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看取り介護とは?ケア内容から対応できる場所まで徹底解説!

看取り介護とは?ケア内容から対応できる場所まで徹底解説!

近年、看取り介護に注目が集まっています。看取り介護とは延命治療をおこなわず、最期のときを安心して穏やかに迎えられるように支援することです。

今回は、看取り介護の現状や介護のポイントについて紹介しています。また、看取り介護ができる場所や心構えなどについても解説しているため、ぜひ参考にしてください。

看取り介護とは

看取りとは元々、「最期(死期)までそばにいて世話(看病)をする」という意味です。看取り介護とは、日常的な生活のケア(食事・排せつ・入浴など)をおこない、苦痛やストレスの軽減ができるよう身体状況に応じて柔軟に対応していくケアを指します。
家族や関係者が看取りに関して理解しともに情報共有しながら、見守っていくことが非常に重要です。

看取り介護は、「本人の希望も踏まえ無理な延命治療をおこなわず、人としての尊厳を保ちながら自然な状態で死期を見守ること」が目的となります。

看取り介護の現状

平成29年に厚生労働省が発表したデータでは、死亡者数の約8割が病院で亡くなっていると報告されています。

病院が一番多い理由として、「自分たちでは面倒をみられない」「病院にいたほうが安心」と家族が感じ、病院に看取りを任せることが多い傾向があります。

また、自宅で看取りをおこなう場合、いつまで続くのかわからない自分の世話を頼むことに介護を受ける方本人の抵抗があり、「自宅で死期を迎えたい」と言いにくい状況もあります。

さらに、令和3年の介護報酬改定によって、多くの介護事業所で看取りに関する加算が創設されました。
このことにより、看取り介護ができる事業所が拡大しています。

看取り加算が創設された施設は、介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護・特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)です。
一般的に長期利用が可能な施設が対象となりました。

看取り介護ができる事業所が増えることで、病院以外の場所で最期を迎えることができる可能性が広がったといえます。

背景には、病院のベッド数の圧迫や、病院以外で最期を迎えたいと希望する人が増えたことも要因のひとつにあると考えられます。

ほかのケアとの違い

人が死期に向かっていく経過でおこなう支援には以下のようなケア方法があります。

  • ターミナルケア
  • 緩和ケア

これらのケアは、「人としての尊厳を大切にする」という基本的な考えは共通していますが、それぞれ特徴が異なります。それぞれの違いを見ていきましょう。

ターミナルケアとは終末期医療ともいい、終末期における医療的ケア(延命治療ではなく点滴・酸素吸入など苦痛の緩和を優先するケア)や日常生活のケアをおこないます。
死期が来るまで、痛みや不安などを緩和し、自分らしく心穏やかに過ごせるようケアしていく方法です。

緩和ケアとは、肉体的・精神的な苦痛を緩和しながら治療・日常生活のケアをおこなうことです。
病気の治療を継続する方や延命治療を受けている方も対象になるため、必ずしも死期が近いとは限りません。

看取り介護は、日常生活のケア(食事・排せつ・入浴)が主体です。ターミナルケアや緩和ケアは、医療的なケアが含まれるため、看護師や医師が必要となります。しかし、介護施設の中には、看護師や医師がいない施設もあり、介護士が主体となって看取り介護を担うのです。

看取り介護ではどんなことをする?

看取り介護ではどんなことをする?
看取り介護では、さまざまなケアが必要になります。本人の身体状況や精神状況に応じた柔軟性も求められるでしょう。

延命治療をおこなっている状態が「人としての尊厳」を守れているのかどうかは、個人の価値観によって異なり賛否両論あります。

看取り介護では、胃ろうや人工透析、点滴などの延命治療はおこないません。看取り介護は、平穏死を希望した人に対しておこなうケアです。

それぞれのケアについて見ていきましょう。

身体的なケア

身体的ケアは、食事や排せつなど、日常生活上のケアをおこなうことを目的としています。
病気などによって苦痛がある場合には、痛みを和らげストレスや身体的な負担を軽減できるようサポートすることが重要です。

たとえば、嚥下状態が悪い場合には、一口大にカットしたりペースト状などに加工したりして、本人が摂取しやすいように工夫します。また、自分で座位が保持できなくなっても、機械を使った入浴や清拭などをおこない、本人の負担が軽減できるように体の清潔を保持します。

精神的なケア

死を目前にすると、不安や恐怖・孤独を感じることも増えます。メンタル面を支援し「自分らしい最期」を迎えられるようにサポートすることが大切です。

具体的には、不安に思っていることや悩みごとなどを傾聴したり、こまめに声を掛けたり、スキンシップをとって常に本人と寄り添って不安や孤独を軽減できるように努めたりします。

看取り介護ができる場所

看取りがおこなわれる場所は、医療機関・自宅・高齢者施設と大きく3つに分けられます。それぞれの特徴を紹介していきます。

病院

病院での看取りは、看取り(死亡)全体の約80%を占めます。主に、療養型病院で入院しながら看取りをおこなうのが一般的です。

出典:厚生労働省「【テーマ1】 看取り 参考資料」
ただし療養型病院も方針がそれぞれ異なり、長期療養が可能な場合とそうではない病院があるため、ソーシャルワーカーと相談しながら最期のときを迎える場所を選択すると良いでしょう。

病院での看取りは、医療職が常駐しているため安心して任せられるでしょう。痛みなどの緩和に対しても、すぐに処方を受けられます。また、それぞれで連携しているため、空きベッドは見つかりやすい点がメリットといえます。

一方、自宅で生活している方が看取りのために入院したいと希望しても、かなわないケースがほとんどです。あくまでも、病院で療養していた方が、終末期を迎えた場合に転院する場所となります。希望に沿って利用できない点はデメリットと考えられるでしょう。

あくまでも看取りのためであり、治療するわけではないことを理解しておきましょう。

自宅

自宅で看取りするケースは、看取り(死亡)全体の12%程度です。

出典:厚生労働省「在宅医療の最近の動向」

数こそ少ないですが、自宅での看取り介護は、多くの方が希望しています。本人の意向に沿った穏やかな看取り介護ができれば、介護する側も達成感を感じることができるでしょう。

自宅は、もっとも安心できる場所であり、その人らしい生活も実現できます。また、安心感から精神的にも安定した状態を保ちやすくなるでしょう。

しかし、自宅でおこなう介護は、家族が中心になるため、仕事や子育てなどが理由で思ったようなケアができない可能性があります。また、介護保険サービスなどを活用しても、現状は夜間帯のサービスが少なく、不安に感じることもあるでしょう。

さらに、必要な物品や福祉用具をそろえる必要もあり、家族が疲弊してしまうケースも少なくありません。住環境の整備などについて、家族間でしっかりと確認しながらおこなうと良いでしょう。

介護施設

近年、増加傾向にある有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の中には、看取りを前提とした施設も増えてきました。
また、特別養護老人ホームや介護老人保険施設などでも、看取りの加算が増設され、積極的におこなっている場合もあります。

介護施設では、24時間職員やスタッフが常駐している場合が多く、利用者の状態を観察してもらえるため安心です。
しかし、急な体調変化があった場合に、利用者に会えるか、利用者と一緒に過ごせるかは事業所の体制や方針にもよります。入居前に看取り時の対応について確認しておくと良いでしょう。

施設での家族へのケア

死期に対して不安を感じているのは本人だけではありません。その家族もまた同様に不安を感じているのです。大切な人が亡くなってしまうことは、家族にとっても大きなストレスとなるでしょう。精神的に不安定な家族をサポートすることも看取り介護の一つです。

施設職員が家族の悩みや問題を傾聴し、解決策を提案したり助言をしたりするためにも、遠慮せずに施設職員に相談することをおすすめします。家族が無理して体調などを崩す、または特定の家族がストレスを抱えている状況が発生しないようなサポートを受けられます。

また、最期を迎えた後は、故人の様子などを伝え、家族が死を受容し悲しみから立ち直るためのサポートもしてくれるでしょう。

介護施設での看取り介護の流れ

介護施設での看取り介護の流れ
介護施設で看取り介護をおこなう場合、入所からご逝去まで、いくつかの段階があります。時期によって対応方法やケアのポイントが異なります。

適応期

介護施設に入居して間もない時期です。職員やほかの利用者の様子を観察していることもあります。このころは、環境や生活リズムに慣れていないケースが多く、精神的にもつらい時期となります。
入居からおおむね1カ月までが適応期と言われていますが、人によって適応するまでの時間が異なるため、あくまでも目安として考えましょう。

この時期に、本人や家族に今後の要望について確認し、どのような看取りを希望するのかを決めておくと、急な体調変化があっても対応しやすくなります。

安定期

入居1カ月から半年ごろまでが安定期と言われています。生活や環境にも慣れ、他者との交流も生まれている時期です。生活リズムもでき、さまざまな意見や要望も出やすい時期と言えます。

適応期に確認した看取りへの意向について、もう一度話し合って、気持ちの変化がないかを確認しておくと良いでしょう。施設に慣れてくることで、気持ちの変化や希望が変わっているかもしれません。

不安定期

身体的な衰弱が見られたころが不安定期といわれています。不安定期では、自分の体力や機能の低下に不安が強くなる時期です。できないことが増えることで自尊心も傷つきやすいため、言葉かけには注意しましょう。

また、何事にも投げやりになったり、不安な気持ちから八つ当たりされたりするかもしれません。しかし、不安な気持ちを無理に解決しなくても、寄り添ってサポートする意思を見せていくことが大切です。

終末期

回復がのぞめない状態と医師に判断されたころが終末期といわれます。本人や家族が、終末期に入ったときの精神状態によって対応方法が異なるため、注意が必要です。不安定期から終末期までの過程が短いときは、とくに気持ちの整理がついていないこともあるでしょう。

気持ちの整理がついていないときは、不安定期と同様に無理な介入をせず、見守っていくことも大切です。気持ちの整理がついている場合は、痛みや不快な気持ちを取り除くことに努めましょう。
最期の時間を安楽に過ごし、尊厳を守っていくことが看取り介護の最大の目的です。

ただし、不安な気持ちに陥ることもあるため、観察を怠らず、落ち着いた丁寧なケアを心がけましょう。

看取り介護をする上での心構え

看取り介護は大変なことも多くあります。看取り介護をする場合は、以下の点を十分に理解しておきましょう。

看取りの知識をつける

看取りにおける不安は、本人だけではありません。看取り介護をおこなう介護者にも、精神的な不安や喪失感はあるのです。そのため、知識はもちろんのこと、精神力も必要となります。

事前に、看取り介護についての不安を払拭(ふっしょく)するだけの知識を持っておきましょう。本やネット、経験者に伺うなど、さまざまな方法があります。

ただし、いくら事前に知識をつけたとしても、不安や戸惑いはあるでしょう。人の死は、簡単に受け入れられるものではありません。しかし、その気持ちが本人に伝わってしまうと、不安にさせてしまうことも考えられるため注意が必要です。

チームで助け合う

不安な気持ちは、看取り介護にかかわる人すべてが持っています。そのため、一人で抱え込まないことが大切です。事前に緊急時の対応について話し合っておくことで、気持ちの整理がつく場合もあるでしょう。

辛いことだけでなく楽しいことも共有すると、気持ちも明るくなり笑顔も出やすくなります。人の死を一人で抱えることは困難なことです。医師や介護士、家族など関わる人すべてがチームとなり、お互いを支えて、終末期を迎える本人にとって安心できる環境をつくっていきましょう。

看取り介護ができるサービス

令和3年の介護報酬改定では、看取り期における本人の意思を尊重したケアの充実が、ひとつのポイントとなりました。看取り介護をおこなうことで、新たに加算算定ができることになったのです。
このことから、介護施設での看取り介護が重要視されていることが読み取れます。

加算の算定対象となった事業は以下のとおりです。

  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院など
  • 介護付きホーム
  • グループホーム
  • 訪問介護
  • ※元々加算があった事業は算定期間が延長されました。

対象者が亡くなる45日前から算定ができるようになったことで、これまで、看取り対応に消極的だった事業所も参入しやすくなったのです。

必要に応じて、介護施設や事業所の利用も視野に入れてみると良いでしょう。

ヤマシタは看取り介護もサポートします

ヤマシタは福祉用具を取り扱う事業所で、ケアマネジャーや医療機関や介護従事者と連携し、安全と安心の環境を整備することに努めています。

介護に必要な用具の選定や、看取りケアに重要な安楽に過ごすための福祉用具の提案・導入・サポートが可能です。

看取り介護に不安がある場合や、福祉用具の導入を検討されている場合は一度ご相談ください。

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まとめ

看取り介護は、一般的な介護とは違い、精神的なサポートに重点を置きます。また、その人らしい最期を迎えられるように支援することが大切です。

また、看取りは個人でおこなうものではなく、チームで協力し合っておこなうようにしましょう。特定の人に負担が偏らないよう、事前に話し合っておくことが大切です。

看取りは、事前に本人の意向を確認しておくことが重要です。本人の意向から、誰がどのようにどれくらいサポートできるかを相談して決めておくと良いでしょう。

記事ライター
記事ライター
ライター

渡口将生(ゆづる)

介護支援相談員・ライター

介護福祉士として10年以上介護現場を経験。その後、介護資格取得のスクール講師・ケアマネジャー・管理者などを経験。介護の悩み相談ブログ運営中。NHKの介護番組に出演経験あり。現在は、介護相談を本業としながら、ライター活動を行っており、記事の執筆や本の出版をしている。また、マーケティング事業として起業サポートやコンサル業も行う。


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