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いびきにはどんな対策が必要?原因や隠れている病気について解説
家族にいびきを指摘され、対策に悩んでいる人もいるのではないでしょうか?実はいびきには、心配ないものと病気が隠れているものがあります。
この記事では、いびきの原因や対策について解説していきます。ご自身のいびきが、治療対象かどうか知るためにも、ぜひ最後までご覧ください。
いびきをかく原因
いびきは大きく以下2種類に分けられます。
- 散発性いびき
- 習慣性いびき
これらの原因について、解説していきます。
散発性いびき
散発性いびきとは、一時的にかくいびきのことをいいます。このいびきは、特に心配することはありません。病気が原因で起こっているわけではないからです。
散発性いびきの原因は以下のとおりです。
- 風邪で扁桃腺が腫れた
- 花粉症で鼻がつまった
- お酒を飲んだ
- 疲労が溜まった
上記のように、普段と異なる体調や生活習慣などが原因となり、一時的に起きているにすぎません。
原因を取り除けば症状も治まるため、過度に心配しなくてもよいといわれています。
習慣性いびき
散発性いびきに対して、眠っているときにいつもかくいびきのことを、習慣性いびきといいます。鼻やのどの形、骨格などの形態によるものや、肥満・薬剤などが原因です。
習慣性いびきは、単純性いびきと睡眠時無呼吸症候群に分けられます。単純性いびきの場合、身体へは特に影響を及ぼさないといわれています。たとえば、無呼吸になったり目覚めが悪くなったりはしません。
一方で、睡眠時無呼吸症候群は身体に影響を及ぼすため、治療の対象とされています。睡眠時無呼吸症候群については、後で詳しく解説します。
いびきをかきやすい人の特徴
いびきは、かきやすい人とかきにくい人がいます。いびきをかきやすいか否かは、以下の要素が関わっているといわれています。
- 年齢
- 体型
- 生活習慣
それぞれ見ていきましょう。
年齢
高齢になるにつれていびきをかきやすくなります。
理由は、中高年くらいになると、呼吸や口の中の動きに関わる筋肉が衰えるからです。舌やのどの筋力が衰えると、口の中の張りがなくなり、舌が重力に負けてしまいます。
すると、舌はのどの奥に落ち込み、空気の通り道である気道がふさがってしまうのです。その状態で呼吸すると、狭くなった気道を空気が通るため、のどや鼻に抵抗がかかってふる大きな音になります。
このように年齢と共に筋力が衰え、いびきをかきやすくなるのです。
体型
いびきをかくのは、肥満者に多いことがわかっています。太るといびきをかきやすくなるのは、脂肪が原因となるからです。
脂肪は身体のいたるところに蓄積し、顔や首、頬のまわりなどにも増えます。これらの部位についた脂肪が睡眠時に気道を圧迫し、いびきにつながるのです。
また、あごが小さくて舌がのどに落ち込みやすい人もいれば、首が太く短い人で、脂肪がつきやすくなっていびきをかきやすい人もいます。
生活習慣
生活習慣もいびきの有無に影響を与えます。いびきにつながる生活習慣には、以下が挙げられます。
- 口呼吸
- あおむけでの睡眠
- 服薬の影響
- たばこ
- 飲酒
いくつか例を挙げていきましょう。
口呼吸の習慣がある人では、寝るときも自然に口で呼吸しやすくなります。口が開いて舌がのどに落ち込むと気道が狭くなるため、いびきにつながります。
喫煙者はのどに慢性的な炎症やむくみが起こりやすく、気道を狭くしてしまうため、いびきをかきやすくなるのです。
そのいびき、病気かも?
いびきの種類によっては、病気が隠れている可能性があります。たとえば、以下の病気でもいびきが起こります。
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)
- 脳梗塞
- 甲状腺機能の低下
放っておくと命に関わることもあるため、心配ないいびきと区別できるように、それぞれ見ていきましょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が止まることのあるいびきです。無呼吸によって十分な睡眠がとれないものの、本人は眠れていない自覚はありません。
しかし、日中に強烈な眠気に襲われることがあるため、車の運転中や仕事中の事故につながることもある危険な病気です。
睡眠時無呼吸症候群は、肥満・加齢・男性に多くみられ、もっとも危険な因子は肥満です。
また、心不全との関連性もあります。睡眠時無呼吸症候群によって心不全を発症したり、すでに心不全状態の方は、症状が悪化したりすることもあります。
【参考】
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020
脳梗塞
睡眠中に脳梗塞を発症すると、急に大きないびきをかくことがあります。
脳梗塞は、左右いずれかの身体や顔面の麻痺が起こりますが、口や舌も同時に麻痺することがあります。
口や舌の麻痺によって口内の張りがなくなり、舌がのどに落ち込んで気道をふさぐため、普段していない人でも急にいびきをかくことがあるのです。
また、いびきの他にも呼吸のしかたが変わることで、脳梗塞であると気づく場合もあります。
脳梗塞を発症したときに起こる「チェーンストークス」という呼吸は、「小さい呼吸⇒大きい呼吸⇒再び小さい呼吸」となり、10~20秒程度無呼吸になることをくり返します。
甲状腺機能の低下
甲状腺ホルモンの分泌が減って甲状腺本来の働きが弱まると、全身の代謝や機能の低下が起こります。
そのひとつに、粘液水腫(ねんえきすいしゅ)というむくみを生じる症状があります。
これにより、顔や舌、気道などがむくみ、空気の通り道がふさがっていびきにつながるのです。
いびきの改善方法
いびきへの対策として、以下の改善方法が有効です。
- 生活習慣を改善する
- 寝る環境を整える
- トレーニングする
いびきを改善すると、生活習慣病の改善や、口・舌・のどの筋力向上なども期待できます。結果として健康的な生活にもつながるため、ぜひ実践してみましょう。
生活習慣を改善する
高血圧や脂質異常症などの生活習慣病は、心不全や脳梗塞のリスクにもなります。生活習慣を改善し、病気の予防や改善をすることが大切です。これにより、睡眠時無呼吸症候群の予防にもつながります。
主に以下の対策をとりましょう。
- 食べすぎ・飲みすぎを避ける
- 有酸素運動を行う
- 禁煙する
以上の対策により、肥満や慢性的な気道の炎症が改善され、いびきを改善できる可能性があります。
寝る環境を整える
寝る環境を整えるとは、主に以下のことをいいます。
- 寝る姿勢を変える
- 自分に合った寝具を使う
あおむけよりも横向きで寝た方が、舌が落ち込みにくくなります。気道がふさがらずに眠れるため、あおむけで寝る習慣のある人は横を向いて寝ましょう。
寝具においては、高すぎないまくらを使うことが重要です。まくらが高いと、あごが引けてのどを圧迫し、気道が狭くなってしまうからです。
逆に低すぎるまくらでは、あごが上がりすぎて首や肩に負担がかかってしまいます。
体型や骨格などによって、本人が寝やすいと感じる高さは異なります。起床時に首や肩などの痛みがなければ、負担をかけずに眠れていると判断すればよいでしょう。
トレーニングする
舌がのどに落ち込んで気道をふさがないように、口の中で支えられる筋力をつけることが大切です。
以下のトレーニングをしましょう。
- 前後運動:「舌を前に突き出して5秒」「舌先を上の歯の裏につけて後ろへ引いて5秒」3セット
- 上下運動:「舌を上あごに押し当てて10秒」「下あごに押し当てて10秒」3セット
- 回転運動:「口を閉じたまま、歯の表面と歯ぐきを舐めて1周」3セット
- 発声練習:「口や顔の筋肉の動きを意識しながら、『あーいーうーえーおー』と発声」
- 頬の運動:「口を閉じて頬を5秒膨らませる」「頬を5秒すぼめる」3セット
まとめ
いびきは散発性と習慣性に大別され、体調・年齢・体型・生活習慣などの影響を受けます。
いびきには、睡眠時無呼吸症候群や脳梗塞、甲状腺機能の低下などの病気が隠れている可能性があります。
普段と異なるいびきをしている、もしくは普段しない人が急にし出したら、注意深く観察しましょう。
いびきは生活習慣や寝る環境の改善、トレーニングを行うことで軽減できる可能性があります。適切な対策をとり、健康的な生活を心がけましょう。