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認知症になりやすい人の口癖!気をつけたい3つの要因
内閣府の調査では、認知症患者数は2025年には675万人、65歳以上の約5人に1人が認知症になるという結果が出ています。
実は認知症になりやすい人の口癖や特徴はいくつか知られています。詳しく解説していきますので、ぜひ親や周りの人に当てはまる特徴が出ていないか確認してみてください。
参照:<内閣府「平成29年度版高齢社会白書」>「高齢者の健康・福祉」《65歳以上の認知症患者の推定者と推定有病率》(21ページ)
認知症になりやすい人の口癖はこれ!
認知症になりやすい人がよく使う口癖と特徴を解説します。
認知症になりやすい人の口癖
- これだから若い人は〜
- 今時の人は〜
- 人は〇〇でも私は✕✕なの!
- 昔はよかった
- 世の中が悪い
共通する特徴
- ポジティブ思考よりもネガティブ思考が多い
- 新しい変化への対応が苦手
- 頑固になることがある
これらの口癖は、全ての認知症の人が使うと断定されているものではありません。あくまでも可能性が高い、と示しているものです。
なぜ口癖が脳に影響を及ぼす?
言葉が脳に影響を与える有名な例として「プラシーボ効果」があります。病気に効果のない偽薬でも、医師が「効く」と言えば病的改善が見られたというものです。これは脳にある「ミラー細胞」に言葉が刺激を与えたからです。
認知症になりやすい口癖のように、ネガティブな言葉を使うと憂鬱な気分になり脳や心の活力が低下します。
反対にポジティブな言葉は意欲や幸福感が高まり、脳が活性化するのでいい影響といえます。
ネガティブな言葉や悪口を話したり聞いたりすると、脳は言葉によるダメージでストレスを受けイライラの原因や老化が早まったりするというデータもあり、認知症の予防にはポジティブな言葉を使うことが効果的だといえます。
口癖以外に認知症になりやすい人の特徴と対策
認知症になりやすい人には、口癖以外にもいくつか特徴があり、ここでは生活習慣と性格について解説します。
改善には本人だけではなく家族や地域の力が必要なものもありますが、認知症の予防と対策として考えます。
高齢者の一人暮らし
主な特徴は以下の通りです。
- 人とのつながりやコミュニケーションの機会が減る
- 社会的な交流がないことで脳の刺激が不足し、認知機能が低下
- 近隣住民とトラブルを起こす可能性が高くなる
- 引きこもり、認知症が進むリスクが増す
一人暮らしで近所付き合いもないと、周囲と交流の機会が減ることで孤独を感じてしまいます。さらに、コミュニケーションの機会が減れば脳が刺激を受けないことで認知機能が低下します。
例えば、ゴミ捨てなど地域のルールが守れなくなどのトラブルが起こってしまい、それが引き金となり引きこもりになります。
高齢者の一人暮らしは、トラブルが起きると孤立して引きこもりに繋がる傾向にあります。これらへの対策例は以下のようなものがあります。
- 市役所、区役所、地域包括支援センターなどの相談窓口を利用
- 週に1回程度は知り合いと交流を持つ
- 地域の活動に参加
- デイケア、デイサービスの利用
「高齢の親が遠方に暮らしている」などの理由で、頻繁に会いに行けない家族でも、まずは市役所やお住まいの地域包括センターに相談をしましょう。民生委員やケアマネジャーなどの地域の目が届くようになります。さらに介護保険の適応となれば、デイサービスなど定期的に外出するサービスを利用することができます。
不規則・偏った食生活
不規則・偏った食生活の例は以下の通りです。
- 昼夜逆転など不規則な生活
- 睡眠不足
- 眠れないなどの理由で飲酒量が増加
- 栄養バランスが悪い食生活
これらは脳と心身の健康に悪影響を及ぼします。
睡眠時間が5時間未満の高齢者は、睡眠時間が7時間程度の高齢者と比べると認知症の発症リスクが2倍に高まるという研究データがあります。
高齢者の中には、なかなか寝つけずに昼夜逆転してしまう人もいます。しかし、昼夜逆転は体内時計が乱れ、慢性的な睡眠不足状態となります。寝るためにお酒の力に頼り飲酒量を増やしてしまう場合がありますが、高血圧や糖尿病のリスクが高まります。睡眠不足は脳の認知機能だけでなく免疫機能も低下させるので、規則正しい生活をして改善していく必要があります。
規則正しい生活とは、具体的には以下を心掛けましょう。
- 栄養バランスの良い食事を心がける
- 日中の運動で脳への刺激と適度な疲労を感じ、夜間の良眠に繋げる
- 規則正しい生活リズムを習慣化する
運動習慣がない
高齢者における運動習慣がないとは、以下のような例です。
- デイケアやデイサービスを利用していない
- ウォーキングや簡単な体操もしない
- 家でもじっとしていることが多い
- 掃除や洗濯といった家事を行わない
代表的な認知症は「アルツハイマー型認知症」と「血管性認知症」で、中でもアルツハイマー型認知症が全体の7割と最も多くを占めています。
九州大学の研究では、軽い運動を週に1回以上行っている人はアルツハイマー型認知症になるリスクが4割も低くなると分かっていて、アメリカの研究では発症の一番の原因は運動不足だと言われています。
運動不足の対策として、以下を行いましょう。
- ウォーキングや体操、散歩など軽い運動を週1回以上取り入れる
- 家での家事を積極的に行う
- デイケアやデイサービスの利用
社会との接点が少ない
社会との接点が少ないとは、具体的には以下のような例です。
- 人見知り、引っ込み思案
- 外出が少なく地域活動や地域のイベントへも参加しない
- 友人との交流が少ない
- デイケア、デイサービスを利用していない
社会との接点が少ないのが、生活習慣ではなく性格が原因の場合は「危機感を持つこと」が対策です。孤立することが認知症になりやすい要因のひとつということを本人や家族で共有しておくことが大切です。
社会との接点を減らさないように以下の対策を心掛けましょう。
- 家に閉じこもらず外出する
- 喫茶店や図書館など人と話さなくてもゆっくりできる空間を見つける
- 宅配や生協などを利用しコミュニケーションを図る
- 散歩などで会った人と挨拶をする
認知症になりやすい病気がある
生活習慣や性格だけでなく、病気や生活習慣病によって認知症になる可能性もあります。認知症になりやすい病気や生活習慣病は下記のようなものが挙げられます。共通点は脳に影響を及ぼすことです。
- 歯周病
- 糖尿病
- パーキンソン病
- 高血圧
- 高血糖
- 慢性腎臓病
歯周病
歯周病が認知症に影響を及ぼす理由は2つあります。
①噛む力が弱くなるから
噛むという行為は脳を刺激し活性化させますが、歯周病などで歯が抜けるとうまく噛めなくなります。その結果、認知機能が低下してしまい認知症になる可能性が高まります。
②繁殖した細菌が脳に運ばれるから
歯周病になるとアミロイドβという細菌が繁殖します。この細菌は認知症を引き起こす原因物質と考えられており、口内から脳に運ばれるとアルツハイマー病を引き起こす可能性が高まります。
糖尿病
糖尿病の人はアルツハイマー型認知症になりやすいとされています。なぜなら糖尿病になると「インスリン」というホルモンの分泌が減少してしまうからです。インスリンは血糖値を下げるだけでなく、脳内に運ばれてアミロイドβ(アルツハイマー型認知症を引き起こす物質)を分解する大切な役目があります。
分解されなくなったアミロイドβは脳内に溜まり、脳の神経細胞を破壊していき、結果として認知症のリスクが高まります。さらに、糖尿病は血流が悪くなることで脳梗塞などのリスクが高まり、脳血管性認知症を引き起こす要因にもなります。
パーキンソン病
パーキンソン病は運動系の指令を出している神経伝達物質「ドパミン」の減少により、震えが出たり体が動かしにくくなるなどの特徴的な運動症状が出ます。パーキンソン病は運動症状に問題が起こりますが、注意力や集中力、判断力の低下にはじまり、次第に言語能力に変化が表れてきます。言葉を追うのが難しくなり、言葉が出にくくなってきてしまいます。
そうなると、不安やうつ状態となり精神症状や自律神経障害の症状が表れ、パーキンソン病を発症する人は、発症してない人と比べて4〜6倍の確率で認知症になると言われています。
さらに、自律神経障害における多い症状は「便秘」ですが、実は便秘も認知症リスクが高くなると国立がん研究センターの調査結果で報告されています。
高血圧
脳は体重の2.5%程度しか重量がないにもかかわらず、全身の約20%の血液を必要とする臓器です。そのため、高血圧などの生活習慣病により、動脈硬化が進行・持続すると認知症を発症しやすくなってしまいます。塩分を減らすなどの食習慣に気を付けること、症状がひどい場合は薬などを使用した降圧療法を行い高血圧を改善することが認知症予防につながります。
高血糖
糖尿病とも関連しますが、高血糖の状態が続くとインスリンの分泌量の減少状態が続きます。アルツハイマー型認知症の原因物質アミロイドβを分解できずにアルツハイマー型認知症のリスクが高まります。さらに、高血糖状態が続くと脳梗塞や脳出血などの脳血管型認知症のリスクも高まります。
慢性腎臓病
慢性腎臓病は、慢性的に血液をろ過して、老廃物を外に排出する腎臓の機能が低下することで生じる様々な病気の総称です。その大きな要因となるのが、高血圧や糖尿病、腎炎です。腎臓の血管にかかる負担を大きくさせるため、腎機能を低下させ、慢性腎臓病を併発させてしまいます。
腎臓は沈黙の臓器といわれ発見が難しく、さらに腎機能の一度低下すると治すことができません。認知症予防のために高血圧や糖尿病にならないように生活することで、慢性腎臓病になるリスクを下げることができます。
まとめ
認知症の発症を予防するには以下を心掛けましょう。
- 脳に良い影響を与える生活習慣を取り入れる
- 栄養や睡眠、運動習慣など規則正しい生活を心がける
- 運動や口腔ケア、糖尿病や便秘にならない生活習慣を心がける
ご自身の両親や周りの人で、昔よりネガティブな発言が多くなったなどの変化を感じたら、食事や睡眠時間などの生活習慣を観察してみてください。実は認知症になる兆候である場合もあります。
認知症になりやすい口癖を使うと必ず認知症になるということではありませんが、少しでも気になった方は専門医にご相談されることをおすすめします。