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最新の介護用品・福祉用具を体験!H.C.R.2023に行ってきました!
ヤマシタ世田谷営業所の酒井です。
今年も行ってまいりましたHCR。三日間に渡って、最新の福祉用具を体験できるイベントです。
国際福祉機器展という名の通り、日本だけでなく海外製の最新の福祉用具にも触れることのできるこのイベント。私のような福祉用具オタクにとっては年一番のフェスです。
今年も所内の見学希望者総勢11名で三日間に分散させつつ見学してまいりました。
期間中は不在が多く、ご迷惑をおかけいたしました。
福祉用具を利用しての「持ち上げない介護」を実演中
今年は特に、「自動計測」や「モニタリング」など、「介護を科学する、見える化する」ことを念頭に置いたキーワードが目立ちました。
今年は歩行器がとにかく熱い!!
昨年のHCRは、車いすの電動化・高機能化がかなり印象的でした。
一方で今年のHCRは、特に歩行器の新商品が多かったように思います。
新しいカラーバリエーションで勝負するメーカーや
「高身長の方向け」という、若干ニッチな路線で勝負するメーカー
「前腕支持型歩行器は大袈裟な見た目になりがち」という常識を覆しにきたメーカー。
(しかも色柄もよい!若い人も好むようなデザインでした。)
様々なメーカーの想いがあふれたイベントでした!熱い…!!
(新商品ではありませんが、)
三輪歩行器の小回り性能はダントツ!
(ただし、支持基底面が四輪に比べて半分なのと、斜め前方向への力に弱いため、私はあまり積極的に使いたいとは思わない商品です。)
新商品の杖です。照明でものすごくゴージャスに演出されていました。
その名も「バンブーステッキワイド」
先ゴムが吸盤のように広がっているのと、それでいって薄くなくどっしりとしているからか、接地した際に「地面をしっかりグリップしている」感がすごかったです。
リハビリテーション病院へPRしに行ったらたくさん売れそうな商品ですね…!!
ちなみに、これの前の世代の機種「ヒューゴステッキ」も、リハビリテーション病院のPTさんから大人気の杖でした。海外製なだけあって、太くて安心感がある機種です。
ただ、高齢者からするとちょっと重いこともあって、持っていってみたらキャンセルになることもしばしば…(笑)
さて、ここからは、ヤマシタ世田谷営業所の所員から聞いた、特に印象深かったものを取り上げていきます。
C⁺WALK Sパワードライブ(トヨタ社)
ついにトヨタから出ました。最小回転半径0.95mの電動カートです。走行中、人や物を検知すると自動的に減速する機能を有しています。ヤマシタでも卸会社経由での手配が可能です。
三輪でスタイリッシュなデザインです。
電動スクーターみたいでかっこいいですね!
ウィーリィー パワードライブ(モルテン社)
こぐ人をアシスト、押す人をアシストする車いすです。
手元リモコンでドライブのON/OFFや強さ(3段階)の設定ができます。
着座していないときや駐車ブレーキをかけているときは自動的にアシスト停止状態になります。
電源をOFFにすると通常の車いすに。コンパクトに折りたたむことも可能。
一回こいだだけでスイーッと車いすが進む様子に驚きと感動を隠し切れない弊社・本村。
設計がコンパクトで、小回りも利きました。
車いす用ボード
透明なボードが参考出品されていました。奥行調整や、取り外しも容易な機種です。
折りたたみ自走式シャワーキャリー(ウチヱ社)
自走もできるシャワーキャリーです。後輪は取り外しも容易で、持ち運びや収納時に便利です。
シャワーキャリーは値段が高いこともあって、導入のハードルはなかなか高いですよね。
ウチヱの営業さんはとても親切なので、デモのご希望があればぜひお気軽にヤマシタまで。
歩行車 ジスタ(幸和製作所)
革命的な歩行器が参考出品されていました!
個人的には、ベスト・オブ・HCR2023です!!
ハンドルを持つことで駐車ブレーキが解除される歩行器です。
また、座面を降ろすことでも駐車ブレーキが作動します。
ブレーキをかけ忘れたまま立ち座りをしようとしての転倒や、歩行器が坂道で勝手に転がっていってしまうことを防ぎます。
まさに「駐車ブレーキ操作が必要ない歩行車」ですね!
来年発売予定とのことです。これは大ヒット商品になる予感…!!
黒と白のコントラストがおシャレですね!
この商品が市場に流通すれば、ブレーキのかけ忘れを原因とした事故を撲滅できるかもしれません。また、これまで、操作が覚えられずに使用を諦めていた方にも再導入のチャンスです。
ただ、座面を倒したまま歩いてしまうと、(ハンドルを持っても駐車ブレーキは解除されないので)タイヤがかまぼこみたいに削れてしまうので注意が必要です。
貸与事業所にとってはあるあるの問い合わせなのですが、「歩行器が急に重くなった」と言われて駆けつけてみると、駐車ブレーキをかけっぱなしで、無理やり歩行器を押して動かしていた、というケースが結構あります。
タイヤはリンゴのようにすり下ろされてしまって転がるたびにガタガタ振動するようになっちゃいますし、操作する方も歩行器を無理やり押すので肩を痛めちゃったりします。
RT3(竹虎)
弊社でも取り扱いの電動アシスト歩行器RT2が、バージョンアップしました!
見た目はRT2とほぼ変わらず。
電源の位置をハンドル部分に変わっているなど、細かな配慮・改善が見られます。
RT2も使いやすい機種でしたが、更に操作性が向上しました。
室内用歩行車 カジサポ(パナソニックエイジフリー)
2023年8月31日発売された新商品です。
トレー付きの室内用歩行車です。
トレーの下側には、引き出し式の収納スペースがあります。
パナソニック製品は、色使いのバランス感覚が素晴らしく、個人的に好みです。
収納は、トレーを跳ね上げても使えます(写真左)。また、トレーを付けたままでも収納を手前に引き出せば物の出し入れが可能です(写真右)。
パナソニックは今回、歩行器市場へ初参入ということですが、とてもそうとは思えないレベルの仕上がりでした。ヤマシタでも採用されることを切に望みます!
多機能ワーキングチェア タンゴ700電動(アビリティーズ社)
「移動用リフト」としてレンタル可能な、昇降機能、車いす(足漕ぎ)機能、背・座・肘調整機能を有する多機能イスです。
弊社では取り扱いできませんが、アビリティーズさんが取り扱っていらっしゃいます。弊社のご利用者に対して、アビリティーズさんから導入してもらったこともあります。
見た目は普通の事務用イスですが、
昇降レバーを押すと、ぐいーっと座面が持ち上がってきます。キャスターはロックすることも可能なので、立ち座りも安心しておこなえます。
たため~る(ウチヱ社)
折りたたみ自立可能なポータブルトイレです。
どことなく人間っぽさを感じるデザインです。
足なんか、とても足っぽいです。
「宿題を忘れた者!」「はいはいはい!」
廊下に立たされた人みたいですね。
折りたたみポータブルトイレは、以前アロン化成も販売していました。
しかし、折りたたむのが若干大変なことや、木製で重たく運ぶのが大変なこともあって、そこまで受注することもなく、結果的にヤマシタのカタログからは掲載が外れてしまいました。
ウチヱのポータブルトイレは樹脂製で軽めなので、取り扱いも容易そうです。
U-ケアTS02(シコク社)
方向転換、着座、姿勢保持、立ち上がり、歩き出しまでを支援するトイレ手すりです。
肘掛タイプの手すりは、立ち座りだけでなく姿勢保持にも使えて便利なのですが、
①立ち座り動作がしやすい高さに設定すると、歩き出す前の姿勢安定には使いづらい
②トイレットペーパーホルダーに干渉すると使いづらい
というデメリットもあります。
この商品であれば、トイレットペーパーホルダ―に干渉させずに設置することが容易そうですね!
ベッドサイド水洗トイレ(TOTO社)
給排水管工事をすることで、寝室に設置できるトイレです。
特定福祉用具なので、ポータブルトイレと同様に販売対象品です。
※希望小売価格:459,000円。給排水管工事は別途自費です。
普通のトイレと同じく水洗式なので、バケツ処理の手間が解消され、臭いも抑えられます。
ポータブルトイレ&レンタル手すり(パナソニック社)
自動ラップ機能付ですが安価なポータブルトイレ、およびセットでも使えるようなレンタル手すりが参考出品されていました。
自動ラップ機能は、排泄物を袋に密閉できるものをいいます。臭いが軽減されたり、バケツ処理の手間がなくなったりと、処理のストレスが軽減される便利な機能です。
国内では日本セイフティーの「ラップポン」、アロン化成の「自動ラップ」が有名ですが、価格の高さがネックになっていました。
パナソニックでは、自動ラップ機能を、半手動にしたり、ひじ掛けなしタイプのバリエーションを設けることで低価格化を実現(それでも普通のポータブルトイレよりは高いですが…)。
また、ポータブルトイレまでの移動手段、移乗方法における多様なニーズに応えるために、セットで使うことを想定したレンタル手すりも開発したとのこと。
今後の商品化が楽しみな商品です。
カラーバリエーションは三色で検討中。
マルチフィット手すり(フランスベッド社)
ポータブルトイレ周りや、トイレで使いやすい手すりです。
プッシュアップだけでは動作が困難な場合、ひじ掛け手すりとあわせて突っ張り手すりを導入することが多いです。
ですが、トイレ個室内に手すりを複数台設置すると、全体的に動線スペースが狭くなり、逆に動作がしづらくなってしまうこともしばしば。
この手すりなら、方向転換や着座、立ち上がりや歩き出しまでをこの一台でサポートしてくれます。
マルチフィットAIRマット ハーフセル(フランスベッド社)
フランスベッドのマルチポジションベッド(臥位・リクライニング・座位・立位支援を一台でできるベッド)専用のエアマットレスです。
ヤマシタへも、「テレビのCMで見て気になった」という方からマルチポジションベッドの問い合わせが入ることがあります。ヤマシタでも貸与可能です。
ベッドと連動してエアマットレスが折れ曲がっていく様子。
ロボティックマットレス スコープ(モルテン社)
臀部を中心とした体圧分布がリアルタイムで把握できるエアマットレスです。
リモコンの液晶に、臀部周りの体圧分布の様子が表示されます。
(エアマットレス本体の写真を撮り忘れました!)
ケアスロープT専用 傾斜補正台(ケアメディックス社)
スロープの下端側の道路が、スロープに対して直角方向に傾斜がついていると、従来のスロープでは設置が困難でした。
この傾斜補正台を使うことで、坂道に対してもスロープを設置することができます。
商品自体はかなり地味ですが(笑)、かゆいところに手が届く商品です!
おまけ
義肢体験コーナー
義足をつけて実際に歩いてみました!
足の振り出し方やつきかた、体重のかけ方を間違えると膝がカックンとなって転倒してしまいます。
コツを掴むまでは生まれたての子ジカ状態なので、スタッフの方に支えてもらいながら体験しました。
義肢体験をする藤本。後半コツを掴んで、軽介助のみで歩けていました!
私(酒井)は全然ダメでした…。
自助具コーナー
様々な自助具が展示されていました。3Dプリンタで製作したものもありました。
なでなで猫ちゃんEX(トレンドマスター社)
個人的には激推しの、「なでなで猫ちゃん」シリーズですが、最新版の猫ちゃんが展示されていました(2023年4月25日発売開始)。
撫でると、撫でた箇所に応じて可愛く鳴く、最高に愛らしいコミュニケーションロボットです。
猫好きだけれども猫アレルギーがひどい私(酒井)にはうってつけの猫です。
癒し効果がものすごいんです。
ヤマシタ世田谷営業所にも、なでなで猫ちゃんDX2(2021年9月25日発売)のデモ猫が三匹いますが、最新の猫ちゃん(EX)は何が変わったのかというと、なんと肉球がつきました。
いかがでしたか?私の趣味がかなり色濃く反映された、偏ったレポートに仕上がってしまいましたが、少しでもご参考になれば幸いです。
今年のHCRでは、オシャレさや可愛さ、スタイリッシュさなどを追及した新商品が多い印象でした。
こういった商品の開発・普及によって、福祉用具がより身近な存在として受け入れられるようになればよいなと思います。
福祉用具利用のニーズはあるにもかかわらず、「見た目が大袈裟だ(恰好悪い)から使いたくない」と思ってしまう方が少しでも減るといいですよね…!!