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介護おむつを選ぶ際の注意点とタイプ別の選び方のポイント
介護おむつはサイズが同じでも形状や吸収量はメーカーごとに異なるため、使用される方に合わせて商品を選ぶことが大事です。
不適切なおむつの使用を続けていると、かぶれやただれなどの肌トラブルの原因になるからです。
また体に合ったおむつを使っていても、当て方が誤っていると本来の役割を果たせません。
そこで介護用おむつを選ぶ際のポイントと注意点について解説します。
介護用(大人用)おむつとは?
介護用おむつとは、トイレに行けない方や間に合わないことが増えてきた方など大人向けの介護用品です。
また、夜間や外出時に使用するケースもあります。
介護用おむつは幼児用おむつと比べると、種類が非常に多いです。
大人は体格や介護度、尿量が人によって異なるためです。
介護用おむつにはアウター(外側のおむつ)とインナー(内側のパッド)の2種類があります。
一般的にアウターはインナーと組み合わせて使用します。
おむつ交換時にインナーの交換だけで済み、介護負担が軽減されると同時に経済的だからです。
また、おむつ代は次の条件を満たすと確定申告で医療費控除が受けられます。
- 概ね6カ月以上寝たきりの状態であること
- 治療上おむつが必要であることを認めた医師の証明書の発行を受ける
介護用おむつの種類
介護用おむつのアウターには、ぱんつタイプとテープ止めタイプがあります。
どちらが適しているかは、使用する方の身体状況や自立度によって分かれます。
ぱんつタイプとテープ止めタイプの特徴と対象となる方は、次のとおりです。
ぱんつタイプ
ぱんつタイプは、下着と同じ形状であるため、介助者にとって着脱が簡単です。
また、使用する方も心理的な抵抗は比較的少ないといえるでしょう。
ぱんつタイプはサイズの調整ができないため、購入する際に適切なサイズを選ぶことが重要です。
同じサイズであってもメーカーによって寸法が異なる場合があるため、必ず腰回り(cm)まで確認する必要があります。
ぱんつタイプが合っているのは、一人で歩行や座位保持はできるが、トイレに間に合わないことがある方です。
ぱんつ単体で使用することもできますが、排泄の失敗の多い方はインナーを組み合わせてお使いになると良いでしょう。
コストはテープ止めタイプより安価です。
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テープ止めタイプ
テープ止めタイプは、ぱんつタイプと比べて尿や便の吸収力と通気性に優れています。
テープで腰回りや足回りのフィット感を調整することもできます。
テープ止めタイプは、寝たきりの方や移動が制限される向きのおむつのため、インナーとの組み合わせが必須です。
特に夜間は使用されている方も介護者の方もぐっすり休むために吸収量の多いインナーを使用されることをお勧めします。
コストはぱんつタイプよりも高くなります。
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介護用おむつの選び方
介護用おむつを選ぶ際にもっとも大事なのは、使用する方の身体の状態やサイズ、吸収量が適切かどうかです。
メーカーや機能性はそれほど重要ではありません。
使用する方が不快感なく、介護者の負担が軽減できる商品を選びましょう。
ぱんつタイプ・テープ止めタイプの選び方
ぱんつタイプとテープ止めタイプの選び方を具体的に解説します。
ぱんつタイプはウエストサイズに合うものを選びましょう。
吸収量は組み合わせるパッドによって調節できるため、それほど気にする必要はありません。
テープ止めタイプはヒップサイズに合うものを選んでください。
排泄量によってパット内に収まらない場合もあるため、テープ止めタイプの吸収量は重要なポイントになります。
組み合わせるパッドはぱんつタイプとほぼ同じですが、必ずテープ止めタイプ用と表記されたものを選びましょう。
インナーの選び方
インナーを選ぶ際のポイントのひとつに吸収量があります。
基本的にインナー単体で使うことはなく、アウターと組み合わせることでアウターごと交換せずに済むように使われるからです。
次にインナーと組み合わせるアウターです。
インナーにはぱんつタイプ用とテープ止めタイプ用の2種類があるため、アウターに合わせて選ぶ必要があります。
ぱんつタイプ用、テープ止めタイプ用は吸収量に応じて、それぞれ日中用と夜用があります。
日中用はこまめに交換できるため2回分、夜用は交換しなくても済む4、5回分の2種類を用意しておきましょう。
最後に、男性用と女性用では形状が異なるため、購入する前に説明書きをよく確認してください。
介護用おむつの着用・交換方法
では介護用おむつの着用と交換方法について解説します。
介助者が着用・交換を行なう際は以下で行います。
ぱんつタイプの着用・交換方法
- 交換時に排泄がある場合に備えてトイレへ誘導します
- 手すりを握ってつかまり立ちをしてもらいます
- ぱんつを下ろして便座に座ってもらいます
- パッドだけが汚れている場合は、パッドの交換を行ないます(手順7.へ)
- パッドもぱんつも汚れている場合は、ぱんつの履き替えおよびパッドの取り付けをします
- 再びつかまり立ちをしてもらい、陰部とおしりを拭きます
- パッドがねじれないようにぱんつ、ズボンの順に引き上げます
テープ止めタイプの着用・交換方法
- 仰向けでひざを立ててもらい、陰部を洗浄します
- パッドだけ汚れている場合は、横を向いてもらって排泄物を拭き取ります(手順4.へ)
- パッドもテープ止めも汚れている場合は、横を向いてもらって排泄物を拭き取ります
- テープ止めとパッドの中心が身体の真ん中を通るように当てます
- 反対方向を向いてもらい、中心を合わせます
- おむつは鼠径部に沿うように当て、テープがクロスするように止めます
- 背部にねじれがあれば直します
介護用おむつ着用時の注意点
適切なおむつを使っていても、着用方法を間違うと効果が発揮できないばかりか、尿・便の漏れやスキントラブルなどの問題が生じます。
そこでぱんつタイプ、テープ式タイプのそれぞれについて、着用時の注意点を解説します。
ぱんつタイプ着用時の注意点
- 履く時に内側のパッドのねじれや折れがないか注意する
- パッドはギャザーの内側に合わせる
- 認知症の方が汚れたパッドやぱんつをトイレに流さないように必ず介助する
テープ止めタイプ着用時の注意点
- すき間ができないようにしっかり止める
- 痩せてサイズが合わなくなる場合があるため、都度サイズを確認する
- 漏れの原因となるため、パッドの重ね当てをしない
- 高温多湿の状態が続くため、洗浄をしっかりする
弄便を発見した場合の対処法
おむつの中で排便をしてしまった不快感や羞恥心から手で便を触る行為があります。
これは弄便と呼ばれ、介助者を悩ませる行為です。
弄便を発見した場合は手や体に付いた便を拭き取った後、お風呂で体をきれいに洗ってあげてください。
本人に悪気はないため、叱り飛ばすのはやめましょう。
まとめ
介護用おむつは、トイレの失敗が増えた方やトイレに行けなくなった方の保清の役割を果たす介護用品です。
介護用おむつを選ぶ際のポイントは次のとおりです。
- 身体状況やサイズ、尿量に合ったものを選ぶ
- ぱんつタイプはウエストサイズ、テープ止めタイプはヒップサイズに合わせる
- キツ過ぎず、大きすぎないフィットするものを選ぶ
- 介護負担と経費を軽減するため、インナーを活用する
また、介護用おむつを使用する際には次の点に注意しましょう。
- インナーは排泄が漏れない位置に当てる
- 漏れの原因となるため、インナーの重ね当てはしない
- 体型とおむつが合わなくなってきたら、サイズを変更する
- テープ止めタイプを使う場合はしっかり洗浄する
使用される方に合った介護用おむつを選ぶことは大事ですが、介助者の負担が軽減される商品選びを心がけてください。