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パーキンソン病とは?症状や治療から介護する際のポイントまで併せて解説

パーキンソン病とは?症状や治療から介護する際のポイントまで併せて解説

「家族がパーキンソン病と診断され、介護をする際に何に気をつければ良いか知りたい」
「パーキンソン病の診断を受け、どのような症状が出るのか不安」
このような悩みを抱えていませんか?
この記事ではパーキンソン病の原因や症状、診断や治療方法、介護をする際のポイントなどを紹介します。

パーキンソン病とは?

パーキンソン病は、指定難病の中でも多い疾患の一つです。
無動、振戦(ふるえ)、筋強剛、姿勢保持障害(バランス障害)などの運動症状がみられます。
運動症状のほかにも、便秘、発汗、頻尿、起立性低血圧、うつなどの症状があります。

50歳以上に多く、高齢になるにつれて発症しやすい病気です。
そのため、これから高齢者が増加する日本ではパーキンソン病患者も増加するといわれています。
中には稀に40歳以下で発症することもあり、そのような人は若年性パーキンソン病と呼ばれます。

パーキンソン病の原因

パーキンソン病は、神経変性疾患です。
パーキンソン病は神経細胞の中にαシヌクレインというタンパク質が蓄積されることにより、中脳の黒質ドパミン神経細胞が減少され、運動症状が現れるとされていますが、その原因はわかっていません。

一般社団法人日本神経学会では、「発症リスクと関連することが確実に証明された環境因子は、今のところない」としています。
またパーキンソン病のほとんどは遺伝ではない「孤発型」ですが、5~10%は家族内発症者がいる遺伝性パーキンソン病もあるとされています。

出典:一般社団法人日本神経学会「パーキンソン病診療ガイドライン2018

パーキンソン病は重症度で分類される

パーキンソン病の重症度は、ホーン・ヤール(Hoehn-Yahr)の重症度分類と生活機能障害度の2つの尺で分類されます。

<Hoehn-Yahr重症度分類>

0度 パーキンソニズムなし
1度 一側性パーキンソニズム
2度 両側性パーキンソニズム
3度 軽~中等度パーキンソニズム。姿勢反射障害あり。
日常生活に介助不要
4度 高度障害を示すが、歩行は介助なしにどうにか可能。
5度 介助なしにはベッド又は車椅子生活

<生活機能障害度>

1度 日常生活、通院にほとんど介助を要しない。
2度 日常生活、通院に部分的介助を要する。
3度 日常生活に全面的介助を要し、独立では歩行起立不能。

引用:難病情報センター「パーキンソン病(指定難病6)

なおホーン・ヤール重症度分類3度以上で、生活機能障害度2度以上の方は、難病医療費助成制度の対象となります。
難病医療費助成制度では、パーキンソン病およびその指定難病に付随して発生する傷病に関する診察、入院、薬、訪問看護、訪問リハビリテーションなどの費用が助成の対象となります。

参考サイト:難病情報センター「FAQ 代表的な質問と回答例」-「医療費助成について

パーキンソン病の主な症状

パーキンソン病には、「無動」「振戦」「筋強剛」「姿勢保持障害」の4大症状といわれる運動障害があります。
さらにほかの運動障害として、「前傾姿勢」や「すくみ現象」を加えて6大症状と呼ぶ場合もあります。
また、それ以外の自律神経障害や、精神・認知・行動障害といった非運動障害もあります。
ここでは、それぞれの症状について解説していきます。

出典:一般社団法人日本神経学会「パーキンソン病診療ガイドライン2018

1.運動障害

運動障害について説明します。

無動

無動とは、運動が少なくなる症状です。
動きが少なくなったり(動作緩慢)、運動の開始が遅くなったり(開始遅延)といった症状の総称です。

体の一部に現れる症状では、以下のようなものがあります。

  • 顔の動きが少なくなり、仮面を被ったような表情となる(仮面様顔貌)
  • 書く文字が小さくなる(小字症)
  • 声量が低下する
  • 手や足が動かしにくくなる

振戦

パーキンソン病の振戦(ふるえ)の特徴は、規則的な静止(安静)時振戦です。
名前のとおり安静にしているときにふるえて、動き出すとふるえが止まるという特徴を持っています。

ふるえは手足、顔、首など全身のあらゆるところに現れます。
睡眠中はふるえが消失するという特徴もあります。
しかし、中には動作時振戦もみられる人もいます。

筋強剛

筋強剛とは、関節を他動的に動かしたときに筋肉が固くなり、動かしにくい状態のことをいいます。

強剛の種類は以下のようなものがあります。

  • 鉛管様強剛:一定力の鉛の抵抗がある強剛
  • 歯車様強剛:小刻みで規則的な歯車のような引っ掛かりがある強剛

姿勢保持障害

姿勢保持障害は、安定した姿勢を保つことができなくなる症状です。
この症状は、初期段階ではみられず、病気が進行すると現れることがあります。
特に後ろに倒れやすいという傾向があり、それを「後方突進現象」といいます。

前傾姿勢

歩行時に前かがみの姿勢(前傾姿勢)をとるという特徴もあります。
前傾姿勢は、病気の進行に伴って悪化することが多いです。

すくみ現象

歩行や発語時に動作が途中で止まってしまうことをすくみ現象といいます。
歩行時によくみられ、すくんでしまうことをすくみ足と呼び、すくんだ後に動作速度が加速することを加速現象といいます。
止まってしまったり、加速してしまったりするため、転倒の要因になることもあります。

2. 非運動障害

パーキンソン病では非運動障害がみられることもあります。
非運動障害はさまざまです。
ここでは、主な非運動障害について説明します。

睡眠障害

  • 日中眠くなる(日中過眠)
  • 夜眠れなくなる(夜間不眠)

自律神経障害

  • 起きたときに血圧が下がり、めまいがする(起立性低血圧)
  • 便秘
  • 汗が多くなる(発汗過多)

精神・認知・行動障害

  • 気分障害(うつ、不安、無感情など)
  • 幻覚(本来見えないものが見える、聞こえないものが聞こえる)
  • 認知機能障害(記憶障害、注意障害など)

感覚障害

  • 臭いを感じにくくなる(臭覚障害)
  • 痛み(関節痛、筋肉痛など)

その他の障害

  • 体重変化(体重増加、体重減少など)
  • 疲労(疲れやすくなる)

パーキンソン病の診断

現時点ではパーキンソン病の確実な診断方法は確立されていません。
その中でも、近年ではMDS診断基準が活用されていることが多いです。

MDS診断基準では、『動作緩慢』がみられることが必須条件で、静止時振戦か筋強剛のどちらか1つまたは両方がみられるものと定義されています。
パーキンソン病の主症状の姿勢保持障害は病気が進行してからみられるためMDS診断基準には含まれていないことが特徴的です。

出典:一般社団法人日本神経学会「パーキンソン病診療ガイドライン2018

パーキンソン病の治療方法

パーキンソン病の治療方法

パーキンソン病は主に3つの治療方法があり、代表的なものが薬物療法と運動療法です。
それに加えて手術療法もあります。
それぞれの治療方法を紹介します。

出典:難病情報センター「パーキンソン病(指定難病6)

薬物療法

パーキンソン病の治療の基本は薬物療法です。
パーキンソン病は、ドパミン神経細胞が減少するため、少なくなったドパミンを補うための薬物を活用します。
ドパミンをそのまま飲んでも脳まで届かないので、ドパミンを出すための「L-dopa(レボドパ)」を内服することが多いです。
それ以外にも以下のようなさまざまな薬を組み合わせて、パーキンソン病の症状をコントロールします。

パーキンソン病に活用できる主な薬は以下のとおりです。

名前 作用、特徴
L-dopa(レボドパ) ・ドパミンの前駆体であるL-dopaを薬として内服することにより、ドパミンを補充する。
・作用時間が短いため、時間を分けて複数回内服する。
・過剰に服薬するとレボドパ誘発性の不随意運動(ジストニア)が現れてしまう
ドパミンアゴニスト ・作用時間の長いドパミン受容体刺激薬
・レボドパより効くまでに時間がかかる。
・吐き気や幻覚、妄想などの副作用に注意。
抗コリン薬 ・ドパミンの減少に伴って、もう1つの神経伝達物質であるアセチルコリンが相対的に過剰になる。その作用を減らす目的で使用される。
塩酸アマンタジン ・線条体でのドパミン放出を促す働き
・不随意運動(ジスキネジア)を抑制する効果
ゾニサミド ・レボドパとの併用で使う薬
・ウエアリングオフや振戦の残るときに特に有効。
※ウエアリングオフとは、薬が効いていない時間に症状が現れてしまうこと。ON-OFF現象とも呼ぶ。
MAO-B阻害薬 ・MAOの活性を低下させてドパミンの分解を抑制する。
・レボドパの効果は延長するが、不随意運動(ジスキネジア)は悪化することがある。
カテコール-O-メチル転移酵素(COMT)阻害薬 ・レボドパが脳内にたくさん入るようにする薬
ドロキシドパ ・足のすくみや意欲低下、立ちくらみを改善する効果

運動療法

パーキンソン病は薬物療法と併用して運動療法を実施することが大切とされています。
運動療法とは、いわゆるリハビリテーションのことです。
運動をすることで筋力向上や全身のストレッチ、転倒予防に有効とされています。

手術療法

パーキンソン病には脳深部刺激治療(DBS:deep brain stimulation)という手術療法があります。
簡単に説明すると、脳に電極を差し込み刺激する手術です。
手術の適用者は限られますが、中には手術療法を選択されることもあります。

出典:難病情報センター「パーキンソン病(指定難病6)

パーキンソン病患者を介護する際のポイント

パーキンソン病患者を介護する際のポイント
パーキンソン病の方には、介護をする際の特有のポイントがあります。
家族など、介護をする方がそのポイントを知っておくことが重要です。
ここではパーキンソン病の方を介護する際のポイントを紹介します。

1.適度な運動を心がける

パーキンソン病では、薬物療法と併せて運動療法を実施することが良いとされています。
15~20分程度の運動を1日2~3回行うと良いでしょう。

パーキンソン病は状態によって体の動かしにくさが異なります。
そのため運動療法も、リハビリテーションの専門家である理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などに指導を受けることをおすすめします。
例えば、パーキンソン病の主症状であるすくみ足なども運動療法により改善されたり、転倒予防につながったりすることもあります。

運動療法の例としては、以下のようなものが挙げられます。

筋力練習

パーキンソン病は薬が効いているときは動きやすいという特徴があります。
そのため、薬が効いているときに弱くなった筋力練習を実施することがおすすめです。
弱くなりやすい筋肉としては下肢の筋肉です。
具体的にはスクワットや椅子からの立ち座りを繰り返す練習が有効です。

関節可動域練習(ストレッチなど)

パーキンソン病は前傾姿勢をとりやすくなるため、猫背のような姿勢になりやすいです。
そのため腕を広げるようなストレッチや身体を反らすストレッチなどで体が丸まらないようにすることが大切です。
具体的には床に天井を見るように寝て、両手を横に広げて胸を開くようなストレッチが有効です。

歩行練習

パーキンソン病の場合はすくみ足が生じる特徴があります。
そのような歩行障害に対しては、以下の2つのような方法が有効です。

  1. 「1,2,1,2」と声を出して歩行する
  2. 床に等間隔にテープを貼りそれを跨ぐように歩行する

そのほかに、起居動作の練習、日常生活動作の練習、外出の練習といった方法も有効です。

3. 規則正しい生活を送る

パーキンソン病の方は、規則正しい生活を送ることが重要です。
例えば、起きる時間や寝る時間、食事、入浴、薬を飲む時間などを、普段から同じ時間帯に行うようにしましょう。

パーキンソン病はウエアリングオフ(薬が効いていない時間に症状が現れること)がみられます。
生活リズムを整えることで、自分自身の体の動きやすいタイミングを知ることができます。
自分自身の体の動きやすいタイミングを知り、動きやすい時間に合わせて外出や入浴時間などを決めることで、なるべく快適に生活する工夫をすることができます。

4. 便秘解消に努める

パーキンソン病の方は便秘に悩まされる人が多いです。
パーキンソン病の方の便秘の原因として、主に以下のことが挙げられます。

  • 薬の副作用
  • 運動不足
  • 水分不足

便秘の対処法としては、便秘薬の内服に合わせて、運動習慣を持つことや水分を積極的に摂ることが有効です。
便秘の状況を主治医にしっかりと伝えて、パーキンソン病の薬に併せて処方してもらいましょう。
そして日頃から適度の運動を心がけ、こまめな水分摂取をするようにしましょう。

5. 立ち座りに注意する

パーキンソン病の一つの症状に、起立性低血圧があります。
これはいわゆる立ちくらみです。立ちくらみは血圧の急な低下によって起こります。

立ちくらみがあった際に動いてしまうと転倒や転落につながります。
起き上がった際や立ち上がった際に立ちくらみがあった場合は、まずは深呼吸し、立ちくらみがなくなってから動くようにしましょう。

6.福祉用具を活用する

パーキンソン病の人は福祉用具を活用することで生活がしやすくなることもあります。
パーキンソン病の人におすすめの福祉用具はいくつかありますが、ここでは2つの商品をご紹介します。

アルコー1S-T型

アルコー1S-T型
1つ目に紹介するものは歩行器です。
パーキンソン病の特徴として、突進歩行になってしまうことが挙げられます。
この歩行器は、速度抑制機能付きの歩行器ですので、突進歩行時の安全確保が可能です。

バディーC

バディーC
2つ目に紹介するものは手すりです。
この手すりは、床と天井で突っ張ることで設置する手すりで、足元を広く確保できる利点があります。
躓くことを予防でき、また工事などが不要で基本的にどこにでも設置ができるため安全に移動しやすくなります。

そのほかにも、ヤマシタでは、介護に役立つ介護用品や福祉用具のレンタル・購入を扱っています。
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まとめ

今回は、パーキンソン病の概要(原因や症状など)と、介護をする際のポイントについて解説をしました。
パーキンソン病は年齢を重ねるにつれて発症率は高くなる病気ですが、症状は人それぞれです。
その症状にあわせて薬物療法を主として治療をします。

パーキンソン病とうまく付き合うことが大切で、上手に付き合っていくことで日常生活も送りやすくなるでしょう。

記事ライター
記事ライター
ライター

杉浦良介

理学療法士

通所リハビリ・訪問看護・回復期病棟・訪問リハビリでの経験のある理学療法士。YouTube「訪問リハ&訪問看護&介護保険【制度マニア】」、訪問リハブログ「訪問リハビリ・訪問看護情報サイト」、訪問看護ブログ「ビジケア訪問看護経営マガジン」で介護保険制度や訪問リハ、訪問看護などの情報発信をしている。著書に『リハコネ式!訪問リハのためのルールブック【第二版】』がある。


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