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介護医療院とは?入居条件やサービス内容などを詳しく解説
介護サービスを受けるための施設といっても、特別養護老人ホームや介護老人保健施設など、さまざまな施設があります。
その中の1つが「介護医療院」です。しかし、介護医療院の特徴について知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、サービス内容や入居条件などを詳しく解説しますので、介護医療院について知りたい方はぜひ最後までご覧ください。
介護医療院とは?
介護医療院とは、長期療養のための医療と日常生活上の世話(介護)を一体的に提供する施設です。
要介護1以上の方を対象としており、長期療養のための医療と日常生活上の世話(介護)を提供しています。
介護医療院が生まれた背景には、2018年度の「介護療養型医療施設(介護療養病床)」の廃止があります。今後、介護療養型医療施設(介護療養病床)が新設されることはなく、2024年3月までに介護医療院に転換されています。
Ⅰ型とⅡ型、医療外付け型に分けられる
介護医療院はⅠ型とⅡ型に分けられます。
Ⅰ型は比較的重度の要介護者を対象にしており、介護療養型医療施設(介護療養病床)と同等の扱いです。
Ⅱ型は、Ⅰ型に比べて比較的容体が安定している方が対象で、介護老人保健施設(老健)相当以上の扱いです。
なお、Ⅰ型とⅡ型とは別に医療外付け型があります。医療外付け型とは、居住部分と医療機関が併設された介護施設サービスで、Ⅱ型よりも自由度の高い方が対象となっています。
Ⅰ型 | Ⅱ型 | |
---|---|---|
主な利用者像 | 重篤な身体疾患を有する者および身体合併症を有する認知症高齢者等 | Ⅰに比べて容体は比較的安定した者 |
施設基準(人員配置) | 介護療養病床相当 | 老健相当 |
居住面積 | ⽼健施設相当(8.0 ㎡/床) |
人員体制
人員体制は、Ⅰ型とⅡ型で異なります。具体的には医師や薬剤師の人員体制が大きく異なります。Ⅰ型のほうが配置人数が多く、より重度の要介護者を受け入れられます。
人員体制 | 介護医療院Ⅰ型 | 介護医療院Ⅱ型 |
---|---|---|
医師 | 入居者48人に対し1人 (施設で3人以上) |
入居者100人につき1人 (施設で1人以上) |
薬剤師 | 入居者150人につき1人 | 入居者300人につき1人 |
看護職員 | 入居者6人につき1人 | |
介護職員 | 入居者5人につき1人 | 入居者6人につき1人 |
栄養士 | 入居者定員が100人以上で1人 | |
介護支援専門員 | 入居者100人につき1人 | |
リハビリ専門職、放射線技師、その他従業員 | 適当数 | |
医師の当直 | あり | なし |
介護医療院の入居条件
介護医療院の入居条件は、要介護認定1〜5を受けた65歳以上の方に限られます。
ただし、40歳〜64歳の方でもがん(末期がん)や関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症など、16種の特定疾病による要介護認定を受けていれば入居対象です。
反対に入居対象外の方は、要支援の方です。
介護医療院のサービス内容
ここでは、それぞれのサービス内容を詳しく紹介します。介護医療院のサービス内容は、以下の3つです。
- 医療ケア
- 介護サービス
- 生活支援サービス
医療ケア
医療ケアとは、喀痰吸引や服薬管理、経管栄養などが挙げられます。また、看取りも行っており、終のすみかとしても利用可能です。
必要に応じて医療ケアが行われるため、特に入院するほどではないものの、老人ホームでは対応できない医療ケアが必要な人には最適です。
ただし、このように医療ケアも受けられることから、利用料が他の介護保険施設よりも高額になりがちです。
介護サービス
介護医療院では、他の介護施設と同等の介護サービスを受けられます。
入浴・排泄・食事の介助、洗濯や掃除などの生活介助のほか、理学療法士や作業療法士によるリハビリテーションなど、自立した生活を送るためにサポートされます。
このように、安定した生活を送れる環境が整っているのも、介護医療院の特徴です。他にも施設によってはクラブを設けたり、定期的に催しを開催したりと、レクリエーション活動も行っています。
生活支援サービス
安心して暮らせるようにプライバシーの確保をしたり、地域社会とのつながりを持つための交流なども盛んに行われたりしています。
介護医療院の設備
介護医療院は医療設備が当然充実していますが、それ以外にも以下の表のように施設が充実しています。
施設 | 概要 |
---|---|
診察室 | 医師が診察を行う際に適切なもの |
診察室 | 医師が診察を行う際に適切なもの |
療養室 | 1室あたり定員4名以下、1人あたり8.0㎡以上 |
機能訓練室 | 40㎡以上 |
浴室 | 身体の不自由な者が入浴するに適したもの |
談話室 | 談話を楽しむことができる広さ |
レクリエーションルーム | 十分な広さ |
廊下幅 | 1.8m以上(中廊下は2.7m以上) |
食堂 | 入所定員1人に対して1㎡以上 |
医療設備 | 処置室、臨床検査施設、エックス線装置、調剤所 |
その他 | 洗面所、便所、サービスステーション、調理室、洗面所、洗濯室又は洗濯所、汚物処理室 |
その他医療設備 | 処置室、臨床検査施設、X線装置、調剤所 |
介護医療院を選ぶメリット・デメリット
介護医療院を選ぶメリットは、以下の通りです。
- サポート体制が充実している
- 医療ケアが必要な重度の方でも入所できる
- 看取り・終末期医療に対応している
- 理学療法士や作業療法士などリハビリの専門員が在籍している
介護医療院は医師が在籍していたり、医療設備が充実していたりすることから、高度な医療的ケアが必要な方でも入所できます。
さらに看取りや終末期医療に対応しており、長期的な入所ができるのも特徴です。
他には、理学療法士や作業療法士が在籍しているため、生活機能の維持・向上も図れます。
反対に、介護医療院を選ぶデメリットは以下のとおりです。
- 一般的な介護施設よりも費用が高額になりがち
- 完全な個室ではない
介護サービスを利用する際の食費、居住費が一般的な介護施設よりも高額です。特に入居期間が長期化すれば金額も大きくなるため、資金計画が大切になってきます。
さらに完全個室ではないため、プライバシーを確保したい方は居心地が悪いと感じる可能性があります。
介護医療院の費用
介護医療院の費用は、個室か多床室なのか、Ⅰ型Ⅱ型なのかによって異なります。ここでは、多床室のⅠ型とⅡ型に分けて料金を解説しています。
多床室とは、1名に数人が暮らす相部屋のことです。また、看護6:1とは、入居者6人に対して看護師が1人ということです。
なお、以下の介護サービス費用とは別に、栄養管理の費用や経口移行加算など、料金がプラスされます。
1日のサービス費用 | 要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
---|---|---|---|---|---|---|
Ⅰ型 | 多床室・療養機能強化型A相当・看護6:1・介護4:1 | 833円 | 943円 | 1,182円 | 1,283円 | 1,375円 |
多床室・療養機能強化型B相当・看護6:1・介護4:1 | 779円 | 875円 | 1,082円 | 1,170円 | 1,249円 | |
多床室・療養機能強化型B相当・看護6:1・介護5:1 | 805円 | 914円 | 1,148円 | 1,248円 | 1,338円 | |
Ⅱ型 | 多床室・介護療養型老健相当・看護6:1・介護4:1 | 786円 | 883円 | 1,092円 | 1,181円 | 1,261円 |
多床室・介護療養型老健相当・看護6:1・介護5:1 | 770円 | 867円 | 1,075円 | 1,165円 | 1,245円 | |
多床室・介護療養型老健相当・看護6:1・介護6:1 | 759円 | 855円 | 1,064円 | 1,154円 | 1,234円 |
他施設との違い
介護医療院は、介護が必要な65歳以上の方の長期療養・生活施設であると定義されています。施設サービス計画に基づいて、機能訓練や介護、必要な医療並びに日常生活の世話が行われます。
対して、他の施設は介護医療院よりも高度な医療ケアを必要としていなかったり、長期的な入居ができなかったりするのが特徴です。
他の施設に入居していたとしてもより高度な医療ケアを必要とする場合は、介護医療院が引き手になることも多いです。
まとめ
本記事では、介護医療院の入居条件やサービス内容、選ぶメリット・デメリットなどを詳しく紹介しました。
介護医療院は数が少なかったり、費用が高額になる可能性があったりとデメリットがある一方で、介護と同時に医療ケアを受けられるうえ、看取りまでの長期的な入居が可能です。
体調に不安がある方や、療養生活が長期に渡る方は、介護医療院を検討してみてはいかがでしょうか。