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喀痰吸引とは?行うタイミングや準備する物、やり方を解説

喀痰吸引とは?行うタイミングや準備する物、やり方を解説

「喀痰吸引(かくたんきゅういん)ってなに?」
「どのようなときに必要なの?」
「どうやって行うの?」
以上のような疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。
自宅で介護をしていると、介護を受ける方の状態に応じて、喀痰吸引が必要になる場合もあります。

本記事では、喀痰吸引のタイミングや方法、喀痰吸引を行うために必要な研修などについて解説します。
喀痰吸引が必要な高齢者を自宅で介護をしている方には役立つ内容になっているので、ぜひご覧ください。

喀痰吸引とは

喀痰吸引とは
喀痰吸引とは、吸引器を使って口や鼻などから痰を吸引し取り除くことです。
医療行為なので、医師や看護師などの医療職以外は原則禁止とされています。
しかし、条件を満たすことで、一定の研修を受けた介護職員や介護福祉士でも実施可能になりました(療養目的で、必要性があると認められれば家族でも可能)。

自宅での介護では、研修を受けた訪問介護の職員によってサービスが提供されていれば、喀痰吸引を依頼できるでしょう。
自力で痰を排出できない方にとって、喀痰吸引を行ってもらえる状態は必要不可欠です。
なぜなら、痰が口の中や気管にたまることで、呼吸困難になるといったリスクを防げるからです。

自宅で安心して生活するためにも、喀痰吸引を実施してもらえる環境を整えておきましょう。

そもそも喀痰とは

喀痰は主に、以下の3つに分けられます。

  • 唾液(つば)
  • 鼻汁(はなみず)
  • 粘液(肺や気管の老廃物や外気からのホコリを含む)

これらの総称を「喀痰」といい、喀痰吸引は以上のような分泌物を吸引し排出します。
喀痰が分泌される仕組みは、以下のとおりです。

  1. 気管は乾燥の防止のため常に分泌液を出している
  2. ウイルスや細菌、外気のホコリなどで分泌液が増える
  3. 分泌液が病気の原因となるウイルスや細菌をまとめる
  4. まとめた分泌液(喀痰)を口から排出する

喀痰は、体内の悪いものがたまらないように排出して助けてくれるイメージです。

喀痰吸引の必要性

先ほど紹介した喀痰が気管にたまると、空気の通り道がふさがれて窒息や呼吸困難を引き起こします。
またたまった喀痰を飲み込む際、誤って肺に入ることで、誤嚥性肺炎のリスクも高まります。
肺炎はさらなる喀痰を生み出し、悪循環に陥ります。
そのため、自力では排出できない喀痰を、機械を使って排出をサポートする必要があります。
喀痰吸引は、介護を受ける方の命を守る上でも非常に重要な行為と言えるでしょう。

喀痰吸引には研修が必要となる

喀痰吸引は、以前までは医療行為の扱いでした。しかし、「社会福祉士及び介護福祉士法」の改訂により喀痰吸引等研修を修了した介護職員でも実施できるようになりました。

喀痰吸引等研修は、主に以下の3つに分けられます。

喀痰吸引の種類 対象者 実施できる内容
第一号研修 不特定多数 ・口腔(こうくう)内、鼻腔(びこう)内、気管カニューレ内部の喀痰吸引
・経管栄養(胃ろうまたは腸ろう、経鼻)
第二号研修 不特定多数 ・口腔内と鼻腔内の喀痰吸引
・経管栄養(胃ろうまたは腸ろうのみ可能)
第三号研修 神経筋疾患患者や重症心身障害患者など特定の利用者 ・口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部の喀痰吸引
・経管栄養(胃ろうまたは腸ろう、経鼻)

参考:厚生労働省「喀痰吸引等の制度」
なお家族の場合は、療養目的で必要性があると認められれば喀痰吸引を行えます。
しかし、医師や看護師による療養環境の管理や、痰吸引に関する指導を受けていることなどが条件です。

研修内容には現場に直接行って、実際の介護を受ける方に対して喀痰吸引を行う実地研修が含まれています。

喀痰吸引のタイミング


喀痰吸引は主に、以下のようなタイミングで行います。

  • 痰や唾液がたまったとき
    (痰や唾液は食事や飲水で増えるほか、感情の変化によっても増加する)
  • 苦しい表情で本人が吸引を希望しているとき
  • 気管からゴロゴロとした音が聞こえるとき
  • 飽和酸素度(SpO2)の数値が普段より低いとき
  • 人工呼吸器のアラームが鳴っているとき

また普段から、医師や看護師と意見交換し、吸引のタイミングについて決めておくのが大事です。
判断に迷った際は、まず口腔(こうくう)内に痰がたまっていないかを確認しましょう。その上で、目で確認できる場合は口腔ケア用のティッシュを使い、取り除くことも可能です。
あらためて喀痰吸引のタイミングを決めて、緊急時に慌てないようにしておきましょう。

体勢を変えると出しやすくなる

少ないエネルギーで痰を出しやすくする排痰促進法を、体位ドレナージといいます。重力を使って痰を低いところに移動させ出しやすくする方法です。
長時間仰向けになっていると背中側に痰がたまりやすいため、痰を出しやすくするには横向きが適しています。
ただし、横向きと言っても、十分な角度がないと効果的に痰を出す効果は得られません。
痰を出しやすくする横向きの効果的な角度は60度以上で、痰をしっかり出せるまでは、体勢の保持も重要です。
ただ、同じ体勢は循環器系の障害や褥瘡の原因になるため、適宜体位交換が必要になります。
うつぶせの場合は、鼻や口をふさいで息苦しくなる危険があるので注意が必要です。
体勢の変更や保持はクッションの利用が有効で、ヤマシタでも「アルファプラウェルピーHC ピロー 」という体勢を整える専用のクッションを取り扱っています。
アルファプラウェルピーHC ピロー
また、このような体位ドレナージについては、医師や看護師などの医療職の方と相談しながら行っていきましょう。

自宅で行う喀痰吸引の方法

喀痰吸引の必要性やタイミングなどは理解できても、いざ自宅で行う場合は不安に感じる方もいるでしょう。

ここでは、自宅で行える喀痰吸引の方法を紹介していきます。
まず必要な物は、以下の6つです。

  • 吸引器
  • 吸引カテーテル
  • カテーテル保管用のふたつきの容器
  • コップ
  • 消毒用のアルコール綿
  • 使い捨ての手袋

必要な物がそろったら、以下の手順で喀痰吸引を行っていきましょう。

  1. まずは楽な姿勢に整え、仰向けで上半身を起こす(無理な場合は横向き)
  2. 吸引器のガラス瓶に水を入れる
  3. 吸引前に手洗いと消毒を済ませ手袋をはめる
  4. 吸引カテーテルと吸引器のチューブをつなぐ
  5. 吸引器のスイッチを入れカテーテルを手で持つ
  6. 水を吸って吸引圧を調整する(100mmHgほど)
  7. もう片方の手でカテーテルの根元を折り曲げ吸引圧を上げる
  8. 口または鼻の中に10〜15cmほどゆっくりとカテーテルを入れる
  9. カテーテルを折り曲げた手を離し10〜15秒ほど吸引する
    (粘膜を傷つけないようカテーテルの先を小さく回しながら行う)
  10. 吸引が終わったらカテーテル外側を接続部から先に向かってアルコール綿でふく
  11. カテーテル内側は水を吸ってキレイにして吸引器の電源を切る
  12. カテーテルはもう一度外側を拭き、次使うまでは保管容器に入れて消毒する
  13. 吸引後は手袋を外し、十分に手を洗って完了

喀痰吸引を行う際は、相手の表情や様子を見ながら、体調に合わせた対応を心がけましょう。

医師・看護師へ連絡すべき症状

自宅で喀痰吸引を行う際に、以下のような症状がある場合は、医師や看護師に連絡しましょう。

  • 痰の量が普段より多い
  • 痰の色が黄色い
  • 発熱が続いている
  • 息苦しい様子のとき
  • 鼻や口から出血がある

とくに鼻からの吸引は出血しやすいため、無理にカテーテルを入れようとするのは危険です。
わずかなことでも普段と違うと感じることがあれば、医師や看護師へ早めに報告することが大切です。

喀痰吸引に必要なもの

先述のとおり喀痰吸引に必要なものは、主に以下の6つです。

  • 吸引器
  • 吸引カテーテル
  • カテーテル保管用のふたつきの容器
  • 消毒用のアルコール綿
  • コップ
  • 使い捨ての手袋

それぞれ具体的な商品とあわせて紹介します。

吸引器

喀痰吸引をするためには、まず吸引器が必要です。
さまざまな吸引機がありますが、基本的な構造や使い方は変わらず、ヤマシタが展開するヤマシタオンラインストアでも、以下のような吸引器を取り扱っています。

吸引器 特徴 吸引器
ミニックDC-Ⅱ MWD2-1400 ・バッテリー内蔵型で停電時でも安心して使用可能
・ボトルがワンタッチで外せて、吸引物の処理が簡単
・最大吸引圧力:-80kPa
・吸引瓶容量:1400mL
・充電時間:3~4時間
・連続作動時間:6時間以内
セパ-Ⅱ ・吸引・吸入機能を1台に集約
・吸引チューブを本体に収納可能
・取り外しが便利なパッキンを採用
・最大吸引圧力:-85kPa
・吸引瓶容量:1400mL
・連続作動時間:6時間(吸引)、30分(吸入)
マウスピュア吸引スポンジ ・先端部と清掃面でしっかり吸引
・片手で吸引+清掃が同時に可能
・長さ19cm
・内径5~8mmのチューブに対応

吸引器を使う際は、以下の点に注意しましょう。

  • ガラス瓶にたまった液はトイレに捨てて1日1回は清掃する
  • ガラス瓶のふたはときどき外して洗い、汚れがひどい場合は漂白剤につける

吸引器は医療機器です。ご利用については、必ずかかりつけのお医者様にご相談ください。ヤマシタでも吸引器のレンタルが可能です。

営業所は安心の365日体制。

お客様のご相談、ご要望にスピーディーに対応します。

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カテーテル

喀痰吸引をする際は、吸引器にカテーテルを装着して行います。
カテーテルの他の方との使い回しは不可であることと、1週間に1回交換することを忘れないようにしましょう。
また使用後は必ずアルコール綿で消毒し、専用の容器で保管することが大切です。

吸引カテーテルMTは、側孔・先端にエッジが立っていない滑らかな形状を持ちます。
弾力性があり適度なやわらかさで、表面は梨地状のため体内に挿入しやすい特徴があります。

カテーテル保管容器

カテーテルの保管容器は、専用のものを利用しましょう。
ただ必ず買う必要はなく、ほとんどの場合、自宅にあるものを活用できます。
たとえば、コップでも代用できますが、衛生面を考えるとふたがついているほうが好ましいでしょう。
そのなかで、インスタントコーヒーを入れるふたつきの瓶は、大きいサイズであればカテーテルをスムーズに出し入れできるため使いやすいです。
その他、タッパ類もふたがついており、代用可能となっています。
保管容器には水と消毒液を入れて、その中にカテーテルを浸けて保管します。

アルコール綿

カテーテルは使用するたびに、アルコールでの消毒が必須となっています。
そのため、喀痰吸引にはアルコール綿の準備が必要です。
ただアルコール綿は、アルコールと綿を購入して自分で作る必要があるため、自宅で手軽に使う場合は、アルコール用品でも代用可能です。
ヤマシタオンラインストアでもアルコールを使用したさまざまな消毒用品を取り扱っているので、ぜひ活用してみてください。
アルコールによる消毒や感染予防や衛生管理において重要なため、早めに準備しておきましょう。

コップ

喀痰吸引をする際は、こまめに水を吸引しカテーテルの中をキレイにする必要があります。
そしてその水を入れるためにコップを準備します。
コップの種類に指定はないので、自宅にあるもので代用可能です。
紙やプラスチック製だと軽くて倒れやすいため、ガラス製のほうがいいでしょう。
カテーテルの保管容器でもおすすめしたインスタントコーヒーのガラス容器は、大きいものであれば容量も多く使いやすいので、ぜひ参考にしてみてください。

手袋

喀痰吸引をする際は、衛生面を考慮し、必ず手袋を着用しましょう。
使い捨てのもので、手にフィットするタイプが動かしやすいため、ビニール製ではなくプラスチック製がおすすめです。
手袋
ヤマシタオンラインストアでも「リフレ プラスチック手袋」を取り扱っているので、ぜひ活用してみてください。
リフレ プラスチック手袋は、強度と耐久性に優れている素材を使っており、使用中に破れにくくなっています。
また、手にぴったりフィットするため、スムーズな作業が可能です。
さらに、手荒の原因になる粉を使用していないため、お肌にやさしい点も魅力的です。
接触や飛沫(ひまつ)による感染症がある方に対しては、必要に応じてゴーグルやマスク、エプロンなどの使用も検討するといいでしょう。

消耗品のご購入は介護用品・福祉用具総合通販サイト ヤマシタオンラインストアが便利です。

まとめ

自宅で喀痰吸引を行うためには、一定の研修受講や必要物品をそろえるといった事前準備が必要です。
また喀痰吸引の手順や痰を出しやすくする方法、適切なタイミングなどを理解することも重要になってくるでしょう。
喀痰吸引の必要性や、実践する際の注意点を理解していないと、窒息や呼吸困難、口腔(こうくう)内を傷つけるといったトラブルにつながる危険があります。
本記事で紹介した、喀痰吸引の基本的理解から実践で必要な情報を参考に、ぜひ自宅で安全に喀痰吸引ができるよう活かしてみてください。

記事ライター
記事ライター
ライター

津島武志

介護福祉士

介護業界16年目の現役介護職。介護リーダーや管理職の経験もあり、現在は地方法人のグループホームに勤務。現役の介護職以外に、さまざまなWEBメディアでライターとして活動しています。主な保有資格は、介護福祉士、介護支援専門員、社会福祉士など。


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