髄小脳変性症は、小脳の機能低下により運動や知覚、平衡感覚、筋緊張や動きに影響を及ぼす疾患です。難病指定により様々な助成や支援が受けられますが、現時点では疾患の進行を止めることは難しく、服薬等による対処療法と機能低下を緩やかにするためのリハビリテーションがケアの中心となっています。

疾患に伴い日常生活は少しづつ変化していきます。
しかし症状の進行が緩やかなため、様々な支援やサービスの利用や福祉用具の活用で、安心して安全に自宅で過ごすことができるでしょう。


参考

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