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骨粗しょう症とは?症状や原因、種類、介護保険、予防方法まで徹底解説
年齢を重ねると、身体にわずかな衝撃を受けただけで骨折することがあります。
骨折した部位によっては寝たきりになる可能性もあるため、日頃から丈夫な骨を作ることが大切です。
ここでは骨折の大きな原因となる骨粗しょう症について解説します。
なお、この記事では骨粗しょう症の症状や原因、種類だけでなく、介護保険の適用区分や予防方法まで骨粗しょう症に関わる内容を網羅しました。
骨の状態が悪化していると感じている方はぜひ参考にしてください。
骨粗しょう症とは
骨粗しょう症とは、骨の密度が低下することで徐々に骨がもろくなり、少しの動作や衝撃で骨折しやすくなる状態をいいます。
軽い転倒やせきなどの衝撃でも痛みを感じ、悪化すると寝たきりになる可能性もあります。
骨粗しょう症の症状
骨粗しょう症の症状を知り、早期発見することが大切です。
骨粗しょう症の主な症状は次の4つ。
少しの衝撃でも骨折する
少しの衝撃でも骨折した場合は、骨粗しょう症が高いといえます。
特に背骨や太ももや腕の付け根、手首は骨折しやすくなるため注意が必要です。
背中や腰に痛みがある
背中や腰に痛みが続く場合も骨粗しょう症の疑いがあります。
骨粗しょう症が進行すると脊椎が弱くなり神経を圧迫するため、早めの受診が必要です。
身体に硬さを感じる
骨密度の低下により骨の形状が変わり、背中や腰の動く範囲が狭まり、身体の硬さを感じるようになります。
身長が低くなる
身長が低くなっていると感じる場合でも背骨の圧迫骨折の可能性があります。
骨折しやすく、身体に痛みや硬さを感じた場合は、骨粗しょう症を疑いましょう。
骨粗しょう症の原因
骨粗しょう症の原因は、主に加齢や女性ホルモンの低下、生活習慣の乱れが原因となり、骨密度が減少するために起こります。
また他の病気や処方されている薬が原因の場合もあります。
加齢
加齢によるホルモンバランスの変化により体内で骨の成長に必要なカルシウムの吸収量が不足し、骨密度が減っていきます。
女性ホルモンの低下
女性ホルモンの低下により新陳代謝が減り、骨の形成を妨げられるため骨密度が減少します。
特に50歳前後の閉経を迎えた女性に多く見られます。
生活習慣の乱れ
喫煙によって血流が悪くなり骨の栄養が不足する、飲酒によってカルシウムの吸収が妨げられるなどの影響があります。
また、過度なストレスや運動不足もカルシウム不足や骨の老化を起こし、骨密度の減少につながります。
他の病気や服用している薬
関節リウマチなどの病気やステロイド系の薬の服用が原因となる可能性もあります。
骨粗しょう症の種類
骨粗しょう症の主な種類は3つあります。
加齢により自然に発生する原発性骨粗しょう症、病気や薬が原因となり発生する続発性骨粗しょう症、原発性や続発性のような原因が特定できず突発的に発生する特発性骨粗しょう症です。
一般的に知られている骨粗しょう症は原発性骨粗しょう症ですが、特定の要因が原因または要因が不明な骨粗しょう症もあるため、注意が必要です。
高齢になるほどかかりやすい病気といえますが、その他の要因でもかかる病気だということを知っておきましょう。
原発性骨粗しょう症
原発性骨粗しょう症は、加齢や女性ホルモンの低下、生活習慣の乱れが原因で起こる骨粗しょう症です。
高齢になると腸のカルシウム吸収量が低下することで骨の形成スピードが低下することで、骨密度が低下し、骨粗しょう症となる可能性が高まります。
また、女性は閉経によるホルモン(エストロゲン)の分泌の低下が大きな要因です。
加齢や女性に多い病気というイメージがありますが、生活習慣や過度なストレス、運動不足も要因となるため、注意が必要です。
生活習慣の乱れにより骨の形成に必要なカルシウムやビタミンDなどの不足や過度なストレスによる体内の酸化物質の増加や運動不足による骨の形成抑制などが原因となります。
続発性骨粗しょう症
続発性骨粗しょう症は、骨を弱める要因となる病気や薬の服用や投与によって引き起こされる骨粗しょう症です。
具体的には次の病気になっている場合です。
- 糖尿病
- 腎臓病
- 副甲状腺機能亢進症
- 甲状腺機能亢進症
- 関節リウマチ
- バセドウ病
- 神経性食欲不振症
- 吸収不良症候群
- ビタミンC欠乏症 など
内分泌系疾患のほか、内臓疾患や糖尿病など生活習慣病が原因になっています。
また次のような薬を服用している場合も注意が必要です。
- ステロイド
- 抗てんかん薬
- メトトレキサート
- ワーファリン
- ヘパリン など
他の病気の治療で薬を服用している方は、骨粗しょう症も考慮する必要があります。
特に長期間ステロイド薬を服用している場合、骨粗しょう症になりやすいという報告もあります。
特発性骨粗しょう症
特発性骨粗しょう症は、原発性や続発性とは異なり、明らかな原因を特定できない骨粗しょう症です。
加齢や女性ホルモンの低下、病気や薬などの要因が特定できず、突発的に起き急激に進行します。
代表的な特発性骨粗しょう症としては、妊娠や授乳による一時的な骨粗しょう症(妊娠後骨粗しょう症)です。
妊娠後骨粗しょう症は母体のカルシウム不足が原因ですが、稀に青年期に骨粗しょう症が起こることがあります。
青年期に起こる若年性骨粗しょう症は、性腺機能低下や下垂体腫瘍など内分泌疾患による二次系の骨粗しょう症です。
生活習慣病はなく、ステロイド薬を使用や既往症も認められない場合、特発性骨粗しょう症
と診断される場合もあります。
骨折を伴う骨粗しょう症は介護保険の特定疾患
骨折を伴う骨粗しょう症は介護保険対象の特定疾患になります。
なお、介護保険の利用は原則65歳以上ですが、特定疾患に該当する場合は40歳以上65歳未満の方でも介護保険を利用できます。
骨折を伴う骨粗しょう症の特定疾患の条件は次のとおり。
- 骨粗しょう症以外に骨が脆くなる病気または関連する薬を服用していない
- 骨密度が若年成人の80%未満またはX線画像で骨粗しょう症と判断できる
- 事故による骨折ではない
条件を満たし、申請すれば介護保険サービスを利用できます。
利用できる介護保険サービスと申請方法
利用できる介護保険サービスと申請方法について、申請から利用開始までの流れを紹介します。
- 市区町村の介護保険担当課または地域包括センターに相談
- 医師の診断書などの必要書類の準備
- 市区町村の介護保険担当課または地域包括センター窓口で申請
- 訪問調査
- 判定審査
- 介護保険サービスの利用区分決定
- 要介護または要支援認定
- 利用開始
要介護または要支援認定後はケアマネジャーと契約し、ケアプラン作成後、介護保険サービスを利用できるようになります。
初めて介護保険サービスを利用する場合、地域包括センターと相談のうえ、居宅介護支援事業所の紹介を受け、担当するケアマネジャーを決定すればよいでしょう。
なお、ケアプラン作成には満足できる介護サービスを受けられるように、ケアマネジャーにしっかりと要望を伝えておくことが大切です。
骨粗しょう症の予防方法
骨粗しょう症の最大の予防方法は、骨密度低下による骨折を防ぐため、骨を強く丈夫に保つことです。
骨粗しょう症の予防方法は次のとおりです。
- 定期的な運動や適度な日光浴を行う
- カルシウムやビタミンD、タンパク質を含む飲食物を積極的に摂取する
- 禁煙し飲酒は控えめにする
- 適正な体重を維持する
- 中高年の方は整形外科などで骨密度を定期的にチェックしておく
- 他の病気や薬を服用している場合は、定期的に医師の診察を受ける
骨粗しょう症は自覚症状がないため、骨折して初めて知る病気となる方も多いでしょう。
特に高齢になるほど、骨密度は減り、骨は脆くなっていきます。
しかし、適切な予防方法を知り、実践しておけば、骨密度の減少は抑えられ、骨折などのリスクも低減できます。
まとめ
骨粗しょう症の症状が悪化すると、骨折をはじめとし、消化器や呼吸系障害などのリスクをかかえる可能性が大きくなります。
また、自覚症状がない場合でも、症状が進行していることも考えられるのです。
介護が必要になった方の主な原因に転倒による骨折が占める割合が多くなっています。
一度寝たきりになれば、自立した生活を過ごせなくなります。
適度な運動や日光浴、生活習慣病の改善に努め、定期的な骨密度検査を受診することが骨粗しょう症の予防、早期の治療につながるのです。