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介護保険で歩行器のレンタル・購入を選べる!介護保険制度の改定内容を解説
歩行器は、加齢や怪我、病気が原因となって歩行が困難な方の行動範囲を広げるための福祉用具です。
使用用途や場面によって選択できるようさまざまな種類が用意されていますが、介護保険ではレンタルが主流でした。
しかし、2024年度介護保険制度改定により、歩行器はレンタルまたは購入の選択制となり、利用者の選択肢が広がりました。
この記事では、介護保険制度改定の概要やレンタル・購入におけるメリット、デメリットを解説します。
さらにおすすめの歩行器も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
2024年度介護保険制度改定で歩行器のレンタル・購入を選べるようになった
2024年度介護保険制度改定に伴い、歩行器がレンタル・購入を選べるようになりました。
改定前の介護保険制度ではレンタルが主であった歩行器は購入も可能となり、利用者が選べる歩行器の選択肢が増えました。
レンタル・購入の選択制の対象となる歩行器は、脚部がすべてゴムで固定または交互式であり、車輪やキャスターが付く歩行車は対象外のため、注意が必要です。
利用者の選択肢が増えた一方で、使い方や機能などタイプの異なる歩行器が多くあり、レンタル・購入の見極めが困難にもなっています。
また、歩行器は屋内または屋外など使用用途や場面によってさまざまな種類が用意されており、利用者だけで選択するのは困難なため、今まで以上に福祉関係者のアドバイスが必要になります。
歩行器はレンタル・購入どちらが安い?
利用者が歩行器を選ぶ際、レンタル・購入どちらが安いのでしょうか。
介護保険を利用してレンタル・購入した場合を比較した一例は次のとおりです。
固定式の場合(平均利用月数:11.0月、セーフティーアームウォーカー レギュラー使用)
※1割負担の場合
介護保険を利用してレンタル:152円/月
介護保険を利用して購入:2,050円
で計算すると、2,050円÷152円/月=13.5月となり、平均利用月数11.0月で使用した場合、レンタルの方が安くなります。
交互式の場合(平均利用月数:11.0月、MgウォーカーⅣ型 M使用)
※1割負担の場合
介護保険を利用してレンタル:270円/月
介護保険を利用して購入:4,480円
で計算すると、4,480円÷270円/月=16.6月となり、平均利用月数11.0月で使用した場合、レンタルの方が安くなります。
いずれにしても、想定する歩行器の使用期間によって、レンタルまたは購入を選択する必要があるでしょう。
歩行器はレンタル・購入どちらがおすすめ?
歩行器を使用するにあたって、レンタル・購入どちらがおすすめでしょうか。
利用者がレンタル・購入を選択する際の注意点は次のとおりです。
- 歩行器の使用期間
- レンタルが購入金額を超えた時の対応
また、歩行器を選択するにあたっては、福祉用具相談員やケアマネジャーに相談し、アドバイスや情報提供を受けることが大切です。
費用面だけで歩行器を選ぶと症状や体調にあわない可能性があるため、正しく選ぶ必要があります。
ここでは、歩行器のレンタルまたは購入で迷ったときの選択基準を紹介します。
レンタルがおすすめな人
レンタルがおすすめな人は次のような方です。
- 購入による一時的な出費を抑えたい
- 自力歩行までの使用期間が限られている
- 身体状態に応じて歩行器を変更したい
- 定期的なメンテナンスやアフターフォローを受けたい
レンタルがおすすめな人は、出費を抑えたい、身体状態が変わる可能性があり歩行器もあわせて変更したい方だといえます。
購入がおすすめな人
購入がおすすめな人は次のような方です。
- 使用期間が長くなる可能性が高い(=レンタルより購入の方が安くなる見込み)
- 他人が使用したものに抵抗があり、新品を使いたい
購入がおすすめな人は、使用期間が長くなる可能性があり、レンタルよりも購入のほうが出費が安くなる場合だといえます。
歩行器をレンタルするメリット
歩行器をレンタルするメリットは以下のとおりです。
- 使用する必要がなくなれば、月の途中でも利用日数の日割で精算できる
- お試し期間があり、使用感が分かる
- 身体状況にあわせて別の商品に変えられる
- 屋内や屋外など場所によって、複数のレンタル品の使い分けができる
- 修理期間中でも他の歩行器を用意してくれる
歩行器をレンタルするデメリット
歩行器をレンタルするデメリットは以下のとおりです。
- 使用期間が長いとレンタルより購入の方が安くなる場合がある
- 中古品が基本のため、多少の傷がある
- レンタルできる商品が限定される
- 利用者が歩行器に手を加えられない
- 破損した場合、使用状況によっては修理費用が発生することもある
歩行器を購入するメリット
歩行器を購入するメリットは以下のとおりです。
- 長期間使用すればレンタルより安くなる場合がある
- 大きな出費は基本的に購入時の一度のみ
- 傷などを気にせず使える
歩行器を購入するデメリット
歩行器を購入するデメリットは以下のとおりです。
- 歩行器によっては即納入できない可能性がある
- 利用者の身体状態によってはさらに商品の変更が必要になるケースもある
- 修理・消耗品の交換は実費となる
- 破損状況によっては再度購入となる可能性がある
- 買い替えの場合、廃棄処分が必要になる
歩行器のおすすめ商品
利用目的や場所によって、使用する歩行器を選ぶ必要があります。バリアフリーが整っている場所、段差がある場所や坂道、公共交通機関を利用して移動するなど状況に合わせた選択が大切です。
また、身体状態を考慮した選択も必要です。麻痺の有無や筋力、自力歩行範囲、身体のバランス、体力などに配慮して選ぶことが大切です。
さらに、体格に合わせた選択にも注意が必要です。特に身長に合わせて歩行器のグリップ位置を調節できるタイプ選びが大切です。
介護保険を利用してレンタル・購入できる歩行器
介護保険を利用してレンタル・購入できる歩行器を3つ紹介します。
コの字型の歩行器で、4本の脚でしっかりと身体を支える、持ち上げ歩行タイプです。
折りたたみ可能で、プッシュボタンで5段階の高さも調節可能、握りやすい合成ゴム製グリップとなっています。
サイズ | 幅57×長さ45×高さ66.5~76.5cm |
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折りたたみ時 | 幅56×奥行11×高さ68cm |
グリップ内幅 | 44cm |
重量 | 2.8kg |
マグネシウム合金を使用した業界最軽量クラスの持ち上げ歩行タイプです。
歩行器を持ち上げることが困難な方でも扱いやすく、高さ調節が可能、すべりにくい特殊塗装グリップとなっています。
サイズ | 幅49×長46×高さ63.5~78.5cm |
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折りたたみ時 | 幅49×奥行10×高さ63.5cm |
グリップ内幅 | 36.5cm |
重量 | 1.8kg |
左右の握り手を交互に動かし歩行するタイプです。
ワンタッチで折りたたみが可能で、プッシュボタンで5段階の高さも調節可能、握りやすい合成ゴム製グリップとなっています。
サイズ | 幅56×長さ49×高さ70~80cm |
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折りたたみ時 | 幅51×奥行9×高さ77.2cm |
グリップ内幅 | 45cm |
重量 | 4.8kg |
介護保険を利用してレンタルできる歩行器(歩行車)
介護保険を利用してレンタルできる歩行器を3つ紹介します。
小回りのきくコンパクトモデルで、片方のブレーキ操作で両後輪を制御できます。
大容量収納がついているため、毎日のお買い物に便利です。
サイズ | 幅48×奥行60×高さ77.5~86.5cm(4段階) |
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折りたたみ時 | 幅48×奥行33cm×高さ77.5~86.5cm(4段階) |
キャスタ径 | 前輪後輪14.5cm |
座面 | 幅31×奥行26×高さ44cm |
積載量 | バッグ:5kg |
重量 | 4.9kg |
軽くておしゃれな歩行車です。
コンパクトに収納できるため、バスや電車への持ち込みも楽々です。
サイズ | 幅53×奥行52×高さ75.5~84.5cm(4段階) |
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折りたたみ時 | 幅27.5×奥行32cm×高さ75.5~84.5cm(4段階) |
キャスタ径 | 前輪後輪14.5cm |
積載量 | 前2kg/後5kg |
重量 | 3.95kg |
大きめのキャスターが装備されているので安定感があり、軽くて操作がしやすいです。
バスケットを外してストラップを引くだけで簡単に折りたためます。
サイズ | 幅55.5×長さ62×高さ78~87cm |
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折りたたみ時 | 幅43.5×長さ62×高さ78~87cm |
キャスタ径 | 前輪後輪19cm |
座面 | 幅30.5×奥行30.5×高さ50cm |
積載量 | バッグ:5kg |
重量 | 7.7kg |
まとめ
2024年度の介護保険制度改定で、歩行器は介護保険を利用してレンタルだけでなく購入も選べるようになりました。
しかし、歩行器の種類は多く、レンタル・購入の選択制という利用者の活用度が増えた一方で、選択肢を誤ると無駄な出費になります。
歩行器の利用者がレンタル・購入の選択にあたり、福祉用具相談員やケアマネジャーとよく相談のうえ、決定していくことが大切です。