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介護美容は多くの介護施設で取り入れられている!目的や必要な資格とは
「介護美容を取り入れるメリットはなに?」
「介護美容をケアに取り入れたいけど、具体的な方法は?」
「介護美容に役立つアイテムはあるの?」という疑問を持つ方もいるでしょう。
本記事では、以上のような疑問にお答えしていきます。
介護美容の効果や方法を理解し、ぜひ実践で活かしてみてください。
高齢者が介護美容で受ける心身への影響
介護美容とは一般的に、介護の場で高齢者が化粧やお肌のお手入れなどをして見た目を整えることを指します。
介護美容によって、高齢者は以下のような効果を得られると考えられます。
- 心理的な効果
- 身体的な効果
- コミュニケーションへの効果
心理的にも身体的にもプラスの効果があり、高齢者の生きる力となります。
それぞれの詳しい内容を解説します。
心理的に効果がある
介護美容は、見た目がきれいになるだけでなく、前向きな気持ちになれる点が特徴です。
これを化粧療法といい、長期的に継続することで自信や幸福感を高め、不安やマイナスな感情を軽減してくれます。
逆に見た目を整える機会がないと、それにより自己肯定感が低くなり、ほかの人に会ったり外出したりすることに対して消極的になることがあります。
個人差はあるものの、高齢者にとって介護美容を受けることは、プラスになると考えられでしょう。
身体的側面にも効果がある
介護美容で高齢者が自分で化粧をする場合、細かい動作を行うため、身体機能の維持や回復につながります。
またリラックス効果も期待できるため、心身の疲労軽減にもつながるでしょう。
一方で、化粧ができる状態で高齢者本人が化粧をしたいにもかかわらず、その機会を持てていない場合もあるので、あらためて本人の意思を把握しましょう。
化粧療法は、日常生活上の手先のリハビリ効果が期待できるので、少しずつでも化粧をしないか提案してみるといいでしょう。
コミュニケーションに積極的になれる
介護美容の効果はコミュニケーションにも影響していきます。
たとえば、化粧をすることで自信が生まれ、デイサービスに通うことが楽しくなったり、ほかの利用者や職員と話しやすくなったりする効果も期待できます。
コミュニケーションを積極的に行うことで、引きこもり状態や認知機能の低下の予防など、さまざまなメリットももたらすでしょう。
介護美容で行われること
介護美容では、主に以下のようなことを行います。
- ヘアカット・セット
- ネイルケア
- メイク
- アロマテラピー
高齢者は自身で店舗に行くことが難しい場合がありますが、現在は介護美容を自宅で受けられるサービスも用意されています。
また、自分で介護美容を行うこともできるため、生活の中に取り入れてみるといいでしょう。
介護美容の内容についてもう少し詳しく説明します。
ヘアカット・セット
ヘアカット・セットは訪問理美容といった形で、施設や自宅に美容師が訪問して実施します。
ヘアカット以外にも、以下のようなサービスがあります。
- カラーリング
- パーマ
- ひげそり・顔剃り
- 頭皮マッサージ
また寝たきりの方でも、ベッド上でのヘアカットが可能です。
そのため、寝たきりの場合でも月に1回程度ヘアカットの機会を持つことで、リフレッシュ効果が期待できるでしょう。
ネイルケア
介護美容のネイルケアは、福祉ネイリストによる爪のお手入れサービスです。
爪をきれいに整えたり、マニキュアなどで色をつけたりすることで前向きな気持ちになる効果が期待できます。
対象者は、関節の拘縮や麻痺のある方、認知症でコミュニケーションが難しい方まで多岐にわたります。
言葉によるコミュニケーションは取れなくても、ネイルサービスを受けることで、リラックスした時間を過ごせるでしょう。
メイク
メイクは誰かにしてもらうだけでなく、自分でもできるため、セルフ介護美容として継続しやすい方法です。
まずは、介護美容の専門家であるメイクケアセラピストにメイクをしてもらいながら、自分でもできる方法を教えてもらいましょう。
そのほか、肌のお手入れや化粧などを触れながら行うことで、高齢者の心身の健康を促す「ビューティタッチセラピー」を展開している団体も存在します。
参考:一般社団法人 日本介護美容セラピスト協会
アロマテラピー
アロマテラピーは、植物の香り成分が入ったオイルを使用し、体の痛みやこり、精神的な疲れを解消してくれる効果が期待できます。
具体的には、専用器具のアロマランプによる匂いの拡散や、オイルを肌に塗布してマッサージをするといった方法です。
マッサージの際は、フットケアやハンドケアでスキンシップを図るので、コミュニケーションの機会にもなります。
また就寝前のアロマの使用は心を落ち着かせ、スムーズな睡眠につなげてくれるでしょう。
介護美容はどこでサービスを提供している?
介護美容は、主に自宅やデイサービスのような施設で提供されます。
それぞれの特徴を紹介していきます。
自宅へ訪問
美容サービスは原則、美容室以外でのサービス提供は禁止されています。
しかし、介護を受ける高齢者で美容室に通うことが困難な方に対しては、例外として訪問理美容が認められています。
自宅で介護を必要としながら生活する方が増える中で、出張や訪問での理美容サービスを提供している事業も全国各地に存在します。
自宅での介護美容を検討している方は、最寄りのサービス事業所について、ケアマネジャーや地域包括支援センターなどに相談してみましょう。
デイサービスなどの施設
デイサービスのような介護施設に理美容サービスが訪問してくれる形もあります。なかには訪問理美容が来ることを想定し、理美容専門の部屋を用意している施設もあります。
施設での理美容を受けたい場合は、スタッフに希望を伝えることで利用可能です。
ただ施設によって理美容サービスが来ない場合もあるので、事前に確認しておきましょう。
日常で取り入れられる介護美容
ここまでは主に介護美容として提供されるサービスについてお伝えしましたが、日常の中に取り入れられる介護美容もあります。
具体的には、以下のような場面です。
日常生活での介護美容の場面 | 具体的な方法 |
---|---|
着替えるとき | ・自分の好きな服を選ぶ ・身だしなみを整える |
髪の毛を切るとき | ・自分で切れる部分を整える ・家族に定期的に整えてもらう |
お化粧をするとき | ・朝起きたらまずは化粧をする ・ファンデーションや口紅など、簡単なことから始める |
簡単なマッサージをするとき | ・自分で足や手をほぐす ・家族にアロマを塗ってもらう |
入浴時の肌のお手入れをするとき | ・入浴中に丁寧に洗顔する ・入浴後はしっかり保湿ケアをする |
これらは、自分または家族のサポートを得ながら、自宅で行えます。
簡単な内容ばかりなので、できる部分は少しずつ取り入れて習慣化することで、心身への好影響が期待できるでしょう。
介護美容で役立つアイテム
介護美容で役立つ、以下のアイテムを紹介します。
- 電動ネイルケアローラー
- ニッパ爪切り
- 介護衣類
- 車いす
それぞれ詳しく紹介するので、利用する際の参考にしてみてください。
電動ネイルケアローラー
「電動ネイルケアローラー」は、自分で爪のケアができる優れものです。
電動で回転するローラーで気になる部分をやさしくなでるだけなので、誰でも簡単に使えます。
効果は以下の3つがあり、用途によって使い方をわけられます。
- 爪削り
- 爪磨き
- 角質ケア
使い終わったローラーは水洗い可能で、衛生的かつ経済的な面も魅力のアイテムです。
ニッパ爪切り
「ニッパ爪切り」は、固くなった足の爪を切るときに便利なアイテムです。
高齢になると、肥厚爪や巻き爪になりやすく、普通の爪切りでは切りにくくなります。
そのため、ニッパ爪切りのような特殊な爪切りの使用がおすすめです。
先ほどの電動ネイルケアローラーを使う場合でも、ある程度爪を切って整える必要があります。
複数のアイテムを活用し、効果的なネイルケアを実現してください。
介護衣類
毎日同じ服を着るのではなく、適宜着替えをすることで身だしなみが整い、心身のリフレッシュにつながります。
ただ、おしゃれで身だしなみも整うような衣類でも、着替えをしにくかったり動きにくかったりすると、逆にストレスを生み出します。
(左:スクエアニット室内着、右:かる~いベスト)
そのため、介護衣類の「スクエアニット室内着」や「かる~いベスト」 がおすすめです。
これらの衣類は、伸縮性があり脱ぎ着しやすいだけでなく、着崩れしにくくリラックス効果もあります。
またボタンを大きくし、ボタンの色を変えることで、掛け違いを予防する工夫がされています。
自力での着替えがしやすい衣類は、毎日の着替えの習慣化には欠かせないでしょう。
車いす
要介護度が高く、姿勢を維持することが難しい方でも、介護美容は可能です。
介護美容で化粧をする際は、安定した姿勢で座れて、顔の位置を固定しやすい 「マイチルトコンパクトⅡ」のようなヘッドレスト(頭部を固定するサポーター)付きの車いすがおすすめです。
またティルト機能で座面の角度を変えることで、リラックスした状態を維持できます。そのため、無理な体勢によるストレスを軽減できるでしょう。
営業所は安心の365日体制。
お客様のご相談、ご要望にスピーディーに対応します。
メールは365日24時間受付
受付時間 9:00~18:00 (土日祝年末年始を除く)
まとめ
今回は、介護美容を取り入れるメリットや介護美容の具体的な方法、介護美容に役立つアイテムを紹介しました。
介護美容は見た目だけでなく、心の安定にもつながり、心身に大きなメリットをもたらしてくれます。
また介護美容を受けるだけでなく、日常生活に取り入れられれば、より継続しやすくなります。
介護美容の利用を検討されている方や、その家族は、本記事を参考に介護美容を効果的に取り入れてみましょう。
津島武志
介護福祉士
介護業界16年目の現役介護職。介護リーダーや管理職の経験もあり、現在は地方法人のグループホームに勤務。現役の介護職以外に、さまざまなWEBメディアでライターとして活動しています。主な保有資格は、介護福祉士、介護支援専門員、社会福祉士など。