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歩行訓練に役立つ介護用品の選び方
退院直後や体力低下の時期は、筋力よりも安全と再現性を優先した歩行訓練が効果的です。平行棒がない自宅でも、壁沿いや手すり、歩行器を活用すれば十分に練習できます。
本記事では環境づくりと介護用品の活用方法を紹介し、転倒を避けながら着実に前進するコツをまとめます。
自宅でできる歩行訓練の基本
小さな成功を積み上げるには、動線と支持物の配置が鍵になります。まずは「短距離×確実な支持」から始め、呼吸や姿勢を乱さずに往復できる区間を設定しましょう。
平行棒がない環境での代替方法
廊下の壁・据え置き手すり・家具の天板を直線配置にして“片側平行棒”を作ります。支持面は腰〜肘の高さが目安です。距離は5〜10m程度を往復し、途中に休憩ステーション(椅子・台)を置くと安全に反復できます。屋内歩行器は左右対称の支持が得られ、足の運びや重心移動の練習に適しています。
安全確保と転倒予防
練習前に床の滑り・段差・コード類を除去し、足元は踵が包まれる靴下または室内靴にします。ブレーキ付き歩行器では握る→立つ→進む→止まるの順序を徹底。ふらつきやすい日は歩幅を半分に、回転は小さく2回で向きを変えると安定します。
ヤマシタすぐきた掲載商品
手すりや歩行器を活用することで安全に歩行訓練を行うことができます。
据え置き型手すり
商品名 | 主な特長 | サイズ | 1割負担時のレンタル価格 |
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ルーツ ロングタイプ | トップグリップは力が入りやすい楕円状 | 幅81×高さ70~80cm(3段階) | 296円/月 |
歩行サポート手すり スムーディ 屋内用 | 細かく高さ調整可能で組み合わせ豊富な手すり | 幅81×高さ70~85cm(2.5cmピッチ7段階) | 390円/月 |
歩行器
商品名 | 主な特長 | サイズ | 1割負担時のレンタル価格 |
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セーフティーアームウォーカー Mタイプ | スイングキャスターで小回りのきく室内専用歩行器 | 幅62×長さ54×高さ73.5~83.5cm | 252円/月 |
テイコブリトルホーム | 後輪タイヤはフローリングで滑りにくくタイヤ痕もつかない素材 | 幅47×長さ58×高さ64~91cm(10段階) | 366円/月 |
レッツゴー | ブレーキレバーを押し下げるとパーキングブレーキがかかる | 幅54×長さ60×高さ84~91.5cm(4段階) | 306円/月 |
設置・フィッティング
歩行器も手すりも「高さ」と「動線」の設計がすべてと言っても過言ではありません。個別の身体特性に合わせ、微調整を前提に整えていきます。
高さ調整と動線づくり
グリップ高は大転子(股関節横)付近を基本に、肘軽度屈曲(15〜30°)で自然に握れる位置へ。開始は家の最長直線コースを選び、滑りやすい敷物は撤去します。曲がり角は壁側にミニコーンや目印テープを置き、小回り+停止の練習を反復します。
使用時のチェックポイント
・スタート前にブレーキ作動・フレーム剛性・車輪の回転を確認
・立ち上がりは「前足荷重→手で補助→体幹直立→歩行器へ」の順番固定
・疲労時は歩幅が乱れやすいので、10〜15歩で立ち止まって呼吸
・濡れた床・段差・ドア敷居では前輪を押し付けず、真っ直ぐ乗り越える意識を徹底
・練習後はグリップやブレーキに水滴やホコリが残っていないかを拭き取り、可動部の異音は早めに相談します。
まとめ
平行棒がなくても、直線動線+適切な支持物+ブレーキ操作が整えば自宅で質の高い歩行訓練は可能です。練習は「短距離・確実な停止・小さな方向転換」から段階的に。日々の記録で調子の波を見える化し、無理なく前進していきましょう。