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認知症の治療はできる?抗認知症薬の効果と副作用を解説
認知症は早期発見で進行を抑えられますが、なかにはそもそも治療できるのかと思う方もいるでしょう。
結論から述べると、認知症には治療できるものと治療できないものがあります。また、認知症の治療には早期受診のほか、指定された薬を服用することが大切です。
そこで本記事では、治療できる認知症と治療できない認知症と、抗認知症薬の効果と副作用を詳しく紹介します。認知症治療に取り組んでいる方とそのご家族は、ぜひ最後までご覧ください。
認知症は治療できる?
認知症は治療できるものとできないものがあります。
治療可能な認知症の場合は、外科手術で治療が可能です。治療できない認知症の場合は、投薬やリハビリなどで進行を遅らせることになります。
次の項目では、治療できない認知症やその種類を紹介します。
一部の認知症の根本療法はまだない
原因の6割以上を占める「アルツハイマー型認知症」や「血管性認知症」などが原因によるものは、脳細胞の障害から発症したものでの治療は確立されていません。
脳細胞を治療する方法が見つかっていないのが現状です。
しかし、薬物療法やリハビリ、運動などを通じて認知症の進行を遅らせたり、症状を緩和させたりすることはできます。
症状の緩和のためには、認知症の症状が見られたら早めに検査・診察を受けることが大切です。
家族が認知症かも?と思ったら、本人の意志を尊重しながらも、病院の受診をするように勧めましょう。
治療可能な認知症の種類
認知症にはさまざまな種類があり、治療可能なものもあります。具体的に治る認知症というのは、以下の4つです。
- 正常圧水頭症
- 慢性硬膜下血腫
- 血管性認知症
- 甲状腺機能低下症
上記の認知症は、脳外科手術によって治る可能性が高いため、治療可能な認知症だといわれています。
発症する原因として、血管性認知症は脳梗塞や脳出血によって、脳の一部に障害が出るためです。
慢性硬膜下血腫などは、軽い打撲などが原因で発症するものです。
このように症状が起こる原因はさまざまですが、いずれにしても早く治療を始めることで治る可能性が高くなります。
抗認知症薬は4種類
認知症に使われる薬は、主に以下の4種類です。
以下の薬を服用して、認知症の進行を遅らせて日常生活を遅れるようにします。また、薬物療法以外にも認知機能のリハビリを行い、精神的な安定・脳の活性化を図ります。
それぞれの薬を項目別に詳しく紹介します。
ドネペジル | アリセプトとも呼ばれるもので、記憶障害の緩和が期待できます。吐き気や嘔吐、食欲不振などの副作用が出ることがあります。 |
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リバスチグミン | イクセロン・リバスタッチパッチとも呼ばれるもので、記憶障害の緩和を図ります。吐き気・嘔吐の副作用が出ることがあります。 |
ガランタミン | レミニールとも呼ばれるもので、記憶障害や見当障害を抑えるものです。かゆみや発疹・頭痛などの副作用が出ることがあります。 |
メマンチン | メマリーとも呼ばれるもので、中核障害の緩和を図ります。めまい・便秘・意欲低下の副作用が出ることがあります。 |
ドネペジル
ドネペジルは、記憶障害の緩和が期待できる抗認知症薬です。
アセチルコリン系の神経活動を高めて、記憶障害をはじめとする認知症の症状を緩和させます。
副作用として吐き気や嘔吐、食欲不振などが出ることがあります。
リバスチグミン
リバスチグミンは、軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症の認知症症状を抑えるための薬です。
こちらの薬を服用して、物忘れの悪化、思考力・判断力低下の改善を図ります。
副作用として、吐き気・嘔吐の副作用が出ることがあります。
ガランタミン
ガランタミンは、レミニールとも呼ばれるもので記憶障害の緩和が期待できる抗認知症薬です。
アセチルコリン系の神経活動を高めて、記憶障害をはじめとする認知症の症状を緩和させます。
副作用として吐き気や嘔吐、食欲不振などが出ることがあります。
メマンチン
メマンチンは、神経伝達物質のグルタミン酸の過剰を抑える薬です。
過剰なグルタミン酸を抑えて、グルタミン酸神経系の機能異常の改善を図ります。結果として、アルツハイマー型認知症の症状が軽くなります。
副作用として、めまい・便秘・意欲低下が出ることがあります。
抗認知症薬の副作用
抗認知症薬は副作用は少なくありません。具体的な副作用には、消化器症状や不安焦燥の悪化、転倒などが挙げられます。とくに飲み始めの時期は吐き気や食欲不振などがみられます。
抗認知症薬の副作用の問題がなければ、症状の悪化を防ぐために薬を飲み続けることが推奨されています。
服薬における注意点
服薬における注意点は、以下の通りです。
- 服薬介助をする
- 薬は納得してから飲ませる
- 患者の生活タイミングに合わせて服用する時間を合わせる
- 薬と食事を混ぜないようにする
- 飲みやすい薬・使用しやすい剤型にすることも検討する
認知症症状を抑えるために薬の服用は欠かせませんが、認知症患者の場合は服用する薬の管理ができないのは珍しいことではありません。
患者によっては薬の飲み忘れ、飲み間違いをしてしまうことがあります。そのため、服薬介助がとても重要です。
患者の生活タイミングに合わせて服用する時間を合わせたり、薬は納得してから飲ませたりなど、本人の意志を尊重しながら服薬介助に取り組みましょう。
もしも服薬を拒否する場合は、飲みやすい薬や服用しやすい剤型にするのも一つの手です。
健康食品は認知症に効果はある?
結論から述べると、効果のないものが多いとされています。
なかには認知症予防学会認定サプリ第一号である、フェルガード、認定されているオキシカット、βラクトリンがありますが、それら以外の効果は証明されていません。
認知症治療には、指定された薬をしっかりと服用することが大切です。
また、認知症の予防には青色・オリーブオイル・大豆製品といった食べ物が効果的です。
多量のアルコール、マーガリンなどの脂肪酸は発症リスクを高める可能性があるため、注意しましょう。
まとめ
本記事では、認知症が治療可能なのか、治療に伴い使用する薬などを紹介しました。
認知症は治療可能なものと、治療できないものがあります。治療可能なものは「正常圧水頭症」「慢性硬膜下血腫」などが原因で起こる認知症です。
一方、治療ができない認知症は、原因の6割以上を占める「アルツハイマー型認知症」や「血管性認知症」などが挙げられます。
治療ができない認知症を発症した場合は、薬物療法やリハビリを通して症状の緩和・進行を遅らせる必要があります。
認知症は発見が早いほど、治療できる可能性も高まります。本記事で紹介した内容をもとにして、認知症治療に取り組んでいきましょう。