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福祉用具レンタルのモニタリングとは
介護保険で福祉用具をレンタルすると、必ず、「モニタリング」という利用後の導入確認があります。家電やカメラ、スーツケースなどの旅行用品に至るまでレンタルは、生活の様々な場面で利用されていますが、そのすべてにモニタリングがある訳ではありません。
介護保険での福祉用具だけ、モニタリングがあります。モニタリングの仕組みが何故あるのか、どのようなことをするのか、詳しく説明します。
モニタリングは、安全で、その人に合った適切な利用のため
介護保険では介護用ベッドや車いす、移動用リフトなどは、レンタルで利用ができます。
介護が必要な高齢者の状態は変化がしやすく、福祉用具の利用を始めても3か月程度での短期利用にピークがあり、変更・終了になるという傾向があります(出典:テクノエイド協会 介護保険における福祉用具貸与の実態に関する調査研究事業報告書 平成20年)。
介護保険のレンタルは、あらかじめ利用期間を設定するのではなく、必要な期間、レンタルできるのです。また状態変更や、入院、施設などへ移って、不要になったときにはいつでも返却できます。
こうした仕組みは、高齢者には使いやすいといえますが、もう1つ、高齢者の安全な利用を考えたときに、モニタリングがあります。
モニタリングは、状況確認とも言います。車いすなどの福祉用具は高齢者や家族にとって、初めて使うことが多い物ばかりです。家電やスーツケースのレンタルのように、直ぐに操作ができるとは限りません。それだけに、レンタルの際の使用説明は大事ですし、レンタル後には「間違って使用していないか」「使用後の不具合はないか」という確認が、重要です。
モニタリングは、利用者の安全な利用のためです。
介護保険で利用する場合、その利用によって何がしたいのか、何ができるようになるのか、家族の介護負担は軽くなるのかなど、利用にあたっての目標があります。車いすを利用することで外出が増えたのか、歩行器の利用で家の中の移動が1人でできるようにしたいといった、利用時の目標に対して、どうであるのかという確認がモニタリングでできます。
また、利用している中で高齢者の状態が変化することも多々あります。「歩行器を使っているが、室内は手すりだけでよいのではないか」、「外出時は車いすが必要ではないか」と、モニタリングで利用者とレンタルした福祉用具を確認し、状態に合わせた利用変更・見直しにつなげていくことができます。
このようにモニタリングは、レンタルした福祉用具の安全な利用と利用者に合った適切な利用、目標達成を見るという意味があります。福祉用具貸与事業所の福祉用具専門相談員(以下、専門相談員)が実施します。福祉用具をレンタルした貸与事業所が行うことと、介護保険では規定されています。

出典:厚生労働省社保審-介護給付費分科会 第141回 福祉用具貸与 (参考資料)より抜粋
モニタリングも、レンタル料金には含まれている
介護保険では、自己負担額は収入に応じて1~3割です。機能によりレンタル料金には幅がありますが、例えば1ヵ月5000円の車いすをレンタルしたとき、1割の自己負担額なら500円ということです。10000円の介護用ベッドなら、1000円です。
この金額には、専門相談員と相談し、車いすや介護用ベッドを届ける搬入費用、ベッドのように大型の用具は組み立てて、設置すること、使用に当たっての説明や利用する高齢者に合わせて調整することも含まれています。さらに、使用後のモニタリングにかかる費用も含まれています。「モニタリングに来ました」ということで、新たに利用者の負担は発生しないのです。
モニタリングした結果は、記録。ケアマネジャーにも渡される
専門相談員はモニタリングした結果を記録して、利用者・家族に説明します。
記録シートの書式には規定はありませんが、全国福祉用具専門相談員協会では「ふくせんモニタリングシート」(図参照)という書式を開発し、利用を呼び掛けています。最新である令和6年版では、モニタリングの目的である「目標達成」や、安全な利用につながる「利用状況の問題」、レンタルした用具の点検結果のチェック項目があります。また利用者の変化を記載する項目があり、最終的に、このままレンタルを継続するのか、それとも見直しの必要性があるのかについて、専門相談員によるコメントが入ります。
モニタリングはレンタル期間中に1回実施するのではありません。頻度は、事業所によって異なりますが、6ヶ月に一回程度、行われます。そのため、次回の予定を記載する欄があるのです。
この記録は、利用者の担当ケアマネジャーにも渡されます。
状況によって他の福祉用具への借り換えとなるときは、介護保険での利用なので、ケアマネジャーと相談し、ケアプランの変更があるからです。
福祉用具モニタリングの記録は、ケアマネジャーにとっても大事な情報なのです。
出典:全国福祉用具専門相談員協会
まとめ
福祉用具のモニタリングは、使う側にとって、安全安心な仕組みです。家に来てもらうのは億劫だからと思わず、専門相談員に福祉用具利用の相談をしてください。ベッド用テーブルの上げ下げに力を使うとか、リモコンの表示がわかりにくいとか、こんなことを聞いてもよいか、ということでも話してください。誤使用・誤操作、事故のリスクを減らすことにつながります。
東畠 弘子
国際医療福祉大学大学院 福祉支援工学分野 特任教授
全国福祉用具専門相談員協会(ふくせん)理事
日本福祉用具供給協会顧問
2011年国際医療福祉大学大学院入職、2016年から現職。2023年度ふくせん老健事業「福祉用具専門相談員指定講習カリキュラムの見直しに向けた調査研究事業」の委員長をはじめ、数々のふくせん老健事業で委員長や委員を務める。 厚生労働省「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」の構成員でもある。




