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地域密着型通所介護とは?サービス内容や料金・利用手順などを解説!
地域密着型通所介護とは、利用定員が18名以下の小規模通所介護のことです。
住み慣れた地域で生活していくために、その地域の特色を活かしたサービスを提供しています。
本記事では、地域密着型通所介護の概要を知りたい方に向けて、サービス内容や料金、利用するための手順などを解説します。
地域密着型通所介護とは?
地域密着型通所介護とは、小規模で運営されている通所介護のことをいいます。
「要介護高齢者が自宅で可能な限り自立した生活を送れること」「家族の介護にかかる負担を軽くすること」などを目的にしたサービスです。
通所介護で提供するサービス内容は、以下のとおりです。
- 食事・入浴など身の回りの介助
- 機能訓練・レクリエーションなど心身機能の維持・向上にかかる支援
- 健康管理
- 施設への送迎
地域密着型通所介護においても、上記のサービスを提供することに変わりありません。
通常の通所介護と異なるのは、その地域の特性に応じたきめの細かいサービスを提供している点です。
また、利用定員が少ないため、大規模な施設が苦手な方にとっても安心して利用できるサービスといえます。
利用できる対象者
地域密着型通所介護の利用対象者は、以下の2点を満たす必要があります。
- 要介護度が1~5と認定された方
- 事業所の所在地がある自治体に住む方
要支援1と2の方は利用できません。要介護度が軽度の方は、市町村が独自に提供する「介護予防・日常生活支援総合事業」の対象となります。
また、事業所がある自治体に住む方でなければ利用できません。これは地域密着型サービスが「住み慣れた地域での生活を続けていくこと」が目的であるからです。
通所介護との違い
通常の通所介護との違いは、以下のとおりです。
- 利用定員数
- 居住地による制限
- 利用にかかる費用
地域密着型通所介護の定員数は18名以下と定められており、小規模で運営されています。
そのため、より細かいニーズや地域の特性に応じたサービス提供が可能です。
また、先述したように利用者の居住地によって、利用可否が決まるという違いもあります。
通所介護では居住地による制限はありませんが、地域密着型通所介護の場合は、原則として事業所のある自治体に住む方しか利用できません。
費用面では、通所介護よりも高めになる傾向です。詳しい費用については、後で解説します。
地域密着型通所介護で受けられるサービス
受けられるサービスの内容は、通常の通所介護と大きな違いはありません。
しかし先述したように、地域に密着した小規模での運営という特徴を活かし、きめ細かなサービス提供が可能です。
以下で詳しいサービス内容について見ていきましょう。
食事
施設では食事が提供されます。
規模が大きい施設では、利用者一人ひとりの好みに応じた食事の提供は難しい場合があります。
一方、地域密着型通所介護では、個々の状況に合わせた食事の提供が可能です。
たとえば、以下のようにさまざまな要望に応えることができます。
- アレルギーに配慮したメニューの提供
- 疾患や嗜好に応じた味付けやカロリー制限
- おかずを「一口大に切る」「粗く刻む」「細かく刻む」といった形態への配慮
こういった個別対応によって、満足度の高いサービスが実現できます。
施設によっては、スタッフが手作りで料理を提供し、利用者と一緒に食事を楽しめる事業所もあります。
入浴
高齢者や障がいをもった方にとって、自宅での入浴は転倒や溺水などの危険性と隣り合わせのことがあります。
施設では入浴のサービスを提供しているため、介助を受けながら安全にお風呂へ入れます。
利用者の体調や疾患などに応じて浴室の環境が整備されており、寝たまま入れる浴槽(機械浴)や、入浴用のリフトがあるため安心です。
もちろん一般の家庭にある浴槽で、自宅さながらに入ることもできます。
レクリエーション
レクリエーションでは地域の特色を活かしながら、以下のようにさまざまな活動が提供されます。
- 脳トレ
- カラオケ
- 作品作り
- 小集団での体操
規模が大きい通所介護では、事業所がある自治体以外に住む方も利用しています。
そのためレクリエーションの内容によっては、地域独自の歌や昔話などを知らず、十分に楽しめない方もいるでしょう。
一方、地域密着型通所介護は、その地域の方しか利用できません。
そのため、利用者は共通の話題で盛り上がりやすく、一体となってレクリエーションを楽しめるでしょう。
機能訓練
身体機能の維持や改善を目的とした機能訓練もサービスのひとつです。
利用者の状態に応じて、個々のプログラムを作成してもらえます。
施設によって機能訓練の充実度には差があり、以下のような取り組みをしている事業所もあります。
- 訓練を担当する専従の機能訓練指導員を2名以上配置する
- 厚生労働省のシステムを活用し、科学的根拠に基づいた訓練を提供する
これらの取り組みにより、利用者一人ひとりのニーズに合わせ、より質の高い機能訓練が可能です。
充実した機能訓練を受けたい場合は、上記の取り組みを実施している事業所を選択するとよいでしょう。
健康管理
以下の健康管理もサービスに含まれています。
- 薬の管理
- 口腔ケア
- 栄養・食事・水分の管理
- 病気に関する相談や指導
- バイタルサイン(血圧や体温、脈拍など)の確認
- 急変時の対応(必要に応じた医療機関への連絡対応など)
日常生活を送るうえでの基本的な健康管理をしてもらえるため、病気をもっている利用者でも安心して通所できます。
注意点として、医師は配置されていないため、専門的な医学的管理や治療などには対応していないことは知っておきましょう。
送迎
施設への送迎もサービス内容に含まれています。
疾患や障がいなどを理由に、家族の送迎が難しい方でも安心して利用可能です。
車椅子が必要な方でも、リフトが備わった専用の福祉車両を使って、安全に送迎してもらえます。
地域密着型通所介護の利用にかかる費用
地域密着型通所介護の費用は介護保険が適用され、利用者の所得に応じてサービス費用の1~3割を負担します。
下表に1割負担の場合の料金をまとめました。
単位(円)
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
---|---|---|---|---|---|
2時間以上 3時間未満 |
305 | 350 | 396 | 440 | 486 |
3時間以上 4時間未満 |
416 | 478 | 540 | 600 | 663 |
4時間以上 5時間未満 |
436 | 501 | 566 | 629 | 695 |
5時間以上 6時間未満 |
657 | 776 | 896 | 1,013 | 1,134 |
6時間以上 7時間未満 |
678 | 801 | 925 | 1,049 | 1,172 |
7時間以上 8時間未満 |
753 | 890 | 1,032 | 1,172 | 1,312 |
8時間以上 9時間未満 |
783 | 925 | 1,072 | 1,220 | 1,365 |
※社会保障審議会 介護給付費分科会 第239回(R6.1.22) 参考資料2-1より作成
上記に加え、加算や全額自己負担となる費用(食事・おやつ代、日用品費など)も加わります。
地域密着型通所介護を利用するまでの流れ
地域密着型通所介護を利用するまでの流れは、以下のとおりです。
- 要介護認定を受ける
- ケアプランを作成する
- 事業所の選定と契約をする
要介護認定を受けて要介護1~5と認定されれば、利用できます。
介護支援専門員(ケアマネジャー)にケアプラン(居宅サービス計画書)を作成してもらい、地域密着型通所介護の利用により達成すべき目標、必要なサービス内容などを記載します。
続いて、利用する事業所の選定と契約のために見学をしましょう。施設が決まったら契約となります。
まとめ
地域密着型通所介護は、通常の通所介護と異なり、小規模かつ地域の特性を活用したきめの細かいサービス提供が可能です。
利用条件は、要介護1~5の認定を受けることと、事業所の所在地がある市町村に住んでいることです。
「住み慣れた地域で長く生活していきたい」「小規模な施設でサービスを受けたい」と思う方は、地域密着型通所介護を利用してみてはいかがでしょうか。