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【2024年介護保険制度改定】施行日やポイントを解説

【2024年介護保険制度改定】施行日やポイントを解説


2024年介護保険制度改定の施行日は4月1日です。
サービスによっては6月1日施行もあり、特定の費用に関する改定は8月1日と翌年の8月1日施行となっています。
本記事では、2024年介護保険改定の主な事項について、厚生労働省の資料を参考に要点を解説していきます。
また、本改定で見送られた事項についても解説していきますので、参考にしてください。

厚生労働省:令和6年度介護報酬改定について

2024年度介護保険制度改定の施行日

2024年介護保険制度改定の施行日は以下のとおりです。

【2024年4月1日施行】

  • 処遇改善関係加算における、事業所内での柔軟な職種間配分を認める改正
  • 下記6月1日施行以外のサービス

【2024年6月1日施行】

  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 居宅療養管理指導
  • 通所リハビリテーション
  • 処遇改善関係加算の加算率の引き上げ・加算の一本化

補足給付に関する見直しは以下のとおりです。

【2024年8月1日施行】

  • 基準費用額(介護保険施設における食費や居住費の標準額)の見直し

【2025年8月1日施行】

  • 多床室における室料負担

介護報酬の改定率

2024年の介護報酬の改定率は「+1.59%」となりました。
介護現場で働く者の処遇改善に焦点を当てつつ、各サービス事業者の経営状況の違いなどを考慮した結果です。
内訳は以下のとおりです。

  • 介護職員の処遇改善分:+0.98%
  • 介護職員以外の処遇改善を実現できる水準:+0.61%(基本報酬に配分される)

上記に加え、改定率の外枠として以下の改定も見込まれます。

  • 処遇改善加算の一本化による賃上げ効果
  • 基準費用額の増額

これによる介護施設の増収効果として、+0.45%相当の改定率が見込まれ、合計で2.04%相当の改定率となります。

2024年度介護保険制度改定4つのポイント

今回の介護保険制度改定における4つのポイントは、人口構造や社会経済状況の変化を踏まえており、以下4つのポイントを基本的視点として定めています。

  1. 地域包括ケアシステムの深化・推進
  2. 自立支援・重度化防止に向けた対応
  3. 良質なサービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり
  4. 制度の安定性・持続可能性の確保

それぞれについて、要点ごとに解説していきます。

①地域包括ケアシステムの深化・推進

ケアマネジメントの質を高め、必要なサービスを継続して提供できることを目的にしています。地域の実情にも配慮した取り組みを推進します。

具体的な項目は以下のとおりです。

  • 質の高い公正中立なケアマネジメント
  • 地域の実情に応じた柔軟かつ効率的な取り組み
  • 医療と介護の連携の推進
  • 看取りへの対応強化
  • 感染症や災害への対応力向上
  • 高齢者虐待防止の推進
  • 認知症の対応力向上
  • 福祉用具貸与・特定福祉用具販売の見直し

それぞれ見ていきましょう。

質の高い公正中立なケアマネジメント

居宅介護支援における特定事業所加算の算定要件が見直されます。
ヤングケアラーなどに関する事例検討・研修会等の参加を要件とし、評価を充実することとなりました。
単位数は以下のように変更となります。

  • 特定事業所加算(Ⅰ)505⇒519単位
  • 特定事業所加算(Ⅱ)407⇒421単位
  • 特定事業所加算(Ⅲ)309⇒323単位
  • 特定事業所加算(A)100⇒114単位

地域の実情に応じた柔軟かつ効率的な取り組み

訪問介護における特定事業所加算について、評価を見直します。

  • 看取り期の利用者へのサービス提供
  • 中山間地域等での継続的なサービス提供

これらを適切に評価することとなりました。
以下のとおりです。

  • 特定事業所加算(Ⅰ)所定単位数の20%を加算
  • 特定事業所加算(Ⅱ)所定単位数の10%を加算
  • 特定事業所加算(Ⅲ)所定単位数の10%を加算
  • 特定事業所加算(Ⅳ)所定単位数の5%を加算(廃止)
  • 特定事業所加算(Ⅳ)所定単位数の3%を加算(変更)
  • 特定事業所加算(Ⅴ)所定単位数の3%を加算(新設)

医療と介護の連携の推進

以下のとおり、医療・介護連携の推進を図ります。

  • 在宅医療ニーズへの対応強化:専門性の高い看護師が計画的な管理を行うことを評価する加算を新設する(専門管理加算250単位/月)
  • 在宅での医療・介護の連携強化:通所・訪問リハビリテーションの開始にあたり、入院中医療機関のリハビリテーション実施計画書を入手し、内容を把握することが義務付けられる
  • 高齢者施設等における医療ニーズへの対応強化:所定疾患施設療養費の算定対象に、慢性心不全が追加される
  • 高齢者施設等と医療機関の連携強化:施設内で対応が難しい医療提供にあたり、在宅医療を行う医療機関等との連携体制を構築するための見直しがされる

看取りへの対応強化

各種サービスにおける看取り・ターミナルケア関係の加算の見直しがされます。

  • 訪問入浴介護:看取り対応体制の整備を評価する加算を設ける
  • 介護老人保健施設・訪問看護等:ターミナルケア加算を見直す
  • 短期入所生活介護:看取り対応体制を強化する
  • 居宅介護支援:ターミナルケアマネジメント加算等を見直す
  • 介護医療院:看取りへの対応を充実させる

感染症や災害への対応力向上

高齢者施設等での感染症対応力を向上するため、一定の取り組みを評価する加算を新設します。

  • 高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ)10単位/月、(Ⅱ)5単位/月

また、感染症や災害が起こっても、業務継続計画を策定しサービスを継続することが重要です。
未策定の場合は1年間の経過措置後、以下のとおり基本報酬から減算されます。

  • 施設・居住系サービス:100分の3相当の単位数を減算
  • その他:100分の1相当の単位数を減算

高齢者虐待防止の推進

虐待の発生や、再発防止措置が講じられていない場合に基本報酬を減算します。
居宅療養管理指導、特定福祉用具販売を除く全サービスが対象です。

  • 高齢者虐待防止措置未実施減算:所定単位数の100分の1相当の単位数を減算

認知症の対応力向上

(看護)小規模多機能型居宅介護の認知症加算について、以下の点を評価します。

  • 新たに認知症ケアに関する専門的研修修了者を配置する
  • 認知症ケアの指導をする
  • 研修等を実施する

加算は以下のとおりです。

  • 認知症加算(Ⅰ) 920単位/月(新設)
  • 認知症加算(Ⅱ) 890単位/月(新設)
  • 認知症加算(Ⅲ) 800単位/月(従来のⅠ)⇒760単位/月(変更)
  • 認知症加算(Ⅳ) 500単位/月(従来のⅡ)⇒460単位/月(変更)

認知症対応型共同生活介護・介護保険施設に新たな加算を設けます。

  • 認知症チームケア推進加算(Ⅰ)150単位/月(新設)
  • 認知症チームケア推進加算(Ⅱ)120単位/月(新設)

福祉用具貸与・特定福祉用具販売の見直し

一部の福祉用具において、貸与と購入いずれかを選べるようになります。

  • 要介護度に関係なく貸与可能
  • 価格が比較的安い
  • 購入した方が利用者の負担を抑えられる者の割合が相対的に高い

これらに該当する以下の福祉用具が対象です。

  • 固定用スロープ
  • 歩行器(歩行車を除く)
  • 単点杖(松葉づえを除く)
  • 多点杖

福祉用具の選択制によって、利用者の過度な負担を抑えられ、制度を持続させる手助けになります。

こちらの内容につきましては以下の記事で詳しく説明しておりますので合わせてご確認ください。
参考:2024年度介護保険制度改定|福祉用具(介護用品)4種目がレンタルか購入か選べるように変更

②自立支援・重度化防止に向けた対応

「多職種連携」と「データ活用」を推進し、高齢者の自立支援と重度化防止を目指します。
具体的には以下のとおりです。

  • リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的取組等
  • 自立支援・重度化防止に係る取組の推進
  • LIFEを活用した質の高い介護

それぞれについて解説していきます。

リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的取組等

介護保険施設や通所・訪問系サービスにおいて、以下のように変更されます。

  • 介護保険施設:リハビリテーション関連の加算について新たな区分を設ける、管理栄養士が退所者の栄養管理情報を介護保険施設や医療機関等に提供することを評価する
  • 通所リハビリテーション:事業所規模別の基本報酬を見直す、リハビリテーションマネジメント加算に新たな区分を設ける
  • 居宅療養管理指導:居宅療養管理指導費の算定対象を変更する
  • 訪問介護等:介護職員が口腔衛生・機能を評価し、歯科や介護支援専門員へ情報提供することを評価する

自立支援・重度化防止に係る取組の推進

以下のとおり、自立支援・重度化防止への取り組みを行います。

  • 通所介護等:入浴介助技術の向上・居宅での自立した入浴の取り組みを推進するため、入浴介助加算を見直す
  • 個室ユニット型施設:管理者要件に、ユニットケア施設管理者研修の受講を努力義務と位置づける
  • 介護老人保健施設:在宅復帰・在宅療養支援等評価指標の数値や要件について見直す、かかりつけ医連携薬剤調整加算を見直す(薬剤を評価・調整した場合を評価する新たな区分を設ける、入所前の主治医と連携して薬剤を評価・調整した場合を高く評価する)

LIFEを活用した質の高い介護

LIFEをより効果的に活用できる体制を構築し、質の高い科学的介護の実現を目指します。
入力項目や入力負担への配慮、アウトカムの適切な評価などに焦点を当てています。

  • LIFE関連加算:入力項目を明確化する(他の加算と共通する項目と統一する)、入力負担を軽減する(データ提出頻度を少なくとも3月に1回へ統一する)
  • アウトカム評価の充実:ADL維持等加算、排せつ支援加算、褥瘡マネジメント加算、褥瘡対策指導管理を見直す

③良質なサービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり

介護現場への職員定着率が低いことへの対策として、以下を実践します。

  • 介護職員の処遇改善
  • 生産性の向上等を通じた働きやすい職場環境づくり
  • 効率的なサービス提供の推進

それぞれについて解説していきます。

介護職員の処遇改善

介護職員が介護の現場から離れてしまうことに対して、処遇の改善をより手厚くすることで賃上げを実現します。
多くの事業所に処遇改善措置として、以下の対策をとることになりました。

  • 介護職員処遇改善加算
  • 介護職員等特定処遇改善加算
  • 介護職員等ベースアップ等支援加算

これらの加算を「介護職員等処遇改善加算」に一本化します。

生産性の向上等を通じた働きやすい職場環境づくり

ICTの活用や人員体制の見直し等による生産性向上を図り、職場環境の改善を目指します。

  • テレワークの取り扱い:職種や業務ごとに具体的な考え方を示す(個人情報の適切な管理・利用者への処遇に支障がないことが前提)
  • 委員会設置の義務づけ:現場の課題を把握・分析し、利用者の安全や介護サービスの質、職員の負担軽減につながる取組を検討する
  • 介護ロボットやICT等の活用促進:見守り機器の導入・継続した業務改善によって、効果を判定しデータ提出することを評価する
  • 特例的に柔軟な人員配置を認める:見守り機器等の活用・職員間の役割分担の取り組みによって、生産性向上を目指す特定施設に適用する
  • 夜間の人員配置基準の緩和:介護老人保健施設等で、一定の要件を満たすことで適用する
  • 夜間支援体制加算の要件を緩和:認知症対応型共同生活介護で見守り機器等を10%以上導入するほか、複数の要件を満たした場合に適用する
  • 外国人介護人材の人員配置基準に関する取り扱い:EPA介護福祉士候補者や技能実習の外国人について、一定の要件を満たせば就労開始6月未満でも人員配置基準に算入可能とする

効率的なサービス提供の推進

サービスを効率的に提供するため、以下に取り組みます。

  • 管理者の責務の明確化:利用者サービスの把握、職員と業務の一元的管理を行う
  • 管理者の兼務可能な事業所の拡大:同一敷地内ではなくても差し支えない
  • 訪問看護の24時間対応体制の見直し:看護師等に速やかに連絡できる体制が確保されていることを条件に、他の職員も利用者や家族からの電話連絡を受けられるようにする
  • 介護支援専門員一人当たりの取り扱い件数上限を増やす:居宅介護支援費(Ⅰ)、(Ⅱ)について一定の条件のもと、5人ずつ上限が増える
  • 居宅介護支援費の算定対象:取り扱い件数の算出にあたり、指定介護予防支援の提供を受ける利用者数の3分の1を乗じて件数に加える

④制度の安定性・持続可能性の確保

介護保険制度の安定性と持続可能性を高め、安心できる制度を構築するため、以下に取り組みます。

  • 評価の適正化・重点化
  • 報酬の整理・簡素化

それぞれ見ていきましょう。

評価の適正化・重点化

評価の適正化・重点化は以下のとおりです。

  • 訪問介護:一定割合以上が同一建物等に居住する場合の訪問介護の提供において、新たな区分を設ける(同一建物減算の見直し)
  • 訪問看護:理学療法士等の訪問や、要支援者へ12月以上訪問することによる、基本報酬・減算について見直す
  • 短期入所生活介護:長期利用によって算定できる単位数が減る
  • 同一建物に居住する利用者へのケアマネジメント:所定単位数の95%を算定する
  • 多床室の室料負担:その他型と療養型の介護老人保健施設、Ⅱ型の介護医療院において、室料負担を導入する

報酬の整理・簡素化

報酬の整理・簡素化は以下のとおりです。

  • 介護予防通所リハビリテーション:運動器機能向上加算の包括化、一体的サービス提供加算を新設する
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護:基本報酬に新たな区分を設ける
  • 介護医療院:長期療養生活移行加算を廃止する

2024年介護保険制度改定で見送られた事項

2024年介護保険制度改定において、あらためて見送られた事項2点について解説します。

要介護1・2における総合事業への移行

事業対象者と要支援1・2の方は、訪問介護や通所介護の利用にあたって市町村が運営する総合事業へと移行しています。
要介護1・2もその対象になるとの構想でしたが、今回の改定では見送られることとなりました。

ケアプランの有料化

ケアプランの作成費用における利用者の自己負担はなく、全額が介護保険から給付されていました。
これまで何度も有料化が検討されていましたが、2024年の介護報酬改定においても見送られています。

まとめ

本記事では、2024年介護保険改定における概要とその要点についてまとめました。
本改定では、+1.59%の改定率が実現しています。
深刻な少子高齢化の進展や社会経済状況の変化に対応すべく、4つのポイントを掲げ、地域の高齢者を支える体制整備が図られています。

より詳細な情報を知りたい方は、厚生労働省の最新情報を参考にしてください。
厚生労働省:令和6年度介護報酬改定について

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