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加齢性難聴の方の特徴と介護者のコミュニケーションのポイントを解説

加齢性難聴の方の特徴と介護者のコミュニケーションのポイントを解説のイメージ

加齢性難聴は進行すると車のクラクションに気づかず危険な目にあってしまう可能性や、本人が会話を楽しめないことから、引きこもって認知症になってしまうリスクがあります。

また、介護者からすれば「話が通じなくてイライラする」と大きな負担に感じている場合もあります。加齢性難聴の特徴や症状を理解することで、難聴の方に対する接し方や心の持ちようも変化していきます。本記事で詳しく解説していきます。

加齢性難聴とは?

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加齢性難聴は年齢とともに聴力が少しずつ低下して、正確な言葉の聞き取りが制限されてしまう疾患です。耳の中にある有毛細胞(音を調整するとともに、電気信号にして脳に伝達する細胞)が加齢によって傷んでしまい、抜け落ちたり数が減ることが原因です。

さらに、抜け落ちた有毛細胞は再生されません。そのため、全体の細胞数が減り、音情報をうまく神経に伝えられなくなり、聞こえ方が悪くなってしまいます。

難聴が進むと、たとえば車のクラクションに気づかなかったりと日常生活に支障をきたします。また、言葉を聞き取れず会話を楽しめなくなると、自信を無くして人との交流を避けたり、閉じこもりがちになるので認知機能の低下も懸念されます。

症状の自覚がないことがある

加齢性難聴は40代頃から始まる人もおり、そこから少しずつ進行していくため、本人が「聞こえにくくなった」と自覚しない場合もあります。

また、本人が聞き取りにくさにに気がついたとしても「年を取った」ことを受け入れがたいことから、家族など周りの人が気づくケースもあります。

70代になると、男性は5人に1人、女性は10人に1人の割合で日常生活に支障をきたす難聴に悩まされているといわれています。

難聴と認知症の関係

加齢性難聴が進行すると、聞こえにくさから他者とのコミュニケーションを取ろうとせず、引きこもってしまうことがあります。そうした社会的な孤立化が認知症の発生リスクを高めてしまいます。

難聴は徐々に進行するために、本人が気がつかないうちに聞こえが悪くなります。そのため周囲の人が早めに対処することが重要です。補聴器を使ってみたり、デイサービスなどの介護サービスを利用することは、他者との交流につながるので有効です。

加齢性難聴の症状

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加齢性難聴の症状は、主に3つあります。

  1. 高音域の音が聞こえにくい
  2. 似た音の判別が難しい
  3. 大きな音がうるさく感じる

高音域の音が聞こえにくい

有毛細胞の数が減少することにより聞こえづらくなることに加えて、加齢に伴い高周波数の音を処理する能力が低下してしまいます。

たとえば、電話の呼び出し音や、電子レンジの音などの機械的な高音、さらに子どもの声や女性の声も高音域なため聞き取りづらくなります。

車のクラクションや自転車のベルなどに気がつかず、危険察知が遅れてしまうので、注意が必要です。

似た音の判別が難しい

高音域のカ行・サ行・タ行の子音が聞こえにくくなります。「加藤さん」や「佐藤さん」など似た音の判別がしにくくなるのも、加齢性難聴の特徴です。

たとえば、サ行は「シ」の音、イチ(一)と「シチ(七)」などの判別が難しくなります。また、タ行の場合は「テ」の音、「エホン(絵本)」と「テホン(手本)」などの音が聞き取りにくくなります。

表情を豊かにすることやジェスチャーを交えてコミュニケーションを取ることが大切です。

大きな音がうるさく感じる

小さな音は聞こえにくくなる一方で、大きな音は響いて聞こえてしまうため、うるさく感じてしまうことがあります。

耳が遠い人とコミュニケーションを取る際に、耳元に近づいてしゃべることがありますが、あまりに大きな声で話すと苦痛を感じさせてしまうので注意が必要です。

介護者(家族)からすると、内容を理解できないことに対して不安に思うかもしれませんが、加齢性難聴の特徴の1つであることを理解しておくことが重要です。

加齢性難聴の方と上手くコミュニケーションをとるポイント

加齢性難聴の方と上手くコミュニケーションをとるポイントのイメージ

加齢性難聴の特徴的な症状を考慮して、本人とコミュニケーションを取るポイントは4つあります。

  1. 静かな環境を整える
  2. 向かい合って話す
  3. 筆談や身振り・手振りを交える
  4. ゆっくり大きな声で、はっきりと話す

静かな環境を整える

難聴の人に限りませんが、テレビや周囲の人の会話など雑音が多いと会話に集中できず、さらに聞き取りにくくなります。

テレビの音量を下げることや、なるべく周囲の音が聞こえない静かな環境を整えることが重要です。あわせて、表情や口の動きが見えるように、明るい場所を選ぶこともポイントです。

近くで話すと聞き取りやすくなりますが、あまりにも近い距離で、大きな声で話すと不快感を持つ人もいるので一定の距離感を保ちましょう。

向かい合って話す

横や後から話しかけられると、自分に話しかけられているか分からないため、向かい合って話します。

さらに、口の動きが見えると、やや聞こえにくい所があったとしても情報を補完して理解できます。表情を見えやすくするために、明るい場所を選ぶことや逆光を避けることは有効です。

マスクの着用が必要な際は、飛沫対策が施された透明マスクを使用しましょう。

筆談や身振り・手振りを交える

文字を使ってもコミュニケーションは取れるため、聞き取りにくい言葉は筆談することも有効です。

また、イラストを指してコミュニケーションを図る、コミュニケーションボードなどの活用も意思疎通を円滑にできるツールとなります。

数字の「1」などは高音域で聞き取りにくいので、指で表したり、熱中症を心配して手をあおいで暑さを表現するなど、身振り手振りで分かりやすくするのは有効です。

飲み物の量など、あいまいな事柄を表現するために両手を広げたりして確認しましょう。

ゆっくり大きな声ではっきりと話す

大きめな声でかつ、抑揚を損なわない程度の速さでゆっくりとはっきり話すことも大切です。

ただし、大きな音は反響してうるさいと感じる人もいるので、相手の様子を伺いながら声の大きさを調節するとよいでしょう。

カ行やサ行、タ行は聞き取りづらいため、とくにゆっくりとはっきり話す必要があります。また、早口は聞き取りづらいので「〇〇さん/調子は/いかがですか」と言葉のまとまりごとにはっきり話しましょう。

加齢性難聴の方を介護する際の注意点

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難聴の方を介護する場合、うまく意思疎通ができないことから、ついイライラしてしまいがちですが、2つのことを意識することがポイントです。

まずは、イライラしたら一時会話を中断することです。自分がイライラし始めると相手もつられてイライラし、ヒートアップしてしまったら冷静な会話が成立しません。

もし、イライラに気がついたら、数秒でもいいので会話を中断しましょう。

2つ目は細かな指摘をしないことです。難聴の人は、相手に何度も聞き返すのが悪いと感じて、思い込みで返事をすることがあります。

聞き間違いや受け答えに誤りがあったとしても、悪気があってやっているわけではありません。

少しの間違いなら細かく指摘せずに、また重要なことは筆談をするなど工夫をしてコミュニケーションをとりましょう。

まとめ

加齢性難聴は歳を重ねるにつれて、耳が遠くなるため本人が気づいていない場合があります。

しかし、難聴が進むと車のクラクションの音が聞こえなかったりと日常生活に支障をきたしてしまうので介護をする家族でフォローする必要があります。

家族は、コミュニケーションを円滑にできなくなるため、イライラしてしまいがちですが我慢ができなくなったら、一時会話を中断するなどして適切な距離感を保つことも重要です。

難聴の人の特徴を理解して、お互いに負担がないように生活していくことを心がけましょう。

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