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【予防法あり】腰椎圧迫骨折とは?原因や治療法を解説
高齢になると栄養不足や運動不足による骨の脆弱化が起こり、骨折をしやすい傾向があります。
なかでも腰椎圧迫骨折をすると、生活に大きな支障をきたしてしまいます。そのため事前に対策を知っておくことが重要です。
本記事では、腰椎圧迫骨折の原因や治療法を解説します。日常における予防法も紹介するので、事前対策もできます。
高齢者やそのご家族は、ぜひ参考にしてみてください。
腰椎圧迫骨折とは?
腰椎圧迫骨折とは、腰椎(腰骨)に外力が加わることで潰れてしまう状態のことを指します。
骨折すると激しい腰痛に襲われて、身体を起こしたり椅子から立ち上がったりするなどの日常動作が困難になるでしょう。
高齢者の場合は特に適切な治療やリハビリを行わないと、寝たきりや介護が必要な状態にまで進行します。
腰椎圧迫骨折は、早期発見と適切な処置が必要です。
腰椎圧迫骨折の原因
高齢者の腰椎圧迫骨折の原因は、おもに骨粗しょう症に伴う骨の脆弱化です。
骨粗しょう症とは、カルシウム・ビタミンDの不足やホルモンバランスの変化により骨密度が低下する病気です。
年齢と共に食欲が減少すると栄養バランスが偏り、必要な栄養素を身体に取り込めなくなります。
そのため骨密度が下がり、骨粗しょう症を引き起こしやすくなるのです。
また男性はテストステロン、女性は閉経によるエストロゲンの減少でホルモンバランスが崩れることでも骨密度が低下します。
さらに高齢者になると、運動量の減少や骨代謝の遅延により骨が壊れやすくなります。その結果、転倒や転落、くしゃみなどによって腰椎を骨折するリスクが上がります。
腰椎圧迫骨折の症状
腰椎圧迫骨折の初期症状はほとんどありません。そのため、発症初期には骨折に気づかない高齢者もいます。
症状が進行してくると、腰や背中に強い痛みが起こります。
寝返りや起き上がり時に少し身体を動かしただけでも、ズキズキとした痛みに襲われるでしょう。
また骨折部位が複数あると、背中が丸まり身長が低くなります。その結果、内臓が圧迫されて呼吸器や消化器機能の低下などを併発する方もいます。
さらに腰椎は神経や脊髄の保護にも役立っている部位です。骨折が進行すると神経障害を引き起こし最悪の場合、歩行障害となる可能性もあります。
腰椎圧迫骨折の検査方法
腰椎圧迫骨折の検査方法はおもに3つです。
- レントゲン
- CT
- MRI
レントゲン写真で確認すると、腰椎の一部が潰れているのが見られます。
ただし発生直後は骨が保たれている場合が多く、レントゲンでは発見できないケースも少なくありません。
足の痺れや痛みがある場合は、脊柱管内の神経に支障をきたしている可能性があるため精密検査を受けましょう。
骨折部位だけでなく神経の状態を調べられるCTやMRIが有効です。
腰椎圧迫骨折の治療方法
腰椎圧迫骨折の治療方法には大きく分けて2つあります。
- 保存療法
- 手術
症状やその人の生活によって治療方法は変わるので、ぜひ自身と照らし合わせながら読み進めてみてください。
保存療法
腰椎圧迫骨折の治療では、保存療法を最初の選択肢とする場合があります。保存療法の内容は以下の2つです。
- コルセットや装具を使用する
- 安静に過ごす
腰椎は身体を曲げたり捻ったりなど、身体の可動に影響を与える骨です。日常動作のなかで負担がかかりやすいため、コルセットや装具を使用して体幹を固定します。
また安静に過ごすのも保存療法の1つです。
骨折部位への負担を軽減するため、数週間から数ヵ月は激しい運動や重い物を持つ動作を制限します。
保存療法は無理に可動させないことで、少しずつ治癒に近づける治療法です。
手術
保存療法で良くならない場合には手術を行います。
手術では、「バルーン椎体形成術」と呼ばれる方法が多く採用されています。バルーン椎体形成術の内容は以下のとおりです。
- 骨折した椎体に針を刺して小さく切開をする
- 切開した箇所からバルーンを挿入する
- バルーンを膨らませて椎体内部を広げる
- バルーンを抜き、その間に医療用のセメントを注入して潰れた腰椎を補強する
- セメントが固まったら手術は終了
バルーン椎体形成術は切開部位が小さい手術のため、1時間程度で終了します。体力が低下しやすい高齢者でも安全に治療できます。
入院期間
バルーン椎体形成術で手術した場合、入院期間は約1週間です。切開する部分も小さいため、体の負担も少なく入院期間は短めです。
しかし患者によっては、麻酔に伴う吐き気や頭痛などの合併症を引き起こす場合があります。
また手術をする椎体の数が多ければ、療養期間は長くなります。合併症や全身の状態によって入院期間が伸びる可能性もあるでしょう。
日常生活における腰椎圧迫骨折の予防方法
腰椎圧迫骨折の予防には、食事や運動などの健康管理が重要です。適切な生活習慣を怠ると栄養不足や運動不足になり、骨粗しょう症を引き起こす原因につながります。
野菜や魚類からのビタミンDや乳製品に豊富なカルシウムなどを食事から摂ることを心がけましょう。
高齢者になると食事量が減少するので、サプリから摂取するのもおすすめです。
また骨を丈夫に保つためには運動も不可欠です。ジムに通ったり散歩をしたりなど、自分が無理なく続けられるトレーニングを取り入れることが大切です。
腰椎圧迫骨折を防ぎたい方は、ぜひ食事や運動などを見直してみてください。
腰椎圧迫骨折におすすめの介護用品
腰椎圧迫骨折を発症した際におすすめの介護用品は以下のとおりです。
- 介護ベッド
- 杖
- 歩行器
- 手すり
腰椎圧迫骨折は介護認定の対象症状です。
介護認定が降りれば自己負担額が1割の場合、介護用品を数千円で利用できます。
安全に生活するためにも、介護用品の利用は検討しましょう。
介護ベッド
腰椎圧迫骨折を発症した場合、ベッドで安静にする期間が必要です。
しかしベッドが硬いと、腰に負担がかかり症状を悪化させる原因につながります。
そのままの状態が続くと最悪の場合、床ずれ(褥瘡)を発症してしまうので、介護ベッドの選別は大切です。
「ラフィオ ポジショニングベッド 2モーター 90cm幅レギュラー」なら、安全性と自然な寝心地を実現できます。
背上げをしても背中の圧力を分散できる構造なので、床ずれのリスクを下げられます。立ち上がる際に背上げ機能を活用すれば、スムーズな起き上がりも可能です。
さらに床面から15cmの低さまでベッドを下げられるため転落防止もできます。
縦×横×高さ(ボード含む) | 幅100×長さ211×高さ60~102cm |
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高さ | 60~102cm |
背上げ角度 | 0~70度 |
膝上げ角度 | 0度~22度 |
重量 | 96.9kg |
杖
腰椎圧迫骨折の回復後には、杖を使用した歩行訓練を実施します。日常生活で使用する機会も増えるので、使いやすい杖を選ぶ必要があります。
そのなかでおすすめなのは「アルミ製四点杖」です。
4点で支えるので1本杖よりも安定しています。杖を使用したことのない方や、1本杖では不安な人にはおすすめです。
長さ | 72~95cm(10段階) |
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重量 | 750g |
ベース | 幅14×長さ21cm |
歩行器
杖が不安な方は歩行器を使用しましょう。歩行器は4本の脚でつながっている構造なので、杖よりも安定性が高いです。
そのなかでもおすすめの歩行器が「サンティノ」です。
サンティノはコンパクトさを意識した歩行器で、折りたたみ可能となっています。重量も4.9kgと軽量なため、リハビリや外出で利用する方には最適です。
ただし歩行器は、使用環境が屋内か屋外かにより選定基準が変わる製品です。利用者の状況や福祉用具相談員の意見をもとに選びましょう。
サイズ | 幅50×長さ63.5×高さ80~95cm(5段階) |
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折りたたみ時 | 幅21×長さ30×高さ80~95cm(5段階) |
キャスタ径 | 前輪後輪13cm |
積載量 | バッグ:5kg |
重量 | 4.9kg |
手すり
手すりを設置すれば転倒を防止できます。自宅に設置する場合は、簡易的に置ける手すりがおすすめです。
「歩行サポート手すり スムーディ 伸縮タイプ 片手すり」なら玄関前の段差に設置できます。
ベースには安定感のある重りがついているため、工事不要で取り付けられます。また、固定する位置を自在に変更可能です。
玄関の真ん中に設置すれば健側から行き帰りができるので、麻痺側がある方には最適な商品です。
手すりの高さ | 70~85cm(2.5cm間隔7段階) |
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サイズ | ベース:幅45×長さ80×高さ70~85cm(7段階) |
設置可能箇所(室内/屋外) | 屋外 |
まとめ
腰椎(腰骨)とは背骨の下半分の骨で、身体を曲げたり捻ったりなど、身体の可動や体幹をサポートする役割があります。
神経や脊髄の保護もしているため、骨折をすると生活に大きな支障をきたします。
腰椎圧迫骨折の原因は、おもに骨粗しょう症に伴う骨折です。骨粗しょう症は、食生活の乱れや運動量の低下が原因の1つといわれています。そのため普段の食生活や運動に気を遣うことが大切です。
日頃の生活習慣に気をつけながら、健康的な生活を長く続けましょう。