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介護で使う移動用リフトとは?種類や選び方、介護保険レンタルを紹介
ご家族や介護者にとってベッドから車椅子に移る際の介助は、腰を痛めるなど大きな負担になります。移動用リフトを利用すれば、介護者の腰にかかる負担を減らしながら、介護を受ける方を安全に移動させることが可能です。
この記事では、移動用リフトを使う目的や種類、選び方、介護保険でレンタルできることを紹介します。
移動用リフトの役割と目的
移動用リフトは、自力での移動が難しい方の移乗をサポートする福祉用具です。
リフトというと、大きなモーターの器械を想像するかもしれませんが、ベッドから車いすへの乗り移り等の際に、利用者の身体を持ち上げて、安全に行うことのできる福祉用具です。
持ち上げない介護
介護される方を抱え上げて移乗させる方法は、介護者が腰を傷める原因となるため、北欧では昔からリフトが使用されていました。介護者の腰痛の訴えは多く、さまざまな調査でも、腰痛の有病率は70%を超えていたりします。
腰痛を引き起こす原因は腰への負担であり、介護場面で大きなものとして「移乗(乗せ移し)」と「入浴」があげられます。移動用リフトは、介助者の手や腕で「持ち上げない介護」です。
参考:テクノエイド協会「リフトリーダー養成テキスト」
厚生労働省も移動用リフトの積極的な活用を推奨しています。
参考:厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」
自力での起き上がりや立ち上がりが難しい場合でも、そのままベッド上で過ごしていては、筋力低下につながります。
家族と一緒の食事をしたい、車いすでの移乗のたびに家族に負担をかけたくない、家のお風呂に入りたい等と生活の質を低下させないためには、ベッドから離れる時間を積極的に増やすことが重要です。
移乗用リフトを使うことで、介護者にとって、抱きかかえての移乗がなくなるので、移乗に伴う負担を軽減できます。
介護する側も高年齢化や介護の長期化になり、疲労が蓄積する中で、介護者の負担が限界になれば、介護は破綻します。
そうならないためにも、移動用リフトの導入を検討する価値があるのではないでしょうか。
移動用リフトは、介護保険でレンタル利用ができます。
移動用リフトは介護保険を利用してレンタルできる
移動用リフトは、要介護2以上の方であれば介護保険を使ってレンタル可能です。
介護保険の利用限度額の範囲内であれば、1~3割の自己負担で移動用リフトを利用できます。
ただし、取り付けに住宅の改修が必要なリフトはレンタルの対象外となるため、注意が必要です。
また、レンタルが可能な移動用リフトであっても、利用者を乗せる吊り具(スリングシートと言います)については別途購入する必要があります。この購入は、介護保険での「特定福祉用具販売」の対象品目として、購入が可能ですので、自己負担は1~3割となります。
移動用リフトの利用を検討する際は、介護保険の適用や費用について、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談するようにしましょう。
なお、介護保険でレンタルできる品目や利用の流れについては、以下の記事に詳しく解説しています。
移動用リフトの種類
移動用リフトには、多くの種類があります。
床走行リフト
床走行型タイプは、キャスターが付いているので自由に動かせるため、使用したいところで、使うことができるのがメリットです。
ただし、本体が重く、畳や絨毯の部屋ではうまく動かせません。また、段差を乗り越えることはできないため、希望の場所で利用できるか、床面含めて事前に確認してください。
ベッド一体型リフト
あらかじめベッドに固定しておくタイプです。
ベッドからの持ち上げ、車いすなどへ移乗させる(車いすからベッドへの移乗もできます)ことに機能を特化しています。特定の場所で使用するときに床走行のように床面を気にせずに、使用できます。
介護する側にとっては、比較的使いやすく、負担が少ないと言えましょう。
据置リフト
据置リフトは、使用する場所に固定して利用します。据置リフトは床走行式リフトと異なり、設置した場所でしか利用できません。
櫓固定タイプは使用する部屋に櫓を組んで、そこをレールとして、リフトを移動させるものです。直線1方向の線レール型と面レール型があります。
玄関に固定して、利用者を乗せて上下する段差解消機タイプもあります。
入浴用リフト
入浴用リフトは、入浴時の介助負担を軽減するためのリフトです。
自力での立ち座りが難しい方も、入浴リフトを利用すれば安全に湯船に浸かることができます。滑りやすいお風呂での介助が楽になるため、事故予防にもつながります。
このほか工事が必要ですが、天井走行リフトという走行用のレールを天井に固定して使うリフトもあります。
またスタンディングリフトといって、立っていることができるなら、吊り上げるのではなく、お尻と座面を持ち上げ、移動させる機器もあります。
移動用リフトの選び方
移動用リフトは、立ち上がりが難しい状態の方を支え、介護者の腰に係る負担を減らすためのものです。介護を受ける方の身体能力や、家屋の状況に合わせ、適切な移動用リフトを選択しましょう。
また、移動用リフトを使いたい場面がどこなのか、具体的にイメージすることも大切です。
ベッドから車椅子に移る際の手助けになれば良いのか、あるいはリフトに乗ったままリビングや脱衣所まで行きたいのかで選ぶリフトのタイプが変わってきます。
移動用リフトにはさまざまなタイプがあり、スリングシートの種類も異なります。
設置に工事が必要なタイプもあります。スリングシートのつけ方や操作方法は、福祉用具専門相談員にお尋ねください。そうした操作の仕方も含めて、検討するとよいでしょう。
まとめ
移動用リフトは、介護を受ける方の安全な移乗と、介護をする側の腰痛など身体負担を守るためが目的です。離床が増えた、生活リズムが整ったなどのメリットは大きいです。
居室の状況や使用目的にあわせて、居室・寝室・浴室・玄関など、さまざまなシーンで活用できます。
東畠 弘子
国際医療福祉大学大学院 福祉支援工学分野 教授
全国福祉用具専門相談員協会(ふくせん)理事
日本福祉用具供給協会顧問
2011年国際医療福祉大学大学院入職、2016年から現職。2023年度ふくせん老健事業「福祉用具専門相談員指定講習カリキュラムの見直しに向けた調査研究事業」の委員長をはじめ、数々のふくせん老健事業で委員長や委員を務める。 厚生労働省「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」の構成員でもある。
株式会社ヤマシタで取り扱いがあるおすすめ商品
アルコー6000型
座ったままの状態であがりかまちの段差を越えられる固定型の段差解消機です。
昇降だけでなく、椅子の向きも電動で変えられるため玄関の昇り降りがスムーズです。
衣類や身体を挟み込まないように、安全センサーが搭載されています。旋回時や下降時に一定以上の負荷がかかった場合は自動で停止するため、安心です。
| サイズ | 幅56×長さ69.8×高さ80~122cm |
|---|---|
| 座面高さ | 44~86cm |
| 重量 | 33kg |
| 最大荷重 | 100kg |
つるべーBセット
ベッドに固定するタイプのつり上げ式リフトです安定性があり、揺れが少なく快適です。
アームが360度回転するため、車いすやポータブルトイレなど、複数の場所への移乗をサポートできます。
また、回転角度の調節が可能なため、窓や家具への接触を予防できます。なお、本体はレンタル可能ですが、写真のスリングシートは別途購入が必要です。
| 最大荷重 | 100kg |
|---|---|
| アーム長さ | 85cm |
| 回転支柱長さ | 130cm |
移乗サポートロボット Hug
介護される方を本体に寄りかからせた状態で持ち上げる床走行リフトです。
固定具やスリングを使わず、誰でも簡単に操作できます。コンパクトなので、トイレや脱衣所などの狭い場所でも利用が可能です。
| サイズ | 幅55×奥行88×高さ85~120cm |
|---|---|
| 重量 | 30kg |
| 最大荷重 | 100kg |
| 電源 | バッテリー方式(充電式) |
バスリフト
座面を昇降させることで、浴槽内での立ち座りをサポートするリフトです。バッテリー方式のため、大掛かりな電気工事をせずに設置できます。
座面に座るだけで湯船に浸かれるため、浴槽をまたぐ動作が不安な方、立ち座りが難しい方、膝や腰を曲げるのがつらい方におすすめです。
大柄な方も座りやすいワイドシートセットや、浴槽内での姿勢を保持するための背当てボード付きタイプもあります。
| サイズ | 幅64.5~76×長さ57.5×高さ15cm |
|---|---|
| 重量 | 20.0kg |
| 最大荷重 | 100kg |
| 適合浴槽内側サイズ | 幅56~68cm×長さ80cm以上×高さ50~60cm |
| 浴槽底幅 | 43.5cm以上 |
つるべーF2Rセット
つるべーF2Rセットは2関節タイプなので可動範囲が広く、入浴介護のサポートに適しています。利用者を持ち上げた状態のまま、軽く押すだけで脱衣所から浴室まで移動でき、そのまま浴槽にも浸かれます。
アームやモーターは簡単に取り外せるため、家族の方が入浴するときも邪魔になりません。
なお、リフト本体は介護保険を利用してレンタル可能ですが、吊り具(利用者を乗せる部分)については別途購入が必要です。
| 最大荷重 | 100kg |
|---|---|
| アーム長さ | 70・85・95cm |
| 回転支柱長さ | 30・40cm |
独立宣言ローザ コンパクトシート
座板が薄く、床から1.5センチの低さまで座面を下げられるため、床に座った状態からの乗り降りがしやすく、ふだんから畳に座ることが多い方にもおすすめです。
座面の上がる高さをあらかじめ設定できるため、操作もスムーズです。安全装置がついており、下降時に足を挟み込む心配もありません。
| サイズ | 幅55×長さ81×高さ97.5cm |
|---|---|
| 座面高さ | 1.5〜61cm |
| 重量 | 42.0kg |
| 最大荷重 | 80kg |
リフトアップチェア 400N
背もたれとフットレストを連動させて135°までリクライニングできるため、快適に利用できます。サイドにはリモコンや小物を収納できるポケットが付いています。
| サイズ | 幅70×長さ87~159×高さ84~145cm |
|---|---|
| 座面高さ | 42cm |
| 重量 | 46.5kg |
| 最大荷重 | 80kg |
| リクライニング角度 | 90~135° |
階段移動用リフト J-MAX J-SEATモデル
コンパクトな構造で、狭い階段でも利用できます。
L型の昇降フットがしっかりバランスを保ち、万が一の場合もアームがロックされるため、前方に転落する事故を防ぎます。
ご利用の際には当社指定の操作トレーニングの受講と、保護帽の購入(税込4,950円)が必要です。詳しくはヤマシタまでお問い合わせください。
| サイズ | 幅48.5×長さ109×高さ109cm |
|---|---|
| 重量 | 40.0kg(バッテリー含む) |
| バッテリー容量 | 約300段(15~30階)の往復 |
| 昇降速度 | 無段階調整(8~23段/分) |
| 段の奥行き | 最小21cm |
| 段の高さ | 最大21cm |
| 最大荷重 | 120kg |














【監修者からのコメント】
介護は抱きかかえや中腰姿勢など、腰にかかる負担が大きいです。介護が長期化したとき、人の手での移乗介護には、介護する家族の身体に限界があるということを知ってください。移動用リフトの検討の際は、住宅改修や、スライディングボードという板状の移乗用具など、リフト以外の方法を含めて、複数の提案をしてくれる福祉用具専門相談員に相談するとよいでしょう。