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スロープはレンタル・購入どちらがおすすめ?それぞれのメリットデメリットを解説
介護ベッドや車いすなどの介護用品は介護保険を利用してレンタルできます。また、肌に直接触れるシャワーチェアやポータブルトイレも介護保険を利用して購入することができます。
さらに、2024年の4月から一部の種目に限定されますが、利用者が福祉用具をレンタルするか購入するかを選択できるようになりました。固定用スロープがその1つです。
本記事では、レンタル及び購入それぞれのメリットデメリットを解説し、それぞれのおすすめできるポイントを紹介していきます。
2024年度介護保険制度改定でスロープのレンタル・購入を選べるようになった
2024年度の介護保険制度改正において、一部の福祉用具の種目がレンタルと購入を選択できるようになりました。その1つに室内の敷居など、小さな段差を解消するための固定用スロープがあります。
介護保険を利用した購入対象となるスロープは、段差解消のためのものであって、取付に際し工事を伴わないものに限られます。
レンタルであれば毎月のレンタル料の負担割合が1~3割に、購入であれば毎年最大10万円を限度に、商品価格の1~3割で購入できます。
なお、購入の手続きは市区町村によって異なることがありますが、先に利用者が一括払いして、後から還付される流れが一般的です。
以下では、選択制度のメリット・デメリットを解説します。
スロープはレンタル・購入どちらが安い?
固定用スロープ「ダイヤスロープ3.0cm」で負担割合を1割の利用者で考えていきます。
- 販売価格5,610円(税込)
- 介護保険レンタル52円/月
- 介護保険を利用して購入:561円
結果としては、10ヵ月以内の利用(52円×10ヵ月=520円)ならばレンタルの方が安く、12ヵ月以上利用するなら購入した方が安くなります。レンタルは一度にかかる出費が抑えられます。購入は、原則として購入価格を全額支払った後に、9割分が戻ってくる形になります。そのため、一度にかかる出費は比較的大きくなります。
スロープはレンタル・購入どちらがおすすめ?
レンタルのメリットは、一度にかかる費用が抑えられることと、介護用品の変更が必要になった時にレンタル料のみで商品を変更できることです。
購入は、長期間利用するならばレンタルより安くなります。スロープは床材の相性によってズレる(滑る)商品なので、購入した場合はビス止めなどで商品を加工することもできます。
レンタルがおすすめな人
レンタルのメリットは利用者の体調などに合わせて、商品を変更できることです。
例えば、転倒により骨折してしまった人に対して、療養中は車いすなどの福祉用具をレンタルしてもらいます。治療が進んで歩けるようになった場合は、杖をレンタルしたり車いすを返却したりできます。
購入がおすすめな人
購入のメリットは長期的に利用すれば、費用を抑えられることです。例えば厚生労働省の報告によると、固定用スロープの平均的なレンタル利用月数は約13.2ヵ月です。約13ヵ月以上利用する目途が立てば、購入もひとつの方法です。
また、レンタル利用できる介護用品は中古品が多いため、新品にこだわる場合には購入がおすすめできます。
スロープをレンタルするメリット
体調は日々変化し、状況によって必要な介護用品は変わります。
たとえば骨折などで歩行器をレンタルしていた場合、完治するまでの期間、歩行器では敷居の小さな段差につまずいて転倒する恐れがあります。
固定用スロープを活用すればスムーズに歩行器を利用できます。使用期間が短期の場合のほか、今後住宅改修などで必要なスロープを変更する可能性がある場合などはスロープのレンタルをおすすめできます。
また、実際にスロープを使ってみて自宅の環境次第で必要な商品が変わることもあります。購入の場合は不要になったら交換はできませんが、レンタルであれば必要に応じて商品を交換・追加することができます。
スロープをレンタルするデメリット
福祉用具の中でも車いすなどは、消耗品のパーツがあるため定期的なメンテナンスが必要です。レンタルであれば、定期的なメンテナンスをしてくれます。
しかし、固定用スロープは劣化などはするものの消耗品とまではいかないため、長期的な利用となる場合は、ランニングコストがかかるのがデメリットとなります。
スロープを購入するメリット
長期間スロープを利用する場合は、レンタルよりも購入した方が費用を抑えられます。さらに購入したスロープは加工をすることができるため、自宅の状況に応じてカットするなど調整することができます。
スロープを購入するデメリット
不要となったときに処分に困ることが大きなデメリットです。スロープは、段差の高さに合わせるため、違う段差の箇所には適合しません。
さらに、購入後に「あまり使用しなかったから返却したい」といったことはできません。購入したい場合でも、レンタルで状況を確認した後に購入をすることがおすすめです。
スロープのおすすめ商品
スロープの特性として、自宅の間口が合わないと設置ができないことと、一枚板となるため収納スペースが必要となります。さらに、スロープは直線的にしか設置できず、また高い段差の場合は長いスロープを使用しないと、勾配がきつくなるため安全に昇降することができません。
こうした条件を住宅の環境に合わせて適合できるスロープがおすすめです。
介護保険を利用してレンタルできるスロープ
据え置き型は、床に置くだけの手すりで、比較的簡単に移動させることも可能です。
布団やベッド、椅子からの立ち上がり、室内や廊下の歩行、玄関の昇降などで利用者の動きを補助します。
車いすの車輪に合わせて2本のスロープを設置します。1枚板のスロープでは設置できなかった自宅の狭い間口からでも設置可能。スライド式なため車への持ち運びもできます。
1.5mから3.0mまで伸縮でき、住環境に合わせて幅広く設置することができます。
一枚板のスロープと比べて重量があります。
サイズ | 幅25×長さ300×高さ5.5cm |
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重量 | 8.7kg(1本) |
耐荷重 | 250kg |
ポーチや玄関が限られたスペースしかなく、真っすぐにスロープを設置できない所に重宝します。スロープのジョイントを変えれば角度を変えることができます。
サイズ | 幅130×長さ310cm |
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重量 | 32kg |
耐荷重 | 250kg |
ケアスロープとジョイント台を組み合わせて長尺のスロープを作ることができます。ジョイント台を使って、上がり框やポーチなどの多段差を解消することができます。
介護保険を利用してレンタル・購入できるスロープ
ダイヤスロープは幅76cmと100cmの2つの仕様があり、段差に関しても1.0cmから0.5cm刻みで6.5cmまであります。ほとんどの住宅の段差をカバーできるだけのラインナップがあります。室内の固定用スロープで悩んだらまずは候補に入れたい商品です。
サイズ | 幅76×長さ11.5×高さ3cm |
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屋内及び屋外でも利用可能なスロープです。玄関扉とポーチの間にある小さな段差は盲点になりやすく、つまづきやすい所です。また車いすや歩行器がつかえる場所になります。屋内と屋外に設置できるのがメリットのスロープです。
サイズ | 幅76×長さ12.1×高さ3cm |
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まとめ
2024年4月から固定用スロープは、レンタルもしくは購入ができる選択制になりました。費用の面から見ると、短期間の使用ならばレンタルがよく、長期間の利用となるなら購入の方が費用は抑えられます。
費用面だけではなく、スロープが不要となった時の処分のことや、追加したいとなった時など、どちらがいいのか多角的に考えることが重要です。