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【インタビュー】スペシャリストでありながらジェネラリストを目指す|相談支援センター あい・中川邦仁丈さんの仕事の流儀

相談支援センターあい・中川邦仁丈さん

あなたの街の気になる事業所。その全貌に迫る『ヤマシタ、シマシタ。』新連載インタビューシリーズ。第二弾は世田谷区祖師谷で障害・高齢分野において相談系サービスを提供する事業所・社会福祉法人せたがや樫の木会(以下、せたがや樫の木会)が運営する相談支援センターあいに訪問。
施設長の中川邦仁丈さん(以下、中川さん)にお話を聞きました。

今回訪問したのはこちらの事業所

相談支援センターあい

相談支援センターあい

相談支援センターあい

障害者総合支援法に基づく計画相談支援、児童福祉法に基づく障害児計画相談、介護保険法に基づく居宅介護支援、障害程度区分の認定調査の4事業を行う事業所。せたがや樫の木会が運営している。
祖師谷ふれあいセンターで同法人が運営するわくわく祖師谷内にあり、ぽーときぬた、緊急時バックアップセンターも併設。
わくわく祖師谷は生活介護、就労継続支援B型の2事業を行っている。

相談支援センターあい概要

相談支援センターあいはカネゴンが目印の祖師谷ふれあいセンターわくわく祖師谷内にある

相談支援センターあいはカネゴンが目印の祖師谷ふれあいセンターわくわく祖師谷内にある

名称:相談支援センターあい
所在地:
〒157-0072
東京都世田谷区祖師谷 3-21-1
祖師谷ふれあいセンターわくわく祖師谷内3F
電話:03-6411-2289
FAX:03-6411-4150
メール:soudan-ai@jc4.so-net.ne.jp
主な対象:全ての障害児者/高齢者
施設長:中川邦仁丈
世田谷区指定相談支援事業    1331202620
世田谷区指定障害児相談支援事業 1371200179
世田谷区指定居宅介護支援事業  1371214121
各種相談支援員の配置:
主任相談支援専門員、強度行動障害支援員養成研修(実践研修)、医療的ケア児等コーディネーター養成研修、精神障碍者支援の障害特性と支援技術を学ぶ研修等修了者
アクセス:
小田急線祖師谷大蔵駅下車徒歩5分、成城学園前下車徒歩7分
営業時間:
開所日=平日(月~金)9:00~17:00
閉所日=土日・祝祭日・年末年始は休業

今回お話を聞いたのはこの方

中川邦仁丈さん

相談支援センターあい・中川邦仁丈さん

中川邦仁丈さん

幼いころの親友がダウン症であったことや自由自然学校での経験を通じて、福祉業界を志す。
4年制大学の福祉系学科で学び社会福祉士を取得し、卒業とともに社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会に入職。同法人の江戸川区立障害者支援ハウスの立ち上げから関わる。
その後高齢デイサービスの介護職兼ドライバーなどの経験を経て、せたがや樫の木会に入職。
千歳台福祉園、わくわく祖師谷での勤務ののち、相談支援センターあいを立ち上げ。現在はせたがや樫の木会の相談3事業の統括施設長。
東京都相談支援専門員ネットワーク役員、発達障害者支援協会役員、相談支援部会副部会長。東京都相談支援従事者初任者研修メインファシリテーター、現任研修講師、主任講師。
世田谷区初任者研修立案、同研修講師。世田谷区自立支援協議会本会委員。同虐待防止差別解消同権利擁護委員、同相談支援ワーキング委員、同シンポジウム実行委委員。
大学での社会福祉士の実習指導者、外部講師等、さまざまなフィールドで精力的に活動。

中川さんの仕事の流儀

中川さんの仕事の流儀

中川さんの仕事の流儀

せたがや樫の木会で相談支援3事業を統括

—中川さんが関わっている事業について教えてください。

中川さん:せたがや樫の木会では、相談支援センターあいを含めて、ぽーときぬた、緊急時バックアップセンターという3事業の統括施設長をしています。
あいは管理者で専従、ほかの2事業では主に運営上の管理統括を行っています。労務管理を行う運営上の施設長といったところですが、それぞれ実際の業務にも携わっていますよ。

—相談部門の3事業それぞれの役割はどう違うのでしょうか?

中川さん:相談支援センターあいでは計画相談(プランニング)を行っていますが、ぽーときぬたでは基本相談をメインとしたプランニングをしない相談支援を行っています。そこが大きな違いですね。

障害の相談事業は3層構造になっていまして、その1層目(計画相談支援)と2層目(基本相談支援)をせたがや樫の木会では行っています。
3層目は基幹相談支援といって、バックアップや人材育成をメインにしている事業になります。世田谷区では、社会福祉法人南東北福祉事業団が東京リハビリテーションセンター世田谷の1階で運営している世田谷区基幹相談支援センターがそれにあたります。

対して、緊急時バックアップセンターは全国的に広まりつつある新しい取り組みで、現在は世田谷区の委託を受けて北沢地域をモデル地域として行っています。
事前登録制で、当事者の方のご家族に何かがあって家での生活ができなくなった時に24時間体制で緊急時の相談を受ける事業になります。
専門コーディネーターが短期入所や専門サポーター、緊急ヘルパー、介護タクシーを派遣して支所の保健福祉課窓口が開庁するまでの期間に支援を行い、引き継ぎをするという事業になります。

—こちらの建物には、他の事業所も入居しているようですが、どのような事業をされているのでしょうか?

中川さん:まず、この建物は祖師谷ふれあいセンターといいます。
1階と2階にはわくわく祖師谷が入っており、1階は生活介護、2階が就労継続支援B型の事業所です。
3階は地区会館で、高齢者や登録している方が使えるスペースになっており、相談支援センターあいとぽーときぬたも3階に入っています。
ぽーときぬたはすぐ近くにサテライト事業所があり、現在はそちらがむしろメインの事務所となっています。

補足すると、生活介護は重度の知的障害をお持ちで日中常時介護が必要な方が、創作、排泄、食事の3つを行うことを目的とした事業、就労継続支援B型は就労は出来ないけれども作業はできるという方に対して、雇用契約ではなく障害福祉サービスとして就労の場を提供する事業になります。昔でいう作業所というところですね。

相談支援センターあいの秘密

—様々な事業所が複合しているのですね。では、中川さんが主に携わっている相談支援センターあいについて教えてください。

中川さん:相談支援センターあいでは、指定特定の計画相談支援、児童の計画相談、介護保険の居宅介護支援、障害程度区分の認定調査の4事業を行っています。
介護保険の居宅介護支援では、障害の当事者もしくは、障害世帯のみ対応しています。
相談支援専門員は7名おり、事業所全体で470名ほどの契約があります。1ヶ月間の実働でいうと160件から200件ほどの利用者の対応を行っています。
相談支援センターあいでは基本的に障害は問わないので、様々な障害をお持ちの方を対応しています。

所員は丁寧な相談員が多いですね。事業所としても計画の質を落とさないように気をつけています。管理者である私が全ての計画をチェックしていますし、常にスーパービジョンを心がけるように所員に指導をしています。

所員は都の研修でもファシリテーターを務めるようにしています。常に新しい考え方を取り入れるようにしたり、相談支援の基本的な考え方を教える側の立場でできるように意識をしています。

中川さんの支援の礎と見据える未来

相談支援センターあい・中川邦仁丈さん

中川さんの支援の礎と見据える未来

自由自然学校での経験が福祉の世界を志すきっかけに

—中川さんご自身のことについて教えてください。中川さんはどうしてこの業界に入られたのでしょうか?

中川さん:物心ついた頃から、周りに障害を持った子がたくさんいたので、その影響が大きいのではないかと思います。保育園の頃に親友だった子がいて、その子はダウン症でした。
それから、小学四年生のころから自由自然学校というものに参加していたのですが、そこでは健常者と障害者が一緒に様々なイベントに参加する団体だったんです。例えば夏は一ヶ月間キャンプをしたり、春には1週間スキーに行ったり、5月の連休には山菜狩りに行ったりしていました。
そこには自閉症の子や知的障害を持った子たちもたくさんましたが、特に気にすることもなく普通に関わっていましたよ。子供ながらにバイアスがなかったこともあり、「ちょっと変わっているな」と思うくらいで。
私にとってはそれが自然なことだったのです。今思えば、それが私にとっての原体験だと思いますね。

自由自然学校には高校2年生のころまで参加していて、そこでは年長者としてスキーを子供たちに教えたりしていました。
高校3年生となり進路を考えるようになると、それまでの経験から社会福祉士を取得できる大学にいこうと考えました。それが自然な成り行きだったのです。
そして4年制大学の福祉系学科に進み、勉強をして社会福祉士を取得することになりました。

障害者支援施設の立ち上げを経験し、全分野の支援を網羅

—大学卒業後は、どのようなキャリアを歩まれたのでしょうか?

中川さん:卒業後は社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会に入職し、同法人が運営する江戸川区立障害者支援ハウスに非常勤として立ち上げから関わりました。
そこでは生活介護やショートステイ、グループホームといった3事業全てが揃った複合施設となっていました。
そこで全ての事業に関わり、身体、知的、精神全分野のさまざまな障害をお持ちの方に対する支援を行えたことが私の支援の礎となりました。
その後は、障害者支援ハウスを1年半で退職して、半年間実家の近所にある高齢者のデイサービスで介護職兼ドライバーとしても働きました。
そこからせたがや樫の木会に入職しました。世田谷区立千歳台福祉園で7年、わくわく祖師谷で1年半を過ごした後、こちらで相談支援センターあいを立ち上げました。
もともとはひとりで立ち上げた相談事業ですが、事業全体では現在23名の職員を抱える事業にまで成長しました。

プロフェッショナルとして仕事をする、ジェネラリストとして対応する

仕事をする上で大事にしていることは「プロとして働く」ことを語る中川さん

仕事をする上で大事にしていることは「プロとして働く」こと

—仕事をする上で、大事にしていることはありますか?

中川さん:仕事をする上で大事にしていることは「プロとして働く」ことです。
学生時代の実習先の施設長に言われた「これからみんなはプロとして働くんだから、そのつもりで仕事をしなさい」という言葉が記憶に残っています。
それから21年間、現在に至るまでプロフェッショナルとしての意識を大事にして、仕事をしてきました。
また、私たちのような主任クラスの相談支援専門員は得意分野に精通したプロフェッショナルであることはもちろんのこと、それを超えて各分野のジェネラリストとして、様々な事例に対応できる力が求められます。日々勉強ですね。

新しいサービスの創生を目指して

—今後取り組んでいきたいことはありますか?

中川さん:そろそろ私は退いて、違うことをやっていきたいと考えています。私がずっと居座っていても下が育ってこないですからね。人材育成をして、新しい世代がやっていけるような環境を作っていきたいです。
ただ、他にもやらなきゃいけないことはいっぱいあります。

—差し支えなければ詳しく教えてください。

中川さん:ひとつは、共生型サービスです。生活介護と通所介護を掛け合わせたサービスが全国的にはじまっているのですが、特に重度の知的障害、ダウン症や自閉症の方たちにあった支援ができる場所がないと感じています。
障害者の平均寿命も上がっていて、これまでのようなサービスでは対応が難しいケースが増えています。
介護保険制度へ移行したあとも、障害者の方が安心して利用できる高齢サービスを作りたい。実はそのために、30歳のころにケアマネージャーの資格を取ったんです。

そしてもうひとつは、児童発達支援。発達障害に関する児童の相談窓口は、行政にはあっても、民間にはなかなかありません。行政の相談につながるまでの間に、気軽に相談できる窓口が必要だと考えています。
発達障害の子どもたちの中には、就学前に療育を入れてあげて、形を作ってあげれば、普通学級に行ける子もたくさんいます。しかしそれが、親御さんの障害受容までのスパンの問題で機会損失しているケースが多くあります。場合によっては二次障害と呼ばれる高度障害が出てきてしまうケースもあります。

当事者の障害のうち、未就学のうちに決まってしまう要素も多分にあるので、できればそれを予防するためにも早いうちに療育を入れて、支援していくことで、そういう子たちが普通学級に入る準備をしてあげる、そんな支援を発達支援の枠組みでやっていきたいと考えています。

取材協力:相談支援センターあい
写真:平田幹
文:金子修平
校正:酒井良明

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