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介護保険で手すりを取り付けできる?レンタルや住宅改修の条件、おすすめの商品を解説
高齢になって足腰が弱り介護が必要になった場合、自宅に手すりを取り付けることで、歩行や行動のサポート、転倒予防など身体の負担軽減や事故防止につながります。
しかし、介護初心者の場合、介護保険を利用したレンタルや住宅改修による取り付け、種類など分からないことが多いでしょう。
この記事では、手すりを設置するにあたってレンタル・住宅改修の条件やメリット・デメリットを解説します。
また、レンタルまたは購入できる商品も合わせて紹介しますので、手すりを検討している方はぜひ一読ください。
介護保険を利用した手すりの取り付け方とは?
手すりは、要支援または要介護認定を受けている方であれば、介護保険を利用してレンタルできますが、取り付けするには自宅内を改修する以外では介護保険を利用できません。
しかし、手すりを取り付けるために自宅の改修を行う場合は、介護保険の適用範囲内で住宅改修費として支給される制度もあります。
ここではレンタルまたは住宅改修で手すりを選び、設置するポイントを紹介します。
レンタル
レンタルできる手すりは、据え置き型や突っ張り型といった種類があります。
しかし、手すりには太さや形状、素材など設置場所や使用方法によって、さまざまな種類があり、利用者だけでは適切なものを選択することは困難です。
また、寝室や廊下、階段、トイレ、浴室など、利用者の身体状態に合わせて場所や使用方法を決めて設置する必要があるため、福祉用具相談員やケアマネジャーへの相談が必須です。
なお、手すりをレンタルする場合の条件として、取り付け工事を伴わないものに限られることを知っておきましょう。
住宅改修
住宅改修とは、介護保険を利用して自宅に手すりを取り付けることで、補助金を受け取り、生活環境の改善や自己負担の軽減を図るものです。
住宅改修の対象は、介護保険証に記載されている住所が自宅であることが条件となり、介護施設や賃貸住宅に入居している場合は対象外です。
また、住宅改修の支給限度額や改修できる回数が決められています。
支給限度額
20万円を限度額とし、基本的に改修費用の9割(18万円)が支給されます。
改修できる回数
原則は個人で1回のみ利用できます。
ただし、同居する家族の介護認定者が増えた場合、要介護度が3段階重くなった場合、家の引っ越しにより新たな改修が必要になった場合は2回目以降も介護保険を利用できます。
手すりはレンタル・住宅改修どちらが安い?
手すりはレンタル・住宅改修のどちらが安いのでしょうか。
基本的に手すりの設置は1箇所だけでなく、複数の箇所に設置することで、自宅内の行動をサポートし、転倒防止に役立てられます。
しかし、利用者の身体状態によって、手すりの役割や利用する状況などが変わります。
手すりをレンタルした場合の費用負担額の一例を確認してみます
据え置き型:ルーツ サイドタイプを利用した場合
販売価格:67,518円、レンタル料:2,040円/月で計算すると、67,518円÷2,040円/月=33.0か月となり、約3年で販売価格を上回ります。
突っ張り型:バディーCを利用した場合
販売価格:50,820円、レンタル料:3,060円/月で計算すると、50,820円÷3,060円/月=16.6か月となり、約1.5年で販売価格を上回ります。
手すりを利用する期間によっては、レンタルが必ずしもお得とはいえないでしょう。
手すりはレンタル・住宅改修どちらがおすすめ?
手すりを設置するにあたっての課題は次のとおりです。
- 手すりを利用する期間が想定できない
- 手すりの設置状況によっては不安定になる場合もある
手すりは他の福祉用具に比べて高価なものが多く、利用者の身体状態や自宅内の環境によっても設置場所や数などが変わります。
利用者に最適な手すりを選択するためには、福祉用具相談員やケアマネジャーとよく相談の上、決定する必要があるでしょう。
レンタルがおすすめな人
レンタルがおすすめな人は次のとおりです。
- レンタルで一時的な出費を抑えたい
- 使用する場所が増えても出費が抑えられる
- 早く手すりを設置し、使用したい
- 使用感によって設置後の調整を依頼したい
- デザインやカラーなどに拘りがない
- 一時的に利用したい
- 賃貸住宅に住んでいるため、手すりの取り付け工事ができない
住宅改修がおすすめな人
住宅改修がおすすめな人は次のとおりです。
- 長期間の利用を考えている
- 中古品の使用に抵抗感を持っている
- 据え付け型の強度に不安がある
- 見た目に高級感を求めている
- 希望する場所に取り付けたい
手すりをレンタルするメリット
手すりをレンタルするメリットは次のとおりです。
- 住宅改修に比べ安く使用できる
- 短時間で設置できる
- 使用して自分に合わなければ別の手すりに変更できる
- 修理や破損などのメンテナンスを依頼できる
- 使用場所や設置数などを希望に合わせて複数設置できる
- 必要なくなれば返却できる
手すりをレンタルするデメリット
手すりをレンタルするデメリットは次のとおりです。
- 長期間の使用は住宅改修で購入する場合に比べ、費用負担が増える
- 基本的には中古品となり、新品が使えない
- 傷や破損に注意しながら使用する必要がある
- 設置後の強度が弱いこともある
- 選べる手すりが限定される
- 使いたい場所に設置できない場合もある
住宅改修で手すりを取り付けるメリット
住宅改修で手すりを取り付けるメリットは次のとおりです。
- 長期間使用すれば、レンタルより割安になることがある
- オーダーメイドで設置できる
- しっかりと固定ができ、使用する際に安心感がある
- 壁や床などに直接固定するため、足元の段差が解消できる
- 動線が改善し、より安全に移動できる
住宅改修で手すりを取り付けるデメリット
住宅改修で手すりを取り付けるデメリットは次のとおりです。
- 工事完了時は全額自己負担となり、一時的に出費が増える
- 取り付け工事完了までに時間がかかる
- 介護保険住宅改修費申請の手続きが必要になる
- 一度取り付け場所を決めれば簡単に変更できない
- 不要になっても簡単に撤去できず、再工事が必要になる
- 基本的に介護保険を一度しか使えない
手すりのおすすめ商品
手すりにはさまざまなタイプがあるため、利用者の身体状態や設置箇所の要望によっておすすめ商品は変わります。
手すりの種類は次の3つです。
据え置き型
据え置き型は、床に置くだけの手すりで、比較的簡単に移動させることも可能です。
布団やベッド、椅子からの立ち上がり、室内や廊下の歩行、玄関の昇降などで利用者の動きを補助します。
突っ張り型
突っ張り棒を使用して、床と天井に突っ張って固定する手すりです。
場所をとらないため、自宅内でさまざまな場所に取り付けられます。
工事取り付け型
壁や柱にビスやネジなどで手すりを取り付けるため、工事が必要です。
階段や狭い場所にも対応できます。
介護保険を利用できる手すり
介護保険を利用してレンタルできる手すりを、据え置き型と突っ張り型に分けて3つ紹介します。
据え置き型
シンプルな形状で、使用時のぐらつきが少なく、特にベッドサイドに置いて使用する手すりです。
グリップは楕円状で持ちやすく、滑りにくい加工を施しています。
サイズ | ベースサイズ:幅50×長さ105cm 手すりサイズ:幅33×高さ70~80cm(3段階) |
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重量 | 21.6kg |
設置可能箇所 | 室内 |
屋内だけでなく、ベランダや庭などの屋外にも設置できる手すりです。
耐久性が強く、本体は水に濡れても滑りにくい素材を使用しており、屋外でも安心して使えます。
手すりの高さ | 長さ81×高さ70~80cm(3段階) |
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サイズ | 幅50×長さ105cm |
重量 | 18.7kg |
設置可能箇所 | 室内/屋外 |
突っ張り型
床と天井を突っ張り棒で固定するため、工事不要で簡単に設置できる手すりです。
単体での使用だけでなく、複数本を連結させることで広範囲に設置でき、しっかりとした安定感もあります。
重量 | 7.1kg |
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設置可能箇所 | 室内 |
詳しくはこちらをご覧になって下さい。
手すりのレンタル|介護用品や福祉用具のレンタル・販売|ヤマシタ すぐきた
介護保険がなくても購入できる手すり
住宅改修以外で購入、設置できる手すりを3つ紹介します。
ただし、介護保険を利用できないため、利用者は販売価格どおりの実費での購入になります。
据え置き型
段差のある玄関に取り付けて段差昇降をサポートする手すりです。
段差の高さに合わせて脚の高さを調節でき、昇降時の安全性を確保するため、手すりの両端に水平部を設けています。
サイズ | 幅21×奥行67×高さ81~120cm |
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取り付け可能なかまち高さ | 0~45cm |
廊下面からの手すりの高さ | 75cm |
重量 | 約4.6kg |
工事不要で簡単に設置でき、住宅改修できない住居での要望に応えた手すりです。
上下左右の首振り機能があり、さらに無段階で調節できるため、使用しやすい場所への設置が可能です。
手すりの高さ | 75・80・85cm(3段階) |
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サイズ | 幅80×奥行163×高さ75~85cm |
重量 | 約48kg |
突っ張り型
天井と床で突っ張ることにより、しっかりと固定でき、さらに複数本の固定で安定感を発揮する手すりです。
十字型のストッパーで天井をしっかり固定でき、握りやすいサイズで滑りにくいグリップでスムーズに室内を移動できます。
重量 | 7.5kg |
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設置可能箇所 | 室内 |
まとめ
介護保険を利用して手すりを設置する場合、レンタルまたは住宅改修が基本ですが、工事を伴わない手すりの購入は介護保険対象外です。
しかし、レンタルや住宅改修、購入の選択は、経済的な負担や利用者の身体状態など、さまざまな状況を考慮する必要があります。
手すりは利用者の安全な移動を確保し、転倒を未然に防止する役目を持つ福祉用具であるため、安易な選択をせず、必ず福祉用具相談員やケアマネジャーに相談することが大切です。