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高齢者は熱中症にかかりやすい?理由や対策、症状について解説
日差しのない部屋で過ごしていても、気温や湿度が高い日では室内も高温、多湿になり、熱中症の危険性が高くなります。
特に高齢者は、成人よりも熱中症を発症するリスクが高く、対応が遅れると重症化する恐れもあるため、大変危険です。
この記事では、高齢者が熱中症を発症しやすい理由や対策、症状について解説します。
高齢者が熱中症にかかりやすい理由
高齢者が熱中症を発症しやすい理由は、主に4つあります。
- 暑さを感じにくい
- 体温調節機能の低下
- 体内水分量の減少
- のどの渇きを感じにくい
一般的に暑さを感じた場合、体内の熱を逃がそうとしますが、老化が進むにつれて体感が鈍くなり、熱中症にかかりやすくなります。
暑さを感じにくい
加齢により感覚機能が低下すると、暑さに気づきにくくなるため、暑い中でも水分補給を疎かにする可能性があります。
特に高齢者は、皮膚で温かさを感じる温点の数が減少しているため、高温の部屋の中でも適切な服装で過ごさず、室温を調整せずに長時間滞在すると熱中症にかかりやすくなります。
暑さを感じにくいなど、温度に対する感覚が鈍くなれば、熱中症になる可能性が高くなるといえるでしょう。
体温調節機能の低下
周囲が高温になると、汗腺という汗を分泌し、発汗することで体温を調節しますが、高齢者になると汗線の量が減少しています。
発汗する量が減少すれば、身体の熱を外に逃がしにくくなり、気温や室内の温度などの変化に気づかず、体内に熱がこもることになります。
体温調節機能の低下により、発汗しにくい身体状態にもかかわらず、エアコンなどの使用を控えることで熱中症を引き起こしやすくなるのです。
体内水分量の減少
体温を一定に保つためには、体内の水分を発汗することが必要ですが、体内の水分量が成人より少なくなっている高齢者は体内の水分不足が起きやすくなっています。
また、加齢による腎機能の低下などで水分量の調節機能も低下しているため、体温を調整するために十分な水分量も不足気味になります。
体内水分量の減少は、必要な塩分も不足し、脱水状態を起こしやすいため、高齢者の熱中症発症の引き金にもなるのです。
のどの渇きを感じにくい
脳には口渇中枢があり、のどの渇きに対して水分補給を促すことで、体内の水分量を一定に保とうとする機能があります。
しかし、高齢者は口渇中枢の機能が低下することで、のどの渇きを感じにくくなり、水分を摂取する機会が減るため、脱水状態になります。
のどの渇きを感じにくい状態が進むと、熱中症の症状を悪化させる可能性を高めるのです。
高齢者の熱中症対策
高齢者の熱中症対策は、室内や室外、日中、夜間を問わず必要です。
以下では、具体的な熱中症対策を紹介します。高齢者の方はもちろんのこと、家族も知っておきたい内容です。
気温・湿度を測って認識する
体温調節機能が低下した高齢者は暑さを感じにくく、身体の反応が鈍くなるため、暑さに対する対応が遅れがちになります。
特に外出する前には、天候や気温・湿度をニュースや天気予報で確認し、事前に対策をしておくことが必要です。
定期的に水分補給を行う
高齢者は、体内水分量が減少しているため脱水症状を起こしやすく、さらに成人より回復しにくい傾向にあります。
特に夏場のような気温や湿度が高い環境では、汗をかく機会が増えるため、外出前後にのど渇きを感じなくても、定期的にこまめな水分補給を摂ることが必要です。
定期的な水分補給は熱中症対策の基本ですが、積極的に水分補給をしない高齢者には、ナスなど水分を多く含む食材を食事に取り入れる工夫も重要です。
室内の温度管理を行う
日差しのない部屋でも外気温の上昇とともに日照時間が長くなれば、室内の温度は想像以上に上昇します。
室内に温度計・湿度計を置き、室温28℃以下、湿度50~60%を目安に保ち、気温の上昇に応じてエアコンを使用するなど早めの対応が必要です。
外出の服装を工夫する
気温が高く直射日光が強い時に外出する場合、高齢者では身体の負担が大きく、脱水症状を起こしやすくなります。
太陽の熱を吸収しにくい白色の服や風を通しやすい薄手の服装、日傘や帽子を使い直射日光を避けるなどの対策が必要です。
また、マスクを着けて外出する方は熱中症のリスクが高まるため、周囲の人と距離をとれる場合はマスクを外すなどの対策も効果的でしょう。
入浴中・就寝中の脱水に注意する
入浴中や就寝中でも身体の水分は失われていくため、本人が気づかないうちに熱中症になる場合もあります。
風呂の湯温は40℃以下、就寝前にはエアコンにより室温を28℃以下にするとともに、入浴前後や就寝前後には忘れずに水分補給をしておけば熱中症予防になります。
入浴中・就寝中の脱水は、水分補給を積極的に行わない高齢者に多く見られるため、意識しておきたい熱中症対策です。
周囲が高齢者の様子をこまめに確認する
高齢者は暑さや水分不足を感じにくいうえに、体調不良になっても我慢する傾向が多いため、本人が気づかないうちに脱水状態になる可能性が高くなります。
周囲の方が高齢者の体調変化に気をつけ、積極的な水分補給を促す、適度に休憩するなどの対応でも熱中症は予防できます。
家族や施設の職員といった高齢者をお世話する周囲の方がこまめに体調を確認しておけば、早めに処置が行えるでしょう。
熱中症の症状
熱中症は軽症、中等症、重症に分けられ、主な症状は次のとおりです。
主な症状
- 軽症:めまい、立ちくらみ、こむら返り、手足のしびれ、筋肉痛、大量の発汗
- 中等症:頭痛、吐き気、嘔吐、身体のだるさ
- 重症:意識障害、全身のけいれん、高体温
熱中症の特徴
夏場の炎天下の屋外で起こりやすいのが特徴ですが、室内や夜間など時間に関係なく発症することもあります。
また冬場でも、空気が乾燥した室内で暖房を使用することで身体の水分が失われやすい環境にもかかわらず、発汗が十分にできず、体温上昇して熱中症になることがあるので注意が必要です。
熱中症の初期症状はめまいや立ちくらみが起こり、その後、頭痛や吐き気、嘔吐といった症状が現れます。
さらに悪化すると、意識障害や全身のけいれんが起きるといった重症化する可能性が高く、生命の危険が危ぶまれます。
特に高齢者の場合は重症化しやすく、持病などと併発することもあるため、体調が悪いと感じたなら水分補給や涼しい場所へ移動し休息することが大切です。
まとめ
高齢者の熱中症は、本人が気づきにくいため、発症すると重症化しやすいため、注意が必要です。
熱中症の予防に心がけるのが大切ですが、熱中症の症状が見られた場合は、直ちに対処することも重症化を防ぐためにも大切です。
特に高齢者は暑さやのどの渇きを感じにくく、水分補給も怠りがちになります。
独り暮らしの方は生活環境を整え、定期的な水分補給に心がける。同居している場合は家族が体調変化に気づくといった対応を心がけ、熱中症を予防していきましょう。